澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

Welcome Back アキエさん

アキエさん。お久しぶり。
しばらくお顔を見なかった。
去年の選挙で自民党が勝ったときなんぞには、
とうとうあなたのお顔も見納めかと、
とてもさびしい思いだった。

しかし、ようやく主役が戻ってきた。
先日来の紙面には、あなたの名前が大見出し。

あなたの写真も躍っている。
これもひとえに財務省の文書改竄のおかげさま。
主役は主役らしく、颯爽と舞台に上がらなくっちゃあ。
籠池泰典だって、堂々と証人としてしゃべったんだから。

アキエさん、国民みんなが大歓迎。
あなたの声を聞きたい。
あなたの説明に耳を傾けたい。
信用ゼロのあなたの夫の伝聞じゃだめなんだ。
あなたの肉声を聞きたい。
質問に回答するあなたの表情に目を凝らしたい。

改竄前の決裁文書には、「昭恵氏が問題の国有地を訪問した際、『いい土地ですから、前に進めてください』と述べた」という記載がある。これが籠池泰典の発言だけど、本当らしく聞こえるね。籠池側の印象操作の成功だ。アキエさん、あなたがんばって否定の証言をしないと、『いい土地ですから、前に進めてください』とホントに言ったと思われるよ。

森友決裁文書の改竄は、去年(2017年)の「2月下旬」から、財務省がそう言っている。この時期が重大だ。安倍晋三が「私や妻が関係していたということになればこれはまさに私は間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということははっきりと申し上げておきたい」と国会答弁したのが、17年2月17日。その直後から、改竄が始まったことになる。

アキエさん、あなたやっぱり、かかわっていたんじゃないの。だから、理財局は、あなたが出てくるところを全部消しちゃったんだ。

籠池と佐川だけを悪役にして、あなた一人がのうのうとしているのは、卑怯じゃないの? ずるいんじゃないの?

ツィートだとか、リツィートだとか、陰でつぶやいてるときじゃない。一世一代の晴れ舞台。堂々と宣誓して証言して、華々しくスター誕生とまいりましょう。
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3月20日(火)は、緊急院内集会。そのあとに財務省前緊急アピール行動があります。財務省への国民の怒りをぶつけましょう。

森友決裁文書の改ざん事件の徹底追及!
財務省前緊急アピール行動
国民と国会を欺いた安倍内閣は総辞職せよ!

3月20日(火)11:00?13:15
緊急院内集会(衆議院第一議員会館B1F大会議室)
http://sinkan.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/320-f738-1.html
集会終了後、財務省周辺の歩道に移動し緊急アピール行動にご参集ください。
徒歩10分・地下鉄 丸の内線、日比谷線、千代田線 霞ヶ関駅(A13番出口)

コール&アピール
・決裁文書の改ざんを徹底調査せよ!
・佐川氏、昭恵氏を証人喚問せよ!
・改ざんを指示したのは誰だ! 
 はっきりさせろ!
・巨悪を許すな! 黒幕逃がすな!
・トカゲのしっぽ切りを許さない!
・麻生大臣は責任を取っていますぐ辞めろ!
・公文書の改ざんは政府の犯罪だ!
・犯罪を犯した安倍内閣は総辞職せよ!

チラシダウンロード
http://bit.ly/2Fxd2mk
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3月20日(火)の予定
10時15分 院内集会入館証渡し開始
11時?13時半 院内集会

(衆議院第一議員会館、BF1 大会議室)

<徒歩(10数分)か地下鉄で移動>

14時 財務省・経産省前歩道 集合
14時15分?14時45分 財務省前アピール行動
(2018年3月15日)

沖縄「未完の復帰闘争史」(小村滋)の紹介

全国の そして全世界の友人へ贈る

吹き渡る風の音に 耳を傾けよ
権力に抗し 復帰をなし遂げた 大衆の乾杯の声だ
打ち寄せる 波濤の響きを聞け
戦争を拒み平和と人間解放を闘う大衆の雄叫びだ
 ?鉄の暴風?やみ平和の訪れを信じた沖縄県民は
 米軍占領に引き続き 1952年4月28日
 サンフランシスコ「平和」条約第3条により
 屈辱的な米国支配の鉄鎖に繋がれた
米国の支配は傲慢で 県民の自由と人権を蹂躙した
祖国日本は海の彼方に遠く 沖縄県民の声は空しく消えた
われわれの闘いは 蟷螂の斧に擬された
 しかし独立と平和を闘う世界の人々との連帯であることを信じ
 全国民に呼びかけ 全世界の人々に訴えた
見よ 平和にたたずまう宜名真の里から
27度線を断つ小舟は船出し
舷々相寄り勝利を誓う大海上大会に発展したのだ
 今踏まえている 土こそ
 辺戸区民の真心によって成る冲天の大焚火の大地なのだ
1972年5月15日 おきなわの祖国復帰は実現した
しかし県民の平和への願いは叶えられず
日米国家権力の恣意のまま 軍事強化に逆用された
 しかるが故に この碑は
 喜びを表明するためにあるのでもなく
 ましてや勝利を記念するためにあるのでもない
闘いをふり返り 大衆が信じ合い
自らの力を確め合い決意を新たにし合うためにこそあり
 人類が 永遠に生存し
 生きとし 生けるものが 自然の摂理の下に
 生きながらえ得るために警鐘を鳴らさんとしてある

辺戸岬に屹立するこの「祖国復帰闘争碑」の由来を尋ねて、元朝日記者の小村君は大阪の図書館で『沖縄県祖国復帰闘争史資料編』(沖縄県祖国復帰闘争史編纂委員会編、1982年5月15日発行)に出会う。B5 版1430頁という大冊。編集責任者は復帰協6代目事務局長・仲宗根悟氏、「闘争碑」の文字を書いたその人(2015年7月25日没)である。
この『復帰闘争史 資料編』の1292 ?1326頁に、1950 年代、60 年代、70年代のリーダーを集めた3回の座談会が掲載されている。小村君は、その内容から「復帰闘争の歴史」を追い、足りないところは、新崎盛暉「私の沖縄現代史」(2017年1月刊)などで補っているという。以下に、これを紹介する。

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沖縄戦の?鉄の暴風?がやむと、沖縄の人々は収容所に入れられ、奄美大島以南は米軍統治下に置かれた。収容所から「祖国復帰」の声を上げた人がいる。1946 年夏、米軍から?石持て追われる如く?東京へ脱出した仲吉良光。東京で、マッカーサー司令部、政府、国会、米政府、国連などに精力的に陳情活動を展開した。

促進期成会が署名集め
仲光から「沖縄で復帰運動をしてほしい」との要請を受けた平良辰雄沖縄群島知事に頼まれた兼次佐一(当時社大党書記長)は、「日本復帰促進期成会」を51年4月29日に結成した。社大党と人民党で組織をつくり、地域青年会を中心に「復帰」を求める署名を集めた。沖縄群島の全有権者の72%に達した。
9月4日にサンフランシスコで講和会議が開かれる。日本側吉田全権と米側ダレス特使に、膨大な署名簿をどうやって渡すか。復帰運動に、米軍はパスポートを出さない。郵送に要する費用5万円がない。外国新聞を扱う業者に立て替えてもらって、8 月24、25日にようやく発送した。
9月8日、対日平和条約と日米安保条約は調印された。奄美大島以南は米軍制下のままだった。
52年4月28日、二つの条約は発効した。「屈辱の日」の始まりだが、まだ意識されていない。
53年1月10日、屋良朝苗(教職員会長)を会長に、安座間麿志(沖青連会長)を副会長に「沖縄諸島祖国復帰期成会」が結成された。教職員会、PTA連合会、婦人連合会、青年連合会、市町村長会の 5 団体に担がれる形だ。後に最初で最後の公選主席になり、復帰後の初代知事にもなる屋良は「米国側から教職員は政治活動をするな、といわれた。復帰運動は、政治活動ではなく県民運動だ。政党は加えず、民主団体だけでやると言った。社大党は了承したが、人民党は納得しなかった」。

