澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

辺野古埋立は「第4の琉球処分」、12月14日は「沖縄屈辱の日」。

暴走政権の辺野古土砂投入の強行が12月14日。翌15日付の琉球新報社説が、よく意を尽くして説得的であり印象的でもある。これは、県外の多くの人々に読んでもらうべきだろう。全文を引用したい。
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-849072.html

社説の標題は、「辺野古へ土砂投入 第4の『琉球処分』強行だ」

 この光景は歴史に既視感を覚える。沖縄が経験してきた苦境である。
 
 政府は、名護市辺野古沿岸に米海兵隊の新基地を造るため埋め立て土砂を投入した。昨年4月の護岸着工以来、工事を進める政府の姿勢は前のめりだ。9月の知事選で新基地に反対する玉城デニー知事誕生後わずか約1カ月後に工事を再開し、国と県の集中協議中も作業を進めた。手続きの不備を県に指摘されても工事を強行し土砂を投入したのは、基地建設を早く既成事実化したいからだ。
 県民の諦めを誘い、辺野古埋め立ての是非を問う県民投票に影響を与えたり、予想される裁判を有利に運ぼうとしたりする狙いが透けて見える。

 辺野古の問題の源流は1995年の少女乱暴事件にさかのぼる。大規模な県民大会など事件への抗議のうねりが沖縄の負担軽減に向けて日米を突き動かし、米軍普天間飛行場の返還合意につながった。
 ところが返還は県内移設が条件であるため曲折をたどる。関係した歴代の知事は県内移設の是非に揺れ、容認の立場でも、使用期限や施設計画の内容などを巡り政府と対立する局面が何度もあった。
 5年前、県外移設を主張していた仲井真弘多前知事が一転、埋め立てを承認したことで県民の多くが反発。辺野古移設反対を掲げる翁長県政が誕生し玉城県政に引き継がれた。県内の国会議員や首長の選挙でも辺野古移設反対の民意が示されている。
 今年の宜野湾、名護の両市長選では辺野古新基地に反対する候補者が敗れたものの、勝った候補はいずれも移設の是非を明言せず、両市民の民意は必ずしも容認とは言えない。本紙世論調査でも毎回、7割前後が新基地建設反対の意思を示している。そもそも辺野古新基地には現行の普天間飛行場にはない軍港や弾薬庫が整備される。基地機能の強化であり、負担軽減に逆行する。これに反対だというのが沖縄の民意だ。

 その民意を無視した土砂投入は暴挙と言わざるを得ない。歴史的に見れば、軍隊で脅して琉球王国をつぶし、沖縄を「南の関門」と位置付けた1879年の琉球併合(「琉球処分」)とも重なる。日本から切り離し米国統治下に置いた1952年のサンフランシスコ講和条約発効、県民の意に反し広大な米軍基地が残ったままの日本復帰はそれぞれ第2、第3の「琉球処分」と呼ばれてきた。今回は、いわば第4の「琉球処分」の強行である。
 歴史から見えるのは、政府が沖縄の人々の意思を尊重せず、「国益」や国策の名の下で沖縄を国防の道具にする手法、いわゆる植民地主義だ。

 土砂が投入された12月14日は、4・28などと同様に「屈辱の日」として県民の記憶に深く刻まれるに違いない。だが沖縄の人々は決して諦めないだろう。自己決定権という人間として当然の権利を侵害され続けているからだ。

「琉球処分」は、明治政府の強権による沖縄に対する廃藩置県である。1879年3月、政府は軍隊と警察力を動員した威嚇のもと、琉球藩を廃し沖縄県設置を強行した。旧国王尚氏は東京移住を命じられ、琉球王国は約500年にわたる歴史を閉じた。

これに、擬して「第2の琉球処分」と言われるものが、第2次大戦後1952年のサンフランシスコ講和条約発効で、本土とは切り離されて米軍の統治下におかれたことを指す。これがなぜ「琉球処分」なのか。昭和天皇(裕仁)の沖縄切り捨ての意向が、米国に伝えられていたからだ。1947年9月20日付のいわゆる「天皇メッセージ」(宮内庁御用掛の寺崎英成を通じてシーボルト連合国最高司令官政治顧問に伝えられた天皇の見解をまとめたメモ)によれば、既に政治的権能を失ったはずの天皇が、「米軍の沖縄駐留について『25年ないし50年あるいはそれ以上の長期』を求めた。訪米する外相に向かって『米軍撤退は不可なり』とわざわざ念を押した」ともいう。

さらに、1972年の沖縄返還は、県民の意に反し広大な米軍基地が残ったままの日本復帰となった。「核と基地」を沖縄に押しつけ続けてきた政府の姿勢を「第3の琉球処分」と表現したのだ。

琉球新報社説は、辺野古土砂投入の蛮行を、「歴史に既視感を覚える」とし、「第4の『琉球処分』強行だ」とした。「この光景は沖縄が経験してきた」という苦境は、自然災害による苦境ではない。戦争による苦境ですらない。本土の政府から民意を蹂躙され続けた歴史を「苦境」と言っているのだ。

県外の我々は、沖縄に「苦境」を押しつけた側として、真摯に襟を糺さなければならないと思う。

もう一つ。沖縄県の公式ホームページが玉城知事の12月14日コメント全文を掲載している。これも意を尽くした内容で、国民みんなが目を通すべきものだと思う。その内容に共感して、これを引用する。
 https://www.pref.okinawa.jp/site/chijiko/henoko/documents/301214chijikomento.pdf

知事コメント(土砂投入について)

 本日、普天間飛行場代替施設建設事業に係る名護市辺野古の工事現場に職員を派遣したところ、土砂投入作業が行われたことを確認しました。沖縄県が去る8月31日に行った埋立承認撤回に対して沖縄防衛局が、行政不服審査制度を悪用し、自らを「固有の資格」ではなく私人と同様の立場であるとして、審査請求及び執行停止申立てを行ったことは違法であり、これを受けて国土交通大臣が行った執行停止決定もまた、違法で無効であります。
 県は、このような違法な執行停止決定の取消しを求めて去る11月29日に国地方係争処理委員会に審査を申し出ておりますが、同委員会での審査は済んでおらず、現時点において何ら、本件執行停止決定に係る法的な判断は示されておりません。

