澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

本日夕刻の地元街宣行動で

当ブログが新装開店したのは本年4月1日。以来8か月、1日の休載もなく更新を継続している。8か月の連載で、ほぼ形が定まってきたように思う。

見てのとおり、何の工夫もなく文字を連ねるだけの不粋でシンプルこの上ないブログ。ほかでは見たことがない。論語は、「質、文に勝てば則ち野。文、質に勝てば則ち史。文質彬彬として然る後に君子なり」(内容さえよけりゃなんて言うのはヤボ、さりとて格好だけじゃカラッポ。内容と見てくれとマッチングしなけりゃね)と教えている。敢えて孔子に逆らっての「質」だけ志向ブログは、私の性に合っている。どこのプロバイダーとも無縁(のはず)。どうして、まったくの無料でブログを発信し続けていられるのか、仕組みはいまだに理解できていない。

このブログの11月の訪問者は一日平均で1604人、月間延べ訪問者数は48122人となった。開設当初の4月が7166人、5月が14768人だったから、着実に増加してきたことになる。なお、「11月の月間訪問件数」が183954とカウントされている。おそらくは、重複訪問を含めた延べアクセス回数のこと(?)だろうと思うのだが、一日平均6000を超える。訪問者数に比較して数字が多すぎるよう。これもよく分からない。

このアクセス数が、他のブログと比較して多いのか少ないのかは、よくわからない。ともかく、これだけの人に読んでいただいていることを、素直にありがたいと思っている。

時に、知り合いからアドバイスをいただく。多くは、「もう少し、短くしなさい」「長すぎてうんざり」「固い。もっと読みやすく」「もっとビジュアルだと良いのにね」というもの。「文質彬彬」を目指せということなのだ。が、改善の方法を知らない。知ろうとする熱意にも乏しい。

このブログの読者として想定しているのは、労組や市民運動の活動家層。ビラや職場新聞を作ったり、街宣活動でスピーチをしたり、ブログでの発信をしたり、あるいは声明文を起案するとき…。そんなときに、参考にしていただけたら幸いである。適当に切りとってそのままつかっていただいても、加工し改ざんして使っていただいてもいっこうに差し支えない。引用元の明示も不要だ。転載・引用していただけるに値するような、憲法ネタを提供し続けていきたいと思う。

下記の街宣スピーチも、そのような一例として捉えてもらえばありがたい。

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国会周辺の大行動が大事なことは言うまでもないが、そこには問題の重大性をよくわかった人が集まっている。地域で、多くの町の人に訴えることも大切。そんな思いで、今夕は「憲法改悪反対文京共同センター」による「秘密保護法案廃案を求める地域共同宣伝行動」に参加した。総員42名の大きな宣伝行動となった。

街宣車がスピーカーを使った時間はきっかり1時間。最初と最後の2度。マイクをまわしていただいた。結構な時間をいただき、まとまったことを喋ることができた。

「後楽園駅前をご通行中の皆様。私たちは、皆様の耳に声が届くようにスピーカーを使います。しかし、『スピーカーで音を出すからテロリスト』などと誤解なさらぬようにお願いいたします。民主々義をこよなく大切に思う立ち場からの訴えです。

今国会で審議中の特定秘密保護法案は、国民の知る権利や平和を侵害します。稀代の悪法と言って過言でありません。その徹底審議を通じて廃案を求める宣伝活動を行っています。ぜひ配布のチラシをお読みください。署名もお願いいたします。

この法案は、今年の9月3日に、初めて「概要」として示されたものです。同時にパブコメの募集がなされました。パブコメの募集期間は、原則1か月とされていますが、どういうわけかこの大切な法案についてはわずかに15日間。そして、多くのパブコメ募集には1件のコメントも寄せられないのが実態なのですが、この法案「概要」には、15日間に9万件を超える意見が寄せられました。しかもその8割が、明確な反対意見だったのです。パブコメに示された国民の圧倒的な反対世論はどう生かされたでしょうか。安倍政権は、まさしく一顧だにすることもありませんでした。

9月27日に「政府原案の詳細」が発表されました。そして、自民・公明両党の修正協議と合意を経て、衆議院に法案が提出されたのは10月25日でした。審議にはいったのは11月7日です。それからわずかに20日足らず、11月26日に強行採決によって衆議院を通過しました。

あらゆるマスコミがこの事態を批判しています。「拙速である。」「審議が不十分だ」「国民の理解が得られていない」「審議が深まるにつれて法案の危険は益々明らかになって来ているではないか」「与党には数の傲りがあるのではないか」。今や、慎重審議を求める世論は天の声。圧倒的な多数の意見です。