結成、すぐに全国行脚
屋良は、期成会結成直後の1月17日、総決起大会を開いた。教育復興と戦災校舎復興と復帰問題の3点セットで日本全国に訴える方針を決議。群島政府文教部長時代から蓄積した資料を持ち、1 月20 日?6月23日の半年間、四国を皮切りに九州から北海道まで46 都道府県を行脚した。「本土政府側が国会に2度も呼んでくれて真剣に沖縄の実情を聞いてくれた。文部省も教育資料に取り上げ、全国の小中学校に協力を呼びかけてくれた。国鉄部長は1等パスを発行して、私と喜屋武(真栄)君を『沖縄問題の講師』として遇してくれた。経済的にも助かりました」と屋良。
その頃、沖縄では米民政府が「アメリカに恥をかかせた」と激怒していた。
弾圧が屋良を待ち受けていた。
53年12月25日、奄美群島が返還された。奄美では復帰運動の取り組みが早く、14歳以上の99%から署名を集めたのが原因とされる。与論島と沖縄島の間に、新たな国境27 度線が登場した。
だが沖縄の人たちは、奄美が復帰したのだから、沖縄も近いと考えた。
54年1 月、米アイゼンハウアー大統領が年頭教書で「アメリカは自由世界防衛のため、長期間琉球を保持する」と。これに呼応するようにオグデン民政府副長官が「復帰運動に従事していた人たちに、扇動は無駄であり、これ以上の精力の浪費は止めるよう勧告する」と脅した。
屋良の全国行脚から1年半。戦災校舎復興期成会の本土後援会から「金が集まったから受け取りに来てくれ」と要請があり、パスポートを申請したら峻拒された。抗議に対し「反米運動をするものに協力できない」という。
屋良は、プラムリー民政官と交渉した。民政官は「君はなぜ、我々の教育復興計画の邪魔をするのか。米民政府に協力するのか、今まで通りするのか」とケンカ腰で、即答を迫った。屋良はその場では答えず。翌日、教職員会長も復帰期成会長も辞めると告げた。「米民政府に協力できないが、教員の給与は上げて欲しい」と。
教職員会は再び屋良を支持した。さすがに米民政府も強硬姿勢を反省「校舎を作る、教員待遇の改善、教員の質向上」3項目の約束を発表した。
復帰期成会は自然消滅した。屋良は1956年、米軍基地から「土地を守る会」会長となり、島ぐるみ闘争のリーダーになる。本人は「知らないうちに会長にされた」という。ともあれ、形を変えた復帰闘争だった。

2013年、分断が露出
4月28 日は「屈辱の日」として、今も沖縄2紙は特集する。第二次安倍政権になり初の 2013 年4月28日、「主権回復」祝賀式典を政府主催で開いた。
沖縄では政府式典に抗議する「屈辱の日」県民大会が開かれた。ヤマトと沖縄の分断が露出した年だった。「屈辱の日」はいつから言われ出したのか。私が闘争碑に関心を持った由縁だ。
沖縄県祖国復帰協議会(復帰協)が発足したのは1960 年4月28日である。
4・28 が特別な日になるのは、この年から。61年から復帰協の文書に「屈辱の日」という言葉が登場し、63年4月28日に北緯27度線で沖縄とヤマトの初の海上交歓が行われた(新崎)。復帰協は、60年安保のため急ぎ結成したようだ。安保闘争の中で屈辱感を再確認したのではないか。52年以降を、もう一度見直そう。

52年、2条約が始まり
講和条約と日米安保条約。サンフランシスコ2条約が発効した 1952年4月28日、奄美大島以南の琉球弧と小笠原は、米軍の排他的支配下に置かれた。
?鉄の暴風?と形容された沖縄戦に巻き込まれた沖縄住民は、日米の戦死者20 万人のうち15万人に上っていた。
戦前は皇民化教育の下で必死に日本人になろうと努力したのに捨て石にされたのだ。だから52年の時点で「屈辱の日」としても不思議ではなかった。53年12月、奄美大島から与論島までは日本に返還された。この時、「奄美が返還されたのだから、米国の意向次第で沖縄も返還されると考えた」という。
しかし52年の2条約発効を機に、米軍は強硬に基地拡大を始めた。54年1月、アイゼンハワー米大統領が年頭教書で「アメリカは自由世界防衛のため琉球を長期間保持する」と述べた。
当時の沖縄諸島祖国復帰期成会長の屋良朝苗は米軍当局から激しく弾圧され、教育改革と引き換えに会長を辞めた。復帰運動団体は消えた。

闘う主体、沖縄民衆登場
54年4月、琉球立法院は、一括払い反対など「土地を守る4原則」に基づく「軍用地処理に関する請願」を米側に出した。55年米下院軍事委員会はプライス調査団を沖縄に派遣。56年6月にプライス勧告を出した。だが、その中身に住民は激しく反発、「島ぐるみ闘争」が燃え上がる。これからしばしば沖縄が全国紙の1面トップに登場した。
「闘う主体としての沖縄民衆が歴史上に登場してきたのだ」(新崎)。
56年、ジェット機への切り替えで基地拡張問題が沖縄でも本土でも起きた。
砂川事件や内灘闘争などヤマトの反米基地闘争が激化。安保改定で沖縄に押しつけることに。国際的にはソ連のスターリン批判、ハンガリー動乱、スエズ戦争など。12月末に那覇市長にカメジローこと瀬長亀次郎が那覇市長に当選、米軍と闘争を展開する。これは別の機会に書きたい。

57年岸首相が安保改定へ
57年6月、岸信介首相が訪米し、アイゼンハワー大統領と会談。?安保条約改定?日本の首相として初めて沖縄・小笠原の返還要求?在日地上軍の大幅削減、など共同声明に。58 年9月、藤山・ダレス会談で安保改定に合意した。10月から交渉が始まった。
まず沖縄を安保の範囲に入れるかが問題になった。政府は当初、返還を要求した以上入れざるを得ないとした。
社会党や自民党の一部は「米国の戦争に巻き込まれる」、自民党は「沖縄への核持ち込みが事前協議の対象になる」といずれも反対。結局、60年安保では、沖縄は条約の対象にならなかった。
元々、米軍が独占的に管理していたから、日米政府とも必要なかったのだ。

沖縄解放、支援の声なく
当時の沖縄は、米比、米韓、米台などの相互防衛条約の適用地域だった。
沖縄を共同防衛地域から解放しよう、という動きはヤマトにはなかった。一方、沖縄では「日米安保の対象になれば復帰が早まるのではないか」という論議も広まり、世論も揺れた。さらに改定後に実現した在日地上軍の大幅削減で撤退した部隊はそっくり沖縄に移動した。活動家たちに「安保は重い」とのツブヤキが広がった(新崎)。
このツブヤキが「屈辱の日」を確信させた、と私は思う。

「安保よりも復帰」へ転換
57年「祖国復帰促進県民大会」の主催は沖縄青年連合会だった。59年1月、同タイトルの県民大会は、「安保改定よりもまず復帰」をスローガンに沖縄県原水協(原水爆禁止沖縄県協議会、58年8月結成)が主催した。この大会を機に復帰協が結成されることになる。この頃、官公労や沖教組などが次々誕生し、活動の担い手になった。全軍労も61年復帰協に参加した。
60年スタートしたばかりの復帰協は6月19日、アイゼンハワーを迎える。銃剣をギラギラさせる米兵たちの中を、琉大生3千人に教職員会など加えて1万人近い請願デモだった。大統領は裏口から逃げるように空港へ向かい、東京訪問を止めて韓国に行った。
まだ会長不在で、副会長兼会長代行だった赤嶺武次は「アイク来沖闘争は復帰協に自信と勇気をくれた」と振り返った。

天皇メッセージの衝撃
「屈辱の日」に絡んで、必ず語られるのが「沖縄の将来に関する天皇の考えを伝える」いわゆる「昭和天皇メッセージ」だ。
1947年9月19日、天皇の御用掛寺崎英成がマッカーサー総司令部のシーボルトに会い、次のように伝えた。
「アメリカが沖縄を始め琉球の他の諸島を軍事占領し続けることを希望している。(略)天皇がさらに思うに、アメリカによる沖縄(と他の諸島嶼)の軍事占領は、日本に主権を残存させた形で、長期の――25年から50年ないしそれ以上の――貸与(リース)という擬制(フィクション)の上になされるべきである。天皇によれば、この占領方式は、アメリカが琉球列島に恒久的意図を持たないことを日本国民に納得させることになるだろうし、それによって他の諸国、特にソヴェト・ロシアと中国が同様の権利を要求するのを差し止めることになるだろう」。
寺崎の天皇メッセージを聞いたシーボルトは9月20日、これを文書にしてマッカーサーに伝えた。その後ワシントンの米国務省に送った。
このメッセージが出された47年9月は、新憲法が施行され、日本の独立を片面講和か全面講和か、論議の最中だった。膨らむソ連の脅威に、米国は片面講和、さらに沖縄をソ連包囲基地にしようと望む勢力が力を得ていた。
47年5月6日、昭和天皇はマッカーサーを3度目訪問し、対日講和成立後「米国が撤退した場合、誰が日本を守るのか」と訊いたという。
天皇メッセージは、進藤栄一(筑波大名誉教授)が、雑誌『世界』1979年4月号に論文「分割された領土」とし て発表した。米国立公文書館で、解禁された外交機密文 書の中 から1枚の文書を見つけて書いた。従って闘争碑が出来た76年には、天皇メッセージはまだ日本に 知られていない。しかし復帰協闘争史の文献一覧の末尾に掲載されており、座談会の時には知っていたはずだ。
今年3月、平成天皇は11回目の沖縄訪問をする、と報じられている。
「屈辱の日」を癒やせるだろうか。
(3月8日、小凡・記)
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この記事は、彼が発行する「アジぶら通信」(メールマガジン)の38?40号に掲載された記事。このメールマガジン受信ご希望の方は、小村滋君の下記メールアドレスにご連絡を。

laokom777@gmail.com

なお、この5月には、彼を先達にしてかつての同級生9名で、3泊4日の沖縄探訪の旅をする。辺戸岬に必ず行ってみよう。「戦争を拒み平和と人間解放を闘う大衆の雄叫び」を聞くために。
(2018年3月14日)

