澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

キャリア官僚が語る出世の極意 ー 飲み会と忖度の処世術

(2021年2月27日)
私が、いま巷の話題を独占している「時の人」、あの有名キャリア官僚。もと総務審議官で、首相秘書官の経歴もある。今は内閣広報官。有名になったら、ヤメロ、引っ込めという理不尽な声や、「続投はあり得ない」という野党や与党の一部のご意見もあるけど、どこ吹く風ね。私から辞表は考えられないし、なんと言っても内閣総理大臣ご自身が私の続投を望んでいらっしゃる。

育鵬社っていう教科書会社ご存知でしょう。右翼偏向だとか政権ベッタリと言われるけど、私は立派な教科書を出していると思っている。安倍政権支持という教科書も珍しいし、安倍さんと私を載せているんだもの。育鵬社版中学公民教科書に「憲政史上初の女性首相秘書官(2013年)」という光栄な見出しを付けてね、「安倍晋三首相から辞令を受ける山田真貴子氏」という写真が掲載されているのよ。だから、まっとうな教育を受ける機会に恵まれた若い方には、私はお馴染みだと思うの。

自己紹介はここまで。これからの私のお話、若い人たちに、とりわけ女性に聞いていただきたいの。皆さん、よくお勉強なさいね。何のための勉強なんて考える暇があったら勉強すること。成績を上げれば、ちゃんとした大学に行けるわ。ちゃんとした大学で、学業に精を出せば、キャリアの官僚にもなれる。そこからの前途は洋々。いま、官僚志望の若い方が減っているんだけれど、官僚って魅力的な職業ですよ。

でも、官僚としてのやり甲斐は、出世をしてからのことね。官僚は出世しなくちゃあね。出世には官僚としての処世術が肝要なのよ。私のように出世して、2代の総理のおぼえめでたく、高給を食む地位に達するには、幸運を引寄せる力がなければならないの。この力は、勉強だけでは身につかない。青くさい理想を語っていてもだめね。

出世は、誰かに目を留めてもらい、その人に信頼され、引き立ててもらわなければならない。つまり、勉強しただけで出世はできないってこと。出世は、そういう人やチャンスに巡り会わなければならないのね。誰もが、自分にチャンスをくれる人に出会ったり、実績をあげられるプロジェクトにめぐりあったり、そういう幸運に恵まれたいと思うでしょう。そういう、プロジェクトや人にめぐりあう確率が人によってそう違うはずはありません。違いはどれだけ多くの人に出会い、多くのチャンレジをしているか。イベントやプロジェクトに誘われたら、絶対に断らない。まぁ飲み会も断らない。

断る人は二度と誘われません。幸運に巡り合うそういう機会も減っていきます。私自身、仕事ももちろんなんですけど、飲み会を絶対に断らない女としてやってきました。お高くとまっていてはだめなのよ。ポッキーゲームだってやったのよ。楽しそうなフリをして。勉強、プロジェクト、人、多くのものに出会うチャンスを愚直に広げていってほしいと思います。

こうして出会いのチャンスを広げることで、自分を引き立ててくれる人が見つかる。そういう人を見つければ、その人に対する忖度一直線。それこそが、出世の秘訣ね。

総務省を牛耳っていた菅さんが官房長官になり、首相になった。菅さんが、私に出世のチャンスをくれた。その菅さんの長男を、出世のためのアンテナを張り続けていた私が意識しなかったはずはないでしょう。菅さんは私に出世のチャンスをくれた。私は、自分の権限の範囲内で菅さんの喜ぶことをして恩を返し、さらなる出世を確実なものとする。これって、麗しいウィンウィンの関係じゃないですか。

電波行政の責任者だった私ですよ。菅さんの長男が衛星放送事業者の幹部社員になっていたことを知らないはずはないじゃないですか。放送事業者の幹部から接待を受ければ当然に公務員倫理に違反する。そんなことは分かっていますよ。それでも、「東北新社」側から接待を持ちかけられれば、菅さんのご長男が接待役なのですから断れるわけがない。1人あたり7万4203円の接待だったと言いますが、そのくらいの金額、大袈裟にいうほどのことでもないでしょう。

この接待が、たまたま公になったのは誤算でしたが、少ししおらしく、「心の緩みであって、利害関係者かどうかのチェックが十分でなかった」くらい言っておけば、大丈夫なんですよ。

そして、会席に菅さんの息子がいたことを明確には言わない。ぼかしてみせるのが、出世する官僚のマナー。国会で、「5人の会食で、首相の息子がいたかどうか分からないのか」と聞かれて、「私にとって大きな事実だったかというと、必ずしもそうではない」と少し笑いながら答えたのは、首相2人の身近に仕えた自分の大物ぶりをアピールしただけではなく、私を引き立ててくれた菅さんの恩義への報い方なのですよ。

つまり、憲法15条を本気で信じて「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」なんて、融通のきかないのは出世をしない人。出世をしようと思ったら、引き立ててくれる上司や政治家を見極めて奉仕する心構えが必要なのね。しっかりとこう心得て、菅さんや安倍さんに引き立ててもらい、恩を返してながら、出世の階段を昇ってきたのが話題の私です。是非、若い皆さんも、参考にしてくださいね。

おや、どうしたの? 少し白けた雰囲気ではないですか。皆さん、気色ばんで何か言いたそうな面もち。そんな態度では出世はできそうにありませんね。ご質問は受け付けますが、一人一問に限らせていただきます。業界では「更問(さらとい)」と言いますが、重ねて質問を畳み込むような無作法なことはやめてくださいね。

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Published in 日曜日, 2月 28th, 2021, at 19:23, and filed under 安倍政権.

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