本日(3月8日)、BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送人権委員会は、TOKYO MXの番組『ニュース女子』の放送が、辛淑玉さんの名誉を毀損したと判断し、放送倫理上の問題があるとして、同放送局に再発防止に取り組むよう勧告した。
辛さんが申立人となっていた、「沖縄の基地反対運動特集に対する申立て」に関する同委員会決定においてのことである。この件の被申立人は放送局であるTOKYO MXだが、『ニュース女子』は「持込番組」であって、DHCの子会社「DHCテレビジョン」が企画・制作し、DHCがスポンサーとなって放送したもの。TOKYO MXは企画、制作に関わっていないが、「持込番組」であっても放送局が放送責任を負うことは当然であり、TOKYO MXもこれを争わなかった。
この決定に対するTOKYO MXの本日付コメントは、以下のとおりである。
「本日、BPO放送人権委員会より、のりこえねっと共同代表の辛淑玉氏から申立てがあった2017年1月2日・9日放送の情報バラエティ番組「ニュース女子」の沖縄基地問題の特集について、審理の結果、本件放送に名誉棄損の人権侵害があり、放送倫理上の問題があるとの勧告を受けました。
当社は、この勧告を真摯に受け止め、現在進めている再発防止策を着実に実行して、信頼される放送の推進に努めて参ります。」
謝罪文言こそないものの真摯なコメントにはなっている。今月限りで『ニュース女子』の放映は終了し、DHCと手を切ることも決めているという。最大のスポンサーであるDHCと手を切って、真っ当なメディアとしての再出発を目指しているものと評価し得よう。
これに比較しておよそ反省のないのが、沖縄差別・在日差別・人権侵害の番組を自ら制作したDHCテレビであり、そのスポンサーとなったDHCである。DHC・吉田嘉明は、根っからのレイシストで、このような番組を作成したことにも、BPOから2度の指摘を受けたことにも、なんの反省の弁もない。
私(澤藤)は、DHC・吉田嘉明の「カネで政治を動かそうという姿勢」を批判して、彼から6000万円請求のスラップ訴訟をかけられた。当然のことながら、一審から最高裁まで勝訴して、今は、その反撃訴訟を闘っている。彼の政治理念や思想の根底に、民族差別があることを知ったのは、スラップ訴訟の経過の中でのことである。醜悪な民族的優越意識の持ち主なのだ。BPO決定を読むと、なるほどレイシストのやりそうなこと、なるほどDHC・吉田嘉明らの制作した番組と思わせる。反省などあり得ないのだろう。
なお、同決定の骨格は以下のとおりである。
決定は、結論として本件放送がつぎのAおよびBの2つの事実を摘示していると判断している。地上波の放送で、信じがたいこの内容である。
「摘示事実A」 申立人は過激で犯罪行為を繰り返す基地反対運動を職業的に行う人物でその黒幕である。
「摘示事実B」 申立人は過激で犯罪行為を繰り返す基地反対運動の参加者に5万円の日当を出している。
この事実の摘示が、申立人(辛淑玉さん)の社会的評価を低下させるものであるところ、その真実性の立証も、真実と信じるについての相当性の立証もない、と端的に認定している。
この認定は、そのまま民事訴訟における名誉毀損損害賠償請求に使える。辛さんの意思次第で、提訴が可能だ。その場合は、名誉毀損行為の実行者である番組出演者からDHC・吉田嘉明までを連名で被告にして、共同不法行為責任を問うことができる。そのような訴訟の帰趨をこの目で見たいという衝動に駆られる。
なお、本日の辛さんの記者会見での発言が心に残る。
「涙が出た。放送人としてやってはいけないことを明確に示してくれた。日本社会には良心がまだあると思った」とBPOの判断を評価する一方、「ネットは散弾銃だ。撃たれたら拡散する。検証する術がない」と、このデマとヘイトの放送のあとに集中したネットからの攻撃の恐怖を語った。身の危険を避けるためにドイツに避難していたことも明かしたという。
足を踏まれた者の本当の痛みは本人でなければ分からないのだろうが、不当な仕打ちに悲鳴を上げている人の痛みを理解できるようになりたいと思う。
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本日のBPO決定の全文は以下のURLで読むことができる。 https://www.bpo.gr.jp/wordpress/wp-content/themes/codex/pdf/brc/determination/2017/67/dec/k_mx_67.pdf
2018年(平成30年)3月8日
放送と人権等権利に関する委員会決定 第67号
「沖縄の基地反対運動特集に対する申立て」に関する委員会決定― 勧 告 ―
申立人 辛 淑玉
被申立人 東京メトロポリタンテレビジョン株式会社(TOKYO MX)
苦情の対象となった番組 『ニュース女子』
放送日時 2017年1月2日(月)22時から23時のうち 冒頭16分
2017年1月9日(月)22時から23時のうち 冒頭 7分
【決定の概要】
TOKYO MXは2017年1月2日、『ニュース女子』で沖縄の基地問題を取り上げ、1月9日の同番組では1月2日の放送に対する視聴者からの反響について冒頭で取り上げる放送をした。『ニュース女子』は「持込番組」であり、TOKYO MXは企画、制作に関わっていないが、「持込番組」であっても放送局が放送責任を負うことは当然であり、TOKYO MXもこれを争っていない。
この放送について申立人は、「高江でヘリパッドの建設に反対する住民を『テロリスト』『犯罪者』とし、申立人がテロ行為、犯罪行為の『黒幕』であるとの誤った情報を視聴者に故意に摘示した。『テロリスト』『犯罪者』といわれた人間は、当然のごとく社会から排除されるべき標的とされる。本放送によって〈排除する敵〉とされた申立人は平穏な社会生活を奪われたのである」などとしたうえ、そのように描かれた基地反対運動の「黒幕」であり「日当5万円」を支給しているものとされた「申立人の名誉の侵害について主に」問題とするなどと訴え、委員会に申立書を提出した。
これに対しTOKYO MXは、1月2日の放送は、申立人が「のりこえねっと」を主宰する者で、現在は沖縄の基地問題にも取り組んでいるという事実を摘示するものに過ぎず、これらの事実摘示が、直ちに申立人の社会的評価を低下させるものではなく、また、申立人が基地反対運動の「黒幕である」とか、基地反対運動参加者に「日当」を出しているとの内容ではないし、仮にそのような内容であり、それが社会的評価を低下させるとしても、公共性のあるテーマについて公益目的で行われた放送で、その内容は真実であるから名誉毀損にはあたらない、などと反論した。
委員会は、申立てを受けて審理し決定に至った。委員会決定の概要は、以下のとおりである。
1月2日の放送は、前半のVTR部分と後半のスタジオトーク部分からなるが、トークはVTRの内容をもとに展開されており、両者を一体不可分のものとして審理した。VTR部分では基地反対運動が過激で犯罪行為を繰り返すものと描かれており、これを受けてのトーク部分では申立人が関わる「のりこえねっと」のチラシに申立人の名前が記載されていることに言及しつつ、申立人が日当を基地反対運動参加者に支給していると受け取る余地がある出演者の発言やテロップ、ナレーションが重ねて流される。これらの放送内容を総合して見ると、本件放送は「申立人は過激で犯罪行為を繰り返す基地反対運動を職業的にやってきた人物でその『黒幕』である」、「申立人は過激で犯罪行為を繰り返す基地反対運動の参加者に5万円の日当を出している」との事実を摘示しているものと認められ、それらは申立人の社会的評価を低下させるものと言える。この放送に公共性、公益性は認められるが、TOKYO MXによって、上記各事実の真実性は立証されておらず、申立人に対する名誉毀損の人権侵害が成立する。
これに加えて、1月2日および1月9日放送の『ニュース女子』には以下の2点について放送倫理上の問題がある。第一に、「放送倫理基本綱領」は「意見の分かれている問題については、できる限り多くの角度から論点を明らかにし、公正を保持しなければならない」などとしているところ、1月2日の放送を見れば申立人への取材がなされていないことが明らかであるにもかかわらず、TOKYO MXは考査においてこれを問題としなかった。第二に、「日本民間放送連盟 放送基準」は「人種・民族・国民に関することを取り扱う時は、その感情を尊重しなければならない」などとしているところ、そのような配慮を欠いた1月2日および1月9日のいずれの放送についても、TOKYO MXは考査において問題としなかった。
委員会は、TOKYO MXに対し、本決定を真摯に受け止めた上で、本決定の主旨を放送するとともに、人権に関する「放送倫理基本綱領」や「日本民間放送連盟 放送基準」の規定を順守し、考査を含めた放送のあり方について局内で十分に検討し、再発防止に一層の努力を重ねるよう勧告する。
本文・目次
【決定の概要】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2ページ
? 事案の内容と経緯・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4ページ
1.本件放送内容と申立てに至る経緯
2.論点
? 委員会の判断・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6ページ