アベ退陣を要求する。アベを退治して、憲法を救え。

本郷三丁目交差点をご通行中の皆さま、こちらは「本郷・湯島9条の会」です。昼休みのこの時間に平和を守るための訴えをさせていただいています。少しの時間、耳をお貸しください。

「森友学園」への国有地売却をめぐる「決裁文書」の改竄が明るみに出て、国会が揺れています。アベ政治の腐敗が露わになって、政権が軋んでいます。

改竄書面は、「貸付決議書」「売払決議書」「特例承認の決議文書」などの14点。78ページ、改竄個所は300個所にも及ぶものです。

改竄前にあって、不都合として削除された文章の中には、森友学園との交渉経緯に関連した「安倍昭恵首相夫人から『いい土地だから前に進めてください』とのお言葉をいただいた」との記述があったことも判明しました。籠池さんの、「日本会議大阪支部代表」の名刺のコピーも消されていました。

「不都合なことはなかったことにしよう」。これが、歴史修正主義者のやり口です。なるほど、公文書の改竄は歴史修正主義者・安倍晋三のやり口にふさわしい。

しかし、公文書とは何でしょうか。公文書管理法は、公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るもの」としています。公文書の正確さは、「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」の命です。これが改竄されて約1年。関係者がだんまりを決めこんでいたのです。朝日新聞のスクープがなければ、闇に葬られかねないところでした。

改竄は、なんのために行われたか。明らかに、安倍晋三と昭恵の夫婦をかばうためにです。
ご承知のとおり、安倍首相は昨年2月17日の国会答弁で、「私や妻が関係していたということになれば、まさにこれはもう私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい。全く関係ないということは申し上げておきたいと思います」と明言しました。

ここから、文書の改竄が始まったのです。つまり、「私や妻が関係していた」という歴史は抹消しなければならない。そうしなければ、「もう間違いなく総理大臣も国会議員もやめ」ざるを得ないからです。

さあ、隠されていた文書が暴かれて、「妻が関係していた」ことが明らかになったではありませんか。ここに至っては、自分が国会で公言したとおりに、「総理大臣も国会議員も」やめていただくほかはありません。

今や、国民の怒りが爆発しています。「アベはやめろ」「アベ内閣は総辞職せよ」「アベ政治は、もう終わりにさせよう」という声が沸き起こっています。この声を政権打倒に結びつけようではありませんか。

森友学園事件とはなんだったのでしょうか。首相の妻が極右の教育者の教育方針に感涙した。首相自身もこれを容認していた。そのご威光を忖度した官僚によって、極端な右翼教育を掲げる小学校建設のために、国有地をただ同然で払い下げられたというものではありませんか。

加計学園問題とはなんでしょうか。これも、首相のお友達に、特別の便宜をはかって、所轄の文科省と農水省の反対を押し切って、官邸主導で半世紀ぶりに獣医学部の設置認可がなされたのです。手練手管を弄して、権力者のお友達に巨額の利益が転がり込むという薄汚い事件。

アベ晋三の、政治の私物化、行政の私物化そのものではありませんか。

こんなアベ政権に、日本国憲法の改正を論じる資格はありません。自民党は3月25日の党大会で、憲法改正の自民党原案を具体化すると言っていますが、とんでもない。とっとと退場してもらいましょう。

今や、森友・加計問題を徹底して追及することが、安倍内閣を退陣に追い込むことであり、アベ改憲を阻止することにもなっています。

私たちは、安倍晋三首相、即刻退場せよと声を大にして叫びます。
《安倍はやめろ!》《アベ政治を許さない!》と。
皆さん!全国の広範な市民と共に安倍政権の9条改憲の野望を断固阻止する大波を起こそうではありませんか!
そのための、《アベ9条改憲阻止・3000万人署名》にご協力をお願いいたします。!
(2018年3月13日)

サガワよ、サガラになるなかれ。

「責任」とは重いものだ。行政府の長の責任ともなればとてつもなく重い。重いものは重力の作用で、下へ下へと落ちていく。これを、霞ヶ関名物「責任沈下の法則」という。福島第1原発原子炉格納容器のデブリを思い起こせば良い。

森友問題の決裁文書改竄は、常識的にはおまえの責任だろうとアベ晋三に指摘すると、「いいえ麻生にその責任を果たしていただきたい」と責任を沈下させる。では麻生に、おまえの責任だそうじゃないかと問いただすと、麻生は「理財局の一部の職員が行ったこと」ともう一段沈下させる。じゃあ、理財局の誰の責任かと問うと、「当時の理財局のトップだから、適材適所の佐川宣寿の責任」だという。

さて佐川は、上から落ちてきた責任をどうするだろう。「責任沈下の法則」のとおりだと、さらに部下に投げ落とす。その部下はさらにそのまた部下に。転々とした責任は、最後には近畿財務局の平職員のところまで沈下しきって止まることになる。逃げどころなくなってその重さに耐えきれない人も出て来るわけだ。

だが、佐川宣寿には、別の選択肢がある。重い責任を当時の部下に転嫁するのではなく、まずは自身で受けとめるのだ。下へは沈下させない。その上で、この責任を渾身の力で跳ね上げるのだ。

「公文書の改竄は、官僚風情の権限でできることではない。麻生の指示だ。」「忖度先は、アベと昭恵だ。麻生の背後にアベがいるのは当然だろう。」「この責任は、私は背負わない。熨斗を付けてアベと麻生にお返しする」

そのように開きなおって、すべてをぶちまけるのだ。かくて、肚をくくって悔い改めた佐川宣寿は、アベ政権打倒の立役者となり、前川喜平並みの国民的人気者になるだろう。災い転じて福となすのだ。

もちろん、そうせずに自ら責任を引き受ける暗い選択肢も残されてはいる。アベと麻生の責任の重みを背負って、つぶれていく道。慫慂としてアベと麻生の責任に殉ずるという、今流行らない美学に散ることだ。

昔は、そんな人物もいた。たとえば、相楽総三。あの赤報隊の隊長。

赤報隊は官軍の先遣隊として中仙道を東に進軍した。彼らは、「是迄幕領之分総テ当分租税半減」という勅定書をもっての宣撫工作隊だった。?年貢半減?の官軍公約を触れ歩いたのだ。当然のことに、赤報隊は各地で熱狂的な民衆の支持を得た。その勢いに中仙道諸藩の抵抗の意思がないことを確認するや、官軍総督府は赤報隊を有害無益な存在と判断した。新政府に「租税半減」の意思はなく、勅定書は偽書、赤報隊は偽官軍とされて、幹部は捕縛され斬首された。赤報隊は官軍に利用されて、捨てられたのだ。権力の非情は常のこと。

相楽の最期には諸説ある。他の赤報隊隊士が憤慨やるかたなく憾みを述べる中で、彼一人は端然とした姿勢を崩すことなく慫慂として死について、彼なりの美学を貫いたのだともいう。また別の言い伝えは、次のようなものだ。

相楽は、太刀取り(斬首者)を顧みて『しっかりやれよ』といった。太刀取りは荒肝をひしがれたように動揺が出た。再び静かに相楽が、『見事にな』といった。これに災いされたか、太刀取りは相楽のうしろに廻り、気を鎖めて一声とともに斬ったが、仕損じて右の肩先へ斬りこんだ。とっさに相楽が振返り、『代れ』と怒気を含んで叱りっけた。これにたじろいで、その太刀取りは顔が土気色になった。
代って、新しい太刀取りが相楽を切り、首が3尺飛んだという。後にこれが誇張されて、相楽の首は6尺飛んで、柳の枝に噛みついたことになった。(長谷川伸「相楽総三とその同志たち」から)

これが、相楽の無念を推し量った作り話である。佐川よ、アベや麻生に利用されて捨てられて、相楽総三の轍を踏んではならない。無念の相楽になるな。前川を見習え。すべてをさらけ出せ。トカゲの尻尾に終わるな。尻尾にも幾分かの魂があることを示したまえ。

さすれば、不本意に自らの命を断った近畿財務局職員のいささかの供養ともなろうではないか。
(2018年3月12日)

3月11日に読む「ドイツ人が見たフクシマ:脱原発を決めたドイツと原発を捨てられなかった日本」

3月10日と、3月11日。偶然並んだこの両日は、いずれも忘れられない日であるが、同時に忘れてはならない日でもある。この両日に起こったそれぞれの出来事は、さまざまに関連して、今の私たちの生き方や社会のありかたを問い続けている。

