途中下車はもったいない。目的地まで乗車のお薦め。
参院選公示日の前夜である。この参院選が、もしや、憲法の命運を決める選挙となるかも知れない。明日も雨天の予報。重苦しさは拭えない。
前哨戦としての都議戦では、悲観の一面が大きかった。自公は確かに強さを見せた。アベノミクスの馬脚が露顕するまでは、この基本情勢に変化はないかと思われる。
他面、自公の政策に対決する受け皿として、共産党の存在が俄然注目されるようになった。これは貴重なことだと思う。いくつもの調査結果において、これまでなく無党派層の投票先が共産党になったと報告されいる。
大局的に国民の投票行動を見れば、次のようなことと言えるだろう。
2009年の総選挙が時代を画するものであった。それまで、自公政権の新自由主義的政策は格差を拡げ貧困を蔓延させた。安倍一次内閣の保守的姿勢にも国民の不安は募った。こうして、自公政権はジリ貧となり、自公政治にアンチテーゼを掲げた民主党が09年に政権を獲得した。ところが、その民主党は、経済・外交・雇傭・福祉・原発問題等々で国民への公約を裏切り、急速に信頼を失った。こうして、2012年12月総選挙で、民主は大敗し再び自公に政権を明け渡した。しかし、自公の勝利は、民主の大敗の裏返しでしかなく、09年の得票を上回る得票獲得はは成らなかった。09年の民主の大量票の多くが、棄権と「第3極」に流れた。
自民に欺され、民主に裏切られた、そう考える人々の多くは、「自民回帰」「第3極」「棄権」の3選択肢が意識された。総選挙までは。
その様子が変わって、都議選では共産党という新たな受け皿が、現実的な選択肢として意識されるようになった。理由はいろいろあろうが、政策が一貫し、明快で、しかもぶれないことが評価されてきたのだろう。
「共産党の理論や政策はもっとも筋が通っていてるが、投票しても当選しそうにない。死票にするのはもったいないから、アンチ自民で当選しそうな政党に投票する」という一群の投票行動があったと思う。
しかし、事態は変化してきた。そもそも、自公に対決する政治勢力の本流が共産党となったではないか。まともなアンチ自民勢力は共産党を措いてないに等しい状況ではないか。憲法・原発・福祉・雇傭・教育・格差貧困・経済・財政・外交・安全保障…、いかなる分野でも、自公対共産の対抗軸で政策が争われている。
共産党の政策はよいけど、投票はそれに近い中間政党に、という途中下車の必要はない。途中下車こそがもったいない。大切な一票を生かしきるためには、「第3極」や中間政党に途中下車することなく、目的地までのご乗車をお薦めする。そうでなくては、せっかくの乗車の甲斐もなくなる。