澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

DHCスラップ「反撃訴訟」判決言い渡しは、10月4日(金)13時15分。415号法廷で。

DHCスラップ「反撃訴訟」判決言い渡しが近づくこの時期に、昨日に続いてのスラップ訴訟のご紹介だが、本日は朗報。スラップを違法と断じた判決(一審)のお知らせ。これは、幸先がよい。

まずは、こんなスラップの提訴があった。
  裁判所  千葉地裁松戸支部(江尻禎裁判官)
  提訴日 2018年11月
  原 告 久保田学(N国所属の立川市議)
  被 告 ちだい氏(フリー・ジャーナリスト、本名石渡智大)
  請 求 名誉毀損慰謝料200万円

これに、被告が反訴を提起した。スラップの提起を不法行為としたもの。
  反訴提起日 2019年6月
  反訴原告 ちだい氏
  反訴被告 久保田学
  請  求 慰謝料とスラップ応訴費用等120万円

判決はこうなった
  裁判所  千葉地裁松戸支部(江尻禎裁判官)
  判決日 2019年9月19日
  本 訴 原告久保田から被告ちだいに対する請求は棄却
  反 訴 反訴原告ちだいから反訴被告久保田に対する請求は一部認容
  認容額 78万5600円(久保田がちだいに支払わねばならない金額)

200万円のスラップ提起に対して、スラップ被害者の慰謝料と応訴費用とで、78万円を認容したことの意義は大きい。スラップ提起への警鐘となり得る判決と評価してよい。

その概要を毎日がこう報道している。

 「NHKから国民を守る党(N国)」の東京都立川市議がフリーライターの男性を名誉毀損(きそん)で訴えた訴訟。千葉地裁松戸支部(江尻禎裁判官)は19日、N国の立花孝志党首が「裁判をして相手にダメージを与えるためにやったスラップ訴訟」と公言していたことなどを踏まえ、提訴は「著しく相当性を欠く」などとして市議に約78万円の支払いを命じた。」

 ちだいさんは昨年6月、立川市議選に立候補し、当選した久保田学氏について、「立川市に居住実態がほとんどない」とする記事を書き、久保田氏から「名誉毀損だ」などとして同11月に200万円の賠償請求訴訟を起こされた。久保田氏は今年5月に訴訟取り下げの意向を示したが、ちだいさんは同6月、「正当な表現活動を萎縮させる目的のもとになされたスラップ訴訟だ」などとして約120万円の賠償を求めて反訴した。

  千葉地裁松戸支部の判決は、久保田氏が東京都江戸川区平井のマンションで昨年3月に作成した動画で「平井を引き払って落ちたらどうすんの? 住む場所なくなっちゃうじゃん」などと発言していたことや、立花党首が今年5月作成の動画で「この裁判は、そもそも勝ってお金をもらいにいく裁判じゃなくて、いわゆるスラップ訴訟。裁判をして相手に経済的ダメージを与えるための裁判の事をスラップ訴訟というんですよ」などと発言したことを認定した。

 そのうえで、「原告は、被告が本件記述を真実と信じたことについて相当な理由があることを知りながら、あえて本訴を提起したもので、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くものと認めざるをえない。よって、原告による本訴提起は、被告に対する不法行為を構成する」などと指摘。反訴したちだいさんの訴えを一部認め、久保田氏に78万5600円の支払いを命じた。

ちだい氏コメント

 「批判できないというのは民主主義において致命的で、このままみんなが黙ってしまうと独裁国家に近づいていく。ファシズムの初めだと思っている。議員2人の政党だけでなく、たとえば与党がやり始めると、本当にみんな何もしゃべれなくなる。今回の判決は、民主主義を守るうえで大事な判決だったのではないか」

これに、専修大の内藤光博教授(憲法)による解説が続く。

 スラップ訴訟とは「政府、地方自治体、政党や大企業など、政治的・社会的・経済的に優位にある団体や集団、個人などが、反対意見や異議申し立てを行う市民、市民団体やジャーナリストなど力の弱い立場にある側を相手取り、言論活動を抑制することを目的に、名誉毀損訴訟など高額の賠償を請求する民事損害訴訟」をさす。恫喝訴訟とも言う。反対者や批判者、異議申立者の言論を封じることが目的なので、訴訟の勝敗は問題ではなく、敗訴しても、「訴えたこと」で目的が達成される。

 スラップ訴訟は、被告側に敗訴した場合の損害賠償や裁判にかかる高額の費用、時間的拘束などを恐れさせ、反対意見や異議申し立てなどの言論活動を思いとどまらせる「萎縮効果」を与え、訴えられた被告だけでなく、被告以外の市民やジャーナリストなどの言論活動にも大きな萎縮効果を与える。

 この判決は、一見特殊な事情があってのもののように見える。「立花党首が今年5月作成の動画で『この裁判は、そもそも勝ってお金をもらいにいく裁判じゃなくて、いわゆるスラップ訴訟』と、言わば提訴権の濫用についての自白があったことからのスラップ断罪ではないののだろうか。

しかし、この立花の「スラップ自白動画」が作成され、被告(反訴原告)がこれを入手できたのは、偶然のなせる業と言わねばならない。おそらく多くのスラップ提訴の陰には、動画には撮られることのない「スラップ謀議」が行われている。普通なら、表に出てくることのないスラップの意図を間接証拠の積み上げで認定しなければならない。

私(澤藤)が被告にされたDHCスラップ訴訟でも、提訴の事前にDHCの社屋の一室で、スラップ謀議があったに違いない。しかし、そのような証明は不可能なのだ。事実経過を積み重ねて、「本件提訴は、著しく相当性を欠く」ものと認定しなければならない。

私に対するDHC・吉田嘉明の提訴が、自らの権利実現のためではなく、自らに対する批判の言論の萎縮を狙ってのものということについては,種々の間接事実の積み重ねで十分な立証ができている。

以下は弁護団長作成の記者レク資料の末尾の一文である。

本件(DHCスラップ訴訟)は、経済的強者が、その資金力にものを言わせ、勝訴の見込みなどはお構いなしに、批判する個人や団体を被告席に座らせ、一般公衆の批判言論に威嚇を加えたもので、スラップ訴訟の典型であり、恰好の題材である。吉田が裁判所の出頭命令に応じないという態度も、吉田らの裁判濫用の意図を端的に示している。

裁判所も、本件では、スラップ性の判断にあたり、これまでとは一線を画した訴訟指揮を採った。公共的言論の「不当な裁判から免れる権利」について、エポックとなる判決を期待したい。

(2019年9月26日)

「差別を差別と非難し、デマをデマと断じることはメディアの役目。」

またまたの典型的なスラップ訴訟のご紹介。ヘイトスピーチへの批判の新聞記事が名誉毀損とされ、地方紙の記者が訴えられた事例。いま、ヘイトとヘイト規制が熱くせめぎ合っている川崎での事件である。

まずは、神奈川新聞社会面の今日(9月25日)の記事で概要を把握いただきたい。

「差別報じた記事、名誉毀損と提訴」「本紙記者争う姿勢」

 在日コリアンに関する講演会での自身の発言を悪質なデマなどと報道され、名誉を毀損されたとして、今春の川崎市議選に立候補した佐久間吾一氏が神奈川新聞社の石橋学記者に140万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が24日、横浜地裁川崎支部(飯塚宏裁判長)であった。石橋記者側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。

 訴えによると、佐久間氏は自身が代表を務める団体が同市内で主催した2月の講演会で、「旧日本鋼管の土地をコリア系が占領している」「共産革命の橋頭堡が築かれ今も闘いが続いている」と発言。この発言に対し、「悪意に満ちたデマによる敵視と誹謗中傷」と石橋記者に報じられたことで、立候補予定者である佐久間氏の名誉が著しく毀損されたと主張している。

 口頭弁論で、石橋記者側は「佐久間氏の発言は事実に反している」と指摘。「そうした発言は在日コリアンを敵とみなし、在日コリアンを傷つける差別の扇動である」とした上で、「記事は、佐久間氏の言動が人権侵害に当たるとの意見ないし論評の域を出ていない」と反論した。

原告(佐久閒)は、排外主義を掲げる日本第一党の活動家。ヘイトの常連といってよい。石橋記者は事後報告集会で「記事を書けば訴えられ、面倒に巻き込まれると萎縮効果を狙っているのは間違いない。メディアこそが先頭に立って差別をなくすべきだとの記事を書き続けていく。ヘイトの状況がこうなる以前にメディアとしての役割を果たしていなかったという思いもある」と今後の裁判に決意を表したという。

報じられている限りでだが、名誉毀損とされた表現は、以下のとおり。
原告(佐久閒)の「旧日本鋼管の土地をコリア系が占領している」「共産革命の橋頭堡が築かれ今も闘いが続いている」との発言》に関しての、「悪意に満ちたデマによる敵視と誹謗中傷」との記事。

この事件、原告(佐久閒)側に100%勝ち目はない。勝ち目がなくても、相手に相応の嫌がらせにはなる。その効果を狙っての提訴がスラップ訴訟というものだ。石橋記者が、「記事を書けば訴えられ、面倒に巻き込まれると萎縮効果を狙っているのは間違いない。」と言っているとおり。

名誉毀損訴訟では、名誉毀損表現を構成する「事実摘示〉評(ないし意見表明」とを厳密に分ける。判例は、「事実摘示」の誤りには厳しいが、「論評」の自由の幅は、表現の自由の理念を意識して極めて広い。極端な人格攻撃をともなわない限り、論評の違法はないと考えてよい。

事実摘示の主要部分が真実で、記事に公共性・公益性が認められる限り、違法性はないものとされ、損害賠償請求は棄却される。

本件訴訟における「名誉毀損表現」の事実摘示は、《原告佐久閒が「旧日本鋼管の土地をコリア系が占領している」「共産革命の橋頭堡が築かれ今も闘いが続いている」と発言したことである。被告石橋記者は、この発言がなされたという事実の真実性の挙証は要求される。しかし、それで十分でそれ以上は要求されない。

念のためだが、「旧日本鋼管の土地をコリア系が占領している」「共産革命の橋頭堡が築かれ今も闘いが続いている」との佐久閒の発言の真偽は、実は訴訟の本筋に無関係で、審理や判決に影響を及ぼさない。もちろん、石橋記者側に、これがデマであることの挙証責任の負担はない。

ところで、被告・石橋記者の代理人となっている神原元弁護士のツイートのボルテージが高い。こちらも紹介しておく。

【拡散希望】「佐久間吾一氏・『差別扇動』裁判」第一回期日のお知らせ
神奈川新聞記者石橋学さんは、市議候補者佐久間吾一氏の発言を扱った、記事『差別言動繰り返し』で訴えられました。

佐久間氏の発言は差別扇動か否か?世紀の裁判が始まる??
9月24日午前11時30分
横浜地裁川崎支部1号法廷

問題にされたのはこの記事。ヘイト団体の集会を「差別扇動」と批判し、佐久間吾一氏の発言を批判する内容だ。

佐久間氏は名誉毀損だと主張しているが、「佐久間氏の発言は川崎南部に集住する在日コリアンに対する差別扇動だ」というのか石橋さんの主張だ。

裁判所はどちらの主張に軍配をあげるか?