1.はじめに
2.本件放送は申立人の名誉を毀損したか
3.放送倫理上の問題について
? 結論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23ページ
? 放送概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24ページ
? 申立人の主張と被申立人の答弁・・・・・・・・・・・・・・・42ページ
? 申立ての経緯および審理経過・・・・・・・・・・・・・・・・48ページ
(以下略)
(2018年3月8 日)
世の中は何か常なる 飛鳥川昨日の淵ぞ今日は瀬になる
世の中は何か常なる 南北の昨日の敵対今日の蜜月
世の中は何か常なる アベ政治昨日の権勢今日の消沈
北朝鮮の豹変ぶりにも驚ろかされたが、本日の毎日夕刊のトップ記事にも驚いた。見出しが、「森友文書 自公、財務省に資料提出を要求 あす期限 財務省に」というのだ。明らかに、アベ政権を取り巻く空気が変わってきている。
毎日記事のリードは以下のとおり。
「自民、公明両党の幹事長・国対委員長は7日午前、東京都内で会談し、学校法人『森友学園』への国有地売却に関する財務省の決裁文書が書き換えられたとされる問題について、8日までに調査結果を報告するよう財務省に求める方針で一致した。自民党の二階俊博幹事長は会談後、西村康稔官房副長官に対し、資料などを速やかに国会に提出するよう要求。菅義偉官房長官は記者会見で「与党の要請を踏まえて財務省にしっかりと対応させたい」と語った。
毎日の記事は続く。
「自民党の森山裕国対委員長は記者団に『大阪地検に押収されている資料の写しはあると思うので、しっかり対応してもらいたい』と述べ、写しを国会に提出することも検討すべきだとの考えも示した。また『財務省は省を挙げて調査、聞き取りを可及的速やかに行う必要がある』と指摘した。
自公幹部の会談では、公明党の井上義久幹事長が『決裁書類に関する資料調査と関係者聴取の結果を一両日中に報告すべきだ』と提案し、二階氏も『そうすべきだ』と応じた。二階氏はこの後、党本部で西村氏と会い、『(資料など)出せるものはできるだけ早く出せ』と要求。西村氏は『出せるものは出します』と応えた。
財務省は6日の参院予算委員会理事会で『文書をただちに確認できない』などと説明した。野党は『ゼロ回答で不十分だ』と一斉に反発し、国会審議に影響が出ている。」(以下略)
私が「驚いた」というのは、昨日まで、公明党は、森友決裁文書の書き換え疑惑について、「言及を控える財務省の対応は妥当」と政権擁護に回っていたはずだからだ。産経の報道によれば、公明党の山口那津男代表は昨日(3月6日)、文書隠匿の財務省のやり口を「妥当」と公言し、あたかもアベがトランプに対するが如く、アベ政権のすることには「なんでも賛成」という、下駄の雪さながらの不見識を示していた。
産経はこう報道している。
「公明党の山口那津男代表は6日午前の記者会見で、財務省が学校法人『森本学園』(原文のママ)への国有地売却をめぐる取引の決裁文書の書き換え疑惑の資料が『直ちに確認できない』とした説明について、『捜査の対象になっているということであれば、一定の配慮、つまり言及を控える対応は妥当だ』と述べた。
その上で、『検察当局が文書を持っているということだから、捜査を遂げるまでは外部の者がそれに触れることは限度がある』と語り、財務省の姿勢に理解を示した。」
さらに、産経らしく、山口の言をこうも紹介している。
「朝日新聞が書き換えを『確認した』とする決裁文書にも言及し、『もとの決裁文書を朝日新聞は「確認した」と報道しているようだが、どうやって確認できたのか。いつ、どのように、誰が(確認したのか)、そこがよく分からない。検察に当該文書が行っているとすれば、外部の者が触れることができないのが普通だ』と指摘した。」
これが、6日付産経ニュース(ネット版・2018.3.6 13:11)の報道だ。ところが、1日を経ずして、「昨日の淵が埋まって今日は瀬に」なったわけだ。その理由の穿鑿が興味深い。
公明・産経コンビの6日付ネット記事は、いくつもの面でアベ政権へのヨイショとなっている。
何よりも、『捜査の対象になっているということであれば、一定の配慮、つまり言及を控える対応は妥当だ』と堂々と言ってのけていることだ。国権の最高機関である国会の権威をないがしろにし、検察が捜査している間は大臣や官僚の答弁義務を免除ないしは緩和してしかるべきだというのだ。山口という方国会議員だったはずだが、明らかなアベ政権へのヨイショ優先の姿勢。
また、政権に大きな打撃を与えるこの決裁文書改竄。公明・産経ともできれば、事実そのものを否定したい。否定できなければ、せめて重大な問題という印象を薄めたい。この願望が「書き換え確認などできないはず」という言葉になっている。
さらに、朝日のスクープだからこそ貶めたい。そのことが、山口にとってはアベ個人へのヨイショになり、産経にとっても角逐する巨大な商売敵への一矢となるからだ。
これが、6日午前の「財務省・ゼロ回答」があった直後の山口コメントであり、産経の記事なのだ。
それが1日にして覆った。「公明党代表の権威・見識とはその程度のもの」という文脈で捉えるのではなく、「自公の幹部にとって事態は、そうせざるを得ないほど深刻なのだ」と考えなければならない。到底、このまま「ゼロ回答」で乗り切ることはできない。昨日の山口コメントの線で突っぱねていては、政権存立の危機を招きかねない、との判断なのだ。
与党の両党に要求されれば、財務省も資料提出を拒むことはできまい。政権も財務省も裏では了解済みのことではあろう。だから、財務省から開示された資料を駆使して、次の段階の追及が始まることになる。
結局のところ、この経過は、アベ一強の脆さをさらけ出すこととなった。世論と野党の結束がアベ政権を追い詰めていることに、自信をもちたい。
(2018年3月7日・連続更新1802日)
本日(3月6日)、財務省は参院予算委員会理事会で、学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書改竄疑惑についての『調査状況の報告』を行った。その内容は以下のとおりである。
「現在、大阪地検において、背任のほか、証拠隠滅や公用文書毀棄について告発を受けて、捜査が行われている状況にあり、財務省としては、この捜査に全面的に協力している段階にある。
こうした状況の中、捜査に影響を与えないよう、以下の点に留意して、直接の担当である理財局・近畿財務局以外の職員も関与した上で、全省を挙げて、文書の確認、職員への聞き取りなど調査を進めていきたいと考えている。
1 文書の確認
調査にあたっては、多くの文書の確認が必要となるが、これら文書は、告発を受けた捜査の対象となっており、すべての文書を直ちに確認できない状況となっている。
2 職員への聞き取り
調査にあたっては、広く職員への聞き取りを行う必要があるが、決裁文書の作成にかかわった職員への聞き取りにあたっては、捜査状況に影響を与えないよう、捜査当局による事情聴取との関係に留意し行う必要がある。
3 事実関係の確認
事実関係の確認に当たっては、裏付けをとるなど慎重に行う必要がある。」
もったいぶった言い回しだが、何のことはない「ゼロ回答」。要するに、「現在受けている捜査に影響があってはならない」「だからすべてに慎重を要し、国会の要請には応じがたい」ということなのだ。もう少しはっきりいうと、本心はこんなものだ。
「捜査もいやだし、国会への回答も苦しい」「これまでは、『捜査に支障があるから』という理由で、国会議員からの質問を拒否してきた。今度だってこの手でなんとか乗り切りたい」「地検には国会の要請を口実に抵抗し、国会には地検の捜査を口実に審議拒否」「これで、両者の徹底追及から逃れたい。」
官僚が捜査対象となっていることをもって、国会における質疑での誠実答弁義務を回避する理由にはならない。このことは、先日(3月3日)の当ブログに掲載した。
本日は、もう一つの問題。朝日がスクープした「決裁文書改竄」が、果たして犯罪になるかを考えてみたい。
結論として、改竄の実行者について刑法上の犯罪が成立すると考えられる。その可能性は限りなく高い。
まずは公文書偽造罪(刑法155条)はどうか。条文(抜粋)は以下のとおりである。
「行使の目的で、公務所若しくは公務員の作成すべき文書を偽造し、又は公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した」という犯罪類型。
公文書偽造は、作成権限のない者が公文書を作成し、または真正な公文書の本質的部分を改ざんすることを処罰する規定である。財務省組織ぐるみの本件改竄について、この条文適用の余地はない。
これに対して、虚偽公文書作成罪(刑法第156条)は、作成権限ある者の犯罪である。つまり、財務省の担当者であれば、この罪の犯罪主体となる資格をもっていることになる。その条文の文言(抜粋)は以下のとおり。
「公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書を作成し、又は文書を変造したときは、印章又は署名の有る場合には1年以上10年以下の懲役に処し、印章及び署名のない場合には3年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。」