3・10東京大空襲は明らかな人災であり、3・11大震災と原発事故は天災に人災が重なったものだ。空襲被害と原発事故被害とは、その責任の性質がよく似ている。その責任の本質をどう考え、どう対処すべきか。まずはドイツに学ぶべきだろう。

日独両国とも、敗戦の惨禍から再出発している。その原点は加害責任の認識であり、侵略戦争をもたらした旧体制への反省だったはず。ドレスデン爆撃と東京大空襲とは、侵略戦争が結局は自国民に惨憺たる運命を強いることになるという好例である。ドレスデン爆撃にはゲルニカへの無差別爆撃が先行し、東京大空襲には執拗な重慶爆撃が先行している。ドイツも日本も、自分がやったようにやり返されたのだ。しかも、何層倍もの規模においての報復だった。

ここまでは、日独は肩を並べての同罪である。天皇制日本と、ナチスドイツの両体制の失敗である。しかし、その後はちがっている。戦後ドイツをことさらに美化するつもりはないが、自国の戦争責任追及の姿勢の真摯さは、我が国には見られないものだ。両国には大きな、越えがたい落差がある。残念ながらこの姿勢の違いは、政治家の質の違いと言って済まされない。国民意識の落差がもたらしたものだ。改めて、アベや麻生を政権の座に据えていることを日本国民の恥辱と思う。

その両国の落差が、3・11後の原発への対応にも表れている。そのことを上手な語り口で、解説しているのが、「ドイツ人が見たフクシマ:脱原発を決めたドイツと原発を捨てられなかった日本」(16年3月11日発行)。

著者は、熊谷徹。元はNHKの記者だったというフリージャーナリスト。ドイツ・ミュンヘン市に在住。ドイツの過去との対決や、ドイツのエネルギー・環境問題を、日本との対比の視点で書き続けている人。「脱原発を決めたドイツと、原発を捨てられなかった日本」をテーマの執筆者として最適の人だろう。同じテーマの著書に、「なぜメルケルは『転向』したのか・ドイツ原子力40年戦争の真実」、「脱原発を決めたドイツの挑戦」などもあるようだ。

この書の問題意識が、宣伝文句に的確にこう語られている。
「世界中に大きな衝撃を与えた…福島原子力発電所の事故、その衝撃を最も深刻に受け止めたのは、日本人ではなくドイツ人だった!」「なぜ日本から1万キロメートル離れたドイツが、大胆なエネルギー転換に踏み切ることができ、深刻な原子力災害を経験した日本が、ドイツのような本格的なエネルギー転換に踏み切れなかったのか?」

まったく日独の原発に関する意識の格差は対照的だ。日本では、愚かな首相が、東京オリンピック招致のために、事故後の放射性廃棄物の環境への流出について「アンダーコントロール」と言ってのけた。なんの知識もなく事実の確認もないままの、世界に発信された大きな嘘。そんな口先だけの政治家が、まだ首相を続けているのだ。

事故後7年を経て、廃炉の見通しさえ立っていない。「アンダーコントロール」どころか、廃棄物処理の方針もない。にもかかわらず、原発再稼働が順次実行されている。さらには、自国でコントロールができない原発プラントの他国への売り込みまで熱心に行われている。なんということだ。この国は没道義の国になり果てている。

地震国日本での原発の容認と、地震のないドイツの原発の拒否。その対比は、文化史的に興味深いテーマといえよう。この書では、原発推進派だったメルケルは、フクシマの事故後、率直に自らの政策を反省して転換し、脱原発派に「寝返った」。このことは、彼女の資質でもあろうが、そのような政策転換なくしては、対立政党に政権を奪われるという、世論の動向があったという。特に「緑の党」の存在の重みが語られている。

「原発は安全」という神話は崩れた。ドイツに似た資質を持っている日本国民が設営する設備での事故は、ドイツに衝撃だったという。安全のためには、エネルギーが高価になっても良いという国民合意が形成されているともいう。原発でも化石燃料でもなく、環境に負荷とならない再生可能エネルギーを。これがドイツの世論であり、政策であるという。

この書の第1章が「ドイツ人に強い衝撃を与えた福島事故」となっている。その最初の見出しが、「NHKでは遅れた爆発映像」となっている。この記述は、私にとって衝撃だった。

事故翌日の3月12日、日本国外のテレビやインターネットの世界では、既に1号機の建屋が爆発する瞬間の映像が繰りかえし流されていた、という。この衝撃が大きかった。ドイツだけでなく、英国のBBC、米国のCNNもこの映像を流していた。ところが、肝腎のNHKだけがこの映像を放映していなかった。著者がドイツで見たリアルタイムでのNHKの放送では、アナウンサーが「福島第一原発で爆発音がして、建屋の天井の一部が崩れたという情報があり、確認中」という原稿を読んでいたという。しばらくして、NHKは1号機の爆発後の写真を放映したが、爆発の瞬間の動画は流さなかった。

世界がリアルタイムで見ていた爆発の衝撃画像は、福島中央テレビが撮影したもので、NHKは撮影に成功していなかったという。だから、NHKを見続けていた多くの日本人は衝撃映像の目撃者とならなかった。日本人の目には、外国の反応が過剰と映ったわけがあったのだ。

12日午後5時47分の枝野幸男官房長官会見も、「何らかの爆発的事象があった」という、“奥歯に物がはさまったような発表”となっていたという。

この書には、日独間のパーセプションギャップ(意識の隔たり)が頻りに語られるが、その原因の第一が、情報のギャプである。世界に配信されたこの爆発シーンは、「石橋を叩いて渡るような政府の公式発表や、市民に不安を与えまいとする『安心報道』を粉砕してしまった」という。

また、一部の視聴者のこととして、政府とNHKの『安心報道』の姿勢を「これでは大本営発表をそのまま流しているようなものだ」「日本政府の情報は信じられない」という批判が紹介されている。

3月12日の時点では、政府の公式声明のなかでは「炉心溶融(メルトダウン)」という言葉すらタブーになっていた、とも言う。
NHK出身の著者は、さぞかしもどかしい思いであったろう。

一方、ドイツのメデイアには「安心報道」の配慮はまったくなかったという。悲観的情報、悲観的予測があふれていた、と紹介されている。おそらく、地元日本は情報において世界から孤立していたのだ。

3月10日一夜にして10万人の死者を出した東京大空襲被害も、もとをただせば聖戦と欺された国民の侵略戦争加担が原因となっている。大本営発表さながらの、原発安全神話に欺されたところから、3・11原発被害も生じている。そして、事故後も安全神話の延長としての《安全報道》が、原発への厳格な国民的批判を温いものとしてしまっている。ドイツに倣って、日本国民も政府やメディアが誘導する《安全神話》や《安全報道》に、もっと懐疑的でなければならない。

最終章に、著者の結論めいた記述がある。ごもっとも、というほかはない。
「ドイツ語には、《政治の優位》という言葉がある。これは、民意を反映する政治が、経済や科学技術など他の分野に優先するという意味だ。ドイツ人たちは、福島事故後の脱原子力決定によって、この国に《政治の優位》という原則が生きていることを、全世界に対して示した。つまり原子力技術の専門家たちが、「ドイツの原子炉は安全であり、直ちに停止するべき理由はない」という結論に達しだのに、メルケルは原発全廃を求める倫理委員会の提言を採用した。彼女は「木よりも森を見て」、原発全廃が公益にかなうと判断した。
メルケルは、この決断によって《政治の強さ》を示した。市民の代表が行う政治の決定が、企業や科学者、技術者の意思よりも優位性を持っているのだ。
我々日本人が一番最初に行うべきことは、民意を反映する政治を実現し、《政治の優位》を回復することではないだろうか。」

(2018年3月11日)

みんなどうして、ボクに忖度してくれなくなったの?