 また、県は、去る12月12日に、沖縄防衛局に対して行政指導文書を発出し、違法無効な本件執行停止決定を根拠として埋立工事を行うことは許されないこと等から、エ事を進めることは断固として容認できず、ましてや土砂を投入することは絶対に許されないとして、直ちに工事を中止するよう強く求めたところであります。

 私は、昨日、菅官房長官及び岩屋防衛大臣と面談し、行政指導文書の内容を説明するとともに、違法な土砂投入を行うことは決して容認できないことを伝え、改めて土砂投入の中 止を強く要求しました。それにもかかわらず、国が、このような県の要求を一顧だにすることなく土砂投入を強行したことに対し、激しい憤りを禁じ得ません。

 国は、一刻も早く工事を進めて既成事実を積み重ね、県民をあきらめさせようと躍起になっていますが、このような行為は、逆に沖縄県民の強い反発を招き、工事を強行すればするほど県民の怒りはますます燃え上がるということを認識するべきであります。

 数々の違法な行為を行い、法をねじ曲げ、民意をないがしろにし、県の頭越しに工事を進めることは、法治国家そして国民に主権があるとする民主主義国家において決してあって はならないことであります。

 国が、地方の声を無視し、法をねじ曲げてでも国策を強行するやり方は、地方自治を破壊する行為であり、本県のみならず、他の国民にも降りかかってくるものと危惧しております。

 沖縄県民、そして全国民の皆様には,このような国の在り方をしっかりと目に焼き付け、心に留めていただき、法治国家そして民主主義国家としてあるまじき行為を繰り返す国に対し、共に声を上げ、共に行勤していただきたいと思います。現時点ではまだ埋立工事全体の一部がなされているにすぎず、また、工事の権限のない者によって違法に投入された土砂は、当然に原状回復されなければなりません。

 県としては、国地方係争処理委員会への審査申出など、執行停止の効力を止めることに全力をあげているところであり、今回土砂を投入したとしても、今後、軟弱地盤等への対応が必要であり、辺野古新基地の完成は見通せないものであります。

 普天間飛行場の5年以内運用停止を含む危険性の除去は喫緊の課題であり、県としては、今後13年以上にも及ぶ固定化は認められません。今後も引き続き、同飛行場の一日も早い閉鎖・返還・県外・国外移設及び運用停止を含む危険性の除去を政府に対し、強く求めてまいります。

 私は、多くの県民の負託を受けた知事として、ぶれることなく、辺野古新基地建設に反対するという民意に添い、その思いに応えたいと思いますので、県民・国民の皆様からも一層の御支援、御協力をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 平成30年12月14日 沖縄県知事 玉城デニー

(2018年12月17日)

「民意は海に埋められない」 ― 辺野古土砂投入に抗議する。

今日も、辺野古の海が泣いている。大浦湾に土砂が投入されたことの怒りがおさまらない。何もできなことがもどかしいが、せめて声を上げよう。「アベ・無法政権の暴走を糺弾する」と。

昨日(12月15日)、玉城知事は、就任後初めて辺野古のキャンプ・シュワブゲート前を訪問して、座り込みの人々を激励した。安倍政権による辺野古埋め立て土砂投入強行に対して、知事は「打つ手は必ずある。われわれのたたかいはとまりません」と力説。「国の暴挙に対して、本当の民主主義を求めるという私たちの思いは全国のみなさんも共感しています。そのことも確かめてがんばっていきましょう」「(政府との)対話の気持ちはこれからも継続していく。しかし、対抗すべき時は対抗していく」「われわれは決してあきらめない。勝つことはあきらめないことです」と呼びかけ、拍手に包まれたという。

ある報道では、知事は「勝つことは難しいかもしれないが、絶対に諦めない」とも述べたという。これは、示唆に深い。「勝てるから闘う」のではない。理不尽に、怒りを燃やして闘うのだ。相手は強く大きい。だから、「もしかしたら勝つことは難しいかもしれない」。しかし、「絶対に闘い抜く。諦めない」。「あきらめるとは、自ら勝利を放棄することだ」「あきらめることなく、できることはすべてやる」という闘いの決意なのだ。

本日(12月16日)、共同通信の世論調査結果が発表された。

辺野古の土砂投入、支持しないは56%。
共同通信の世論調査によると、政府が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先、名護市辺野古沿岸部への土砂投入を始めたことについて、移設を進める政府の姿勢を支持しないとの回答は56.5%だった。支持は35.3%。

私は、この調査の結果に頗る不満である。支持派の35%の諸君、恥を知れ。キミたちには、県民に寄り添うと言いながらこの暴挙に出た政権に対する怒りはないのか。沖縄が本土のための犠牲になり続けてきた歴史を知らないとでもいうのか。やっかいなものを沖縄に押しつけて安閑としていることを、やましいとも後ろめたいとも思わないのか。取り返しのつかない自然環境の破壊に心が痛まないのか。

ところで、闘争はときに名文句を生む。砂川では、「土地に杭は打たれても 心に杭は打たれない」が人々の口にのぼった。今度は、民意は海に埋められない」だ。期せずして、朝日・毎日・東京の各社説が似たフレーズを記事にした。

この件では、各紙の社説に情も熱もこもっているものが多い。
朝日と毎日とは、はからずもタイトルがそろった。朝日が「辺野古に土砂投入 民意も海に埋めるのか」とし、毎日が「辺野古の土砂投入始まる 民意は埋め立てられない」とした。両紙とも、ボルテージが高い。

朝日 「『辺野古ノー』の民意がはっきり示された県知事選から2カ月余。沖縄の過重な基地負担を減らす名目の下、新規に基地を建設するという理不尽を、政権は力ずくで推進している。」「政府の振る舞いはこの1年を見るだけでも異様だった。」「その首相をはじめ政権幹部が繰り返し口にするのが『沖縄の皆さんの心に寄り添う』と『辺野古が唯一の解決策』だ。本当にそうなのか。」
そして、本土の人々に「わがこと」として考えようと呼びかけ、最後をこう締め括っている。
「沖縄に対する政権のやり方が通用するのであれば、安全保障に関する施設はもちろん、『国策』や『国の専権事項』の名の下、たとえば原子力発電所や放射性廃棄物処理施設の立地・造営などをめぐっても、同じことができてしまうだろう。そんな国であっていいのか。苦難の歴史を背負う沖縄から、いま日本に住む一人ひとりに突きつけられている問いである。」