我々石橋さんの弁護団は、川崎におけるヘイトスピーチ被害の実態や佐久間氏の発言の悪質性を立証し、「悪意あるデマであり、差別扇動」という石橋記事の正当性を主張する。

この訴訟の勝利により、全国のヘイト団体は、川崎南部地域において差別扇動を決して許さない活動の力強さを、思い知るだろう。

いよいよ今日。
川崎におけるヘイトvs.反ヘイトの最後の決戦の火蓋が切られる。
ここが「主戦場」だ。

この裁判は、川崎におけるヘイトと反ヘイトの、いわば「主戦場」になるかもしれない。そして、川崎は全国における反ヘイトの「主戦場」である。

したがって、川崎におけるこの裁判の勝利の効果は全国に波及するかもしれない。そして、正義は我々にある。正義は勝つだろう。

石橋学記者も、こう発信している。
「差別を差別と非難し、デマをデマと断じることはメディアの役目。ヘイトを断罪する判決を勝ち取ります。」

その意気や良し、である。もちろん、メディアの役割を「客観的なできごとの伝達」に限定する立場もあろう。しかし、今の権力主導のヘイトとデマの蔓延、そして権力忖度のメディアの状況を考えるとき、石橋記者のごとき心意気をたいへん貴重なものと思わざるを得ない。私も、DHCスラップ訴訟被害者の立場として協力・応援を惜しまない。

同じ神奈川新聞の記者の下記連帯の意思表示が心強い。まことにそのとおりだ。
「言論封じにつながりかねない今回の訴訟は、すべての記者が当事者と言えます。差別のない社会に向けて、差別に対して声を上げる言論を守らなくてはなりません。」
(2019年9月25日)

宮古島市の市議会議員に申しあげる。うっかりスラップ提訴に賛成すると、その責任が問われますよ。

昨日(9月17日)の午後、沖縄の地方紙記者からの電話取材をうけた。住民訴訟を提起した市民6名を被告として、宮古島市が損害賠償請求訴訟を提起予定という件。これをスラップというべきか意見を聞きたい、という内容。

私が記者に話したのは、基本的には9月2日の下記ブログ記事のとおり。
おやめなさい ― 宮古島市・下地敏彦市長の市民に対するスラップ提訴
http://article9.jp/wordpress/?p=13268

あれやこれや、DHCスラップ訴訟の吉田嘉明との比較で話をしたが、記者が最も興味をもったのは、下記の点だった。

 「客観的に見て、市長がやろうとしていることは、市への批判に対する報復と萎縮を狙った民事訴訟として、典型的なスラップと言わざるを得ない。

 スラップの提訴は、民事訴訟制度本来の趣旨から逸脱した違法行為だ。だから、スラップ提訴の原告は、不法行為損害賠償の責任を負うことになる。当然に反訴あることを覚悟しなければならない。

 その場合、スラップ訴訟の原告となった宮古島市だけでなく、これを推進した下地市長個人も、提訴の提案に賛成の表決をした市議会議員も、共同不法行為者として責任を問われることになる公算が高い。

 憲法51条によって、国会議員はその表決について責任を問われることはないが、地方議員にこの免責特権はない。もちろん、合理的な根拠にもとづく限り、軽々に議員が表決の責任を問われるべきではないが、明らかな市民イジメのスラップでの賛成表決では事情が異なる。

 一連の経過から見て、現在議会に上程されている本件提訴案件は、一見明白なスラップであり、一見明白な違法提訴である。したがって、賛成の表決をした議員も有責となる可能性が限りなく高い。

 スラップの被告とされた住民側の弁護団は、必ず、市と市長だけでなく、賛成討論をした議員、賛成表決をした議員をも被告として、逆襲の訴訟を提起する。そうなると、市議会議員が被告席に座らされて、スラップの痛みを実感する側にまわることになる。

 だから、沖縄県内のメディアが、宮古島市議会議員に「市長の提案に賛成の表決に加わると、被告席に座らされ、個人責任を追及されることになる」という警告の記事を書くことの実践的意味は大きい。うっかり賛成しようとしている議員への親切ともなる。ぜひ、その旨を大きな記事にしていただきたい。

 取材の電話は2度あった。2度目の電話で要点を確認している最中に、記者が突然声をあげた。
「あれ、ちょっと待ってください。今緊急速報が入りました。市長は、議会への提訴案件を取り下げたそうです」

「おや、そうですか。それはよかった」ということとなったが、小一時間の電話での取材が無駄になった模様。

ただ、どうもこの撤回は確定的なものではないようだ。現地紙の報道は、下記のようなものとなっている。

「下地敏彦市長は17日、市議会9月定例会に提出した、市民6人を『名誉毀損』で訴える議案を撤回することを佐久本洋介議長宛てに文書で通知した。撤回の理由を『内容を精査する必要が生じたため』としている。再提案の可能性も含んでおり、野党側は市の動きを注視する考えだ。」(宮古毎日新聞)

「宮古島市議会(佐久本洋介議長)は18日の本議会で、宮古島市(下地敏彦市長)が市議会に提案していた不法投棄ごみ事業を巡る住民訴訟の原告市民6人を提訴する議案について、市側が申し出た議案の撤回を全会一致で承認した。
 下地市長は質疑で、撤回理由につて『(議案の中身を)きちんとする必要があるので、精査する』などと述べた。再提案については明言しなかった。」(琉球新報)

だから、再度申しあげる。市長さん、こんなみっともないスラップはおよしなさい。宮古島市と市民の恥となる。市長個人もスラップの責任を問われて損害賠償請求訴訟の被告となる。それだけではない。スラップの提訴に賛成した市議会議員諸君も、同様に表決の責任を問われて被告となる。誰にとっても、よいことはないのだから。
(2019年9月18日)

おやめなさい ― 宮古島市・下地敏彦市長の市民に対するスラップ提訴

世にブラック企業は数多あれども、スラップ企業の数は少ない。かつては武富士の悪名が高く、今はDHC・吉田嘉明がその汚名を欲しいままにしている。ブラックもスラップも企業の専売特許ではないが、自治体がブラック・スラップの汚名を着ることは実のところ珍しい。

DHCスラップ訴訟弁護団メーリングリストへの投稿で、沖縄県宮古島市が市民に対するスラップ訴訟を準備していることを知った。自治体が、DHC・吉田嘉明並みのスラップをやろうというのだ。まことに不名誉なこと、やめた方がよい。

宮古島市の下地敏彦市長は、自衛隊基地配備容認派として知られた人。生前の翁長知事が推す配備反対派を僅差で破って当選している。また、「オール沖縄」に対抗しての保守系市長連合「チーム沖縄」の会長を務めてもいる人。その人が、まるで吉田嘉明並みなのだ。

地元紙・宮古毎日新聞(8月29日付)が、「市が市民を提訴の動き/不法投棄ごみ撤去事業」との見出しで、以下のとおり報道している。予定の提訴は、6人の市民に対する名誉毀損損害賠償請求訴訟であり、請求金額は1100万円だという。首を傾げざるを得ない。

 最高裁で市民有志の訴えが棄却された不法投棄ごみ訴訟について、今度は市が原告だった市民6人を名誉毀損で訴える準備をしていることが28日までに分かった。市は同訴訟に向けた議案を9月3日開会予定の市議会9月定例会に提案する見通し。

 不法投棄ごみ裁判は、市が2014年度に行った不法投棄ごみ撤去事業で市に損害を与えたとして、市民らが同事業の予算額2251万円などを下地市長らに請求するよう市に求めた住民訴訟。

 一審の那覇地裁は住民側の請求を棄却。福岡高裁那覇支部は「極めてずさんな事務処理」としたものの、各支出命令などが法令に違反するとはいえないとして訴えを退け、最高裁でも住民側の訴えを棄却した。

 不法投棄ごみをめぐっては刑事訴訟もあり、当時の市の担当職員に有罪判決が言い渡されている。

 市が提案を予定している議案書には「違法な契約を締結したとか、違法な支出命令を行うことを阻止すべき指揮監督義務を怠ったなどと、訴訟手続きや新聞報道において虚偽の事実を繰り返し主張し続け、公然と虚偽の事実を摘示して宮古島市の名誉を毀損したものである」などと理由を説明し、損害賠償として1100万円の支払いを求めている。

 議案書にはまた「宮古島市は公法人であるが、公法人も社会的名誉を保有している」と訴えの提起の正当性を主張している。

 不法投棄ごみ裁判に関わった原告市民の一人は「裁判では市が実施したごみ撤去の方法の在り方をただしただけで、市を陥れるとか、自分たちの利益のためにしたわけではない」と強調。その上で「不法投棄ごみ問題を、もう一度市民に知らせる良い機会になる。市民を名誉毀損として提訴することは、市民から見れば市が逆に市民の名誉を傷付けることになるのではないか」と話した。

要領良くまとまった分かり易い記事。この記事で、市民の批判を謙虚に受けとめるべき立場の市長が、逆上して市民を攻撃している構図が鮮明である。

スラップは、厳密な法律用語ではなく、言わば法社会学的な語彙であるから、厳密な定義はなしがたい。厳密な定義はなしがたいものの、その核心は民事訴訟提起による威嚇によって、批判の言動を封殺しようという意図にある。典型的には、強者が弱者に対する高額損害賠償によって、被告を萎縮せしめ、被告の原告に対する批判の言論や行動を抑圧しようというものである。

まさしく、DHC・吉田嘉明の私に対する提訴がそのような典型であり、宮古島市・下地敏彦市長が行おうという提訴が、その同類である。実際に提訴に至れば、スラップ自治体として、DHC・吉田嘉明並みの批判を受けることを甘受せざるを得ない。

住民訴訟とは、納税者である市民が、自らの納税による自治体財政が正常に機能しているかの監視役となり、疑義あるときは地方公共団体の財務の適正を確保し、住民全体の利益を保護することを目的として、訴訟の提起ができるという制度である。提訴者は、個人的利益実現のために提訴するのではなく、市民の利益のために提訴するのだ。

住民訴訟の提起が仮に敗訴になったとしても、提訴自体が、当該自治体の財務会計上の行為や財産管理についての透明性や適法性の確保に役に立つものとなる。自治体やその首長が、これを敵視するようなことがあってはならない。

関連して思い出すことがある。2012年5月に、日民協が韓国憲法裁判所訪問団を組織して、私が団長となった。そのときの見学の話。

2008年の反BSE運動盛り上がりの中で、民弁(民主社会のための弁護士会)が、憲法裁判所への10万人提訴(正確には、「憲法訴願審判」の申立)運動に取り組んだ。民弁の呼び掛けに応じて原告となった市民の数は10万3000人になったという。原告目録作成だけで、たいへんな作業である。

この申立の費用は一切無料。原告に金銭的負担はかからない。「どうして無料なのでしょうか」という、私の愚問に、憲法裁判所の広報担当の裁判官は、こう回答した。

「原告になって提訴される市民がいればこそ、憲法裁判所が機能することができます。原告になる市民は、社会の中に憲法違反の事態がないかの監視役として、たいへん貴重な存在なのです。たとえ、棄却となる事件にもせよ、提訴は大歓迎で、原告から手数料を取って、金銭負担を強いることは考えられません」

翻って、住民訴訟の原告もまったく同様ではないか。自治体の支出や財産管理に違法がないかを監視している自覚的な市民は貴重な存在なのだ。ところが、宮古島市と下地市長にとってはそうではない。自治体の支出や財産管理に違法がないかを監視している自覚的な市民は、うるさくて邪魔な存在なのだ。

だから、これを恫喝し萎縮させて、市の財政の監視などするなというのだ。ちょうど、DHC・吉田嘉明が、私の批判の言論を不愉快として「黙れ」と恫喝してスラップを掛けて来たのと同じ構造である。怪しからぬことこの上ない。