しかし、安倍政権と与党とは、参議院で審議中のこの法案を6日の会期末までに一丁あがりにするのだ言い切っています。衆議院と同じく、スケジュールありきで、強行採決を厭わないとしているのです。

なぜ、政府と与党とは、こんなにも急ぐのでしょうか。それは彼らに自信がないから。今、この法案の中身を知り理解した世論は、急速に反対の盛り上がりを見せています。時間が経てば経つほど国民世論は反対に固まっていく。できれば法案の内容を国民には秘密にしたまま成立させたい。それができなければ、国民が十分に法案の危険を知る前に、できるだけ早期に成立させてしまえ、と言うのが政府と与党の考え方なのです。

今、この法案に対しては、「賛成」と「反対」の二つだけでなく、「徹底した慎重審議を求める」という、第3の立ち場の比重が大きなものとなっています。あらゆる世論調査での圧倒的な多数意見が、「今国会の成立にこだわらず、徹底して審議を尽くせ」「法案成立はあくまで慎重に」というものです。政府・与党の会期内強行採決は道理ある国民世論に背くものといわなければなりません。

国民とって、この法案の危険性はどこにあるのでしょうか。
特定秘密保護法案は、「行政機関の長」が特定秘密を指定し、指定された秘密を、重罰を科することによって保護しようという基本構造をもつ法律です。指定を予定される特定秘密の数は、現在行政が「特別管理秘密」としている42万件。これを漏らした公務員は最高刑懲役10年プラス罰金1000万円。刑罰に処せられるのは、秘密を取り扱う公務員だけではありません。気骨あるジャーナリストが公務員に情報取得のために「通常以上の強引な」取材活動をすると、これが懲役10年になりかねないのです。仮に、情報取得を働きかけて、当の公務員が応じなくとも、ジャーナリスト側は、独立教唆罪として懲役5年になりえます。しかも、何が秘密かはヒミツです。これを取り扱う公務員側は何が秘密かがわかる仕組みですが、民間側にはわからない。酒場での議論でも、煽動・共謀として罪になりかねません。有罪判決にならなくても、強制捜査の対象にはなりえます。また、このことが公務員にも、マスコミにも大きな萎縮効果をもたらします。結局は国民の知る権利が奪われることになるのです。

何が秘密かはヒミツですから、本当に法律が予定した秘密なのか、政権の都合だけで隠しておこうと、紛れ込まされた秘密なのか、国民に検証の手段はありません。政権の隠したい情報が際限なく秘密にされるおそれはどうしても拭えません。

政権は、国民に向かっていうでしょう。「政府を信用してください。間接的にせよ、選挙で選ばれた内閣です。そんな悪いことをするはずはありません」。ここが問題です。けっして政府を信頼してお任せしてはならない。それが民主々義社会の主権者のあり方です。しかも、憲法を変えてしまおうという安倍政権ではありませんか。沖縄返還時の密約を隠し通してきた自民党政権ではありませんか。これを信頼せよいうのがどだい無理な話。

では、一切の国の秘密を守る必要はないのか。今、そのような議論に拘泥する必要はありません。現行の法制で十分なのです。国家公務員法は、公務員が広く職務上知ることのできた秘密を漏えいした場合には懲役1年としています。自衛隊法は、自衛隊員が防衛秘密を漏えいした場合を懲役5年としています。そして、MDA秘密保護法(正式には『日米相互援助協定等に伴う秘密保護法』という長い名前)があります。これは、安保条約の下位協定である日米相互援助協定に基づいて、米軍から日本に提供された装備品やそれにかかわる情報を「特別防衛秘密」として、その漏えいを最高刑10年とするものです。

今問われているのは、このような秘密法制をなくしてしまうかどうかということではありません。現在の秘密保護法制を基点に、情報公開を進め行政の説明責任を重くする方向を選択するのか、それとも秘密を拡大し厳罰化によって国民に情報を隠匿する方向を選択するのか、その基本的な方向性が問われているのです。

もうすぐ、12月8日が来ます。1941年12月8日早朝、大本営発表の臨時ニュースで、国民は帝国海軍が米英と戦争を始めたことを知ったのです。まさしく、戦争は秘密から始まります。戦争は軍事機密を保護する法律を必要とします。まさしく、この特定秘密保護法がそれにあたります。

民主々義と平和を守るためにあと3日。強行採決などなきよう、世論の力で政権と与党を包囲しようではありませんか。
(2013年12月3日)

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