あ?あ、憂うつだ。最近、やることなすこと、すべてがうまく行かない。
どこかで、ツキが変わっちゃった。政治家人生の歯車が軋み出した。いや「空回し」状態になってしまっている。ちょうど、2007年第1期政権断末魔のときの気分だ。あの頃のことを思い出す。

まずは、あのトランプだ。お互いゴルフも好きだし、シャラシャラ嘘を吐くところなんか、本当に気が合うと思って、あんなにゴマをすったのに。何でもかんでも、100%支持だと言ってきたのに。結局はバカにされていただけだったんだ。なんということだ。我ながら情けない、恥ずかしい。

アメリカが、鉄鋼製品に25%、アルミニウム製品に10%の関税をかけるなんて突然言い出した。寝耳に水の信じられない時代錯誤の愚策。自分の支持層へのサービスが見え見えの露骨な選挙対策じゃないか。さすがのボクだってこうまでは開き直れない。愚策であることはともかく、事前にボクにはなんの話もないなんて。日本は例外にしてくれるはずと期待したんだが、例外はカナダとメキシコに、あとはオーストラリアだけだという。トランプは、ボクのカオを立ててくれない。だから、がっくり。だからカオをみんなに向けておられない。まったく面白くないんだが、今さらどうにもならない。そこがまた悔しい。

それに韓国だ。文在寅大統領だ。米・韓・日の3国で、北には圧力を、もっともっと最大限の圧力を、と約束しあったはずじゃないか。それがどうだ。平昌五輪を舞台に北の幹部とあんなに親密な態度を見せつけるなんて、ボクの立場はどうなるっていうんだ。慰安婦問題の「最終かつ不可逆的な解決合意」は反故にして、北との蜜月。これって、背信行為じゃないのかね。ともかく、ここでもボクだけ置き去りだ。

それだけじゃない。こんどは、なんと米朝首脳会談だって? これこそ驚天動地。晴天の霹靂。これもすべてボクを蚊帳の外に置いて、ハシゴ外しの陰謀。ボクをみそっかすにして、周りだけでよろしくやっている。外務大臣、いったいどうした? 国家安全保障会議は何をやっているんだ? あっ、そうか。それを問われるべきがボクの立場か。

今日は3月10日、東京大空襲の日だ。まるで、当時のアメリカが、情け容赦なく日本を無差別攻撃したことを思い出す。ボクの心情や立場を少しも忖度してくれない。

そして、森友だ。佐川を国税局長にしたのは、つくづくまずかった。納税者一揆の火に油を注いだようなもんだからね。その上、思いがけない朝日のスクープだ。先日は、朝日の名を挙げて、ずいぶんと毒づいてやったんだが、あれもまずかった。たいへんなリベンジを受けてしまった。

朝日がいう決裁文書の改竄なんて、初めてのことでもあるまいし、大したことではないと思っていたんだが、この点ボクは野党と世論をナメすぎていた。彼らにとっては、民主主義の根幹を揺るがす大事件だという。これも、公然とは「たいしたことではない」とは言えないから、ボクのストレスが溜まる。

それでも、時間稼ぎをしているうちに何とかなるさと見ていたのが甘かった。野党だけではなく、自民・公明の与党までが、政府批判を始めた。なんて、トモダチがいのない連中。これまで、誰もがボクを忖度してくれたじゃないか。ところが、ボクの周りの空気が変わった。だあれも忖度してくれない。いったいどうなっちゃったんだ。

そして、とうとう佐川の辞任だ。次は、麻生かと騒がれている。そしてその次があるとすれば、ボクの順だ。しかしここで、「アベ政権の御名御璽」では困るんだ。せっかく機運の盛りあがった日本国憲法改正の大事業が道半ばにして終熄してしまう。千載一遇のチャンスを逸することになる。

2月16日と3月3日の国税庁包囲の納税者一揆が元気に叫んでたっけな。
「佐川、麻生、安倍の3人は悪代官。悪代官三人組を追放しよう」

この三人組の一人、佐川の辞任だから憂うつのタネ。かたちは当人の意志による辞任だが、事実上「追放され」てしまったのだから。残るは2人だが、麻生についてもやめざるを得ない雰囲気が濃くなってきている。これも、ボクの意志とは無関係にものごとが進んでいく。

そして、今駆け巡っているニュースのひとつは、問題の任意提出された決裁文書原本とされているもの(コピー)を検察庁が国会に提出しても良いと言っているとのこと。そんなことをされては困るじゃないか。捜査に支障があると言って、資料を隠すのが、武士の情けじゃないか。どうして検察庁も忖度してくれないのだろう。

さらに驚いたことに、諸般の事情に鑑みてこれ以上の隠蔽は無理なのだから、決裁文書の書き換えを認めようと財務省が肚を決めたというのだ。結局、公文書の変造が事実として明確となるのだから、政権にとっての大きな打撃。来週の国会は荒れそうだ。気持が重いな。果たして乗り切れるだろうか。

そして、納税者一揆の第3弾の企画が下記のとおりだ。あ?あ、憂うつだ。
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森友文書改ざん疑惑を徹底追及する! 緊急院院内集会
3月20日(火) 11時?13時30分
(10時15分 受付開始)
■特別報告■
11時?11時30分  上脇博之さん(神戸学院大学教授)
「森友文書改ざん疑惑をどう見るか」
■パネル討論■
11時30分?13時15分
上脇博之さん(神戸学院大学教授)
6党国会議員(出席議員は各党調整中)
(当日の国会の状況により出席議員が調整されます。)
醍醐聰さん(東京大学名誉教授)
司会 杉浦ひとみさん(弁護士)
*上脇博之さんは、ベールに包まれていた官房機密費に風穴を開ける情報を 公開させ、佐川理財局長(当時)が捨てたと言い張った森友文書の一部を 公開させた行動派の情報公開エキスパートです。
*パネル討論には疑惑を追及する野党6党の国会議員が参加し、最新の国会情勢を報告してもらいます。
*討論では、会場からの質問もどしどし取り上げます。
*討論では、
公文書の「書き換え」(改ざん)はどのような罪なのか?
「検察当局が調査中」を理由に議会の国政調査権、国民の知る権利
を拒めるのか?
なども徹底討論します。
■院内集会後の申し入れ行動■
討論して終りではなく、その後、財務省、会計検査院に出向き、麻生財務大臣、 会計検査院長宛てに申し入をします。
■チラシの活用にご協力ください■
チラシのURLです。↓ 拡散をお願いします。
https://app.box.com/s/8x7vzxxfnp63750m0saytvycpzx5rhhj

「森友・ 加計問題の幕引きを許さない市民の会」
HP:http://sinkan.cocolog-nifty.com/blog/
連絡窓口(メール):moritomosimin@yahoo.co.jp
または、morikakesimin@yahoo.co.jp
(携帯電話): 070-4326-2199 (10時?20時)
以上
(2018年3月10日)

DHC製品を買ってはいけない「健康食品で被害にあわないために」 ― 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第127弾

食の安全・監視市民委員会(FSCW)が、新刊のブックレット「健康食品で被害にあわないために?あなたの肝臓は大丈夫??」を発行した。同委員会の健康食品調査プロジェクト(植田武智)が編集したもの。

肝障害に焦点を合わせて、健康食品(サプリメント)被害に警告を発している。

「人間ドックで見つかる病気の一番が『肝機能異常』。その中の一部は、健康食品が原因のものもあります。みなさんが健康によかれと利用している健康食品の中には、逆に思わぬ被害を起こすものがあるのです。そこで、被害にあうのを防ぐための実用情報を掲載したブックレトを発行しました。」というのがこのパンフの宣伝文句。

その上で、こうも言っている。
「健康食品を利用しているご家族や、お友だちにもプレゼントしてあげてください。
ブックレットの売り上げは、当委員会の健康食品に関する国の制度改正の提言活動の資金源にもなります。ぜひブックレットをお買い上げいただき、私たちの活動を支えてください。」
http://www.fswatch.org/kenkosyokuhin.pdf

なお、信頼に値する記事の出典が下記に明記されてもいる。
http://www.fswatch.org/kenko_pamphlet.pdf

この小さな本の書き出しはこうなっている。
「健康食品を利用しているみなさん、その効果に満足していますか? 『薬のように効いて、食品だから安全』と思っているかもしれませんが、実は『食品だから効果はなく、薬のように危ない』ものもあります。漫然ととり続けると思わぬ被害にあう可能性があります。このパンフレットでは健康食品による健康被害で一番多い薬物性肝障害について注意点を紹介していきます。」

なるほど。健康食品(サプリメント)は薬ではない。だから、効能は確認されていない。したがって、効能を謳ってはならない。ところが、それでは買ってもらえない。だから、あたかも効能があるように、手を変え品を変えて消費者の印象操作をする。効能があるように消費者心理を誤導する。端的に言えば欺すのだ。

欺された消費者の誤解の上に、サプリメントを製造販売する業者の巨大な利益が築かれる。薬品開発のような地道な研究過程をすっ飛ばしてのローコスト生産が可能だからだ。莫大な宣伝費を投じても、薬九層倍の比ではない儲けを期待できる。怪しくも、旨味のある業界なのだ。

しかし、「薬のように効く」と誤解させるだけなら罪は軽い。問題は、「食品だから安全」と消費者を誤解させる罪の深さだ。

健康食品(サプリ)被害の典型が、「薬物性肝障害」なのだという。

このブックレットは、こう警告を発している。
「2017年8月3日に独立行政法人国民生活センターは『健康食品について注意喚起』を発表しました。健康食品の摂取により、まれに薬物性肝障害を発症することがあります。『倦怠感』『食欲不振』『発熱』『黄疸』『発疹且吐き気・嘔吐』『かゆみ』などの症状が見られ、症状が持続する場合は、摂取を止めて速やかに医療機関を受診しましょう、とアドバイスをしています。」

「薬物性肝障害」とは、文字通り薬物が原因で肝臓の機能が障害を受けること。専門医によると、「一般病院での日常的な診療で遭遇する頻度の高い疾患の一つ」だそうだ。従来は病院で処方される薬剤が主な原因だったが、「最近では健康食品が原因のケースが増加しています。1989~98年の10年間の調査では0.7%たったものが、97年~2006年の調査では全体の10%を占めるようになりました。」という。