明日(9月3日)から始まるという市議会で、議会の良識が下地市長をたしなめて、スラップ提訴の断念に追い込んでいただきたい。でなければ、宮古の恥になる。

なお、いうまでもなく民事訴訟の提起には費用を必要とする。これが、市の財政からの負担となる。敗訴必至のこの訴訟、訴訟費用の支出が、市民による監査請求から住民訴訟の対象となる。だから、提訴はやめるのが賢明ですぞ。下地さん。
(2019年9月2日)

デマとヘイトとスラップのDHCに、あらためて不買運動で制裁を。

DHCのヘイト体質が、韓国で話題になっている。
DHCとは、
 デマ
 ヘイト
 カンパニー
これに、スラップが加わって三拍子揃った、稀有な右翼体質企業。

そのDHCの子会社DHCテレビジョン(会長・吉田嘉明)が、8月14日ホームページに以下の声明(抜粋)を発表した。

韓国メディアによるDHC関連の報道について

 去る8月10日より数日間、韓国の放送局「JTBC」はじめ複数の韓国メディアによって、弊社製作の番組について、「嫌韓的」「歴史を歪曲している」などの批難報道が繰り返されている件、同時に、韓国内でDHC商品への不買運動が展開されている件につきまして、弊社の見解を申し上げます。

 弊社、株式会社DHCテレビジョンは、2015年、親会社である株式会社ディーエイチシーの提供を受け、「真相深入り! 虎ノ門ニュース」などのニュース解説・言論番組の配信を開始しました。
 この放送事業は、平和な民主主義国・日本における、いっそう自由な言論空間を具現すべく、従来のメディア等が「タブー」としてきた事柄含め、多角的にニュースを論じることを旨としております。当然のこととしまして、世界中の政治・経済、宗教など多岐にわたるトピックを扱う際、番組と出演者が、独自の見識、視点から、時折厳しく、内外の事象、人物へ批判を加える場面もあります。
 今般、韓国のメディアから弊社の番組内容に対し、「嫌韓的」「歴史を歪曲している」などの批難が寄せられていますが、弊社としましては、番組内のニュース解説の日韓関係に関する言説は、事実にもとづいたものや正当な批評であり、すべて自由な言論の範囲内と考えております。韓国のメディア各社におかれましては、弊社番組内容のどこがどう「嫌韓的」かどこがどう「歴史を歪曲」しているのかを、印象論ではなく、事実を示し具体的に指摘いただけましたら幸いです。
 一方、番組内容と無関係なDHC商品について、韓国の誠信女子大学の徐敬徳教授を中心に、「#さよならDHC」なる不買運動が展開されていることは大変遺憾に存じます。
 言うまでも有りませんが、韓国DHCが提供する商品やサービス、現地スタッフと、DHCテレビの番組内容とは直接何ら関係はありません。そうした常識を超えて、不買運動が展開されることは、「言論封殺」ではないかという恐れを禁じ得ません。
 しかしながら、DHCグループは今後も、健全なビジネス環境の土壌となる「自由で公正、多様性を尊ぶ」社会の維持・発展に寄与すべく、自由な言論の場づくりを有意義と考え続けます。
 その理念のもと、弊社DHCテレビジョンといたしましては、あらゆる圧力に屈することなく、自由な言論の空間をつくり守って参りたく存じます。

 この声明で、DHCに何が起こっているのか、DHCが何を恐れているのか、よくお分かりだろう。スラップ常習企業として知られるDHCが、自分の言論に対する攻撃には「言論封殺」と言って非難しているのが嗤うべき事態なのだ。

問題は、真相深入り! 虎ノ門ニュース」である。

リテラが、手際よく解説してくれている。これを引用させていただく。

発端は、韓国の放送局・JTBCのニュース番組が今月10日、「韓国で稼ぎ、自国では嫌韓放送…DHC“2つの顔”」と題し、DHC子会社のDHCテレビジョンが嫌韓放送をおこなっていると伝えたことだった。

 本サイトでは何度も取り上げてきたが、化粧品やサプリメントを主力商品とするDHCの吉田嘉明会長は、極右・歴史修正主義をがなりたてている企業経営者のひとり。2016年には「DHC会長メッセージ」のなかで在日コリアンにかんするデマを書き立てた上で〈似非日本人はいりません。母国に帰っていただきましょう〉などとヘイトスピーチを堂々と掲載したこともある。

 さらにDHCは、子会社としてDHCテレビジョンを擁し、安倍応援団がこぞって出演する『ニュース女子』や『真相深入り!虎ノ門ニュース』などの番組を制作、ここでも韓国や沖縄などに対するヘイトデマを垂れ流している。

私も、これまでDHCや吉田嘉明の酷さは、繰り返し書いてきた。下記を参照されたい。
http://article9.jp/wordpress/?cat=12

DHCがいう「いっそう自由な言論空間を具現すべく、従来のメディア等が「タブー」としてきた事柄含め、多角的にニュースを論じることを旨としております。」とは、「良識を大胆にかなぐり捨て、メディアの世界の規範を大きく逸脱することを厭わず、通常のメディアではとても口にできないヘイトの言論を重ねることによって、野放図で無規律なネトウヨ言論空間を具現することを旨としている」ということなのだ。

ヘイトをウリにしておいて、攻撃されると「当社番組内容のどこがどう「嫌韓的」か、どこがどう「歴史を歪曲」しているのかを、印象論ではなく、事実を示し具体的に指摘いただけましたら幸いです」と開き直るのは見苦しい。

極端な嫌韓ヘイト体質のDHCが、韓国に支社を置いて業務を行っていることは知らなかった。なるほど、韓国で稼ぎ、自国では嫌韓放送…DHC“2つの顔”」なのだ。韓国での事業に差し支えが生じるのは必然である。二つの顔が両立するものと考える神経が理解し難い。当然に起こるであろう不買運動を止めることはできない。実力での業務妨害をともなわない限り、不買運動が違法になることはない。もちろん犯罪にもならない。

日本国内でも、DHCの不買運動提唱は以前からある。私も呼びかけている。が、その影響の有無や程度はよく分からない。この際に、再度日本の消費者に呼びかけたい。日韓の消費者が連携して、デマとヘイトとスラップのDHCに制裁を加えようではないか。

『表現の不自由展』再開署名の第2次集約のお願い

「あいちトリエンナーレ2019」『表現の不自由展・その後』企画展の再開を求める署名の第2次集約は、8月26日(月)到着分までです。未署名の方は、次のいずれかの方法でよろしくお願いします。

●ネット署名の場合
下記URLの署名欄に記入のうえ、「送信」をクリックください
よかったらメッセージもお願いします
→  http://bit.ly/2YGYeu9

●用紙署名・郵送の場合
署名用紙を http://bit.ly/2Ynhc9H からダウンロードし、下記へ郵送ください
→ 〒285-0858  千葉県佐倉市ユーカリが丘2-1-8  佐倉ユーカリが丘郵便局 局留
表現の自由を守る市民の会 醍醐 聰 宛

なお、第一次署名は6,691筆を、8月15日、大村秀章実行委員長(愛知県知事)と河村たかし実行委員会会長代行(名古屋市長)に提出しました。

(2019年8月19日)

圧倒する勢いの中で「反撃訴訟」結審。判決期日は10月4日(金)13時15分 ― 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第159弾

 本日、DHCスラップ「反撃訴訟」が結審した。判決言い渡しは、10月4日(金)13時15分に、415号法廷で行われる。憲法の理念に沿った、後の歴史の検証に堪えうる判決が期待される。

本日の法廷では、反訴原告側代理人から10分余の最終準備書面の要約と、反訴被告最終準備書面内容への最小限の反論についての口頭陳述がなされた。これを下記に掲載しておきたい。
これまで、理論的にも訴訟の勢いにおいても、反訴原告側が圧倒してきた。本日は、そのダメ押しがなされたという雰囲気の中での結審。

閉廷後の報告集会は、穏やかな雰囲気だった。難しい類型の訴訟だが、これだけの立証があるのだから、勝訴飲み込みは十分という余裕。それぞれの確信に基づいて、こもごも語り合われた。
 「だいたい、本件は吉田嘉明自らの週刊誌手記が発端となったもの。渡辺喜美という政治家に8億円ものカネを渡したことを吉田嘉明自らが暴露したのではないか。これは、自分で言論の土俵を作り、これにに自ら乗ったということだ。当然に予想される批判には堂々と言論で応じるべきなのに、いきなりの訴訟はスラップでしかない」「しかも、吉田嘉明は『絶対に勝てると弁護士に聞かされた案件だけを選んで訴訟を提起した』というが、それは明らかにウソだ。絶対に勝てるのなら、まず仮処分をするのが常道。しかし、仮処分で勝つ見込みはまったくなかったから、批判のブログや記事を差し止める仮処分はしなかった。本訴を提起して、世の中を牽制し恫喝して、言論を萎縮させたのだ。」「本訴を提起しておいて、法務課の職員が、吉田嘉明批判のブログを潰しに回ったんだ。」「交替前の裁判長の勧告で、関連事件の訴訟記録が甲号証として出てきたことが大きい。あの総体を見れば、誰にだってDHC・吉田嘉明が提起した訴訟の異常性がよく分かる」「驚いたのは、代理人の弁護士が、『吉田嘉明の視野は凡人とは異なる高いところにあり、これまで同人の意見や指示が不合理だったことは一度もなく』と準備書面で書いてきたこと。弁護士の顔をまじまじと見てしまった。」「こんな弁護士もいるんだ。」などなど…。

傍聴者からも意見があった。この「デマとヘイトとスラップのDHC」を懲らしめるには、不買運動しかないと思うんですが、どこまでやってよいのでしょうかね。

国民は、有権者として選挙で社会を変えることもできますが、また、日々の消費生活における選択的消費行動によって、民主主義や人権を損なう企業に制裁を加えることによっても、よりよい社会を形作ることができます。そのような意味で、DHCの不買運動は、大いにやっていただきたいと思います。

 しかし、その手段は、飽くまでも言論によるものに限られます。実力で業務を妨害することは許されません。また、言論も虚偽を宣伝するようなことがあってはなりません。

 DHC・吉田嘉明については、彼ら自身がデマ・ヘイトを撒き散らし、スラップを濫発しているのですから、宣伝材料には事欠かないところです。是非、真実の言論を貫きながら、毅然たる不買運動の進展を期待します。

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小園恵介弁護士による反訴原告準備書面(5)の要約

 この最終準備書面は、最高裁判所1988(昭和63)年1月26日判決の判示に沿って、これまでに提出された証拠や、尋問の結果をふまえて、反訴原告の主張が正当であることを明確にするものです。

1.反訴被告らの主張する権利等が事実的、法律的根拠を欠くと容易に知りえたこと
公共の利害に関する事項についての論評について、その重要な前提事実が真実である場合には違法性がなく不法行為とならない、という「公正な論評の法理」は、確立した判例となっています。反訴被告らは、「公正な論評の法理」に沿って検討すれば、反訴被告らの主張する権利等が法律的根拠を欠くことを、容易に知ることができました。
これに対して反訴被告らは、弁護士と相談して「確実に勝てる」という回答を得たものについて提訴した、などと主張しています。しかし、弁護士が「確実に勝てる」などという助言をすることは通常考えられません。また、内海証人は、確実に勝てるという根拠について「名誉毀損の程度が著しいので」と述べましたが、名誉毀損の程度だけで不法行為が成立するものではなく、弁護士からそのような助言があったとも考えられません。反訴被告らの主張は信用することができません。

