工藤(美代子)がつき古賀(俊昭)がこねしヘイト餅 座りしままに食うは小池百合子
9月1日都立横網町公園における関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式。昨年までは、毎年恒例となっていた歴代の都知事の朝鮮人犠牲者への追悼文の送付が、今年は小池百合子の意識的な決断によってなくなった。
豊洲か築地か、優柔不断で決められない都知事と揶揄されたポピュリスト小池である。日本人の対朝鮮人虐殺問題では決然とレイシストの立場を鮮明にしたのだ。これは、小池都政の評価に決定的な重大事といわねばならない。この追悼文送付の有無は、日本人の恥ずべき歴史の汚点を事実と認めてこれに真摯に向きあうか、それとも歴史を都合よく修正するかの姿勢を公的に問うものだからである。
この小池の決断を促したのが、自民党都議団の中での最右翼と言われる古賀俊昭。右翼レイシスト集団の先頭にあって、自警団という名の日本人民衆が、無辜の朝鮮人に対して行った戦慄すべき残虐行為を認めるべきでないとの主張者である。
私が古賀を知ったのは、悪名高い石原都政での「10・23通達」発出直後のこと。この通達を援護して、都立校に日の丸・君が代強制秩序を押しつけようという都議会内勢力の尖兵として、である。
こんな人物がまだこの世にいるのかと驚いたのは、2005年12年8日の都議会本会議での彼の質問。冒頭に「大詔渙発」が出てきたことである。
議事録を見ると以下のとおりである。
「本日は、大東亜戦争開戦の大詔渙発より六十四周年に当たります。さらにことしは、日露戦勝から百年の節目であると同時に、日本文化史上最大級の事業である我が国最初の勅撰和歌集「古今和歌集」が成立して千百年になります。それまでの漢詩文偏重に終止符を打ち、和歌を日本文化のかなめにしたこの平安朝時代に編さんされた「古今集」の祝賀の歌の初めに、詠み人知らずとして、国歌君が代の原歌があります。本日は、そうした国史の意義を踏まえながら、一般質問を行います。初めに、学校式典における国旗・国歌の適正な取り扱いと、それに関連する特殊法人NHKの報道について問題点を指摘し、同時に所見を伺います。…」
「大詔」も「渙発」も、今や完全な死語である。米英に対する宣戦布告を国民に広報する、「大東亜戦争開戦の大詔渙発」は結構長い。その冒頭は次のようなもの。
「天佑ヲ保有シ萬世一系ノ皇祚ヲ踐メル大日本帝國天皇ハ、昭ニ忠誠勇武ナル汝有衆ニ示ス。朕茲ニ米國及英國ニ対シテ戰ヲ宣ス。朕カ陸海將兵ハ全力ヲ奮テ交戰ニ從事シ、朕カ百僚有司ハ勵?職務ヲ奉行シ、朕カ衆庶ハ各々其ノ本分ヲ盡シ、億兆一心國家ノ總力ヲ擧ケテ征戰ノ目的ヲ達成スルニ遺算ナカラムコトヲ期セヨ」(原文に句読点はない)
天皇が勝手に戦争を始めたのだ。「もう戦争を始めちゃったから、みんながんばれよ」という、上から目線の代物。そのおかげで、東京も、沖縄も、広島も長崎も、日本中の国民がたいへんな被害にあった。戦争を仕掛けられた相手国にもこの上ない惨禍をもたらし、何百万人もの犠牲者を出したのだ。
大詔渙発とは、国内外に惨劇をもたらした償いようもない重大な責任をともなう天皇の過誤。ところが、古賀はまったくあの戦争を反省していないのだ。歴史に学ぶところのない、典型的な歴史修正主義者。
その古賀が、本年(2017年)3月2日の東京都議会本会議において、工藤美代子著「関東大震災 朝鮮人虐殺の真実」を論拠に、朝鮮人犠牲者の数がこんなに多いはずはないとして、次のように知事に質問した。
○都内墨田区に所在する東京都立横網町公園に建つ朝鮮人犠牲者追悼碑などの問題について質問を行います。
本年は、十万人余が犠牲となった大正十二年の関東大震災から九十四年になります。この震災の混乱の中での不幸な事件により生じたのが、朝鮮人犠牲者であります。
横網町公園内に朝鮮人犠牲者を追悼する施設を設けることに、もとより異論はありませんが、そこに事実に反する一方的な政治的主張と文言を刻むことは、むしろ日本及び日本人に対する主権及び人権侵害が生じる可能性があり、今日的に表現すれば、ヘイトスピーチであって、到底容認できるものではありません。