本件の改竄は、状況から見て財務省組織ぐるみの文書改竄なのだから、当該新文書の作成は「公務員が、その職務に関し、行使の目的をもって」なされたという各要件を充足していることが明らかと言ってよい。残る問題は、もっぱら、新たな改竄文書の作成が「虚偽文書の作成」あるいは「文書の変造」に当たるか、という一点にある。
「虚偽文書の作成」とは、権限をもった公務員が「真実に合致しない内容の文書を作成する」こと。また、「変造」とは、「作成権限のある公務員が、その権限を濫用して既存の公文書に不正に変更を加えてその内容を虚偽のものにすること」をいう。
本件において、伝えられている内容の文言の新文書の作成が、「真実に合致しない内容の文書を作成」したものとして、「虚偽文書の作成」に当たるかは微妙なところであるが、既に存在する原決裁文書の文言の重要な部分を削除した新文書を作成したことは、「その権限を濫用して既存の公文書に不正に変更を加えてその内容を虚偽のものにした」というべきであろう。したがって、本件において新文書を作成した財務省の担当者は、公文書を変造したものとして処罰対象となると考えられる。
仮に、「虚偽文書の作成」にも「変造」にも当たらないとした場合にも、公用文書毀棄罪(刑法第258条)には該当するものと考えられる。
同条の文言(抜粋)は、「公務所の用に供する文書を毀棄した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。」となっている。これは、犯罪主体を公務員に限定した身分犯ではない。
原決裁文書が、公務所が使用する目的で現に保管されている文書として、同条にいう「公務所の用に供する文書」(公用文書)に該当することには疑問の余地がない。問題は、新文書の作成が「毀棄」に当たるか、ということだけである。
判例上、毀棄とは、文書を損傷・滅失する行為に限らず、「文書の効用を失わせる一切の行為を指す」ものとされる。文書を書き換え、あるいは当該文書の改竄を行うことも、文書の利用を一時不能にする目的で、隠匿する行為も毀棄に当たる。
本件では、原決裁文書とは内容が異なる2枚目の新文書を、原決裁文書の如き外観をもって新たに作成した。原決裁文書上の文言を直接に書き換えたり改変したりしたわけではないが、原決裁文書の文言があたかも当初から新文書の通りであった如き外観を作出したことは、日常の用語法としての「改竄」に当たるものと言って差し支えなく、明らかに「原決裁文書の効用を失わせる行為」にほかならない。
したがって、新文書の作成は、少なくも原決裁文書についての、「公用文書毀棄」罪に当たるものと考えられる。
なお、以上の解釈には、公文書管理法の理念が重要な役割をもつ。
たとえば、その第1条(目的)は、次のとおりである(抜粋)。
「この法律は、国の諸活動の記録である公文書が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、行政文書の適正な管理を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。」
本件では、「行政文書の適正な管理」がなされなかった。「行政が適正かつ効率的に運営されるよう」にもならなかった。「国の諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務」は、まったく全うされなかった。「健全な民主主義の根幹」を揺るがす事態と言わざるを得ない。
これも、詰まるところは、アベノセイなのだ。
(2018年3月6日・連続更新1801日)
宣 言
1 われらはみな日本国憲法とともに生きる主権者国民である。暮らしの中にこの憲法の理念を活かして、もっと明るく生き生きと豊かな生活をする道を見付けたい。
そのためには、平和への道、自由への道、平等への道、福祉国家への道、民主主義への道、公平・公正な政治の道を尋ねなければならない。
2 誰がこの道を阻んでいるか。アベだ。
誰が平和を壊そうとしているか。アベだ。
誰が近隣諸国との協調を破壊しているか。アベだ。
誰が専守防衛を越える大軍拡を狙っているか。アベだ。
誰が言論の自由を奪おうとしているか。アベだ。
誰が格差と貧困を生み出しているか。アベだ。
誰が福祉を切り捨て過労死を作っているか。アベだ。
誰が政治と行政を私物化しているか。アベだ。
誰が歴史修正主義の尖兵となっているか。アベだ。
誰が、右翼の跳梁跋扈を招いているのか。アベだ。
虎視眈々と憲法改悪を狙っているのは誰だ。アベだ。
行政文書を隠匿しているのは誰だ。アベだ。
公文書を改竄しているのは誰だ。アベだ。
3 近代科学の実証と先人たちの実体験と、
われらの直観の一致に於て論じたい。
悪いのはすべてアベだ。アベこそが一番悪い。
未曾有の悪政の象徴たるアベのせい。
アベの責任追及云々(でんでん)こそが、喫緊の課題。
気候が不順な原因も、今日の天気が悪いのも、
あれもこれも、みんなみんなアベノセイなのだ。
みんなみんなアベノセイダと声をあげよう。
われらは日本国民のまことの幸福を索ねて、アベのセイダと声を上げよう。
何も言わなければ何も始まらない。何も動かず、何も変わらない。
「アベのせいだ」「アベが悪い」「アベは責任をとれ」「アベやめろ」
そう声を発することが最初の一歩である。
みんなで一歩を踏み出せば、
アベを辞めさせ、憲法を守り、今の世を変えることができる。
偉大なるかな。「アベノセイダーズ」
あらゆる場面で、あらゆる道の模索を重ねよう。子どもに小言を言ったり、夫婦喧嘩をしたり、ちょいと一杯やったり、散歩したり、通勤電車の中など、折々のついでに、「あれもこれもアベノセイダ」とつぶやこう。倦まずたゆまず、「とりあえずアベが悪い」「だからアベはやめろ」と言い続けることを、われらは誓う。
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秘密結社アベノセイダーズ規約
1 名称
本結社(以下、「当会」という)の名称は、正式には「秘密結社アベノセイダーズ」という。
しかし、状況によって、「なにもかにもすべてアベノセイダーズ」でもよいし、「アベノセイかもねーズ」「もしかしたら、それもアベノセイダーズ」と、日和って名称を名乗ってもよい。状況に合わせて柔軟に原則も変える。会の名称だって、融通無碍・変幻自在・曖昧模糊・優柔不断。これこそが当会の本質であり神髄である。
2 目的
本会は、日本の政治・行政・国防・外交・司法・経済・文化・報道・教育等々、国政や国民生活のあらゆる分野における歪みの原因は、すべてアベのせいであるとの確固たる信念のもと、アベ政権とアベ総理・アベ総裁を、あるときは徹底して糺弾し、またあるときはやんわりといい加減に揶揄することによって、その権威を失墜させて、これを政権の座から追い落とし、もって憲法改正を阻止するとともに、平和で豊かな国民生活の実現を目指す。そういう大袈裟で大それたことが当会の目的である。
3 秘密
予想されるアベ政権からの熾烈な弾圧を未然に防止するため、当会の存在自体を厳重な秘密とする。
事務所の所在地も代表者も決して公表することはなく、メンバー登録はせず、ナンバーカードもメンバー名簿も作成しない。当会の財産も収支も秘匿する。外部から当会への連絡方法はすべて遮断し、もっぱらステルス的に地下のゲリラ活動を行うものとする。
4 会員
以下の要件の一つに該当する者は、当会のメンバーたるの資格を有する。
?アベは平和と民主主義に敵対する危険人物であると認識する者
?アベ在任中の改憲策動には与しがたいと考える者
?理由はなんであれ、アベは嫌いだという優れた感性をもつ者
メンバーたるの資格をもつ者が次のどれか一つを実行すれば、即当会のメンバーとなる。
?「私は秘密結社アベノセイダーズのメンバーである」とネット上に宣言すること。
?誰かに「アベの改憲には賛成できない」と、ぽつりとささやくこと。
?周囲に誰もいないことを確認して、小声で「アベはやめろ。アベはやめろ。やっぱりアベはやめろ」と3回呟くこと。
メンバーの脱会は自由である。その際、なんの手続も不要である。また、脱会と再入会を無限に繰り返すことも妨げられない。
5 メンバーの権利と義務
当会のメンバーは、ささやかながらも改憲を阻止するためにアベ糺弾の一翼を担う行動に加わる光貴ある栄誉に浴する。そのこと以外に、当会のメンバーになることによる権利や利益は皆無である。
また、メンバーとして当会からの指示を履行する義務はない。会費納入の義務も、なんの報告義務もない。ただし、ネットにおいて、「アベノセイダ」活動の成果を誇ることは何の制約もなく自由に行うことができる。
なお、会員は、自覚的民主主義者として、「DHC製品は購入しない」「アパホテルには泊まらない」を励行する。
6 活動
当会全体としての活動は予定しない。活動のすべては、各メンバーにおいて、ことあるごとに、なににつけても「それはアベのせい」「アベが悪い」「安倍は早くやめるべきだ」とさりげなく一言を述べることにつきる。
こうして、通常は融通無碍・変幻自在・曖昧模糊・優柔不断に、しかし稀には断固たる活動を通じて、安倍を退陣に追い込もうと努力を重ねる。
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2013年4月1日から、当ブログ「澤藤統一郎の憲法日記」を毎日書き続けて、本日が連続更新1800回となる。この期間は、第2次アベ政権発足から現在にほぼ重なる。1800回、改憲と壊憲を指向するアベ政権を批判し続けてきた。
当ブログの影響力はたがが知れたものだが、政権批判にまったくの無力でもなかろう。「発言自体がささやかな力」「その継続は多少の力」と信じて、今後もひたすら書き続ける。少なくとも、アベ政治が終わるまでは。