2.反訴被告らが被侵害権利の回復よりも言論封殺を目的としていたこと
(1) 当然に予想される批判を提訴対象としたこと
反訴被告吉田が公表した手記について、政治と金の問題を中心として広く批判や非難の声が上がることは当然に予想されるところであり、事実、内海証人も、手記の公表を受けて自主的に観察を始めた、と述べていました。
ところが、手記の公表から数日後には、反訴被告吉田は批判的言論に対して訴訟を提起するよう指示し、その後ごく短期間のうちに合計10件もの名誉毀損訴訟を提起するに至りました。しかも、提訴前に事前警告や仮処分申請もなされませんでした。

(2) 提訴の妥当性を慎重に検討した形跡がないこと
反訴被告らの主張によれば、反訴被告吉田が訴訟提起について検討するよう指示したのは、2014年(平成26年)4月4日のことでした。前件訴訟の提起は4月16日ですので、その間わずか12日しかありません。しかも、この日までに、反訴被告らは、合計5件の訴訟を提起していました。
内海証人によれば、提訴の検討のため弁護士事務所に行ったのは1回だけで、相談時間は2、3時間だったとのことでした。複数の、しかもそれぞれが数千万円以上という非常に高額な訴訟を提起するための打ち合わせ時間としては、異常な短さです。
実際、反訴被告らは、不法行為の成否を決める「公正な論評の法理」については、検討すらしていませんでした。
そのうえ、訴訟提起を指示したはずの反訴被告吉田は、検討に参加すらしていなかったといいます。
反訴被告らが、このような極めて不十分な検討だけで提訴に至ったのは、その目的が権利の回復ではなく、批判的な言論を封殺することにあったためにほかなりません。

(3) 異常な請求拡張がなされたこと
反訴被告らは、前件訴訟において、請求額を2000万円から3倍の6000万円にする請求拡張を行いました。
ところが、反訴被告らからは3倍増の具体的な根拠についての説明はなく、また、訴訟提起と同様に、「公正な論評の法理」に関する検討を行った事実もありませんでした。
具体的な根拠なしに、十分な検討をすることもなく請求を3倍に拡張したというのは、異常なことです。前件訴訟の提起では黙らなかった反訴原告にさらなる負担をかけることを目的とした請求拡張だったと考えられます。

(4) 上訴対象の選択基準が不自然であること
反訴被告らは、同時期に提起した10件の関連名誉毀損訴訟のうち、実質的には敗訴に等しいような2件の一部勝訴事件について、控訴をしませんでした。その理由について、反訴被告らは「一定の目的を達したから」と説明しています。
もし、侵害されたと主張していた権利の回復が目的だったのであれば、完全敗訴事件は控訴しておきながら実質敗訴事件について控訴しないという方針はなかったはずです。批判者を被告席に付かせれば、わずかな賠償金でも「一定の目的」を達したことになるのですから、反訴被告らの目的とは批判的言論を威嚇することにあったのだと考えられます。

(5) 反訴被告会社において反訴被告吉田の言葉が絶対視されていること
この裁判で反訴被告らは、反訴被告吉田の視野は凡人とは異なる高いところにあり、意見や支持が不合理であったということなど一度もない、と主張しています。
このような独善的な主張が、従業員だけでなく、代理人弁護士が作成した書面にまで記載されるというのは、率直に言って異様であり、反訴被告吉田の言葉が社内において絶対的であることを示しているといえます。
同様の現象は、反訴被告会社のホームページにヘイトスピーチというほかない会長メッセージを掲載していたことにも現れています。
反訴被告吉田の絶対的な権威が、訴訟提起を指示する言葉を否定不可能なものとし、そのために、まともな検討などなされる余地もないまま前件訴訟が提起された、というのが実態だったと思われます。

3.反訴被告らの訴訟追行態度について
スラップ訴訟は、勝訴よりも、提訴自体による威嚇を目的として提起されるものです。提訴によって威嚇目的は概ね達成され、判決の結果はそれほど気にする必要がないので、訴訟の追行は従業員や代理人弁護士に任せきりにしておけばよく、また、裁判所の呼出しにも応じる必要はありません。
反訴被告吉田は、裁判所からの呼出しにもかかわらず出頭しませんでした。反訴被告吉田の不出頭は、これにより民事訴訟法208条を適用して尋問事項に関する反訴原告の主張を真実と認めることができるものではありますが、それと同時に、反訴被告らに裁判のルールに従って裁判手続を行うつもりがないことを端的に示す事情だといえます。

4.反訴原告の損害について
経済的強者は、自由に高額な訴額を設定して、批判者の応訴負担を大きくすることにより、提訴による威嚇、弾圧の効果をより強めることができます。対して提訴を受けた批判者は、高額な提訴の前に萎縮せざるをえなくなります。
前件訴訟で6000万円という不当に高額な損害賠償を請求したのは、反訴被告らです。経済的強者である反訴被告らが自由に不当提訴を繰り返すことを許して良い理由はありません。反訴被告ら自身が設定した金額に対応する十分な弁護士費用を、損害賠償として認めるべきです。

5.結語
以上に述べたとおり、反訴被告らの前件訴訟等は、反訴被告吉田を批判した反訴原告に対する威嚇、言論の封殺を目的としたものでした。これは、経済力を背景に、裁判制度を自身の道具として利用する行為にほかなりません。このような裁判制度の濫用を許してはならないと考えます。反訴原告の請求を認容する正当な判決を下されるよう、期待しております。

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 光前幸一弁護団長の反訴被告らの主張への反論意見陳述

1 反訴被告吉田の尋問は「必要ない」と反訴原告が回答したとの主張について
必要ないと回答したのではなく、これ以上、出頭を求めても、出頭は期待できず、これ以上訴訟を遅延させることはできないとの判断から、弁論の終結を求めたのである。
反訴被告ら代理人が、裁判所の決定にしたがい、反訴被告吉田を説得して、裁判所に出頭させるということが、反訴原告の最も望むところである。

2 反訴原告は、最終書面(準備書面5)で、反訴被告らの違法提訴の背景には、自己の無謬性に対する信念」と、その裏返しとしての「他者の批判に対する狭量な姿勢」、そして、反訴被告会社における会長の暴走に歯止めがかからないガバナンスの欠如」を指摘したが、反訴被告らの最終書面を一読すると、その思いが新たになる。

反訴被告らは、随所で、名誉が棄損されれば裁判を起こすのは当然のことと述べているが、言論の自由に重きを置く社会においては、他者を批判し相手の名誉を棄損する結果となる言論の存在を前提に、公共的事項に関する他人批判はどこまで許されるかの議論が始まるのである。
他人から批判されることが当然に予想される内容の手記を週刊誌に掲載しながら、痛烈な批判を受けるや、即、提訴というのは、言論の自由を云々する前に、一般市民の感覚からも遊離しており、反訴被告らを敗訴させた関連事件の判決がそれぞれ指摘する重要な点である。
反訴被告は、提訴の判断にあたり「総務部長は、まず、一般市民感覚で総務部の知識のない部員にピックアップさせ、次に、法務課員がスクリーニングをかけ、最後に法律の専門家である顧問弁護士がスクリーニングをかけた」と主張しているが、スクリーニングの基準そのものに、信じがたい程の市民感覚からの乖離があった。

3 反訴被告は、一部でも絶対に勝てると判断した事件を提訴したと主張する一方で、裁判所さえ、事実の摘示と論評の区別については判断が分かれることがあり、その判断は容易でないと主張しているようである。
ところが、反訴被告は、最後になって、「一部でも勝てると思えば提訴した」とトーンダウンしているが、一部でも勝てると思えば、勝てない箇所もまとめて提訴し、高額の賠償を求めるというのも、典型的なスラップ訴訟である。
反訴原告も、事案ごとに、事実の摘示か論評かについて慎重な判断が必要なことを否定するものではないが、反訴原告のブログを慎重に検討すれば、それが論評であることは明確であったと主張しているのである。
反訴被告らが、この点をどのように精査、検討し、絶対に勝てると判断するに至ったのか全く不明であり、精査、検討した様子は窺えない。反訴被告らの書面から理解できるのは、有力な批判を提訴対象にしたということだけである。

4 反訴被告らは、関連訴訟でのI氏(ジャーナリスト)との和解を、提訴の正当性の根拠にしているが、この和解が、名誉回復措置としてはきわめて不完全で不自然な内容のもので、弁護過誤のおそれさえ抱かせるものであることは、既に、準備書面で詳細に述べたとおりである。この和解は、I氏が反訴被告らの不当提訴の恫喝に屈しただけのものに過ぎないし、反訴被告らがこのような和解に満足しているのだとすれば、反訴被告らが、真の権利回復を目的としてI氏を提訴したものではないことを裏付けている。

5 最後に、本件の最大の問題として、手続き選択の異常性を指摘する。
反訴被告らが、本件ブログでの批判による名誉侵害の早期回復を希望し、しかも、裁判で絶対に勝てると判断したのであれば、新人弁護士でも、当然、仮処分手続きで、ブログの差し止めを求めることとなる。本件では、関連訴訟10件について、1件も仮処分手続きが取られなかった。これは、早期の権利回復よりも、裁判提起を公開することでの威迫、宣伝効果を狙ったためとしか考え難いが、これは、一体、誰の意向なのであろうか。

6 以上の事実は、すべて、反訴被告吉田の無謬性の信念、これに盲従する社員、弁護士の姿勢が背景にあるとしか考えられない。気に入らない批判はすべて封じ込むという反訴被告吉田の指示、命令を受け、提訴することそれ自体の適否、勝訴の可能性について十分な検討しないまま、闇雲に、10件もの訴訟を提起したのである。反訴原告への訴訟は、この点が最も明瞭となる一件にすぎない。
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《DHCスラップ訴訟経過の概略》

☆スラップ提訴前史
2014年3月27日 吉田嘉明手記掲載の週刊新潮(4月3日号)発売
2014年3月31日 違法とされたブログ(1)
「DHC・渡辺喜美」事件の本質的批判
2014年4月2日 違法とされたブログ(2)
「DHC8億円事件」大旦那と幇間 蜜月と破綻
2014年4月8日 違法とされたブログ(3)
政治資金の動きはガラス張りでなければならない
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☆DHCスラップ訴訟の経過(原告 DHC・吉田嘉明、被告 澤藤)
2014年4月16日 提訴(当時 石栗正子裁判長)
5月16日 訴状送達(2000万円の損害賠償請求+謝罪要求)
7月13日 ブログに、「『DHCスラップ訴訟』を許さない」シリーズ開始
8月20日 705号法廷 実質第1回弁論期日。
8月29日 原告 請求の拡張(6000万円の請求に増額) 書面提出
新たに下記の2ブログ記事が名誉毀損だとされる。
7月13日の「第1弾」ー違法とされたブログ(4)
「いけません 口封じ目的の濫訴」
8月8日「第15弾」ー違法とされたブログ(5)
「政治とカネ」その監視と批判は主権者の任務
2015年7月 1日 第8回(実質第7回)弁論 結審(阪本勝裁判長)
2015年9月2日 請求棄却判決言い渡し 被告(澤藤)全面勝訴
12月24日 控訴審第1回口頭弁論 同日結審
2016年1月28日 控訴審控訴棄却判決言い渡し 被控訴人全面勝訴
2016年2月12日 DHC・吉田嘉明上告受理申立
2016年2月12日 最高裁DHC・吉田嘉明の上告受理申立不受理決定
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☆DHCスラップ「反撃」訴訟の経過
(本訴原告 DHC・吉田嘉明、本訴被告 澤藤
(反訴原告 澤藤、反訴被告 DHC・吉田嘉明)
2017年9月4日 DHC・吉田嘉明 澤藤を被告として
債務不存在確認請求訴訟を提起
東京地方裁判所民事1部に係属⇒裁判長 後藤健(41期)
2017年11月10日 反訴提起(損害賠償請求 660万円)
2018年10月5日 反訴原告 澤藤と吉田嘉明両名の本人尋問申し出
2018年10月26日 裁判長交代・前澤達朗(48期)人証採用持ち越し
2019年1月11日 人証採用決定(3名)
澤藤と吉田嘉明両本人と内海拓郎(DHC総務部長)
2019年4月19日 澤藤と内海拓郎尋問 吉田不出頭
2019年7月4日(本日) 結審
2019年10月4日 判決言い渡し(予定)
以上
(2019年7月4日)