毎日 「わずか2カ月半前に示された民意を足蹴にするかのような政府の強権的姿勢に強く抗議する。米軍普天間飛行場の辺野古移設工事で、政府は埋め立て予定海域への土砂投入を開始した。埋め立てが進めば元の自然環境に戻すのは難しくなる。ただちに中止すべきだ。9月末の沖縄県知事選で玉城デニー氏が当選して以降、表向きは県側と対話するポーズをとりつつ、土砂投入の準備を性急に進めてきた政府の対応は不誠実というほかない。
……
 沖縄を敵に回しても政権は安泰だと高をくくっているのだとすれば、それを許している本土側の無関心も問われなければならない。仮に将来移設が実現したとしても、県民の憎悪と反感に囲まれた基地が安定的に運用できるのか。埋め立て工事は強行できても、民意までは埋め立てられない。」

東京新聞は、さらに厳しい。
「辺野古に土砂 民意も法理もなき暴走
群青の美(ちゅ)ら海とともに沖縄の民意が埋め立てられていく。辺野古で政権が進める米軍新基地建設は法理に反し、合理性も見いだせない。工事自体が目的化している。土砂投入着手はあまりに乱暴だ。
 重ねて言う。
 新基地建設は、法を守るべき政府が法をねじ曲げて進めている。なぜそこに新基地が必要か。大義も根底から揺らいでいる。直ちに土砂投入を中止し虚心に計画を見直す必要があろう。
これ以上の政権の暴走は、断じて許されない。」

これと対極にあるのが、言わずと知れた産経である。街頭右翼ががなり立てているあの大音量のスピーカーを聞かされている心地である。

「辺野古へ土砂投入 普天間返還に欠かせない
市街地に囲まれた普天間飛行場の危険を取り除くには、代替施設への移設による返還が欠かせない。日米両政府による普天間飛行場の返還合意から22年たつ。返還へつながる埋め立てを支持する。

翁長雄志前知事や玉城デニー知事らの反対や、「最低でも県外」と言った鳩山由紀夫首相(当時)による迷走が、返還に結びつく移設を妨げてきたのである。玉城知事は「激しい憤りを禁じ得ない。県民の怒りはますます燃え上がる」と土砂の投入に反発して、移設阻止に取り組む考えを示した。だが、知事は、移設が遅れるほど普天間飛行場周辺に暮らす宜野湾市民が危険にさらされ続ける問題を無視してはならない。

 沖縄の島である尖閣諸島(石垣市)を日本から奪おうとしている中国は、空母や航空戦力、上陸作戦を担う陸戦隊(海兵隊)などの増強を進めている。北朝鮮は核・ミサイルを放棄していない。沖縄の米海兵隊は、平和を守る抑止力として必要である。安倍晋三首相ら政府は反対派から厳しい批判を浴びても移設を進めている。県民を含む国民を守るため現実的な方策をとることが政府に課せられた重い責務だからだ。沖縄を軽んじているわけではない。

来年2月24日には辺野古移設の是非を問う県民投票が予定されている。普天間返還に逆行し、国と県や県民同士の対立感情を煽(あお)るだけだ。撤回してもらいたい。」

おそらくは、この産経社説の論調がアベ政権のホンネ。アベ政権のホンネをあからさまに語る論説として貴重なのだ。恐るべきかな産経、恐るべきかなアベ政権。
(2018年12月16日)

「辺野古の海を壊すな」「平和を壊すな」「民主主義を壊すな」「決してあきらめない」 ― 辺野古土砂投入に抗議する。

本日(12月14日)、アベ政権は辺野古新基地建設のための大浦湾埋立工事を強行して、護岸から海中に土砂の投入を開始した。

土砂投入が始まったのは本日午前11時ごろ。名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブの南側で、護岸からダンプカーが土砂を下ろし、その土砂をブルドーザーが海へ押し出した。工事は午後も続き、埋め立ての土砂が次々と運び込まれた。(朝日デジタル)

緊急に辺野古で1000人の抗議集会が組まれた。「埋め立てやめろ」だけでなく、「あきらめない」がスローガンになっていたという。

政権は、沖縄県民の、そして全国の平和を願う人々の「あきらめ」を狙っている。それが、人々の共通認識だ。だから、今、「あきらめることなく、抗議の声をあげ続けること」それが最も大切なことではないか。

玉城知事は県庁で緊急記者会見を開き、「法をねじ曲げ、民意をないがしろにして工事を進めるのは、法治国家、民主主義国家としてあるまじき行為だ」と厳しく批判。「国は一刻も早く工事を進めて既成事実を積み重ねて県民を諦めさせようと躍起だが、工事を強行すればするほど県民の怒りは燃え上がる」と指摘し、移設阻止のために「あらゆる手段を講じる」と強調した。 (毎日)

朝日は、稲嶺進・名護前市長の声をこう紹介している。

「沖縄に『もう引き返せない』という空気を作りたいのだろうが、あまりに乱暴だ。移設工事が進んでいると見せるための、国民と米国に向けたパフォーマンスでしかない」。
「沖縄は戦後ずっと民主主義も地方自治もない、憲法の『番外地』だった。その上、さらに「新たな基地」を受け入れることはできない」。
「2010年の初当選後、政府から市への米軍再編交付金が打ち切られ、中学校体育館の建て替え事業など市の13事業が宙に浮いた。むき出しの「アメとムチ」を肌身で感じた。」
「政府が悪いことをした時、止める方法がこの国にはない。無人のダンプカーが暴走するようだ」
「あきらめはない。土砂投入が始まったといっても、私たちは何も変わらないですよ」

私(澤藤)は、今年(2018年)5月、辺野古でグラスボートに乗り、1時間近く、辺野古近海海底の珊瑚礁を目にした。あの美ら海が壊されるのかと思うと、胸が痛む。毎日夕刊は、「大浦湾には、生物5806種の生物が確認され、うち262種が絶滅危惧種」と報じている。世界遺産となった屋久島や小笠原諸島よりも多いのだという。「『やめろ』美ら海に叫び」という見出しが痛々しい。