(2018年3月5日・毎日連続更新1800回)
何人かの友人からご連絡をいただいた。「保守速報」というまとめサイトに、吉田嘉明の顔写真として、こともあろうに私(澤藤)の写真が掲載されているのだという。よりにもよって「保守速報」であり、よりにもよって吉田嘉明である。
記事は、2016年12月に吉田嘉明がDHCのホームページに掲載したヘイト根性丸出しの「会長メッセージ」の紹介に、「速報・DHC会長『日本には驚くほどの数の在日がいる。似非日本人はいらない 母国に帰れ』」と表題して、大きく私の顔写真を載せている。キャプションは、「平成28年2月12日 DHC代表取締役会長 吉田嘉明」とだけ。
普通の人がこの記事を読み、写真を見れば、「この写真の男が、非常識きわまるレイシスト」だと思い込むことになる。「なるほど、こういう人相が差別を恥としない根性曲がりなのだ」と合点する人もあろう。私にとって、吉田嘉明に間違えられることだけで、不名誉これに過ぎるものはなく、不愉快極まりない。
しかも、私がこの記事を見た時点で、6325RT(リツィート)、1235コメ(コメント)となっていたから、反響は大きかったのだ。
そこで、本日のブログには、「保守速報よ。私の写真を削除して謝罪せよ」との記事を掲載するつもりだった。ところが、先ほど確認したところ、私の写真は削除されていた。
そして現在は、以下の記事が掲載されている。なお、これが全文。
「管理人より 掲載した写真は、DHCの吉田会長のものではなく、澤藤弁護士の写真でした。大変申し訳ありません。」
なんと? これだけ? 「大変申し訳ありません」だけでは、幼稚園児の謝罪に等しい。保守速報よ、誰に対して謝っているのか? 吉田嘉明にか、私にか。いったい私には、どのように申し訳ないと思っているのか? どうして、こんなことが起こったのか。今後の再発防止策はどうするつもりなのか。
この記事がアップされたのは、2018年3月1日14時14分で、削除されたのは3月4日20時過ぎころの模様である。この間丸3日。私は、恥ずべきレイシストとして顔写真を晒されていたのだ。保守速報は、この間の私の名誉の侵害に、どう責任を取ろうというのか。
それだけではない。いくつものサイトがこの写真と記事とを転載している。保守速報は、これについてどう対応しようと言うのだろうか。とくと返答あってしかるべきだろう。ネトウヨとは、最低限の社会常識も持ち合わせていないのか見極めのチャンスだ。しかるべき回答を待ちたい。
この間、このことに関連する幾つものネットの書き込みをみた。励まされるものが多い。
「保守速報が酷いデマを流しています。DHC会長・吉田氏の差別的言動についての記事の中で、別人(澤藤統一郎弁護士)の肖像をDHC会長として掲載しています。これでは澤藤弁護士が差別的発言をしたようにしか見えません。あまりに酷い記事です」
私も同じことを思いました。これじゃ澤藤さんがDHCの社長かと思ってしまう。本当の社長はこちら。なかなか画像検索しても出てきません。
「Share News Japanおよび保守速報で、DHC吉田会長の問題発言とあわせて、吉田会長の顔写真と称する画像が掲載されました。しかしこの写真は吉田会長ではなく、 … 保守速報が引用しているDHC会長と誤認できる画像はDHCによるスラップ訴訟に対する記者会見中の澤藤統一郎弁護士のキャプチャだな。アホなのか。
保守速報がデマを流している例を示しますね。 他人の写真をDHC会長であるかのように載せて、読者を騙しています。写真の人物はDHC吉田に勝訴した澤藤統一郎弁護士です。
この似非ニュースサイトによるクソ記事であるが、DHCの吉田会長の肖像のように貼られている写真からして、DHCにスラップ訴訟を起こされて勝訴した弁護士の肖像だった、という信じられないオチを聞いて呆れている。DHCと争った弁護士をヘイト発言と結びつけようという、悪質な嫌がらせか?
Share News Japanおよび保守速報で、DHC吉田会長の問題発言とあわせて、吉田会長の顔写真と称する画像が掲載されました。しかしこの写真は吉田会長ではなく、なんと、逆にDHCと対決した澤藤弁護士であることが判明。Share Newsおよび保守速報の澤藤弁護士に対する業務妨害の疑いが問題となっています。
保守速報が引用しているDHC会長と誤認できる画像はDHCによるスラップ訴訟に対する記者会見中の澤藤統一郎弁護士のキャプチャだな。アホなのか。
そして、吉田嘉明の「ヘイト・メッセージ」に関する過去の私のブログを引用してくださった方が何人かあった。私も、これを読み直してみて、改めてその通りだとおもう。ぜひお読みいただきたい。
DHC会長吉田嘉明の驚くべきヘイトスピーチ?「DHCスラップ訴訟」を許さない・第93弾
https://article9.jp/wordpress/?p=7992
ついでに、吉田嘉明の驚くべきヘイトメッセージも挙げておこう。
https://top.dhc.co.jp/company/image/cp/message1.pdf
なお、よく知られているとおり、保守速報は差別記事の掲載(転載)で、名誉毀損と訴えられ、敗訴している。
「ネット上の差別的な投稿を集めて掲載され、名誉を傷つけられたとして在日朝鮮人の女性が、まとめサイト「保守速報」を運営する男性に2200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が(2017年11月)16日、大阪地裁であった。森田浩美裁判長は、運営者に名誉毀損や差別の目的があったと認定し、200万円の支払いを命じた。
訴えていたのは、大阪府東大阪市在住のフリーライター李信恵(リシネ)さん。原告の弁護団は、まとめサイト運営者への賠償命令は「我々が知る限りで初めて」と評価した。運営者側は控訴する意向。
判決によると、運営者の男性は2013年7月から約1年間、保守速報に、匿名掲示板「2ちゃんねる」などに書き込まれた李さんを差別や侮蔑する投稿を、編集した上で掲載した。
判決は、李さんへの「頭おかしい」「朝鮮の工作員」といった表現は、社会通念上許される限度を超えた侮辱にあたると認めた。「日本から叩(たた)き出せ」などの記述は排除をあおり、人種差別にあたると判断。容姿などの揶揄(やゆ)も挙げ「名誉感情や女性としての尊厳を害した程度は甚だしく、複合差別だ」と述べた。
運営者側は「情報の集約に過ぎず違法性はない」と主張していた。しかし判決は、表題の作成や情報量の圧縮で内容を効果的に把握できるようになったと指摘。「2ちゃんねるとは異なる新たな意味合いを有するに至った」とし、引用元の投稿とは別に、憲法13条が認める人格権を侵害したと結論づけた。」(朝日)
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DHC・吉田嘉明のヘイト言論に関連して、興味深い関連コメントを拾うことができる。いずれも、至極真っ当な感想や意見。
「DHC代表取締役会長吉田嘉明はレイシスト さっき「 吉田嘉明」で検索してみたら、ゲボゲボな差別主義者がわんさか出てきて気絶しそうになった。やめときゃよかった。」
「小さな抵抗でDHC は買いません!!」
「同意! DHCのサプリは絶対買わない。APAには絶対泊まらない。
アベ政治に猛反対、嫌悪感不信感を抱くものは 自らに今何ができるかを考えよう!」
「なんで、米軍の航空機が保育園や学校の上空を飛ぶ事に賛成する「DHC」の商品をつかうんだろう。」
「APAホテルには絶対に泊まらないし、DHCの化粧品は絶対に買わない。」
「日本青年会議所 下町ボブスレー DHC 産経ニュース ネトウヨ などなど、自民党・安倍首相 応援団って、言うことやること、ヘイト丸出しで薄汚い。」
「読んでる途中で吐き気がしてきた。」
「会社価値を著しく損なう企業家の差別発言。差別主義が臆面もなくのさばる社会に未来はない。差別主義は悪である。声を出していかなければ正義が悪に飲み込まれてしまう。DHC」
「会長が差別発言をし、差別的な番組をを製作するDHCは、日本サッカー協会の反差別主義というポリシーに反する。協会もサガン鳥栖も早急にDHCと縁を切って、反差別の姿勢を明確に打ち出すべきだ。」
僕もゴーゴーカレー 食べるのやめるわ。さようなら。DHC・APAホテル・安倍晋三・改憲・違憲・ファシスト・レイシスト・ヘイト・差別主義者・日本会議…
僕もAPAホテルには泊まりませんし、コンビニでサプリ買うときはDHCではなく、ファンケルにしてます。ゴーゴーカレーも今後食べることはないでしょう(津田大介)
ヘイト企業のDHCを批判する際はこちらの記事がいいですね。DHC不買運動
アパホテルに続いてDHC会長の「似非日本人は母国に帰れ」の在日ヘイト発言が発覚! ヘイト経営者こそ日本の恥だ lite-ra.com/2017/01/post-2… @litera_webから
私がDHC 不買って話ししたら、友人のお世話になってる薬剤師さんがね「DHC のサプリは質が悪いからオススメしません」って言ってたって教えてくれた。そもそもサプリ自体、本当に取る必要があるのか疑問。
やっぱり質も悪いんですか。あの袋のデザインもなんだかチャチい。 DHCのようなネトウヨ企業の製品には、やっぱりお金を払いたくないですね。
あんな人間性の男が経営してるんだよ。お客様のことを考えて作ってるわけないじゃん!DHC の顧客には在日の人たちだってたくさんいると思うよ。そういう想像力のかけらもない人間なんだから??