《権利救済のためにあるはずの裁判制度を,言論を萎縮させるための道具として利用させることを許してはならない》 「DHCスラップ反撃訴訟」 次回(7月4日木曜日)結審 ― 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第158弾

私(澤藤)が、反訴原告となっている「DHCスラップ・反撃訴訟」も、いよいよ大詰め。

予定のとおり、昨日(6月27日・木)最終準備書面を提出し、
 来週の7月4日(木)午前10時30分、
 415号法廷
で開廷の最後の口頭弁論期日を待つばかりとなりました。
 この日に弁論終結となって、判決期日が指定されることになります。

この日の法廷では、弁護団の2名が、最終準備書面を要約して陳述し、裁判所に「権利救済のためにあるはずの裁判制度を,言論を萎縮させるための道具として利用させることを許してはならない」と要請します。

この最終準備書面は、比較的簡潔なものではありますが、ここに全文を掲載するにはやや長い。全体の構成を示す「はじめに」の部分と、「結語」の部分だけを掲載しておきます。これで、何をいわんとしているのか、お分かりいただけると思います。

 是非、傍聴にお越しください。閉廷後、いつものように、意見交換の場をもちたいと思います。よろしくお願いします。

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第1 はじめに(本準備書面の性格と構成)
1 本件は,反訴被告ら(DHCと吉田嘉明の両名)による前件訴訟提起及び本件請求拡張(スラップ訴訟の提起と、6000万円への請求拡張)が反訴原告に対する不法行為に当たるとして,反訴被告らに対し損害賠償を請求するものである。反訴原告の主張は,基本的に反訴状,準備書面(2),同(4)に尽くされており,判断の枠組みや,反訴被告らによる前件訴訟提起や本件請求拡張自体の違法性,さらには前件訴訟提起と追行の周辺にある提訴動機に関する諸事情については,敢えて繰り返さないが,本件の背景には,反訴被告らの自己に対する無謬性の信念と,その裏返しとしての批判者への狭量な姿勢がある。

2 本件訴訟における主張・挙証の対象は,最高裁1988(昭和63)年1月26日判決(民集42巻1号1頁)に拠って,「前件訴訟提起と本件請求拡張において提訴者(反訴被告ら)の主張した権利等が事実的,法律的根拠を欠くものであるうえ,提訴者がそのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知りえたといえるのにあえて訴えを提起した」こと。さらに,「前件訴訟提起及び本件請求拡張が,自己に対する批判の言論を封殺する目的でなされたものとして,裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くものであること」である。

3 上記最判は,「裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くことを違法提訴の要件とし,その一例として「提訴者の主張した権利等が事実的,法律的根拠を欠くものであるうえ,提訴者がそのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知りえたこと」を挙げている。
 反訴原告は,反訴被告らの前件訴訟提起及び本件請求拡張が「提訴者の主張した権利等が事実的,法律的根拠を欠くものであるうえ,提訴者がそのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知りえたこと」だけでなく,これに加えて,反訴被告らの提訴目的の反社会性(批判言論の封殺),反公共性(ルールを無視した裁判制度の利用)が「裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く」ものであることをも主張,挙証の対象とし,本準備書面では,本事案の特質(提訴の威嚇をもってする言論抑圧)を,できるだけ従前主張との重複を避けつつ,これまでに本件訴訟に提出された証拠や尋問の結果をふまえ,以下の構成で明確にした。

I 反訴被告らの主張する権利等が事実的,法律的根拠を欠くと容易に知り得たこと(本準備書面「第2」)
 (1)前件訴訟の提起について
 (2)本件請求拡張について
 (3)反訴被告らの反論について
Ⅱ 反訴被告らが被侵害権利の回復よりも言論封殺を目的としていたこと(本準備書面「第3」)
 (1)反訴被告吉田が自ら発表した本件手記への批判を提訴    対象としたこと
 (2)提訴の妥当性を慎重に検討した様子がないこと
 (3)異常な請求拡張がなされたこと
 (4)上訴対象の選択基準が不自然であること
 (5)反訴被告会社において反訴被告吉田の言葉が絶対視されていること
Ⅲ 反訴被告らの訴訟遺行態度について(本準備書面「第4」)
 (1)本件訴訟において反訴被告吉田が裁判所の呼出しに正当な理由なく応じなかったことについて
 (2)反訴被告らに勝訴の意思がないこと
 (3)反訴被告らに民事訴訟のルールに従う意思がないこと
 (4)反訴被告らの訴訟遺行態度は前件訴訟等の違法性に通   じるものであること
 (5)民事訴訟法208条の適用について
Ⅳ 反訴原告の損害(本準備書面「第5」)
 (1)応訴費用
 (2)慰謝料
V 結語(本準備書面「第6」)

4 なお,以上の「I (本準備書面「第2」)」および「Ⅱ(本準備書面「第3」)」は,主張と挙証にかかわるものであり,同「Ⅲ(本準備書面「第4」)は,反訴被告の訴訟追行態度を,前件訴訟提起及び本件請求拡張の違法性に関連して論ずるとともに,その訴訟に求められる信義則に反する態度を事実認定にどう反映すべきかについての意見を述べるものである。

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第6 結語
1 非常識な無謬性の信念のもとでの無謀かつ違法な裁判利用
 以上のとおり,反訴被告ら(DHCと吉田嘉明の両名)の前件訴訟(スラップ訴訟)の提起及び本件請求拡張(2000万円請求から6000万円請求への拡張)は,その主張する権利等が事実的,法律的根拠を欠くことを容易に知り得たにもかかわらず,これを十分に検討しないまま行なわれたものである。
 反訴被告らがここまで無謀な訴訟の提起・請求の拡張に至った理由は,その目的が,毀損されたと主張する名誉の回復にあるのではなく,批判者を被告席に座らせることにより当該言論を封殺し,類似の批判言論を抑制することにあったからである。
 批判者を被告の席に付かせることが目的であるから,反訴被告らに勝訴の意欲はないし,裁判所の訴訟指揮に従う意思もない(それにより不利益な判決を招いても意に介さない)。その結果,一部でも勝訴すれば,それがどんなに些末な一部勝訴であっても上訴しないし,敗訴すれば最高裁まで上告し,敗訴が確定すれば,「反日弁護士と反日裁判官のせいだ。」と公言して憚らない。
 そして,反訴被告らが,このような無謀かつ違法な裁判利用に躊躇しないのは,反訴被告吉田の「凡人とは違う。自分の判断に不合理はない。」というやや滑稽とも思える無謀性の信念と,これに追従する被告会社のガバナンス欠如があり,さらに、反訴被告らの潤沢な資金力がこれを煽動している。
 反訴被告らは,前訴提起の違法性(スラップ性)を主張し続ける反訴原告のブログを差し止める目的で本件本訴を提起した(債務不存在確認訴訟)。反訴被告らは,この訴訟においても,裁判所の人証決定を無視し,反訴被告吉田は裁判所への出頭を拒否し続けた。これは,反訴被告らの体質,前件提訴のスラップ性を如実に示す事実でもある。

2 反訴被告らの独善的な提訴
  反訴被告らは,他者からの批判が当然に予想される本件手記を週刊誌に発表しておきながら,あふれ出た批判のうち影響力があると考えたものをピックアップし,経済力にまかせて名誉毀損訴訟を提起し,軒並み,敗訴もしくは実質敗訴の判決を受けた。その数は実に10イ牛にも及んでいる。
 さらに,内海証人の供述や第三者のブログ(乙15の1)の記載などからは,反訴被告らが10件の訴訟以外にも名誉毀損を口実に訴訟提起を予告して,批判的言論に対する恫喝を行っていたことがうかがわれる。反訴被告らの行為は,一般常識から遊離し,憲法が保障する言論の自由を萎縮させ,ひいては民主主義を衰退させるものである。権利救済のためにあるはずの裁判制度を,言論を萎縮させるための道具として利用させることを許してはならない。
 貴裁判所におかれては,表現の自由保障の重大さに十分な配慮をされるとともに,反訴被告らによる裁判制度の不当な利用を厳しく戒める判決を言い渡されるよう,切に希望するものである

(2019年6月28日)

BPOではなく、吉田嘉明(DHC)こそが、「正気か」と問われなければならない。

吉田嘉明が経営するDHCとは、
D デマと
H ヘイトの
C カンパニー
である。のみならず、デマとヘイトにスラップまでが加わった、稀有の三位一体企業というほかはない。
人権感覚のある人、民主主義や平和を大切に思う人は、けっしてDHCの製品を買ってはならない。
これまで、このことを繰り返してきたが、本日は、「H ヘイト」を取りあげたい。

昨日(6月21日)、国連広報センターのホームページ(日本語版)に、下記のプレスリリース記事(抜粋)が掲載された。

「アントニオ・グテーレス国連事務総長、 ヘイトスピーチに関する国連の戦略と計画を発表(プレスリリース日本語訳)」
https://www.unic.or.jp/news_press/info/33636/

ニューヨーク、6月18日-事務総長はきょう、加盟国に対する非公式ブリーフィングで「ヘイトスピーチに関する国連戦略・行動計画」を発表しました。この戦略の目的は、ヘイトスピーチが知らず知らずのうちに及ぼす影響や、それぞれの活動の中で、ヘイトスピーチにさらに効果的に対処する方法について、国連のあらゆる主体による理解を深めることにあります。また、加盟国に対する支援の強化と、民間企業や市民社会、メディアとの連携の強化も求めています。

戦略は、ヘイトスピーチの根本的な原因と推進要素にいかに取り組むべきか、そして、その社会に対する影響をいかに弱めるべきかに関するアイデアを提供するものとなっています。

「ヘイトスピーチは寛容や包摂、多様性、そして私たちの人権規範と原則の本質に対する攻撃に他なりません。さらに幅広い意味で、ヘイトスピーチは社会的一体性を損ない、共有の価値を侵食し、暴の基盤を作り上げることにより、平和、安定、持続可能な開発、あらゆる人の人権実現という理想を後退させかねません」アントニオ・グテーレス事務総長は加盟国へのブリーフィングの中で、このように述べています。

これまで75年間、ルワンダからボスニア、さらにはカンボジアに至るまで、私たちはヘイトスピーチが残虐な犯罪の前兆となる様子を目の当たりにしてきました。最近では、中央アフリカ共和国やスリランカ、ニュージーランド、米国をはじめ、世界各地で大量殺人をもたらした暴力との強い関連性が見られます。各国政府もテクノロジー企業も、オンラインで組織的にまき散らされる憎悪の予防と対策に苦慮しているのが現状です。