医薬品の処方による肝障害は医師によって発見され易いが、健康食品(サプリ)の場合は、発見が困難で遅れることになる、という。

被害の具体例の一つとして、「DHCのメリロートで入院」が挙げられている。
「2003年6月からDHCのメリロートというむくみやセルライトに効くとされるサプリメントをとった新潟県の30代女性が摂取開始後1ヶ月ほどで疲れを感じるようになり、黄疸を発症して入院。いったん回復し退院後に再度同じ商品を飲んだところ症状が再発。また静岡県の20歳代の女性も肝障害を起こし入院していました。…国民生活センターのその後の調査では、DHCの商品の1日摂取目安量(3粒)に含まれる「クマリン」の量は、医薬品の2.3倍もあることが判明しました。その後DHCは摂取目安量を2粒に減らし、現在でも販売されています。」

繰り返すが、サプリが効かないことはさほどの問題ではない。サプリを買うカネは自分のものだ。ドブに捨てたってかまわない。しかし、問題は濃縮された特定成分の過剰摂取による健康被害である。通常の調理方法による食物の摂取では絶対にあり得ない濃縮量が毒になる。カネをドブに捨てるにとどまらず、毒を買い込むこともあり得るのだ。

ブックレットは、「被害に遭わないための商品選び4か条」を詳細に述べる。たとえば、「トクホ・機能性表示食品以外の健康食品(サプリ)は選ばない」など。それは、そのとおりなのだろうが、トクホも機能性表示食品も健康被害と無縁ではない。むしろ「一切の健康食品(サプリ)は買わない」が正解ではないか。

さらに、最終章が「被害を受けたらどうするか?」に言及している。「法テラス」の利用法なども述べられていて実用性がある。その中で、業者の賠償責任保険に加入の有無に関心を促している。

周知のとおり、医薬品の副作用には医薬品副作用被害救済制度が存在する。保険料は製薬メーカーに積み立てさせ、過失の有無にかかわらず被害者を救済する仕組みだ。健康食品(サプリ)被害には、もちろんそんな制度はない。

被害賠償の最後の拠り所は、各企業の賠償責任保険からの給付となる。その保険加入の有無へのアンケート結果が公開されており、「『加入していない』『回答しない』事業者の製品購入はやめておきましょう。」と結ばれている。

賠償責任保険に、「加入していると回答のあった」企業は、味の素以下29社。
加入していないと回答があったのが5社。「製造委託先のメーカーがPL(製造物責任)保険に加入しているから」などの理由が寄せられている。

最も問題なのが、回答がなかった21社。DHCは、このなかの1社である。結局のところ、「DHCの製品購入はやめておきましょう」という結論に至る。

このブックレットは、
1部300円(送料別) ※A5判/16ページ/全ページカラー

《被害にあうのを防ぐための実用情報》として、
「安全性を調べるフローチャート」「肝障害の原因と疑われた成分一覧」「商品選びの 4 か条」「損害賠償責任加入の事業者一覧」などを入れたパンフレットを作成しました。
《万が一、健康被害にあってしまった場合の対処法》も入っています。
※送料は 1 部 140 円。それ以上の注文やお急ぎの場合は下記までお問合わせください。
購入ご希望の方は、いずれかの方法でお願いします。
?ブックレット代と送料を下記郵便振替口座にお振り込みください。振替用紙の通信欄に「健康食品パンフ」とお書きください。
?下記「注文書」を FAX してください。
■郵便振替口座:00120-8-776497
■口座名:食の安全・監視市民委員会
<問合わせ・注文先>
電話:03(5155)4765/E メール:office@fswatch.org
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田 1-9-19-207 食の安全・監視市民委員会
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私(澤藤)は、サプリメントの製造販売を手がけるDHCの吉田嘉明が、政治家に金を渡して規制緩和推進の政治と行政を狙ったことを批判した。DHC・吉田嘉明には、その批判が気に入らなかった。高額のスラップ訴訟を提起で、彼は私を黙らせようとした。私だけではない。社会に、「DHC・吉田嘉明を批判するとこうなるぞ」と見せつけたわけだ。

私は、黙らない。私が黙ることは、健康食品(サプリ)に対する規制が緩和されて健康食品被害が拡大することにも通じるからだ。私は、DHC・吉田嘉明に異議を申し立て続ける。彼が象徴する社会の理不尽に対してもだ。

健康食品(サプリメント)の製造販売とは、本来薬事法(現在は、薬機法)の精神からは、あってはならない商分野であり、実質的に違法なのだ。だから、薬事行政からの厳格な規制を受けて当然なのだ。厳格な規制は国民の生命と健康を守るために不可欠であり、規制緩和とは国民の生命と健康をないがしろにすることなのだ。

DHC・吉田嘉明が規制を嫌い、何とか規制を逃れようと手立てを講じるのは、最大限の利潤を追及する彼の立場からは当然でもある。自覚した消費者は、DHCのような企業をのさばらしてはならない。DHC製品を買ってはならないのだ。

思えば、4年前の3月末吉田嘉明自身が週刊新潮誌上に手記を掲載したことがすべての発端だった。みんなの党の党首・渡辺喜美に8億円もの裏金を渡していたことを自ら告白したのだ。この「自白」がなければ、すべては闇の中。私が、吉田嘉明という名を知ることもなかったろう。そして、彼が起こしたスラップ訴訟のなかで、彼のレイシストとしての体質が明らかとなり、これも批判の対象としてきた。

今や、吉田嘉明の沖縄差別・在日差別が、天下周知のものとなっている。彼の差別体質に対する批判を実効あらしめ、彼に差別言動をやめさせるためには、DHC製品を買ってはならない。DHCの健康食品(サプリ)の購入をやめることは、日本の民主主義の進展にも、健康増進にも役に立つ。一石二鳥なのだ。
(2018年3月9日)

DHC制作番組『ニュース女子』の人権侵害が明確に ― 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第126弾

本日(3月8日)、BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送人権委員会は、TOKYO MXの番組『ニュース女子』の放送が、辛淑玉さんの名誉を毀損したと判断し、放送倫理上の問題があるとして、同放送局に再発防止に取り組むよう勧告した。

辛さんが申立人となっていた、「沖縄の基地反対運動特集に対する申立て」に関する同委員会決定においてのことである。この件の被申立人は放送局であるTOKYO MXだが、『ニュース女子』は「持込番組」であって、DHCの子会社「DHCテレビジョン」が企画・制作し、DHCがスポンサーとなって放送したもの。TOKYO MXは企画、制作に関わっていないが、「持込番組」であっても放送局が放送責任を負うことは当然であり、TOKYO MXもこれを争わなかった。

この決定に対するTOKYO MXの本日付コメントは、以下のとおりである。

「本日、BPO放送人権委員会より、のりこえねっと共同代表の辛淑玉氏から申立てがあった2017年1月2日・9日放送の情報バラエティ番組「ニュース女子」の沖縄基地問題の特集について、審理の結果、本件放送に名誉棄損の人権侵害があり、放送倫理上の問題があるとの勧告を受けました。
当社は、この勧告を真摯に受け止め、現在進めている再発防止策を着実に実行して、信頼される放送の推進に努めて参ります。」

謝罪文言こそないものの真摯なコメントにはなっている。今月限りで『ニュース女子』の放映は終了し、DHCと手を切ることも決めているという。最大のスポンサーであるDHCと手を切って、真っ当なメディアとしての再出発を目指しているものと評価し得よう。

これに比較しておよそ反省のないのが、沖縄差別・在日差別・人権侵害の番組を自ら制作したDHCテレビであり、そのスポンサーとなったDHCである。DHC・吉田嘉明は、根っからのレイシストで、このような番組を作成したことにも、BPOから2度の指摘を受けたことにも、なんの反省の弁もない。

私(澤藤)は、DHC・吉田嘉明の「カネで政治を動かそうという姿勢」を批判して、彼から6000万円請求のスラップ訴訟をかけられた。当然のことながら、一審から最高裁まで勝訴して、今は、その反撃訴訟を闘っている。彼の政治理念や思想の根底に、民族差別があることを知ったのは、スラップ訴訟の経過の中でのことである。醜悪な民族的優越意識の持ち主なのだ。BPO決定を読むと、なるほどレイシストのやりそうなこと、なるほどDHC・吉田嘉明らの制作した番組と思わせる。反省などあり得ないのだろう。

なお、同決定の骨格は以下のとおりである。
決定は、結論として本件放送がつぎのAおよびBの2つの事実を摘示していると判断している。地上波の放送で、信じがたいこの内容である。
「摘示事実A」 申立人は過激で犯罪行為を繰り返す基地反対運動を職業的に行う人物でその黒幕である。
「摘示事実B」 申立人は過激で犯罪行為を繰り返す基地反対運動の参加者に5万円の日当を出している。