こういう差別主義を丸出しにする経営者ってのは、そもそも経営センスがなさすぎてお可哀想じゃよね。痛すぎる。
一番大切なのはカネなんですよ。日本のために役に立ってるか立ってないかっていうのも、多分稼ぎが良いか悪いかって視点だと思う。
人間の価値を本人の意思によらない属性とカネで測る奴など、ろくなもんじゃありません。
つくづく思う。息長く闘うことが大切だ。DHC・吉田嘉明との対峙は、もうすぐ4年にもなる。一貫した批判が、ようやくDHCや吉田嘉明の体質の問題をえぐり出し、DHC製品不買の声も大きくなりつつある。長く闘うことはシンドイが、多くの人々に支えられた長い闘いが、ようやく実りの萌しが見えてきているという実感がある。
「消費者主権」とは、主権者が日々の消費行動を通じてよりよい社会を作っていくという理念を表している。「よりよい社会」とは差別のない社会のことでもある。ヘイト企業・スラップ企業のDHCを追い詰めるのは、自覚した主権者一人ひとりの覚悟であり、具体的には、ヘイト・スラップのDHC製品を買わないことだ。
(2018年3月4日・連続1799回)
国会は、森友関連の文書改竄問題で揺れている。
朝日の報道によれば、「学園との土地取引の際に財務省近畿財務局が作成したものとして国会議員に開示された決裁文書は、実は問題発覚後に新たに作成された文書で、原文書は別にある。しかも、両文書の内容には違いがあり、開示文書は書き換えられた可能性がある」というのだ。
公平・公正な行政過程を検証するための公文書を、あとから都合よく書き直す。こんなことがまかり通ったのでは、行政に対する国民の信用は崩壊してしまう。
本日の「納税者一揆・第2弾」の最初のコールが、「(アベのお友達に税金を)横流しするな!」「納税者をなめるな!」「納税者の怒りを思い知れ!」だった。公文書改竄は納税者の怒りの火に油を注ぐものだ。こんな行政に納税者が怒るのは当たり前ではないか。
今ここに至って、政府が国民の信用をつなぎ止めるには、誠実に2通の文書を議会に明らかにして、誰がどのような経緯で2枚目を作成し人目につかぬように保管していたのか、包み隠さず丁寧に説明するしかない。アベ流の「丁寧」ではなく、字義のとおりの丁寧な説明が必要なのだ。
ところがどうだ。その説明は頑強に拒否されている。「大阪地検において背任のほか、公用文書等毀棄で告発を受けて捜査が行われている」。「お答えすることが捜査にどのような影響を与えるかということについては予測しがたいため、今のところは答弁は差し控えなければならないものだと思う」というのだ。不誠実もきわまれりと言わざるを得ない。
告発されたことをこれ幸いに、不都合な証言拒否の言い訳に使おうという奇妙な論理。これこそ詭弁である。こんなことで、国会答弁の拒否を許しては、議院内閣制の根幹が揺らぐことになりかねない。
「捜査に影響を与える」とは、いったい何を意味しているのか。証人を威迫し証拠を隠滅するなど捜査を妨害してはならないのは当然のことだが、議院での野党の質問に対して、誠実に真実を答弁することは捜査の妨害になりえない。
議院での質疑と、刑事司法における捜査とは、その目的も手続もまったく別のものである。それぞれが独立して行われるべきが当然で、刑事の捜査が始まったら国会は質疑を控えて捜査の進展を見守らなければならない、などというルールもマナーもない。むしろ、刑事の捜査着手を口実に、議会での不都合な質問を封じ、答弁を拒絶することなどあってはならない。場合によっては、司法当局の捜査名目による審議妨害に毅然と対決して、国権の最高機関である国会の正常な運営を確保する見識を示さなければならない。
法的に、国会審議において、国務大臣は「刑事捜査への支障が生じる虞れ」を理由に、議員の質問に対する答弁を拒否できるだろうか。
人は一般に質問されてこれに答えるべき義務は負わない。個人の人格を尊重する大原則から当然の事理と言ってもよいし、強いて憲法の条文を当て嵌めて21条の表現の自由が沈黙の自由を含むということにもなろう。
しかし、国会に呼ばれた大臣は、一般人ではない。国会議員からの質問に誠実に答弁する義務を負う。この義務は、議院内閣制という憲法上の制度の根幹を形成する重要な義務だ。
この義務の根拠条文を探せば、憲法63条と国会法74条ということになる。2012年4月4日、下記の政府答弁がこのことを確認している。
「憲法第63条において、『内閣総理大臣その他の国務大臣は、議院で答弁又は説明のため出席を求められたときは出席しなければならない』とされており、これは、国会において誠実に答弁する責任を負っていることを前提としていると認識している。また、国会法第74条に基づく質問に対し、政府としては、誠実に答弁すべきものと考えている。」
この大臣の「誠実答弁義務」は、議員の「質問権(=誠実答弁要求権)」に対応するものである。この議員の権利行使に対する国政担当者の誠実な義務の履行があって、政治と行政の民主主義過程が正常に展開することになる。この国政担当者の義務履行の価値を凌駕する何らかの免責事由が考えられるだろうか。
憲法38条1項の供述拒否権(黙秘権)が免責事由となるだろうか。
「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」という文言を文字通りに、「自己に不利益な供述」の拒否権(「不利益供述拒否権」)と考えるのが通説判例だが、刑訴法198条2項が被疑者に、同311条1項が被告人に「包括的供述拒否権」を保障している。被疑者・被告人は、「終始沈黙し、又は個々の質問に対し、供述を拒むことができる」とされている。また、同法146条が刑事事件の証人について、「何人も、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞おそれのある証言を拒むことができる。」と規定している。
また、民事訴訟法196条は、「証言が証人又は証人と『次に掲げる関係を有する者』(配偶者、四親等内の血族若しくは三親等内の姻族)が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれがある事項に関するときは、証人は、証言を拒むことができる。証言がこれらの者の名誉を害すべき事項に関するときも、同様とする。
そして、議院証言法第4条がこう述べている。
「1項 証人は、自己又は次に掲げる者(配偶者、3親等内の血族若しくは2親等内の姻族)が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのあるときは、宣誓、証言又は書類の提出を拒むことができる。
3項 証人は、宣誓、証言又は書類の提出を拒むときは、その事由を示さなければならない。」
アベ首相にも、麻生財務相にも、人権がある。自らの、あるいは一定の親族についての犯罪を認める内容の供述(国会答弁)までは強制されないと考えざるをえない。取調室においても、議院においても、自白の強要は許されない。その場合、虚偽の供述はできないが、黙秘はなし得る。
議院証言法の手続を類推して、「当該答弁が、答弁者自身(あるいは一定の親族)に刑事捜査が及ぶ虞ある場合に限って、その旨を明示して」答弁を拒否する余地があるというべきだろう。その場合に政治的な指弾を覚悟せざるを得ないことは当然である。
それ以外、たとえば、「捜査に支障の虞がある」「政治的に、内閣が持ちこたえられない」などを答弁拒否の口実としてもてあそぶことを決して許してはならない。