アベ政権が押し通そうとしている「辺野古の海を壊す」ことは、「平和を壊す」ことでもあり、「沖縄県民の民意を蹂躙する」ことでもあり、そして「民主主義を壊す」ことでもある。まだまだ闘う手段は残されている。決してあきらめることなく、声をあげ続けたい。

下記は、昨日付の自由法曹団の声明である。私の気持ちにピッタリなので、これを転載しておきたい。
(2018年12月14日)
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 日本政府の辺野古海域への土砂投入方針の撤回を求める声明

今年9月に行われた沖縄県知事選挙で、辺野古新基地建設反対を掲げ、「オール沖縄」の支援を受けた玉城デニー現沖縄県知事が、安倍政権の全面支援を受けた佐喜真淳候補に8万票以上の圧倒的大差をつけて勝利した。辺野古新基地建設反対は圧倒的多数の沖縄県民の意思である。

 しかし、日本政府は、行政不服審査法を悪用して、埋め立て承認撤回の効力を停止させた上、12月14日にも辺野古新基地建設に伴う埋め立て土砂の投入を強行しようとしている。こうした日本政府の方針は、沖縄県知事選挙で示された沖縄県民の意思を真っ向から踏みにじるものであり、断じて許されない。

 しかも、日本政府は、土砂投入のため、12月3日に名護市安和にある民間桟橋から土砂搬出作業を開始したが、同桟橋は沖縄県規則で定められている桟橋設置工事の完了届がなされておらず、桟橋内の堆積場についても沖縄県赤土等流出等防止条例で必要とされている届出がなされてないなど、違法に違法を重ねている。

 また、今回計画されている土砂投入は、埋め立てに必要な2100㎥のうち、辺野古側の約129㎥分にすぎない。地盤の強さを示すN値がゼロという”マヨネーズ並み”の軟弱地盤が大浦湾側の護岸の建設予定地で見つかっているところ、軟弱地盤の改良には公有水面埋立法に基づき沖縄県に届け出ている設計概要の変更と玉城デニー沖縄県知事の承認が必要であり、かかる承認がなければ日本政府は大浦湾側で埋め立て工事を進めていくことはできない。

 このように埋め立て工事を進めていく展望が全くないにもかかわらず、日本政府があえて土砂投入にこだわるのは、来年2月24日に予定されている辺野古新基地建設の是非を問う県民投票、3月以降に予定されている衆議院沖縄3区補選の前に、少しでも土砂を投入したことを見せつけて埋め立てを既成事実化し、新基地建設に反対する沖縄県民を諦めさせることを狙っているからである。

 自由法曹団は、二重三重に沖縄県民の意思を踏みにじる土砂投入の強行を許さず、日本政府に対して、土砂投入方針の撤回を強く求めるものである。
  2018年12月13日 自由法曹団 団長・船尾徹

あたらしい憲法のはなし 『戰爭の放棄』を読む

「あたらしい憲法のはなし」は、青空文庫で読むことができる。
https://www.aozora.gr.jp/cards/001128/files/43037_15804.html

これに目を通して驚いた。底本が、日本平和委員会発行のものだという。この底本平和委員会版「あたらしい憲法のはなし」は、1972年11月3日初版発行で、2004年1月までに、なんと38版を重ねている。確かに、ロングセラーなのだ。日本平和委員会発行ということは、日本の正統護憲勢力からお墨付きを得ていると言ってよい。何を隠そう、私も日本平和委員会の末端会員である。

護憲勢力から最も評価されたのが、「第6章 戰爭の放棄」であろう。確かに、ここは違和感なく読める。まず、全文を掲出しよう。

六 戰爭の放棄
  みなさんの中には、こんどの戰爭に、おとうさんやにいさんを送りだされた人も多いでしょう。ごぶじにおかえりになったでしょうか。それともとうとうおかえりにならなかったでしょうか。また、くうしゅうで、家やうちの人を、なくされた人も多いでしょう。いまやっと戰爭はおわりました。二度とこんなおそろしい、かなしい思いをしたくないと思いませんか。こんな戰爭をして、日本の國はどんな利益があったでしょうか。何もありません。たゞ、おそろしい、かなしいことが、たくさんおこっただけではありませんか。戰爭は人間をほろぼすことです。世の中のよいものをこわすことです。だから、こんどの戰爭をしかけた國には、大きな責任があるといわなければなりません。このまえの世界戰爭のあとでも、もう戰爭は二度とやるまいと、多くの國々ではいろいろ考えましたが、またこんな大戰爭をおこしてしまったのは、まことに残念なことではありませんか。

 そこでこんどの憲法では、日本の國が、けっして二度と戰爭をしないように、二つのことをきめました。その一つは、兵隊も軍艦も飛行機も、およそ戰爭をするためのものは、いっさいもたないということです。これからさき日本には、陸軍も海軍も空軍もないのです。これを戰力の放棄といいます。「放棄」とは「すててしまう」ということです。しかしみなさんは、けっして心ぼそく思うことはありません。日本は正しいことを、ほかの國よりさきに行ったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。
  もう一つは、よその國と爭いごとがおこったとき、けっして戰爭によって、相手をまかして、じぶんのいいぶんをとおそうとしないということをきめたのです。おだやかにそうだんをして、きまりをつけようというのです。なぜならば、いくさをしかけることは、けっきょく、じぶんの國をほろぼすようなはめになるからです。また、戰爭とまでゆかずとも、國の力で、相手をおどすようなことは、いっさいしないことにきめたのです。これを戰爭の放棄というのです。そうしてよその國となかよくして、世界中の國が、よい友だちになってくれるようにすれば、日本の國は、さかえてゆけるのです。
  みなさん、あのおそろしい戰爭が、二度とおこらないように、また戰爭を二度とおこさないようにいたしましょう。

いくつも、心に留めなければならないフレーズがある。

こんな戰爭をして、日本の國はどんな利益があったでしょうか。何もありません。たゞ、おそろしい、かなしいことが、たくさんおこっただけではありませんか。

戰爭は人間をほろぼすことです。世の中のよいものをこわすことです。

(戰力の放棄に関し)みなさんは、けっして心ぼそく思うことはありません。日本は正しいことを、ほかの國よりさきに行ったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。