この事実の摘示が、申立人(辛淑玉さん)の社会的評価を低下させるものであるところ、その真実性の立証も、真実と信じるについての相当性の立証もない、と端的に認定している。

この認定は、そのまま民事訴訟における名誉毀損損害賠償請求に使える。辛さんの意思次第で、提訴が可能だ。その場合は、名誉毀損行為の実行者である番組出演者からDHC・吉田嘉明までを連名で被告にして、共同不法行為責任を問うことができる。そのような訴訟の帰趨をこの目で見たいという衝動に駆られる。

なお、本日の辛さんの記者会見での発言が心に残る。
「涙が出た。放送人としてやってはいけないことを明確に示してくれた。日本社会には良心がまだあると思った」とBPOの判断を評価する一方、「ネットは散弾銃だ。撃たれたら拡散する。検証する術がない」と、このデマとヘイトの放送のあとに集中したネットからの攻撃の恐怖を語った。身の危険を避けるためにドイツに避難していたことも明かしたという。

足を踏まれた者の本当の痛みは本人でなければ分からないのだろうが、不当な仕打ちに悲鳴を上げている人の痛みを理解できるようになりたいと思う。

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本日のBPO決定の全文は以下のURLで読むことができる。 https://www.bpo.gr.jp/wordpress/wp-content/themes/codex/pdf/brc/determination/2017/67/dec/k_mx_67.pdf

2018年(平成30年)3月8日
放送と人権等権利に関する委員会決定 第67号
「沖縄の基地反対運動特集に対する申立て」に関する委員会決定― 勧 告 ―
申立人  辛 淑玉
被申立人 東京メトロポリタンテレビジョン株式会社(TOKYO MX)
苦情の対象となった番組 『ニュース女子』
放送日時 2017年1月2日(月)22時から23時のうち 冒頭16分
2017年1月9日(月)22時から23時のうち 冒頭 7分

【決定の概要】
TOKYO MXは2017年1月2日、『ニュース女子』で沖縄の基地問題を取り上げ、1月9日の同番組では1月2日の放送に対する視聴者からの反響について冒頭で取り上げる放送をした。『ニュース女子』は「持込番組」であり、TOKYO MXは企画、制作に関わっていないが、「持込番組」であっても放送局が放送責任を負うことは当然であり、TOKYO MXもこれを争っていない。
この放送について申立人は、「高江でヘリパッドの建設に反対する住民を『テロリスト』『犯罪者』とし、申立人がテロ行為、犯罪行為の『黒幕』であるとの誤った情報を視聴者に故意に摘示した。『テロリスト』『犯罪者』といわれた人間は、当然のごとく社会から排除されるべき標的とされる。本放送によって〈排除する敵〉とされた申立人は平穏な社会生活を奪われたのである」などとしたうえ、そのように描かれた基地反対運動の「黒幕」であり「日当5万円」を支給しているものとされた「申立人の名誉の侵害について主に」問題とするなどと訴え、委員会に申立書を提出した。
これに対しTOKYO MXは、1月2日の放送は、申立人が「のりこえねっと」を主宰する者で、現在は沖縄の基地問題にも取り組んでいるという事実を摘示するものに過ぎず、これらの事実摘示が、直ちに申立人の社会的評価を低下させるものではなく、また、申立人が基地反対運動の「黒幕である」とか、基地反対運動参加者に「日当」を出しているとの内容ではないし、仮にそのような内容であり、それが社会的評価を低下させるとしても、公共性のあるテーマについて公益目的で行われた放送で、その内容は真実であるから名誉毀損にはあたらない、などと反論した。
委員会は、申立てを受けて審理し決定に至った。委員会決定の概要は、以下のとおりである。
1月2日の放送は、前半のVTR部分と後半のスタジオトーク部分からなるが、トークはVTRの内容をもとに展開されており、両者を一体不可分のものとして審理した。VTR部分では基地反対運動が過激で犯罪行為を繰り返すものと描かれており、これを受けてのトーク部分では申立人が関わる「のりこえねっと」のチラシに申立人の名前が記載されていることに言及しつつ、申立人が日当を基地反対運動参加者に支給していると受け取る余地がある出演者の発言やテロップ、ナレーションが重ねて流される。これらの放送内容を総合して見ると、本件放送は「申立人は過激で犯罪行為を繰り返す基地反対運動を職業的にやってきた人物でその『黒幕』である」、「申立人は過激で犯罪行為を繰り返す基地反対運動の参加者に5万円の日当を出している」との事実を摘示しているものと認められ、それらは申立人の社会的評価を低下させるものと言える。この放送に公共性、公益性は認められるが、TOKYO MXによって、上記各事実の真実性は立証されておらず、申立人に対する名誉毀損の人権侵害が成立する。
これに加えて、1月2日および1月9日放送の『ニュース女子』には以下の2点について放送倫理上の問題がある。第一に、「放送倫理基本綱領」は「意見の分かれている問題については、できる限り多くの角度から論点を明らかにし、公正を保持しなければならない」などとしているところ、1月2日の放送を見れば申立人への取材がなされていないことが明らかであるにもかかわらず、TOKYO MXは考査においてこれを問題としなかった。第二に、「日本民間放送連盟 放送基準」は「人種・民族・国民に関することを取り扱う時は、その感情を尊重しなければならない」などとしているところ、そのような配慮を欠いた1月2日および1月9日のいずれの放送についても、TOKYO MXは考査において問題としなかった。
委員会は、TOKYO MXに対し、本決定を真摯に受け止めた上で、本決定の主旨を放送するとともに、人権に関する「放送倫理基本綱領」や「日本民間放送連盟 放送基準」の規定を順守し、考査を含めた放送のあり方について局内で十分に検討し、再発防止に一層の努力を重ねるよう勧告する。

本文・目次
【決定の概要】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2ページ
? 事案の内容と経緯・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4ページ
1.本件放送内容と申立てに至る経緯
2.論点
? 委員会の判断・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6ページ
1.はじめに
2.本件放送は申立人の名誉を毀損したか
3.放送倫理上の問題について
? 結論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23ページ
? 放送概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24ページ
? 申立人の主張と被申立人の答弁・・・・・・・・・・・・・・・42ページ
? 申立ての経緯および審理経過・・・・・・・・・・・・・・・・48ページ
(以下略)
(2018年3月8 日)

自公も豹変 アベ政権を取り巻く空気が変わってきた

 世の中は何か常なる 飛鳥川昨日の淵ぞ今日は瀬になる
 世の中は何か常なる 南北の昨日の敵対今日の蜜月
 世の中は何か常なる アベ政治昨日の権勢今日の消沈

北朝鮮の豹変ぶりにも驚ろかされたが、本日の毎日夕刊のトップ記事にも驚いた。見出しが、「森友文書 自公、財務省に資料提出を要求 あす期限 財務省に」というのだ。明らかに、アベ政権を取り巻く空気が変わってきている。

毎日記事のリードは以下のとおり。
自民、公明両党の幹事長・国対委員長は7日午前、東京都内で会談し、学校法人『森友学園』への国有地売却に関する財務省の決裁文書が書き換えられたとされる問題について、8日までに調査結果を報告するよう財務省に求める方針で一致した。自民党の二階俊博幹事長は会談後、西村康稔官房副長官に対し、資料などを速やかに国会に提出するよう要求。菅義偉官房長官は記者会見で「与党の要請を踏まえて財務省にしっかりと対応させたい」と語った。

毎日の記事は続く。
自民党の森山裕国対委員長は記者団に『大阪地検に押収されている資料の写しはあると思うので、しっかり対応してもらいたい』と述べ、写しを国会に提出することも検討すべきだとの考えも示した。また『財務省は省を挙げて調査、聞き取りを可及的速やかに行う必要がある』と指摘した。

自公幹部の会談では、公明党の井上義久幹事長が『決裁書類に関する資料調査と関係者聴取の結果を一両日中に報告すべきだ』と提案し、二階氏も『そうすべきだ』と応じた。二階氏はこの後、党本部で西村氏と会い、『(資料など)出せるものはできるだけ早く出せ』と要求。西村氏は『出せるものは出します』と応えた。

財務省は6日の参院予算委員会理事会で『文書をただちに確認できない』などと説明した。野党は『ゼロ回答で不十分だ』と一斉に反発し、国会審議に影響が出ている。」(以下略)

私が「驚いた」というのは、昨日まで、公明党は、森友決裁文書の書き換え疑惑について、「言及を控える財務省の対応は妥当」と政権擁護に回っていたはずだからだ。産経の報道によれば、公明党の山口那津男代表は昨日(3月6日)、文書隠匿の財務省のやり口を「妥当」と公言し、あたかもアベがトランプに対するが如く、アベ政権のすることには「なんでも賛成」という、下駄の雪さながらの不見識を示していた。

産経はこう報道している。
「公明党の山口那津男代表は6日午前の記者会見で、財務省が学校法人『森本学園』(原文のママ)への国有地売却をめぐる取引の決裁文書の書き換え疑惑の資料が『直ちに確認できない』とした説明について、『捜査の対象になっているということであれば、一定の配慮、つまり言及を控える対応は妥当だ』と述べた。