昨日の参議院予算委員会の質疑を通して、世間は「麻生も太田も、『開示された文書以外に原文書が存在し、開示文書は改竄されたもの』と承知している」と受けとめている。そのような国民の疑惑に敢えて挑戦するかたちで、なお太田が答弁拒否を継続すれば佐川の二の舞だ。しかも、もう国税庁長官の席はない。もちろん、麻生にとっても、もう行く先はない。
(2018年3月3日・連続1798回)
ヘイトは憎むべき醜行だ。ヘイトする者よ、恥を知れ。
デマは卑劣漢のやることだ。デマを撒き散らす者よ、恥を知れ。
ヘイトとデマを重ねたら…。これこそ悪辣きわまる。深く恥を知れ。
さらに、この卑劣な醜行を指摘をされてなお反省せず開き直ったとすれば、そのような破廉恥漢をどう表現すればよいのだろうか。私の乏しい語彙では、思いつかない。
朝日の報道が、「『ニュース女子』打ち切りへ MXと制作会社に隔たり」。この見出しの「制作会社」が、「DHCテレビジョン」である。
「DHCテレビジョン」の代表者(会長)は吉田嘉明。在日差別に余念なく、「似非日本人」や「反日」を攻撃してやまない人物。私(澤藤)も、「似非日本人」「反日」「誹謗中傷」「悪辣」と言われている。「DHCテレビジョン」が制作した、ヘイトとデマを重ねた番組を、そのまま放送して批判を浴びたのが、MX(地上波の東京メトロポリタンテレビジョン)。その番組のスポンサーは、当然のことながらDHC本体である。そして、MXとDHC側との間にある「隔たり」とは、廉恥の心の有無についての大きな懸隔だ。
天下に周知の事実だが、「『ニュース女子』は昨年(2017年)1月2日の放送で、沖縄県の米軍ヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)建設の反対運動の参加者を『過激派デモの武闘派集団』と表現し、基地反対派が救急車を止めたなどと伝えた」(毎日)。そして、この『過激派デモの武闘派集団』に在日韓国人が日当をもらって参加していたと放送した。
放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は昨年12月、こうした放送内容に十分な裏付けがあったかを制作会社側に確認していなかったなどとして、MXに『重大な放送倫理違反があった」との意見書を公表している。直接批判されたのは、DHCテレビではなくMXだった。
誰が見ても、ヘイト感情剥き出しのデマ放送。誹謗と中傷の典型。恐らくは、日本放送史の負の遺産としてトップ・フェイクの座を守り続けるだろうという代物。ヘイトの対象は、沖縄の平和運動と在日韓国人である。
さすがに、MXには恥ずべきことをしたという思いが強い。PBOの批判に対して「改めて真摯に受け止めたい」としている。常識的な廉恥の心をもっていたということだ。メディアの世界で真っ当に社業を継続するためには、デマやヘイトと訣別しなければならないという決意がみえる。
同社のホームページのプレスリリース欄(3月1日)に、次の短い文章が掲載されている。
「番組『ニュース女子』放送終了について
当社では、番組『ニュース女子』につきましては、より放送責任を明確にする立場から、当番組の制作主体を当方に移したいとの意向をスポンサーに申し入れてきました。しかしながら、最終的に両社間の協議が不調に終わったため、当社での放送を3月末を以て終了いたします。」
この申し入れ先のスポンサーが、DHC・吉田嘉明である。そのスポンサーの側には、少しも恥を知る気持ちの持ち合わせがない。MXからの、「今後は当番組の制作主体を当方に移したい」との申し入れが拒否されたのだ。このため、MXとしては今春の番組改編に合わせて番組の放送をやめざるを得ないこととなった。これが、「MXと制作会社の大きな隔たり」の実態である。「ニュース女子」だけでなく、DHCが1社提供している番組「エクストリームBeauty」も終了するほか、MXが請け負っていたDHCの広告代理店業務も打ち切る。
一方、DHCテレビのホームページには、なんのコメントも掲載されていない。これまでの言い分はこうだ。
「(日当について)断定するものではなく、疑問として投げかけており、表現上問題があったとは考えておりません」「(基地反対派の取材をしないのは不公平との批判について)言い分を聞く必要はないと考えます」「今後も誹謗中傷に屈すること無く、日本の自由な言論空間を守るため、良質な番組を製作して参ります」
デマ放送に対する批判を「誹謗中傷」と言ってのけ、微塵も反省の色を表していない。むしろ、「不当な批判に屈することなく、日本の自由な言論空間を守る」と開き直っている。DHC・吉田嘉明らは、デマやヘイトの言論空間はどこにもあり得ないということを知らねばならない。「今後も…良質な番組を製作して参ります」には、開いた口が塞がらない。「今後も…」というのは、「これまでも良質な番組を製作して」来たことを前提としているのだから。もちろん、沖縄ヘイトのデマ番組を含めてのことだ。
MXの決断は、事実上のDHCとの訣別だという。朝日の取材に、MX幹部は「今回の放送打ち切りで、ディーエイチシーとの取引はゼロになる覚悟だ。営業的には苦しいが、このままでは番組内容が一方的になることがある。ネット時代に放送のあり方が問われている大事な曲がり角だ。我々の意向を理解してくれる新スポンサーを探すしかない」と言う。やや悲壮感がただよっている。
DHCは、MXにとって最大の取引先だ。2016年度の有価証券報告書によると、MX総売上高の11・5%をDHCとの取引が占める。15年度は14・3%、14年度は21・0%だった。それでも、DHCを切らざるを得ないと決断したわけだ。
MXに対しては、ニュース女子の放送直後から市民らが本社前で抗議活動を続け、MX労組も会社の見解を求める申入書を出すなど厳しい目が向けられてきた。
常識をもっているMXに対しては、BPOの批判や世論の抗議が効いた。しかし、常識も廉恥心も持ち合わせぬDHC・吉田嘉明らには、商品の不買だけが特効薬である。デマやヘイトを憎む市民に呼びかける。
DHCの製品を買うのはやめよう。そのことが、消費行動を通じて真っ当な社会を形成する運動に繋がる。
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明日は、3月3日「モリ・カケ追及! 納税者一揆 第2弾」
国会では、文書の書き換えが新たな大問題。ますます、佐川氏と昭恵夫人の証人喚問が急務。麻生財務相、安倍首相の責任追及が喫緊の課題。
次のようなアピールを掲げて、第2弾の行動があります。より多くの方にご参加をお願いします。
<モリ・カケ追及! 第2弾 国税庁包囲行動&デモ行進>
3月3日(土)13時30分 日比谷公園 西幸門集合
13時40分? 国税庁・財務省包囲行動
14時30分 デモ出発
よびかけ一式:
http://sinkan.cocolog-nifty.com/blog/2018/02/233-dd8f.html
チラシ:
https://app.box.com/s/aqgf2wydnsudd2pxfg6fyw4suug7tp0h
「森友・ 加計問題の幕引きを許さない市民の会」
http://sinkan.cocolog-nifty.com/blog/
コール
・安倍のお友達に税金を横流しするな!
・納税者をなめるな!
・納税者の怒りを思い知れ!
・ふざけた国会答弁 許さない
・音声録音 うそはない!
・検察は財務省を捜査せよ!
・佐川を証人喚問せよ!
・ウソつき佐川を罷免しろ!
・麻生は にやけた答弁 やめろ!
・悪代官麻生を追放しよう!
・責任逃れの安倍を許さない!
・安倍の逃げ切り 許さない!
・一番の悪代官安倍は辞めろ!
・昭恵夫人を喚問だ!
・モリ・カケ食い逃げ 許さない!
・納税者一揆の爆発だ!
・納税者一揆 続けるぞ!
【替え歌】(寺尾そのみ作)?