立派な文章だと思う。しかし、どうしても手放しでの賛美はできない。この文章の足らざるところに、やはり批判が必要だ。

まず何よりも、ここには被害感情と厭戦の気分は書き込まれているが、加害責任については、まったく触れられていない。

この一文は「こんどの戰爭に、おとうさんやにいさんを送りだされた人も多いでしょう。ごぶじにおかえりになったでしょうか。」から始まっている。そのとおり、「日本は兵隊を戦地に送り出した」のだ。だから、戦争とは長く、「外地」でのできごとだった。その「外地」に、兵隊として「送りだされたおとうさんやにいさんたち」は何をしたか。もちろん、侵略者として闘ったのだ。明らかな加害者だった。

「こんなおそろしい、かなしい思い」は、実は皇軍に蹂躙された近隣諸国の民衆が真っ先に味わったことなのだ。その加害の責任に、この書が言及するところはない。

もう一つ。戦争の加害責任に触れないだけでなく、日本の植民地支配にも触れていない。台湾・朝鮮・満州などの支配について、「いったい、日本はこれまでどんなことをしてきたのでしょうか」と反省を述べるところが皆無なのだ。

また、「どうして戦争が起きたのでしょうか」「誰に責任があったのでしょうか」と考えさせる視点もない。国民を戦争に駆りたてた、教育や言論統制や国民監視体制や、思想統制についての反省も皆無である。

戦争を命じた天皇の責任、「上官の命令は天皇の命令」として軍を統帥した天皇の責任、戦争を煽る道具としてこの上なく便利な役割を果たした神なる天皇についても一言も書かれていない。

この教科書をつくる過程で、どのような綱引きが行われたのだろうか。次の文章には、筆者が言いたいことが押さえつけられたような印象をもたざるを得ない。
「だから、こんどの戰爭をしかけた國には、大きな責任があるといわなければなりません。」
これは、日本としての反省を文章化したものだろうか。

終わりは、「あのおそろしい戰爭が、二度とおこらないように」で文章を終わらせず、「戰爭を二度とおこさないようにいたしましょう。」と結んである。

戦争は、自然災害ではない。「二度とおこらないように」祈るだけではなく、「二度とおこさないようにいたしましょう」と、やや主体性ある姿勢を見せているのだ。さらに、「おこさせないようにいたしましょう」だと、天皇や財閥や保守政治家に釘を刺す内容となったはずなのだが。

ところで、「護衛艦『いずも』の空母化」や、「政府 F35戦闘機を105機購入へ」と話題となる時代が到来している。

「ほかの國よりさきに、正しいことを行ったはずの日本」が、今や「正しくないこと」に手を染めている。まこと、「世の中に正しいことぐらい強いものはなく、正しくないことぐらい弱いものはありません」。だから、われわれは、いま、安倍政権のもとで、心ぼそい思いをしなければならないのだ。

たまたま本日(12月13日)、日中戦争での日本軍南京入城の日。
(2018年12月13日)

あべさんあぶないアイウエオ

「発音練習・エクササイズ」なるものが我が家の壁に貼ってある。
滑舌をよくする訓練のためのもののようだが、これが実によくできていてたのしい。

ありさんあつまれアエイウエオア
かにさんかさこそカケキクケコカ
さかだちさかさまサセシスセソサ
たのしいたこあげタテチツテトタ
ならんでなわとびナネニヌネノナ
はなたばはなびらハヘヒフヘホハ
まえよりまじめにマメミムメモマ
やっぱりやさしいヤエイユエヨヤ
らくだいライオンラレリルレロラ
わんぱくわいわいワエイウエオワ
がまんだがんばれガゲギグゲゴガ
ざわざわざぶざぶザゼジズゼゾザ
だんだんだぶだぶダデヂヅデドダ
ばんごうばらばらバベビブベボバ
パラソルぱらぱらパペピプペポパ

「らくだいライオンラリルレロ」「わんぱくわいわいワイウエオ」など、ステキなフレーズではないか。
最初読んだとき、反射的に「アベさんらくだいラリルレロ」と口を突いて出た。
余り楽しい気分にはならないが、私も「憲法日記」風に真似してみよう。

あべさんあぶないアエイウエオア
かくりょうかねかねカケキクケコカ
さつきはさんざんサセシスセソサ
たろうのたちわるタテチツテトタ
なんくるないさーナネニヌネノナ
はいきだはいろだハヘヒフヘホハ
まじめにまなぼうマメミムメモマ
やとうはやるきだヤエイユエヨヤ
らいねんらくせんラレリルレロラ
わしらはわかいぞワエイウエオワ
がんこにガツンとガゲギグゲゴガ
ざるほうざせつだザゼジズゼゾザ
だんごうだんぱんダデヂヅデドダ
ばんみんばんざいバベビブベボバ
パワーだパンチだパペピプペポパ

もう、一つ。

あべさんあかんよアイウエオ
あべさんかいけんカキクケコ
あべさんさよならサシスセソ
あべさんたいじんタチツテト
あべさんなくなくナニヌネノ
あべさんはんせいハヒフヘホ
あべさんまじめにマミムメモ
あべさんやりすぎヤイユエヨ
あべさんらくだいラリルレロ
あべさんわるずれワイウエオ
あべさんがっかりガギグゲゴ
あべさんざんげをザジズゼゾ
あべさんダウンだダヂヅデド
あべさんばったりバビブベボ
あべさんパンチだパピプペポ

(2018/12/09)

偉大なるかな「写経共闘」の成果

どこにも言語感覚豊かな人がいる。野党の議員から、「写経共闘」という言葉を聞かされた。社共共闘ではなく、「写経」の共闘。これが含蓄深い。

写経といえば、静謐な環境の中で、ひたすら経文を書き写す。それが精神修行でもあり、功徳でもあるという。その「写経」をともにしたのが、野党の議員諸君。

入管法改正問題で重要な基礎資料となっているのが、失踪外国人技能実習生への聴取票。正確には「実習実施者から失踪した技能実習生にかかる聴取票」。2892枚に及ぶその手書きでの書き写しを「写経」と名付けたのだ。これを立憲民主党、国民民主党、日本共産党、無所属の会、自由党、社民党、参院会派「沖縄の風」の7野党(含む会派)の各議員が分担し、休日返上でやり遂げた。