グテーレス事務総長は「新たな経路によってヘイトスピーチがこれまで以上に幅広い人々に、瞬時に届いている中で、私たち国連や各国政府、テクノロジー企業、教育機関はすべて、対応を強化する必要があります」と語っています。

加盟国に対する国連の支援を強化するため、事務総長は、ヘイトスピーチに取り組み、これに対するレジリエンス(「対抗力」と訳すべきか)を築く上での教育の役割に関する会議を招集する予定です。また、ジェノサイド防止担当特別顧問を今回の戦略・行動計画の国連におけるフォーカルポイントに任命しました。特別顧問はこの資格で、より具体的な実施指針の策定を監督、促進することになっています。

この事務総長発言の認識に全面的に同意する。ヘイトスピーチは、「寛容や包摂、多様性、人権規範に対する本質的な敵対物である。しかも、暴力の基盤を作り上げることによって平和を破壊する」。ヘイトスピーチを看過してはならない。

6月18日、グテーレス事務総長が「ヘイトスピーチに対処する行動計画」を発表した際には、その演説の中の「自由民主主義体制下でも政治指導者がヘイトスピーチを広めている―」との発言が大きな話題となった。

この演説の内容は、かなり厳しい。たとえば、朝日はこう報じている。

「グテーレス氏はこの日、加盟国に向けた演説で、政治体制を問わず、『何人かの政治指導者が憎悪に満ちた考え方や言葉を広め、普遍化し、公の議論を荒らし、社会を弱体化させている』と指摘。ヘイトスピーチへの対処に国際社会が臨む重要性を説いた。」
 「発言は移民らに向けられたトランプ氏の差別的な発言に釘を刺す形となり、演説後の会見で、記者から『(だれの行為か)名指しした方が、インパクトを与えられるのでは』との質問が出た。
 グテーレス氏は『名前を公表すれば、それだけが広く伝わってしまう。私が望むのは、本質的な問題がしっかりと扱われることだ』と苦笑いしてかわした。」

 トランプほどのスケールは欠くにせよ、我が国にも、「憎悪に満ちた考え方や言葉を広め、普遍化し、公の議論を荒らし、社会を弱体化させている」ヘイトスピーチの常習者は、少なくない。その典型が、DHCの吉田嘉明といってよい。

彼のヘイトの矛先は、在日である。在日を差別する点において紛れもない「不当な差別的言動」であり、違法行為である。

下記が、2016年2月12日付で、DHCのホームページに堂々と掲載された記事の抜粋である。「会長メッセージ」と標題があり、「株式会社ディーエイチシー 代表取締役 吉田嘉明」との肩書記名が明記されていた。但し、現在はこの記事はホームページから削除されている。さすがに恥ずかしいことを悟っての記事の抹消であれば、結構なことだ。反省文が公表されていればなお結構だが、それはない。

「時々とんでもない悪(わる)がいたりしますので、この点は注意が必要です。純粋な日本人でない人も結構います」「本物、偽物、似非ものを語るとき在日の問題は避けて通れません。この場合の在日は広義の意味の在日です。いわゆる三、四代前までに先祖が日本にやってきた帰化人のことです。そういう意味では、いま日本に驚くほどの在日が住んでいます。」「問題なのは日本人として帰化しているのに日本の悪口ばっかり言っていたり、徒党を組んで在日集団を作ろうとしている輩」「政界(特に民主党)、マスコミ(特に朝日新聞、NHK、TBS)、法曹界(裁判官、弁護士、特に東大出身)、官僚(ほとんど東大出身)、芸能界、スポーツ界には特に多いようです」「問題は、政界、官僚、マスコミ、法曹界です。国民の生活に深刻な影響を与えます。」「私どもの会社も…法廷闘争になるときが多々ありますが、裁判官が在日、被告側も在日の時は、提訴したこちら側が100%の敗訴になります。裁判を始める前から結果がわかっているのです。似非日本人はいりません。母国に帰っていただきましょう。」

この文章には、論理も論証もない。「法曹界には、日本人として帰化しているのに日本の悪口ばっかり言っていたり、徒党を組んで在日集団を作ろうとしている輩が特に多い」「私どもの会社(DHC)が裁判に負けるのは、裁判官がそのような在日だから」という無茶苦茶な没論理。

DHCのホームページのヘイトスピーチは削除されたが、こちらは残っている。
産経のネット論壇である「iRONNA」に掲載された DHC会長独占手記】「『ニュース女子』騒動、BPOは正気か」という挑戦的なもの。

  今、問題になっている放送倫理・番組向上機構(BPO)についてですが、まずこの倫理という言葉を辞書で調べてみると「善悪・正邪の判断において普遍的な基準となるもの」(「大辞泉」)ということになっています。そもそも委員のほとんどが反日、左翼という極端に偏った組織に「善悪・正邪」の判断などできるのでしょうか。

 沖縄問題に関わっている在日コリアンを中心にした活動家に、彼らが肩入れするのは恐らく同胞愛に起因しているものと思われます。私どもは同じように、わが同胞、沖縄県民の惨状を見て、止むに止まれぬ気持ちから放映に踏み切ったのです。これこそが善意ある正義の行動ではないでしょうか。

 今、私が最も危倶しているのは、日本の主要分野にあまりにも増えすぎた「反日思想を持つ在日帰化人」のことです。日本人になりきって、日本のためにこれからも頑張ろうという人たちを差別しては絶対にいけません。反日だからダメなのです。日本という国にお世話になっていながら、日本の悪口は言う、日本を貶めることだけに生き甲斐を感じているような在日帰化人は逆に許せません。

  実業界で大企業の創業者の大半は在日帰化人です。私のように純粋な大和民族はその点では珍しい存在かもしれません。この類の実業家は、反日ではありませんが、やはり民族的な性格からか、その貪欲さは半端ではありません。昔からの人情味あふれた小売店が全国から消えていったのは、率直に言ってこの人たちのせいだと思っています。

 政界、法曹界は特に在日帰化人が多いことで知られています。日本の全弁護士が所属している日弁連という団体がありますが、みなさんぜひ一度調べてみてください。本稿ではあえて触れませんが、驚くべきことが分かります。

この吉田の文章が、ヘイトスピーチであることについて、法務省のホームページを開いて、確認されたい。http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken04_00108.html

ヘイトスピーチ、許さない。(”Stop Hate Speech”)
  令和元年6月3日(月)で「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(平成28年法律第68号)」,いわゆる「ヘイトスピーチ解消法」の施行から3年を迎えました。
 我が国におけるヘイトスピーチ問題への理解は進んできてはいるものの,いまだ国民全体に理解が広まったとは言えません。
 法務省の人権擁護機関においては,ヘイトスピーチは許されないという意識をより一層普及させるため,引続き広報・啓発活動を行ってまいります。

ヘイトスピーチって何なの?
 特定の国の出身者であること又はその子孫であることのみを理由に, 日本社会から追い出そうとしたり危害を加えようとしたりするなどの 一方的な内容の言動が,一般に「ヘイトスピーチ」と呼ばれています。
  例えば,
(1)特定の民族や国籍の人々を,合理的な理由なく,一律に排除・排斥することをあおり立てるもの  
  (「○○人は出て行け」,「祖国へ帰れ」など
(2)特定の民族や国籍に属する人々に対して危害を加えるとするもの   
 (「○○人は殺せ」「○○人は海に投げ込め」など)
(3)特定の国や地域の出身である人を,著しく見下すような内容のもの  
 (特定の国の出身者を,差別的な意味合いで昆虫や動物に例えるものなど)

以上でお分かりのとおり、吉田嘉明の【DHC会長独占手記】は、典型的なヘイトスピーチなのだ。

もう一つ。国連の文書を挙げておこう。
2014年8月20日の自由権規約委員会「日本の第6回定期報告に関する総括所見」である。

そのなかに、「ヘイトスピーチ及び人種差別」と表題する章があり、次のようにしるされている。

「委員会は,韓国・朝鮮人,中国人,部落民といったマイノリティ集団のメンバーに対する憎悪や差別を煽り立てている人種差別的言動の広がり,そしてこうした行為に刑法及び民法上の十分な保護措置がとられていないことについて,懸念を表明する。委員会は,当局の許可を受けている過激派デモの数の多さや,外国人生徒を含むマイノリティに対し行われる嫌がらせや暴力,そして「Japanese only」などの張り紙が民間施設に公然と掲示されていることについても懸念を表明する。
締約国は,差別,敵意,暴力を煽り立てる人種的優位性や憎悪を唱道する全てのプロパガンダを禁止すべきである。また,こうしたプロパガンダを広めようとするデモを禁止すべきである。締約国はまた,人種差別に対する啓発活動に十分な資源を割り振り,裁判官,検察官,警察官が憎悪や人種差別的な動機に基づく犯罪を 発見するよう研修を行うようにすべく,更なる努力を払うべきである。
締約国はまた,人種差別的な攻撃を防止し容疑者らを徹底的に捜査・訴追し,有罪の場合には適切な処罰がなされるよう必要な全ての措置を取るべきである。」

これが、ヘイトスピーチについての国際的な合意点である。吉田嘉明は「BPOは正気か」と言ったが、国際常識からすれば、吉田嘉明自身こそが、「正気か」と問われなければならないのだ。
(2019年6月22日)

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以下は、6月23日の加筆である。

6月22日の毎日夕刊に、東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)伊達寛社長の就任1年インタビュー記事が掲載されていることに今朝(23日)になって気が付いた。大きく「『ニュース女子』放送内容への責任 自戒に」という見出し。同社長は、18年6月に就任以来の「反省の一年」について真摯に語っている。なるほど、なんの反省もない吉田嘉明とは、月とスッポン、提灯と釣り鐘。こういう局面で、本物と偽物・似非物との差が表れる。以下は、その該当部分の引用。

 伊達社長がMXの専務時代の17年1月には、別の番組「ニュース女子」で大きな問題が起きた。同番組が沖縄の米軍基地問題を扱い、基地反対派をテロップなどで「テロリストみたい」などと表現。「事実関係が違う」と批判が上がり、同年12月に放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会から「重大な放送倫理違反があった」と意見書で指摘された。MXはその約3カ月後、同番組を終了した。

 「ニュース女子」はスポンサーが番組枠を買い取り、その子会社が制作した番組を流す「持ち込み番組だった。スポンサーだった化粧品会社「DHC」は当時、MXにとって最大の取引先でもあった。伊達社長は「我々に深く反省すべきところがあった。放送で最も大事なことは信頼感。テレビ局は放送内容に責任を持たなければならない。多くのメディアから取材を受けたが、民放として答えづらいところもあり、(取材に対する)十分な対応ができず、さらに信頼を失った」と振り返る。

 社長就任後、最大の仕事は信頼回復だった。「社員も反省の1年を過ごした」と言う。昨年後半からは、会社の方向性を示す「企業メッセージ」の策定にも取り組んだ。部署を超えた若手社員が議論し、生まれたのが「つなげるテレビ」というキャッチフレーズ。「あらゆる声に耳を傾け、視聴者や業務上のパートナーと未来をつくるという願いを込めた。東京のテレビ局として積極的に町に出て行き、東京が抱える課題や悩みの解決の一助となる仕事をしたい」と話す。