追悼碑には、誤った策動と流言飛語のため六千余名に上る朝鮮人がとうとい生命を奪われましたと記されています。この碑は、昭和四十八年、共産党の美濃部都知事時代に、関東大震災朝鮮人犠牲者追悼行事実行委員会が建てて、東京都に寄附したものでありますから、現在、碑文については東京都に全責任があります。
本来は、当時、都が受領に際し、六千余名、あるいは流言飛語などの表記、主張に対しては、公的資料などによる根拠を求めるべきでありましたが、何せ共産党を中核とする革新都政でありましたから、相手のいうがままであったと思われます。
私は、小池知事にぜひ目を通してほしい本があります。ノンフィクション作家の工藤美代子さんの「関東大震災 朝鮮人虐殺の真実」であります。工藤さんは、警察、消防、公的機関に保管されている資料を詳細に調べ、震災での死者、行方不明者は二千七百人、そのうち不法行為を働いた朝鮮独立運動家と、彼らに扇動されて追従したために殺害されたと思われる朝鮮人は約八百人、また、過剰防衛により誤って殺害されたと考えられている朝鮮人は二百三十三人だと調べ上げています。この書籍は「SAPIO」に連載され、現在、産経新聞から単行本として出版されています。
(略)
流言飛語に関しても、当時の我が国の治安状況を知るべきであり、震災の四年前に朝鮮半島で勃発した三・一独立運動に関与した朝鮮人活動家が多数日本に来て、ソビエトや日本人無政府主義者の支援を受けて頻繁に事件を起こしていたことは、現存する当時の新聞記事からも確認できるのであります。
また、彼らは、当時皇太子殿下であった後の昭和天皇のご成婚に合わせての危害行動を準備していました。そのほか、現に震災に乗じて凶悪犯罪が引き起こされたことは、具体的に事件としてたくさん報道されています。
こうした世相と治安状況の中で、日本人自警団が過敏になり、無関係の朝鮮人まで巻き添えになって殺害された旨の文言こそ、公平、中立な立場を保つべき東京都の姿勢ではないでしょうか。
(略)
歴史の事実と異なる数字や記述を東京都の公共施設に設置、展示すべきではなく、撤去を含む改善策を講ずるべきと考えますが、知事の所見を伺います。
また、小池知事は、昨年九月一日、同公園で行われた日朝協会が事務局を務める関東大震災犠牲者追悼式典に追悼の辞を寄せています。当組織の案内状には、六千余名、虐殺の文言があります。東京都を代表する知事が歴史をゆがめる行為に加担することになりかねず、今後は追悼の辞の発信を再考すべきと考えますが、所見を伺います。
(以下略)
古賀の追悼行事攻撃は、右翼ジャーナリストとして知られる工藤美代子本を援用して、朝鮮人虐殺犠牲者の数を過小に見積もり、否定し得ないところは、「それなりの理由があった」とするものなのだ。南京大虐殺は正確な犠牲者数が分からないのだからなかったも同然という論法に酷似している。
ネット上で、この工藤美代子本を検証するサイトが充実している。
その筆頭に挙げるべきが、《「朝鮮人虐殺はなかった」はなぜデタラメか一関東大震災時の朝鮮人虐殺を否定するネット上の流言を検証する―》という下記URL。
http://01sep1923.tokyo/
「20分でわかる『虐殺否定論』のウソ」や、「虐殺問題関連資料庫」に掲載の、黒澤明や清川虹子の生々しくも貴重な証言をぜひお読みいただきたい。リンク先も充実している。
中に、「工藤美代子/加藤康男『虐殺否定』本を検証する」というページがある。下記ブログを引用するページ。
http://kudokenshou.blogspot.jp/
「このブログは、工藤美代子/加藤康男による『関東大震災時の朝鮮人虐殺を否定する本』を検証するために、『民族差別への抗議行動・知らせ隊+チーム1923』が作成するものです。」とされているが、具体的で説得力がある。
朝鮮人虐殺を否定する怪しげな工藤美代子本を手にかざして、小池百合子に対して、朝鮮人虐殺への追悼文は送るなと働きかけたのが右翼古賀。。小池百合子の耳は、右側の耳だけがとてもよく聞こえるようである。工藤や古賀の言には、聞き分けがよいのだ。
どう考えてもおかしい。納得しがたい。
(2017年8月27日)