野党議員の神妙な「写経」ぶりは、下記のURLがよく映している。
https://tr.twipple.jp/p/bb/5860d1.html

スキャンを掛けて統計処理をすれば、あっという間に終わる作業。それをさせたくないというのが、政権側による明らかないやがらせ。衆院法務委員会と参院予算・法務委員会の委員に限定して閲覧を許可したが、コピーもダメ、写メも許可しないと言う。これで、野党議員のやる気を封じようという作戦。

ところが、この姑息な政権の思惑が完全に裏目に出た。野党各党の議員は写経を共にするうちに、安倍政権に対する闘志を共有して、大いに連帯感を醸成したという。のみならず、その集計結果が「なるほど、これでは見せたくなかったわけだ」と肯かせる代物。安倍政権の「ウソとごまかし」体質を裏書きする重要な1事例として加えられることになった。「写経共闘」の偉大なる成果にほかならない。

昨日(12月3日)、写経に携わった7野党(含会派)の議員団が国会内で記者会見し、写経・集計の結果を発表した。
その結果、2892人(重複22人分含む)の対象者(聴取票では「容疑者」)のうち、67%の1939人が最低賃金を下回っていたという。

野党議員団は、月額給与と労働時間から時給を算出し、全国で最も低い宮崎・沖縄両県の最賃時給714円(16年)と比較した。その結果、時給714円に満たない者が、3分の2なのだ。

これまでの政府発表では、「最低賃金以下」を「失踪の理由」として上げた者は22人、0・8%とされてきた。67%と0・8%。こういう比較を「月とスッポン」という。あるいは、「ムチャクチャなウソとごまかし」とも。貴重な教訓を噛みしめなければならない。「安倍政権の言い分も、統計資料も、まずは眉に唾を付けてから聴き、目を通すべし」。うっかり鵜呑みにするとたいへんな目に遭う。

また集計の結果、過労死ライン(月80時間)を超える残業をしていた人が1割に上ることも判明した。これも、写経共闘の貴重な成果。

野党議員団は口を揃えて、「外国人労働者受け入れ拡大の出入国管理法改定案審議の土台は崩れた」と指摘した。誰が見てもそのとおりだろう。これまで法務省が言っていた、「より高い賃金を求めて失踪する者が3分の2」との見解は虚偽だった。「そのウソがばれないよう野党に手書きさせ、その間に法案を衆院で通過させた」のだから悪質極まる。まことに、「嘘つきは安倍の始まり」であり、「ごまかしは法務省の始まり」ではないか。

これだけ追い詰めてなお、法案成立が強行されるとなれば、国民は政権からよほどなめられている。「国民が主権者だって言うのは、投票日一日だけのこと」「どうせ次の選挙までに、みんな忘れてくれる」「だから、何をやってもへっちゃらさ」

これが、今の政権と国民の関係。民主主義の実態なのだ。
(2018年12月4日)

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憲法審査会強行開催糾弾! 自民改憲案「提出」許すな! 12・6早朝緊急抗議行動

【拡散希望】
 『憲法審査会強行開催糾弾! 自民改憲案「提出」許すな! 12・6早朝緊急抗議行動』
12/6(木)AM9:00~ 衆議院第2議員会館前
 主催:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

 http://sogakari.com/?p=3911

大いに盛り上がった院内集会「ウソとごまかしの『安倍政治』総検証!」

本日、院内集会「ウソとごまかしの『安倍政治』総検証!」。各スピーチの内容は明快で、聴衆の熱気も高く、大いに盛り上がった。

定員300人の衆議院第1議員会館地下「大会議室」がほぼ満員の盛況に見えたが、通行証配布の実数はちょうど200だったという。議員や記者など、他の通行証をもっている人がこれに「プラスα」となる。

内容の濃い充実した集会だったが、画竜点睛を欠いた。司会を務めた私の声か悪かった。ここ数日来の風邪ですっかり喉を痛め本日が最悪。嗄れ声というレベルではなく、ようやくにして声が出るという状態。聞き苦しいことこの上なく、参集の皆様には申し訳なかった。

この集会の前、午後4時に署名簿を携えて議員会館の安倍晋三議員事務所を訪ねた。まずは、会館の受付で、「安倍晋三議員事務所に署名簿を持参したい」と申し入れると、「陳情ですね」と念を押され、面会の目的欄を「陳情」とする面会申込み票を書いた。「陳情の場合、団体名を書き込むことになっています」と言われて、「澤藤統一郎法律事務所」と書き込み、ようやく連絡を取ってくれることになった。どうも、ここの受付は官僚的で感じが良くない。

受け付け担当者から、「議員事務所に面会予約はありますか」と聞かれて、「いいえ、ごく短時間で済みますから、特にアポの必要はないと思っています」。そして、取り次がれた安倍晋三事務所の返答として、「議員事務所では予約のない方とは面会できないとのことです」という。

そこで、すぐに携帯で事務所に直接電話をした。電話に出た男性に、「陳情書を受け取っていただきたい。時間は取らせない」。「いつの予定ですか」「いますぐ。会館の受け付けにいる。すぐに伺いたい」。どんな内容だというから、「著名な16氏が安倍政権の公文書管理のあり方についての意見をアピールとして出した。これに賛同する署名を募ったところ8760人となった。そのアピールと署名簿をお届けしたい」。やや押し問答があったが、「それほどおっしゃるのなら陳情書だけは受け取っても良い。署名は受け取れません」となって、弁護士4名で安倍晋三事務所に出向いた。

ブザーを押すと秘書と思しき屈強な男性が出てきた。「ここで」と言って、ドアを背にして部屋の中へは入れないという構え。
名刺を渡して姓名を名乗りアピールと署名簿を見せた。「16名の方が『いまこそウソとごまかしの「安倍政治」に終止符を!』というアピールを発表し、賛同署名を募ったところ8760名となった。先ほどの電話でのお話しでは、『署名簿は受け取れない』とのことだったので、これは後刻郵送したい」「いや、そもそも署名簿は受け付けないということです」