この反省の姿勢は、立派なものだ。この反省あればこそ、MXは真っ当な企業として、社会に受け入れられることになる。すこしは吉田嘉明にも、これを見習う姿勢が欲しいところだが、今のところ、その片鱗も見ることができない。

 

「DHCスラップ反撃訴訟」次回(7月4日)結審の予定 ― 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第156弾

法廷を満席にした傍聴参加の皆様、弁護団の皆様、大いに勇気づけられました。ありがとうございました。

私(澤藤)とDHC・吉田嘉明との間の「DHCスラップ・反撃訴訟」の山場となった本日の証拠調べ期日が終わった。吉田嘉明は、裁判所からの呼出を受けながら、出廷しなかった。私の反訴原告本人としての尋問があり、吉田に代る立場でということで、DHCの総務部長内海拓郎が証言した。

裁判所は、「もし、吉田嘉明が自ら出廷して尋問を受けるという申し出があれば、あらためての証拠調べ期日設定もありうる」と留保を付しつつも、次回を7月4日(木)午前10時30分と指定し、そこでの弁論終結予定とした。最終準備書面提出期限は、6月27日(木)。

私の尋問は、澤藤大河弁護士が担当した。内容は、ご紹介した「反訴原告本人陳述書」の要約である。裁判官に分かってもらいたかったのは、次のようなことだ。

「誰にでも民事訴訟を提起する権利があるのだから、被告となる者は応訴負担を甘受せざるを得ない」「裁判は判決に至らぬ内は勝ち負けが分からないのだから、提訴不当とは言いがたい」などと、そこで判断停止してもらっては困るのだ。

スラップとは、提訴だけで被告に大迷惑をかける行為なのだ。被告とされた者は、裁判に勝ってもなお、迷惑が残ることになる。スラッブを掛ける方は、裁判に負けても、なお提訴の目的を達することができる。提訴の目的とは、提訴の威嚇によって自分に対する批判の言論を封じることなのだから。

普通は、十分な勝訴の見込みがなければ提訴はしない。敗訴ともなれば、手間暇かけたうえに費用倒れになってしまうのだから。しかし、スラップでは事情が大きく異なる。提訴を起こそうという者が、勝訴の見込みの有無に関心が薄い。とにもかくにも、提訴だけで被告となる者に大きな負担をかけようという狙いがあるからだ。

提訴だけで言論を封じる効果を求めるとなれば、高額請求の訴訟が必然となる。高額訴訟は、心理的な圧力にもなり、応訴の負担が高額にもなるからだ。

私は、本件DHCスラップ訴訟について、勝訴の見込みは当初よりなかったものと考えている。名誉毀損とされた私の言論は、純粋に政治的な言論である。極めて公共性・公益性が高い。それだけではなく、私の言論が踏まえている事実は、吉田嘉明自身が週刊新潮誌上で自ら公表した事実を超えるものではない。これで、名誉毀損が成立するはずがない。

しかも、私の事例では、2000万円の賠償請求金額を、提訴批判のブログを理由に、6000万円への請求の拡張を行っている。黙れと言っても、黙らないからの請求金額3倍増である。明らかに、追加の請求原因が4000万円増に見合うようなものではあり得ない。

内海証人に対する裁判長の質問が、心証の一端を伺わせるものとして、興味深いものだった。
裁判長は、同証人に吉田嘉明の新潮手記を示して、その内容が吉田自身のものであることを確認の上、私の印象に残る限りで2点の疑問を表明した。正確には、速記録ができてから再度お伝えするが、以下は私の印象。

その一つは、「証人は、この手記を批判する言論について、(吉田の渡辺への金銭提供の)動機に関して『事実無根』というが、証人自身が『事実無根』と言うことはできないのではないか」。

そして、もう一つが、「この手記に対する批判の言論があることは、十分に予想されるところではなかったか」「そのような批判の言論に対しては、提訴は控えた方がよいというアドバイスは、証人からはしなかったか。顧問弁護士からはなかったのか」というもの。

以上の2点、いずれも示唆的である。さて、次回結審の予定で、最終準備書面の作成に取りかかろう。
(2019年4月19日)

反訴原告本人(澤藤)陳述書《その5》 ― 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第155弾

私(澤藤)とDHC・吉田嘉明との間の「DHCスラップ・反撃訴訟」の山場となる次回証拠調べ期日がいよいよ明日(4月19日)である。常識的には、双方が2か月ほど後に最終準備書面を提出して結審となる見通しだが、場合によっては明日の法廷での結審もありうる。ぜひ、法廷傍聴をお願いしたい。

明日の法廷の予定は下記のとおり。

☆日時 4月19日(金)午後1時30分~
 法廷 東京地裁415号(4階)

☆証拠調べの順序は、
 最初に反訴原告本人(澤藤)の尋問
  主尋問30分 反対尋問30分。
 次に、証人のUさん(DHC総務部長)。
  主尋問20分 反対尋問30分。
 その次に、反訴被告本人(吉田嘉明)。
  主尋問30分 反対尋問30分の予定。

もっとも、以上は裁判所が決定した予定のスケジュールであって、必ずこのスケジュールのとおりに進行するかは予断を許さない。通常は九分九厘まで裁判所の決定のとおりに証拠調べは進行するのだが、吉田嘉明は証拠決定後に、出頭したくないと言い出した。裁判所は、「出頭しなさい」と吉田宛に呼出状を発送し、これが本人に送達されていることは確認されている。にもかかわらず、吉田嘉明は重ねて出廷したくないと言ってきた。これに、反訴原告(澤藤)側が怒りの意見書を提出して、吉田嘉明に出廷を求めている。この人、とうてい尋常な社会人の感覚を持ち合わせていない。

吉田嘉明の本人尋問申請は、反訴原告(澤藤)側からしたものである。吉田嘉明の私に対する提訴の動機や意図は、客観事情からの推測にとどまらず、吉田本人から直接に語ってもらう必要があるからだ。裁判所はその言い分を認め、審理に必要だとして吉田嘉明に出頭して尋問に応じるよう命じているのだ。裁判所かそれならやむを得ないと納得できる正当な理由のない限りは、出頭して尋問を受けることが吉田嘉明の日本国民としての義務である。そして今、吉田嘉明は出頭を拒否する正当な理由を示し得ていない。

結局、吉田嘉明とは、著しく遵法精神を欠く人物というほかはない。吉田も、吉田を説得しようとしない代理人弁護士(今村憲)もまったく真摯さに欠ける訴訟追行の姿勢と指摘せざるを得ない。

さて、一連のこの事件。最初に法的手段に訴えたのは、DHC・吉田嘉明の方だ。私のブログでの吉田嘉明批判を快しとせず、2000万円という高額請求訴訟の提起で恫喝して言論萎縮を狙た典型的なスラップ訴訟。ところが、そのスラップ提起が恫喝の効果薄いとみるや、何と6000万円に請求金額を増額したのだ。このバカげた訴訟は、最高裁まで引っ張られたが、私の勝訴で確定した。

第2ラウンドの訴訟も、DHC・吉田嘉明の側から仕掛けられた。DHC・吉田嘉明が、私を被告として債務不存在確認訴訟を提起したのだ。これに、反訴として、私が、スラップ提訴の違法を請求原因とする損害賠償の反訴を提起した。その本訴は取り下げられ、私が反訴原告でDHC・吉田嘉明が反訴被告の反訴事件だけが今なお続いている。

ところで、尋問を受ける者は陳述書を提出する慣行が定着している。限りある尋問時間では述べ切れない言い分も言える。反対尋問者に不意打ちをさせないという配慮もある。私も、4月2日付けの陳述書を作成して、翌3日に裁判所提出した。冒頭が下記のとおりである。

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平成29年(ワ)第38149号損害賠償請求反訴事件
反訴原告 澤藤統一郎
反訴被告 吉田嘉明,株式会社ディーエイチシー

2019年4月2日

反 訴 原 告 本 人 陳 述 書

東京地方裁判所民事第1部合議係御中

反訴原告本人  澤 藤 統一郎

目   次

はじめにー本陳述書作成の目的と概要
1 私の経歴
2 ブログ「憲法日記」について
3 「本件各ブログ記事」執筆の動機
4 言論の自由についての私の基本的な理解と本件各ブログ
5 「本件ブログ記事」の内容その1ー政治とカネの関わりの視点
6 「本件ブログ記事」の内容その2ー規制緩和と消費者問題問題の視点
7 「本件ブログ記事」の内容その3ースラップ訴訟批判の視点
8 DHC・吉田嘉明の「前訴提起」の目的とその違法
9 前訴における請求拡張の経緯とその異常
10 DHC・吉田の関連スラップ訴訟10件
11 本件スラップ提訴は「裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く」
12 本件反訴提起の動機と意味
13 損害について
14 反訴被告の応訴態度について
おわりにー本件判決が持つであろう意味

目次を見ていただいてもお分かりのとおり、やや長文であるが、これを分けて、掲載している。読むに値するものと思うし、読み易いとも思う。

「はじめにー本陳述書作成の目的と概要」
「訴訟大詰めの反訴原告本人陳述書 ― 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第151弾」(2019年3 月28 日)
http://article9.jp/wordpress/?p=12321
「反訴原告本人(澤藤)陳述書《その2》 ― 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第152弾」(2019年4月8日)
http://article9.jp/wordpress/?p=12389

「反訴原告本人(澤藤)陳述書《その3》 ― 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第153弾」(2019年4月11日)
http://article9.jp/wordpress/?p=12409

「反訴原告本人(澤藤)陳述書《その3》 ― 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第154弾」(2019年4月16日)
http://article9.jp/wordpress/?p=12409

そして本日、以下のとおり陳述書の下記部分を掲載する。

11 本件スラップ提訴は「裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く」
12 本件反訴提起の動機と意味
13 損害について
14 反訴被告の応訴態度について
おわりにー本件判決が持つであろう意味**************************************************************************

11 本件スラップ提訴は「裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く」
もとより民事訴訟の提起は、国民に等しく認められた権利です。これを、憲法32条は「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」と人権カタログのひとつとして挙示しています。
法や裁判所がなければ、この世は実力だけがものを言う野蛮な社会となります。権力や社会的な強者の横暴に泣き寝入りすることなく、弱者が自分の権利救済の盾とも槍ともするものが法であり、その権利救済を実現する場として駆け込むところが裁判所です。
しかし、DHC・吉田嘉明が私を被告としたスラップ訴訟はそんな範疇とはまったく別物といわねばなりません。訴訟本来の目的から逸脱した提訴は、訴権の濫用として違法となり、提訴自体が不法行為として損害賠償請求の責任を生じることにならざるを得ません。裁判制度の利用まで、カネの力次第として濫用を許してはならないと思うのです。
今のところ、訴訟提起自体を違法とすることについての基準としては、1988(昭和63)年1月26日最高裁判決がリーディングケースとされています。同判決は、「訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められる場合に限られるものと解するのが相当である。」と判示しています。提訴して敗訴したというだけでは違法な提訴をしたことにはなりませんが、言論の封殺を目的とするDHC・吉田嘉明の私に対する提訴は異質なものといわねばなりません。
この点について、前記最高裁判決はこうも言っています。訴訟提起が違法になる場合として、「…当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係(以下「権利等」という。)が事実的、法律的に根拠を欠くものであるうえ、提訴者が、そのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知りえたといえるのにあえて訴えを提起した場合…」。DHC・吉田嘉明の、私に対するスラップ提訴は、「事実的、法律的に根拠を欠くもの」という客観要件を明らかに具備しています。しかも、吉田嘉明は、「訴えが事実的、法律的に根拠を欠き敗訴必至なことを知っていた」。少なくも、「通常人であれば容易にそのことを知りえたといえるのにあえて訴えを提起した」のです。いったい何のためにそのような訴訟を提起したのか。明らかに、自分への批判の言論を封殺するために、なのです。だから、認容されるはずもない、とんでもない高額請求の訴訟となっているのです。
DHC・吉田嘉明の私(澤藤)に対する提訴は、「訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められる」ものとして、その提訴自体が違法といわねばなりません。とりわけ、異様な請求拡張の違法は、明々白々というしかありません。