『矢切の渡し』のメロディで
「佐川逃げたよ」「捜さないでよ」
納税の気が失せる 確定申告
民の心に 背いてまでも
地位につきたい 腐れです
「埋めてないよね?」「ゴミは出ないよ」
カゴイケが隠し録り 値切りの話
裏で怪しい 資料は捨てて
アベに忖度 ヒラメです
「タダで売るのよ」「国の土地だよ」
バレたから火がついた お尻がヤバい
息を殺して 目を伏せながら
明日もコソコソ 佐川です
(2018年3月2日・連続1797回)
今日、3月1日はビキニデーです。
1954年の今日、アメリカは太平洋のビキニ環礁で水爆実験を行いました。広島に落とされた原爆の1000倍もの威力のあるものでした。この核実験で、多くの日本人が被爆しました。その最前線にいたのが、第五福竜丸の乗組員23名の方々です。その全員が急性放射線障害で入院され、久保山愛吉さんが半年後に亡くなられました。原爆に続いて、水爆でも、爆発の最初の犠牲者は日本人となったのです。
3月1日のビキニデーには、この世から恐ろしい核兵器をなくすことを誓い合いたいと思います。
是非東京夢の島にある第五福竜丸展示館にお越しください。そして耳を澄まして、保存されたこの船の、核の悲惨さを訴える声に耳を傾けてください。核のない平和な世の中を作ろうという呼びかけが聞こえてくるはずです。
「お互いに核兵器をもてば、戦争を抑止して平和を保つことができる」という意見はおろかしいのではありませんか。核に囲まれた平和なんてゴメンだ。世界中の原爆も水爆も、そして原発もなくしてほしい。第五福竜丸が、そう言っているように聞こえませんか。
夢の島まで足を運ぶ時間がないかたは、せめて展示館のURLを開いて、第五福竜丸の写真と資料をご覧ください。
http://d5f.org/
こんな説明があります。
第五福竜丸とは
第五福竜丸は 1954 年3 月1 日、マーシャル諸島ビキニ環礁でアメリカがおこなった水爆実験により被ばくした静岡県焼津港所属の遠洋マグロ延縄漁船です。爆心地より160キロ東方の海上で操業中、突如西に閃光を見、地鳴りのような爆発音が船をおそいました。 やがて、実験により生じた「死の灰」(放射性降下物)が第五福竜丸に降りそそぎ、乗組員23人は全員被ばくしました。
その後、第五福竜丸は放射能がへるのを待って東京水産大学(現・東京海洋大学)の学生の航海の練習船「はやぶさ丸」となりました。
水爆ブラボー
3月1日に、アメリカが炸裂させた水爆「ブラボー」は、広島に落とされた原爆の1000 倍(15メガトン)の破壊力でした。爆発によって砕けた珊瑚の粉塵はキノコ雲に吸い上げられ、放射能を帯びた「死の灰」となり周辺の海や島々に降り積もりました。放射能は広範な海と大気を汚染したのです。
漁船の被ばく
被害を受けたのは、第五福竜丸だけではありません。日本各地から多くの船が出漁し被害を受けました。54年末までに856隻が放射能に汚染されたマグロを水揚げしています。多くの乗組員が被ばくした可能性がありますが、健康被害など不明な点が多いのです。
マーシャル諸島の被害
マーシャル諸島は太平洋中西部に浮かぶ、たくさんの珊瑚礁からなる国です。アメリカは1946年から58年までここを核実験場とし、67 回もの実験を行いました。
実験場とされたビキニ環礁とエニウェトク環礁をはじめ、多くの環礁や島が被害を受けたとされていますが、アメリカ政府はビキニ、エニウェトク、ロンゲラップ、ウトリックの四環礁以外の被害は認めていません。
人びとの間ではガンや甲状腺異常、死産や先天的に障がいを持つ子どもが生まれるなど、被害が現れています。また、いくつかの環礁では故郷の島に戻ることができません。
世界遺産ビキニ環礁
2010年7月、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により、ビキニ環礁は世界遺産に登録されました。その理由として「珊瑚礁の海に沈んだ船やブラボー水爆の巨大なクレーターなど、核実験の証拠を保持している。繰り返された核実験はビキニ環礁の地質、自然、人々の健康に重大な影響を与えており、平和と地上の楽園とは矛盾したイメージをもち核時代の夜明けを象徴している」と発表しています。同環礁の住民は、いまも帰ることはできません。
第五福竜丸の保存
第五福竜丸(当時は水産大の「はやぶさ丸」)は1967年に廃船処分となり、解体業者に払い下げられ、船体はゴミの処分場であった「夢の島」の埋立地に放置されました。これを知った市民のあいだから保存のうごきがおこり、「沈めてよいか第五福竜丸」の投書(朝日新聞68年3月10日)や原水爆禁止運動など全国で取り組みがすすめられました。
1976年6月に東京都立第五福竜丸展示館が開館し、船は展示・公開されました。
木造船第五福竜丸
第五福竜丸は1947年に和歌山県古座町(現・串本町)でカツオ漁船第七事代丸として建造されました。全長約30メートル、高さ15メートル、幅6メートル、総トン数140トンの木造船です。
第五福竜丸は戦後の食糧難の時代に遠洋漁業に従事した木造船としてきわめて貴重です。
「第五福竜丸事件」と「ビキニ事件」
ビキニ水爆実験により、第五福竜丸一隻だけでなく多くの船舶が被害を受けたことから、当協会では「ビキニ事件」という呼称を使っています。マーシャル諸島での核実験は1958年までつづけられており、被害を限定的に捉えることは適切ではないと考えています。
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ビキニデーの今日、東京新聞が、核問題にちなんだ社説を掲載しました。
抜粋して紹介したいと思います。
ビキニ水爆実験の教え 記憶で未来を守れ
64年前、ビキニ水爆実験で第五福竜丸をはじめ多くの日本人漁船員や現地の住民が被ばくした。苦しみは今も続く。教訓を未来に伝えたい。
第五福竜丸の漁船員らが被ばくしたのは、米国の水爆実験「ブラボー」で、1954年3月1日にマーシャル諸島のビキニ環礁で実施された。漁船には23人が乗り組んでいて、実験場の約160キロ東にいた。
5月まで続いた6回の水爆実験で、周辺の海域にいた漁船や貨物船などの乗組員約1万人が被ばくしたとされる。漁船員は帰国後、検査を受けたが、そのデータは長い間、厚生労働省が「ない」としていた。情報公開請求で開示したのは2014年である。
◆治療はなかった
米国がマーシャル諸島で核実験を始めたのは、46年7月。58年までに原爆、水爆合わせて67回に達した。この地域は第二次大戦が終わるまでは日本の委任統治領で、南洋群島と呼ばれた。戦後、米国が施政権を握り、核実験場にされたのである。
核実験は軍事機密なので、現地ではかん口令がしかれた。米国政府は住民の被ばくを隠す一方で、専門医らを送って放射線の健康影響調査を進めたといわれる。
たとえば、爆心地から百八十キロ東にあったロンゲラップ島では、ブラボー実験のとき、82人が暮らしていた。島民は下痢や嘔吐(おうと)、やけど、脱毛といった急性放射線障害に見舞われた。二日後、米軍が別の島にある基地に移送した。そこでは米人医師によって検査や写真撮影はされたが、特に治療はされなかったという。
米国は57年に「安全だ」と説明して住民を島に帰還させた。帰還したのは、被ばく者と核実験時には島にいなかった住民ら約250人。
人体実験という見方を米国は否定しているが、ブルックヘブン米国立研究所は「もっとも価値ある生態学的放射線被ばくデータを提供してくれる」ことを意義としていた。島では死産、流産が続き、やがて甲状腺がんが多発した。住民は85年に再び、島を離れた。
マーシャル諸島は86年にマーシャル諸島共和国として独立したが、経済は米国に依存している。ビキニ環礁核実験場は「負の世界遺産」に指定されたが、日米で情報が隠されていたこともあり、実態はあまり知られていない。
(以下略)
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今年のビキニデーは、世界中の国々が核兵器禁止条約の締結を目指して、「核兵器のない世界を」「非核平和の日本の実現を」という、運動の高まりの中で迎えることとなりました。
「ヒバクシャ国際署名」と「安倍9条改憲ノーの署名」運動をともに広げようという声も大きく広がっています。
被爆国日本こそが、核兵器の全面禁止・廃絶の先頭に立たねばなりません。まずは、日本政府に、広島・長崎の声と、第五福竜丸の声を聞かせなければなりません。そうして、情けない日本政府に、日本国民の声を集めて突きつけて、「核兵器禁止条約に署名せよ」と迫りましょう。
3・1ビキニデーの今日こそは、そのように思いをめぐらすべき日だと思います。
(2018年3月1日・連続1796回)
あゝ籠池泰典よ 君を泣く
君の思想は妖しきも
人柄憎めぬ君なれば
君に一声かけまほし
君 力を落とすことなかれ
気骨を失うことなかれ
夏の盛りに囚われて
羽をもがれて塀の中