ならば、仕方がない。アピールだけを手渡して、「これが賛同署名をいただいたアピールです」。「ところで、公設秘書の方ですね」「そうです」「お名前を教えてください」「言えません」。で、バタンと扉を閉められた。

なるほど、「ウソとごまかしの『安倍政治』に終止符を!」というアピールの受け渡しにふさわしい光景ではないか。主権者国民が、公務員に対して請願権を行使しているのだ。もっと真っ当な応接の態度があってしかるべきだろう、と怒らねばならないところなのだろう。が、安倍晋三事務所とはこんなものだろうという、予想にピッタリそのとおりだったことに妙に感心した。

さて、集会の概要をご報告しておきたい。
開会の挨拶の浜田桂子さんは、子どもたちの世代に「ウソやごまかしに満ちた社会」を渡したくない、というお話しだった。

小森陽一さんは、トランプ大統領も安倍首相も同様に「真実」擁護の姿勢を放棄し、「オルタナティブ・トゥルース」依拠と「ウソやごまかし」に徹した政治手法を執るに至っていることを弾劾した。これを放置すれば、安倍改憲を許し、9条が骨抜きにされてしまう。

右崎正博さんは、ウソやごまかしのない政治のためには、公文書の適正な管理が必要であることを改めて強調し、公文書管理の役割を骨抜きにしようという政権の姑息な策動を、研究者らしい姿勢で批判した。

古賀茂明さんは、パワポを使って分かり易く、「TAG」と報道されたものが、実は「FTA」そのものであるに拘わらず両者を別物とする政権とメディアの在り方を痛烈に糺弾した。

そして、上西充子さんは、本日「ご飯論法」が流行語大賞のトップテンに入賞したことの報告から、大臣答弁のごまかしのひどさを強調された。これだけ欺瞞を暴いても法案が通ってしまう。直接世論に訴える方法として、パブリックビューイング(街頭でメディアに切りとられる前の国会質疑を観る)という運動を始めたという。

以上の論稿は、日本民主法律家協会の機関誌「法と民主主義」来年1月号(2019年1月下旬発刊)に掲載の予定となっている。

興味のある方は、下記URLからお申し込みください。
https://www.jdla.jp/houmin/

本日の集会では、現政権の「ウソとごまかし」の酷さを再確認した。それは一強の長期政権から生まれているのだ。そして、政権の「ウソとごまかし」は、ひ弱いメディアと相俟って、有効に国民を誤導している。その危険性が共通の認識になったように思う。

今後とも、「ウソとごまかしの安倍政治」を徹底して批判し続けなければならない。改めてそう思った。
(2018年12月3日)

「詭弁・ご飯論法」は、アベ政治の本質が生み出したもの

行く道に大道と詭道とがあり、弁ずるに正論と詭弁とがある。大道を行く者は正論を称え、詭道を行く者は詭弁を弄す。

大道は道義と道理に通じる。これを行く者は真理と真実に導かれ、その発する言葉にはウソとごまかしはない。道義と道理を恐れるがゆえに大道を踏みはずす者は、私利と私欲に通じる詭道によろめく。そこに真理と真実はなく、まことの言葉も失せている。代わって響き合っているものが、真理と真実を覆い隠さんとする詭弁であり、「ウソとごまかし」にほかならない。

アベ政治とは、憲政が大道を踏みはずして詭道をよろめく姿である。道義と道理を欠くゆえに詭弁を弄すること甚だしく、その詭弁は、いま「ご飯論法」と名付けられている。この詭弁を弄びつつ行くアベの詭道は亡びに至る道である。

上西充子教授の名とともに、一躍有名になった「アベ政権のご飯論法」。次のように紹介されている。

Q「朝ごはんは食べなかったんですか?」
A「ご飯は食べませんでした(パンは食べましたが、それは黙っておきます)」
Q「何も食べなかったんですね?」
A「何も、と聞かれましても、どこまでを食事の範囲に入れるかは、必ずしも明確ではありませんので…」

Q「では、何か食べたんですか?」
A「お尋ねの趣旨が必ずしもわかりませんが、一般論で申し上げますと、朝食を摂(と)る、というのは健康のために大切であります」
Q「いや、一般論を伺っているんじゃないんです。あなたが昨日、朝ごはんを食べたかどうかが、問題なんですよ」
A「ですから…」

Q「じゃあ、聞き方を変えましょう。ご飯、白米ですね、それは食べましたか」
A「そのように一つ一つのお尋ねにこたえていくことになりますと、私の食生活をすべて開示しなければならないことになりますので、それはさすがに、そこまでお答えすることは、大臣としての業務に支障をきたしますので」

昨日(11月28日)の毎日新聞夕刊「特集ワイド」は、「安倍政権の言い換え体質」を取りあげている。

安倍晋三内閣では、集団的自衛権の行使を容認する安全保障法制を「平和安全法制」、南スーダンでの戦闘を「武力衝突」、消費増税の延期を「新しい判断」と言い換えた。今も、ある。言い換えを見逃していいのか。

 FTA  ⇒ 「TGA」
 移民   ⇒ 「外国人材」
 徴用工  ⇒ 「労働者」
 ヘリ墜落 ⇒ 「不時着」
 共謀罪  ⇒ 「テロ等準備罪」
 公約違反 ⇒ 「新しい判断」
 カジノ  ⇒ 「統合型リゾート」
 武器輸出 ⇒ 「防衛装備移転」
 安保法制 ⇒ 「平和安全法制」
 情報隠し ⇒ 「特定秘密保護」

なるほど、こう並べてみるとアベ政権のごまかし体質が明確に浮かびあがる。真っ当に国民に説明しようとしないからこうなる。国民をごまかして票を掠めとろうというさもしい根性が、このような詭弁を生み出すのだ。この特集記事では上西教授も取材対象となっている。同教授の口から、アベ政権の「厚顔無恥話法」が話題とされている。これも実に適切なネーミングではないか。

「言い換え」とは、「ごまかし」のことである。全滅を「玉砕」と言い、退却を「転進」と言い換えた大本営発表いらいの我が日本の伝統芸。これこそ、アベ政権が取り戻そうという麗しい日本のかつての得意技。

2018ユーキャン新語・流行語大賞のノミネート30語が11月7日に発表されている。その中に、「ご飯論法」もはいっている。選者にアベ政権の忖度なければ、「ご飯論法」は有力な受賞候補ではないか。選の発表は12月3日(月)。たまたま、「ウソとごまかしの『安倍政治』総検証」院内集会の日。もしかしたら、講演予定の上西教授ご自身から、朗報が聞けるかも知れない。
(2018年11月29日)

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ウソとごまかしの『安倍政治』総検証!