12 本件反訴提起の動機と意味
DHCと吉田嘉明が、私(澤藤)に6000万円を請求した前訴のスラップ訴訟。その提訴の動機は、明らかに民事訴訟提起による高額請求という手段で恫喝して、言論を封殺することにありました。では、誰の言論を封殺し、誰の言論を萎縮させようと狙ったか。別の言い方をすれば、被害者は誰だったのでしょうか。
被告とされた私自身が被害者であることは明らかです。吉田嘉明は、私を見くびって高額請求の訴訟提起で脅かせば、へたれて吉田嘉明批判を差し控えるだろうと思い込んだのです。もしかしたら、高額請求訴訟を提起すれば、訴訟の長期継続を避けるために、和解も可能と思ったのかも知れません。予想に反して、私が自前のブロクを武器に猛烈な反撃を始めるや、吉田嘉明は、当初の請求金額では脅しに不十分と見たのでしよう。3倍増しての請求までして恫喝しているのです。
私は、友人たちの支援を得て応訴して勝訴しました。しかし、応訴は最高裁まで付き合わされました。請求棄却、控訴棄却、上告受理申立不受理決定で、私(澤藤)の勝訴が確定したのでずか、どうしても釈然としません。
私は降りかかる火の粉を払いはしましたが、その限りでの現状です。降りかかる火の粉を払うための労力や時間のロスや金銭的負担については、何の填補もなされてはいません。これが、いささかなりとも原告の提訴ももっともだと思える通常の事件なら我慢もできますが、明らかないやがらせ目的訴訟でやられ損ということに到底納得できません。極めて不愉快な思いをさせられたことに対する精神的損害の慰謝料を含んで、相応の賠償請求が必要だと痛感しています。
また、このスラップ訴訟の被害者は、私一人ではないと思うのです。既述のとおり、DHC・吉田嘉明の8億円裏金事件に関する言論封殺訴訟は10件に及んでいますが、彼が意図したのは社会に対するアピールでした。社会は、「吉田嘉明を批判すると面倒なことになる」「面倒なことに巻き込まれるのはゴメンだ」「だから吉田嘉明を刺激せずに批判は差し控えた方が賢い」と受けとめています。
乙15に表れた、具体的な事例がその典型です。DHCの社員が、吉田嘉明批判のネット記事を抹消するよう請求し、請求された側は不当と思いつつも、スラップの提訴を恐れて萎縮し、抹消の請求に応じているのです。
社会のこの受け止め方は、現在払拭されていません。今はまだ、DHC・吉田嘉明が意図したスラップ提起による言論萎縮の効果は一定程度残っているものと考えざるを得ません。
そこで、私は、DHC・吉田嘉明を相手に、スラップ提訴は違法な行為であることをきちんと裁判所に認めていただくことが必要だと思うのです。DHC・吉田嘉明の提訴自体が不法行為として許されないという判決が、最も有効なスラップに対する抑止の効果を発揮して、表現の自由を擁護することになります。そのような思いから、この反訴を提起したことをご理解ください。

13 損害について
本件反訴において請求の損害額の根拠は、反訴状に記載のとおりです。
概要としては、前訴に応訴のための弁護士費用500万円、前訴の提起による慰謝料100万円と、それに反訴提起の弁護士費用60万円を加算したものになります。
まず、前訴の弁護士費用が相当因果関係のある損害となります。訴額6000万円の名誉毀損訴訟に応訴して勝訴したのです。しかも、一審、控訴審、最高裁(上告受理申立事件)までのフルコースでのこと。弁護士費用の適正額が、500万円を下回ることはありません。
訴訟実務では、弁護士費用は現実の負担額ではなく、事件の訴額や難易度にふさわしい類型化した金額になるものと認識しています。反訴被告らの違法な提訴に、私は弁護士を代理人として争うことを余儀なくされました。計110名の弁護士が私の代理人に就任してくれましたが、十分な報酬支払いはできていません。
(旧)日弁連報酬等基準規程によれば,経済的利益の額が6000万円の場合における弁護士費用の標準額は,着手金249万円,報酬金498万円とされています。この旧規定は今なお、適正な弁護士費用を算定するための基準として,現在も広く用いられています。少なくとも500万円が、私の弁護士報酬分の損害として認められるべきです。
また、前訴の提起自体によって、この上ない不快感や困惑を味合わされました。応訴による肉体的,時間的,精神的負担も余儀なくされました。その慰謝料額は100万円が相当だと考えます。
さらに、反訴提起のための弁護士費用として、請求金額の10%である、60万円が相当であるものと考えます。
自分がスラップの標的とされ、自分自身問題として、違法訴訟の被害を体験しました。経済力を持っているものが、思うがままに濫訴をしていることを不愉快と思わざるを得ません。DHC・吉田嘉明らのスラップ提訴への応訴の損害を請求額6000万円の10%である600万円を認めていただき、その損害についての賠償実現のための反訴提起費用の弁護士費用としてさらにその10%。合計660万円の損害賠償請求を認容していただけるものと期待しています。

14 反訴被告の応訴態度について
前訴の提起や、前訴係属中の異様な請求の拡張がどのような意図や動機に基づいてなされたかは、本件の核心的な争点の一つです。当然のことながら、この核心的な争点を明確にするためには、反訴被告吉田嘉明本人に法廷で語ってもらうことが不可欠です。
私は、外形的な事情だけから前訴の提起も、前訴における異様な請求の拡張も、吉田批判の言論封殺を目的とした濫訴であると確信していますが、裁判所の心証がどうであるかについてまでは確信に至っていません。
反訴原告側から、この争点に関する反訴被告吉田嘉明本人尋問の申請をして、裁判所もその必要を認めて採用を決定しました。しかし、彼は理由らしい理由を述べることを放棄して、ともかく出廷しないという態度を明らかにしています。
彼が一応の不出廷の理由として挙げていることは、内海拓郎証人の証言で足りるというものですが、彼自身がそう思っているはずはありません。会社の提訴意思決定の経過や動機についても、ワンマンとして知られている吉田の意向が重要ですが、吉田嘉明本人の提訴意思決定の経緯や意図・動機・目的については、内海拓郎証人が代わって語る資格も術もないことが明らかです。しかも、裁判所は内海証人と併せて吉田尋問の採用を決定したのですから、裁判所が内海証言だけでは足りず、吉田本人の尋問の必要あるとに心証に至っていることはよく分かっているはずなのです。
本人尋問採用の決定があった以上は、吉田嘉明には出廷すべき義務があります。しかし、彼は公然とその義務の履行を拒否しているのです。彼の、法に対する姿勢がよく表れていると思います。彼には、遵法の精神がないと言わざるを得ません。
そもそも、私とのここまでの関わりは、徹頭徹尾彼が主導してきました。まず、渡辺喜美に巨額の政治資金を拠出したのが発端。渡辺との関係が壊れると自らカネを渡していたことを週刊誌に手記として暴露して公表。そのことを批判されるとスラップ訴訟を提起し、スラップ批判をされると異様な請求の拡張。スラップ訴訟で敗訴が確定すると、自ら原告となって債務不存在確認請求訴訟の提起。そして、ようやくにして本件反訴損害賠償請求事件にたどり着いているのです。
私は、突然に訴えられて2000万円の請求で驚いているところに、6000万円に請求金額を跳ね上げられ、一審勝っても、高裁・最高裁まで付き合わされ、2度目の訴訟まで提起されて、応訴を余儀なくされた立場なのです。
私はどうしても納得ができません。吉田嘉明批判は、すべて新潮手記の範囲です。これを批判されたのは、身から出た錆というしかありません。なのに、他人が批判したら、それはけしからん許せんというスラップ訴訟の提起。ついで、「スラップ批判」に過剰反応した異様で異常な請求額6000万円への3倍増。さらに、控訴も上告受理申立も、債務不存在確認請求の本訴を仕掛けなど、積極的に動いてきた吉田嘉明が、どうして法廷に出て来ようとしないのか。自分のしてきたことに、よほど自信がないのだろうと忖度せざるを得ません。
吉田の不出頭は、明らかな証明妨害に当たるものと考えます。相応の制裁措置があってしかるべきだと思います。

おわりにー本件判決が持つであろう意味
この反訴は、言論の自由確立に大きな意義をもつものと考えられます。
仮にもし、これほどあからさまで悪質な違法訴訟に、何の法的制裁も行われないこととなれば、スラップ横行の事態が生じかねません。
DHC・吉田嘉明のごときスラップ常習者が、自分を批判する言論を嫌っての高額賠償請求訴訟を頻発させることになるでしょう。財力のある者にとっては、「敗訴してもともと」「相手に応訴の負担をかけてやっただけ儲けもの」「こうすれば、他の人々も、自分を批判することは差し控えるだろう」と思うようになります。
社会は、「DHC・吉田嘉明のごときスラップ常習者を批判することは差し控えた方が賢明」と言論を萎縮することになりかねません。
現実に、DHCの担当社員は、DHC・吉田嘉明に対するネット上の批判の言論を削除するよう要請して回り、要請された側が不本意ながらも「あそこ(DHC・吉田嘉明)は、本気になって訴訟を提起してくる」からと、批判の記事を削除している実例があり、これを乙号証で提出しています。
スラップにお咎めなしとなれば、濫訴が横行する事態を招くことになるでしょう。そのとき、市民とメデイアの言論は萎縮し、権力者や経済的強者への断固たる批判の言論は、後退を余儀なくされることなります。そのことは、権力と経済力が社会を恣に支配することを意味します。言論の自由と、言論の自由に支えられた民主主義政治の危機というほかはありません。
既述のとおり、本件スラップ訴訟は、けっして私の言論だけを封殺の標的にしているのではありません。私に、あるいは関連スラップ訴訟被告の他の9人に対しスラップ訴訟を仕掛けることによって、同じような発言をしている、あるいはしようとしている無数の潜在的表現者を威嚇し萎縮させて、潜在的言論封殺効果を狙っているのです。だから私は、自分ひとりが勝訴しただけでは喜べない立場にあります。
本件不当訴訟を仕掛けたことに対して、DHC・吉田やこれを幇助したその取り巻きに対する相応のペナルティがなければ、スラップ訴訟は「やり得」に終わってしまいます。やり得を払拭し、再発の防止の効果を挙げるためには、スラップを違法として、相応の制裁がなければなりません。
以上のとおり、本件は優れて憲法21条の問題ではありますが、それだけではなく政治資金規正法の理念の問題でもあり、消費者問題と規制緩和の問題でもあり、民事訴訟を濫用しての言論萎縮効果の問題でもあります。これらの問題にも十分配慮され、公正かつ妥当な判決の言い渡しによって、貴裁判所がその職責を果たされるよう、強く期待申し上げる次第です。

以  上

(2019年4月18日)

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