外の世界と隔てられ
秋冬過ぎて春近く
花咲く季節となりぬれど
いまだ自由の萌しなし
有罪宣告あらざるに
身の拘禁は7か月
接見禁止の7か月
憤怒を深く呑み込んで
泣くに泣けない
身の辛さ
勾留理由は二つある
「逃亡」するにちがいない
「罪証隠滅」するだろう
逃亡できるわけはない
隠滅すべき証拠もない
真の理由はただ一つ
うるさい君の口封じ
思えばアベを甘く見た
アキエのことも甘く見た
教育勅語にアベバンザイ
アベを取りまき 取り入って
神風吹かせてうまくいく
上手の手から水が漏れ
手のひら返して邪魔にされ
トカゲのシッポと切られたり
昨日の同志が今日の敵
朋友相信ジていたはずが
今さら「妻は欺された」
信義に悖る一言は
いくらなんでも酷すぎる
卑劣な漢の痴れ言は
トカゲのアタマの保身術
いかで許しておくべきや
あゝ籠池泰典よ 君を泣く
君の無念を噛みしめる
夫婦逮捕で空いた家
主の留守が好都合
空き巣ねらいも同然に
競売手続き開始とは
卑劣と非情は権勢に
常に伴うものなれど
怒りは怒髪天をつく
祟徳の院は舌を噛み
血文字の呪いを書きつけて
魔道の王となりしとか
ああ君の心も似たるかな
憤怒の炎 燃やさばや
いずれは言葉を取り戻し
アベの顔色なからしめ
溜飲下ろすその日まで
君 精気を失うことなかれ
矜持を捨てることなかれ
叛骨失うことなかれ
膝を屈することなかれ
あゝ 籠池泰典よ 君を泣く
妻と息子を支えとし
君 力を落とすことなかれ
(2018年2月28日・連続1795回)
本日(2月27日)の赤旗11面に掲載されたあるコラム。筆者は、大阪の元教員。「中学生が学ぶ働くルール」連載第4回の最終回。拡散のつもりで、全文をご紹介したい。
「最終回は、解雇と退職勧奨の違い、整理解雇の4要件がテーマです。
歯科衛生士の私の妻は勤務先の病院が歯科を閉鎖するとき、解雇されそうになりました。退職手続きにやってきた事務長に、妻は「これは解雇か退職勧奨か」と問い詰めます。のらりくらりと逃げる事務長に、「解雇するなら撤底的にたたかう。大阪労連(授業ではO労連)にも支援を要請する」と通告しました。
事務長の質問「大阪労連って何?」は想定内でした。「大阪労連はK病院(同じ業種)やMゴルフ場(病院の裏山)の解雇を撤回させた組織です」と言ったとたんに事務長は部屋を飛び出しました。夕方には会長がやって来て、希望者全員が他の部署で継続雇用となりました。
授業では事務長とのやりとりをリアルに再現しました。1人の抗議で解雇を撤回させることができた背景には地域の二つの労働争議があったこと、そして1人の抗議が同僚の職も守ることができたことを伝えました。生徒の感想は…。
『声をあげることは少し怖いですが、それをすることで自分の一生も、もしかしたら他の人の人生も変わるかもしれないなと思った』
『不当な扱いに声をあげることは、自分のためだけではなく周りの人のためにもなるということがよくわかった』
『僕は、1人が世の中の常識を知っていたら多くの人が救われると思う。いけないことがあるならば、はっきり言うことが大事だなと思った。働くルールを理解し、まちがいをしないようにしたいと思った』
連載を終えるにあたってひと言。労働組合や民主団体は、常に世代継承の課題と向き合っています。一方で若者はアルバイトや奨学金の返済に追われ、社会の仕組みを学ぶ機会が奪われているのが現状です。彼らの生活や感性に寄り添った学びの場を提供すれば、大きく成長する可能性も秘めており、ここに希望があるのではないでしょうか。」
なんと真っ当な中学生の反応だろう。確かに、「ここに希望がある」。中学生や高校生に、「働くルール」を教えることは大切だ。昔私が若手弁護士として労働事件にのめり込んでいたころ、私教連からの要請を受けて、就職間近の高校3年生に、労働基準法と労働組合法の講義をしたことがある。明日からの実人生に関わる問題として、みんなが真剣に聞いてくれたことを思い出す。何年かにわたって、延べ10回ほどもしたのではなかったか。道徳教育の時間など、全部を「働くルール」に充ててもよいのではないか。
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同じ日に、毎日新聞に対照的な記事がある。京セラを創業した稲盛和夫の半生記「思い邪(よこしま)なし」。ロングインタビューをした作家の執筆という。
本日の小見出しは、「若手社員の反乱」
設立2年目の昭和35年(1960年)、高卒の新人社員を20名迎え入れた。元気があって優秀そうな少年たちが入ってきてくれた。
ところが彼らは入社直後から不満をこぼし始める。
理由はあった。採用の際、宮木電機の立派な事務所を借りて面接をしたのだ。当然彼らは試験会場を本社だと思い込んでいる。ところが入社すると、宮木電機の古ぼけた木造の倉庫のような建物が自分たちの会社の本当の姿だったのだ。一階の焼成炉の出す熱が二階にまともに上がってくる。夏は猛烈な暑さの中、下着姿で汗だくになって働かされた。
(詐欺に漕ったも同然だ!)と不満をこぼし始める。
1年でそれは爆発する。
昭和36年(1961年)4月29日のこと、前の年に入った高卒社員のうちの11人が突然、稲盛のところにきて「要求書」を突き出した。
採用時に一年経てば月給制にすると約束していたことの速やかな履行(それまでは日給制で、遅刻・早退・欠勤があるとその時間分を基本給から差し引かれていた)。そして毎年の昇給とボーナスの支払いなど将来の保証を求めてきたのである。
「これを了承していただけなければ全員辞めます!」
青天の霹靂とはこのことだ。
〈採用試験のときから、「何ができるか分からないが、一生懸命頑張って立派な企業にしたいと思っている。そういう企業で働いてみる気はないか」と彼らに話をしてきた。それを承知のうえで採用され入社したはずなのに、一年早々で会社に要求を突きつけ、「保証をしてもらわなければ、我々は会社を辞めたい」と言ってきた〉(『ガキの自叙伝』)
おまけに採用時に知らなかた事実が判明する。高卒の新入社員には京都西陣の職工の子弟が多かったのだが、中でもリーダー格の青年の父親は西陣の共産党のオルグの中核をしており、彼は家で夜な夜な父親たちが労働争議の相談をしているのを聞きながら育ったというような家庭環境だったのだ。
「だから会社にも赤旗新聞を持ってきて、廊下に落ちておったりするのはざらだったんですね。非常に危険だなというふうに、当時思っておりました。その連中に一生懸命、人間とはというようなものを説いてですね。みんなをこちらのほうに向けさせていくというのを頑張ったんですけれども…」
当時を思い出して筆者に語る稲盛の顔に、悔しそうな表情が浮かんだ。
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私は、1962年に高校を卒業しているから、稲盛に「要求書」を突きつけた若者たちと同世代、親近感を覚える。団結しての、断固たるスジの通った要求。立派なものだ。
これに対して、約束を守らずして、「その連中に一生懸命、『人間とは』というようなものを説いてですね」とごまかそうという稲盛はみっともない。アベ並みの「思いっきり邪(よこしま)」ではないか。資本主義社会とは合理的なものだ。《契約は遵守されなければならない。とりわけ、企業が労働者にした約束においては》。こんな当たり前のことが分かっていないのだ。
しかも、「リーダー格の青年の父親は共産党のオルグの中核をしており、彼は家で夜な夜な父親たちが労働争議の相談をしているのを聞きながら育ったというような家庭環境」「非常に危険だな」が、たいへんに興味深い。
天皇制下での治安維持法は、国体の安寧と併せて、露骨にも資本主義経済体制の擁護を目的に明記した。恐らくは、戦前の企業人にとっては、天皇制の擁護と共産党の排除とは表裏一体のもので、天皇制政府が企業の守護者であると実感していたに違いない。60年当時の稲森の頭も、反共主義の点では戦前の経営者と同様の感覚だったことをよく示している。恐らくは今なお同じに違いないし、多くの経営者が同じ頭になっているのだろう。
つくづく思う。中学生にも高校生にも、働くルール学ぶことは重要だ。稲森とて、純粋な中学生時代があったろう。その頃に、「働くルール」をきちんと学ばせておくべきだった。そうすれば、起業してから、労使双方にとってもっとよい労働環境を作ることができただろう。無用な紛争を避けることは、労使双方にメリットがあることではないか。
今、アベ政権が「働き方改革(働かせ改悪)」一括法案を国会に提出予定であり、裁量労働制の対象業種拡大が大きな話題となっている。アベのやることだ、企業の利益のためのものであって労働者の不利益に決まっている、と考えるべきがまず真っ当な感覚。そして、労働時間に関する仕組みの基本は、中学生や高校生のうちにきちんと学んでおくべきなのだ。稲盛だけではなく、「思い邪(よこしま)」な経営者が跋扈しているのだから。
(2018年2月27日)