その上で、『検察当局が文書を持っているということだから、捜査を遂げるまでは外部の者がそれに触れることは限度がある』と語り、財務省の姿勢に理解を示した。」
さらに、産経らしく、山口の言をこうも紹介している。
「朝日新聞が書き換えを『確認した』とする決裁文書にも言及し、『もとの決裁文書を朝日新聞は「確認した」と報道しているようだが、どうやって確認できたのか。いつ、どのように、誰が(確認したのか)、そこがよく分からない。検察に当該文書が行っているとすれば、外部の者が触れることができないのが普通だ』と指摘した。」
これが、6日付産経ニュース(ネット版・2018.3.6 13:11)の報道だ。ところが、1日を経ずして、「昨日の淵が埋まって今日は瀬に」なったわけだ。その理由の穿鑿が興味深い。

公明・産経コンビの6日付ネット記事は、いくつもの面でアベ政権へのヨイショとなっている。

何よりも、『捜査の対象になっているということであれば、一定の配慮、つまり言及を控える対応は妥当だ』と堂々と言ってのけていることだ。国権の最高機関である国会の権威をないがしろにし、検察が捜査している間は大臣や官僚の答弁義務を免除ないしは緩和してしかるべきだというのだ。山口という方国会議員だったはずだが、明らかなアベ政権へのヨイショ優先の姿勢。

また、政権に大きな打撃を与えるこの決裁文書改竄。公明・産経ともできれば、事実そのものを否定したい。否定できなければ、せめて重大な問題という印象を薄めたい。この願望が「書き換え確認などできないはず」という言葉になっている。

さらに、朝日のスクープだからこそ貶めたい。そのことが、山口にとってはアベ個人へのヨイショになり、産経にとっても角逐する巨大な商売敵への一矢となるからだ。

これが、6日午前の「財務省・ゼロ回答」があった直後の山口コメントであり、産経の記事なのだ。

それが1日にして覆った。「公明党代表の権威・見識とはその程度のもの」という文脈で捉えるのではなく、「自公の幹部にとって事態は、そうせざるを得ないほど深刻なのだ」と考えなければならない。到底、このまま「ゼロ回答」で乗り切ることはできない。昨日の山口コメントの線で突っぱねていては、政権存立の危機を招きかねない、との判断なのだ。

与党の両党に要求されれば、財務省も資料提出を拒むことはできまい。政権も財務省も裏では了解済みのことではあろう。だから、財務省から開示された資料を駆使して、次の段階の追及が始まることになる。

結局のところ、この経過は、アベ一強の脆さをさらけ出すこととなった。世論と野党の結束がアベ政権を追い詰めていることに、自信をもちたい。
(2018年3月7日・連続更新1802日)

「森友・決裁文書」の改竄は犯罪である。

本日(3月6日)、財務省は参院予算委員会理事会で、学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書改竄疑惑についての『調査状況の報告』を行った。その内容は以下のとおりである。

「現在、大阪地検において、背任のほか、証拠隠滅や公用文書毀棄について告発を受けて、捜査が行われている状況にあり、財務省としては、この捜査に全面的に協力している段階にある。
こうした状況の中、捜査に影響を与えないよう、以下の点に留意して、直接の担当である理財局・近畿財務局以外の職員も関与した上で、全省を挙げて、文書の確認、職員への聞き取りなど調査を進めていきたいと考えている。

1 文書の確認
調査にあたっては、多くの文書の確認が必要となるが、これら文書は、告発を受けた捜査の対象となっており、すべての文書を直ちに確認できない状況となっている。

2 職員への聞き取り
調査にあたっては、広く職員への聞き取りを行う必要があるが、決裁文書の作成にかかわった職員への聞き取りにあたっては、捜査状況に影響を与えないよう、捜査当局による事情聴取との関係に留意し行う必要がある。

3 事実関係の確認
事実関係の確認に当たっては、裏付けをとるなど慎重に行う必要がある。」

もったいぶった言い回しだが、何のことはない「ゼロ回答」。要するに、「現在受けている捜査に影響があってはならない」「だからすべてに慎重を要し、国会の要請には応じがたい」ということなのだ。もう少しはっきりいうと、本心はこんなものだ。

「捜査もいやだし、国会への回答も苦しい」「これまでは、『捜査に支障があるから』という理由で、国会議員からの質問を拒否してきた。今度だってこの手でなんとか乗り切りたい」「地検には国会の要請を口実に抵抗し、国会には地検の捜査を口実に審議拒否」「これで、両者の徹底追及から逃れたい。」

官僚が捜査対象となっていることをもって、国会における質疑での誠実答弁義務を回避する理由にはならない。このことは、先日(3月3日)の当ブログに掲載した。

本日は、もう一つの問題。朝日がスクープした「決裁文書改竄」が、果たして犯罪になるかを考えてみたい。

結論として、改竄の実行者について刑法上の犯罪が成立すると考えられる。その可能性は限りなく高い。

まずは公文書偽造罪(刑法155条)はどうか。条文(抜粋)は以下のとおりである。
「行使の目的で、公務所若しくは公務員の作成すべき文書を偽造し、又は公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した」という犯罪類型。

公文書偽造は、作成権限のない者が公文書を作成し、または真正な公文書の本質的部分を改ざんすることを処罰する規定である。財務省組織ぐるみの本件改竄について、この条文適用の余地はない。

これに対して、虚偽公文書作成罪(刑法第156条)は、作成権限ある者の犯罪である。つまり、財務省の担当者であれば、この罪の犯罪主体となる資格をもっていることになる。その条文の文言(抜粋)は以下のとおり。
「公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書を作成し、又は文書を変造したときは、印章又は署名の有る場合には1年以上10年以下の懲役に処し、印章及び署名のない場合には3年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。」

本件の改竄は、状況から見て財務省組織ぐるみの文書改竄なのだから、当該新文書の作成は「公務員が、その職務に関し、行使の目的をもってなされたという各要件を充足していることが明らかと言ってよい。残る問題は、もっぱら、新たな改竄文書の作成が「虚偽文書の作成」あるいは「文書の変造」に当たるか、という一点にある。

「虚偽文書の作成」とは、権限をもった公務員が「真実に合致しない内容の文書を作成する」こと。また、「変造」とは、「作成権限のある公務員が、その権限を濫用して既存の公文書に不正に変更を加えてその内容を虚偽のものにすること」をいう。

本件において、伝えられている内容の文言の新文書の作成が、「真実に合致しない内容の文書を作成」したものとして、「虚偽文書の作成」に当たるかは微妙なところであるが、既に存在する原決裁文書の文言の重要な部分を削除した新文書を作成したことは、「その権限を濫用して既存の公文書に不正に変更を加えてその内容を虚偽のものにした」というべきであろう。したがって、本件において新文書を作成した財務省の担当者は、公文書を変造したものとして処罰対象となると考えられる。

仮に、「虚偽文書の作成」にも「変造」にも当たらないとした場合にも、公用文書毀棄罪(刑法第258条)には該当するものと考えられる。
同条の文言(抜粋)は、「公務所の用に供する文書を毀棄した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。」となっている。これは、犯罪主体を公務員に限定した身分犯ではない。

原決裁文書が、公務所が使用する目的で現に保管されている文書として、同条にいう「公務所の用に供する文書」(公用文書)に該当することには疑問の余地がない。問題は、新文書の作成が「毀棄」に当たるか、ということだけである

判例上、毀棄とは、文書を損傷・滅失する行為に限らず、「文書の効用を失わせる一切の行為を指す」ものとされる。文書を書き換え、あるいは当該文書の改竄を行うことも、文書の利用を一時不能にする目的で、隠匿する行為も毀棄に当たる。

本件では、原決裁文書とは内容が異なる2枚目の新文書を、原決裁文書の如き外観をもって新たに作成した。原決裁文書上の文言を直接に書き換えたり改変したりしたわけではないが、原決裁文書の文言があたかも当初から新文書の通りであった如き外観を作出したことは、日常の用語法としての「改竄」に当たるものと言って差し支えなく、明らかに「原決裁文書の効用を失わせる行為」にほかならない。

したがって、新文書の作成は、少なくも原決裁文書についての、「公用文書毀棄」罪に当たるものと考えられる。

なお、以上の解釈には、公文書管理法の理念が重要な役割をもつ。
たとえば、その第1条(目的)は、次のとおりである(抜粋)。
「この法律は、国の諸活動の記録である公文書が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、行政文書の適正な管理を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。」

本件では、「行政文書の適正な管理」がなされなかった。「行政が適正かつ効率的に運営されるよう」にもならなかった。「国の諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務」は、まったく全うされなかった。「健全な民主主義の根幹」を揺るがす事態と言わざるを得ない。

これも、詰まるところは、アベノセイなのだ。
(2018年3月6日・連続更新1801日)

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