12月3日(月)18時~20時(開場17時30分)

衆議院第1議員会館 地下1階「大会議室」

最寄り駅は、丸ノ内線・「国会議事堂前」、または有楽町線・「永田町駅」です。
(集会にはどなたでもご参加いただけます。議員会館ロビーで、担当の者が入館証を配布していますので、お受け取りのうえ入館下さい。)

「漁業栄えて漁民は亡ぶ」で良いのか― アベ政権の水産改革批判(その5)

私はテレビを観ないが、ラジオは聞く。いま、自ずと選局はTBSに落ちついている。朝は森本毅郎スタンバイ、夜はセッション22。いずれも、その姿勢や良しである。さすがと感嘆させられることも多い。しかし、いつも同感というわけにはいかない。

10月30日徴用工訴訟・韓国大法院判決を、森本毅郎が批判したのには驚いた。虐げられた無念の思いをようやく晴らした老齢の元徴用工に祝意を表すべきところ、虐げた側の日本政府や日本企業の立場に立っての判決批判。あらためて、この問題での日韓の意識の溝を認識させられた。

セッション22での荻上チキのインタビュー。いつもは感心してばかりだが、漁業法改正問題では大きな違和感をもった。世論をミスリードしたと言っても差し支えない。勝川俊雄(東京海洋大学准教授)を招いての解説では、法改正礼賛の論調。改革の方向は正しい。遅ればせながらも、この法改正でようやく世界の水準に近づくことができる、というもの。これまでこの研究者には比較的良いイメージを持っていただけに、落胆した。

その解説は、今回の改正のポイントを水産資源の持続可能性とした。彼は、現行の漁業法には、水産資源の「持続性」や「持続可能性」という語彙が全く存在しないことを、「驚くべきこと」として、ようやくこれを盛り込んだ法改正を肯定した。政権にとって有り難い学問であり学者というべきだろう。

荻上チキはこれに切り込まなかった。このあたり、「漁民の要求ではなくアベ政権が提出した法案だから、どうせ碌なものではない」「しかも規制改革推進会議が出所だ、財界の要請に決まっている」という感覚があって当然なのに鈍感。アベ政治への警戒感が希薄なのだ。

漁業法制定時、法に「持続性」の文言は確かになかった。しかし、法65条には、「主務大臣または都道府県知事は水産動植物の繁殖保護のため一定の事項に関して、省令または規則を定めることができる。」とあり、この規定が「水産資源枯渇防止法」、さらに現行の「水産資源保護法」に受け継がれている。今回の法改正のポイントは、資源の「持続性」や「持続可能性」ではない。それだけの法改正であれば、漁民の中からこんな反対運動が出てくるわけはないのだ。

今、ようやくメディアは、勝川流の欺瞞から脱して、今次漁業法改正のポイントを、「漁場の企業への開放」「企業の漁業参入の促進」ととらえるようになった。企業の漁場への参入は漁民にとっての生業の危機にほかならない。企業のチャンスは、漁民のピンチなのだ。

ネットに大きく、西日本新聞の記事が紹介されている。漁業権を企業に開放、70年ぶり大改正案」「臨時国会の焦点に浮上」「漁業者は反発」という見出し。一昨日(11月26日)の配信。九州のブロック紙は、有明海の漁業に関心をもたざるを得ない。各地方紙とも、それぞれに事情は同じだ。

漁業への企業参入を促す漁業法改正案が、入管難民法改正案と並ぶ臨時国会の焦点に浮上している。地元漁協に漁業権を優先付与する規定を廃止し、沿岸水域の利用を企業に「開放」するもので、成立すれば約70年ぶりの大改正となる。だが「水産業の成長産業化に不可欠」と成立を急ぐ政府に漁業者は反発。野党も「沿岸漁業のあり方を根本から崩す法案だ」と批判を強める。

政府が想定するのは養殖業への企業参入だ。企業の投資でマグロ養殖などが大規模化すれば、水産業が成長産業になり、従事する漁業者が増え、所得も上がる-とシナリオを描く。

 漁協からは懸念の声が上がる。ノリ養殖が盛んな有明海では、色落ちなどを防ぐため、一部の漁場を使わないなど漁協が生産調整をしてきた。佐賀県有明海漁協の徳永重昭組合長は「漁業者が共同管理し、生産調整してきたが、新規参入企業が空いた区画で勝手に作られると困る」と話す。

法改正の目的の把握に関して、まことに正鵠を射た報道である。学者の解説よりも数段正確ではないか。さらに、同紙の記事はこうも続ける。

改革のもう一つの柱は資源管理の強化だ。魚種ごとに漁獲上限を定める漁獲可能量(TAC)制度は現在、サンマやクロマグロなど8魚種が対象だが、これを他の魚種にも広げる。漁船のトン数や隻数を制限してきた管理制度も、実効性を高めるため個別の漁船ごとに漁獲枠を割り当てる方式に改める。

この方式では、資金力のある企業が多数の漁船を確保し、漁獲枠が集約される恐れもある。小規模漁業者でつくる全国沿岸漁民連絡協議会の二平章事務局長は「大きな事業者を有利にする制度変更だ。小規模事業者が淘汰されかねない」と危ぶむ。

ここで、描かれているのは、「企業対漁民」「大規模事業者対小規模事業者」の対抗関係の構図である。

官邸(アベ政権)の考え方はこうだ。

大切なのは生産性の向上である。それが国民全体の利益となる。漁業の衰退とは漁業における生産性の低下ということだ。企業が漁民よりも、大規模事業者が小規模事業者よりも、効率的で生産性の高い漁業を行うことが可能なのだから、企業による漁業経営の道を開き、大規模事業者に存分に活躍してもらうことが国民全体に利益をもたらすことになる。これができていない現状は、既得権益擁護の岩盤規制があるからにほかならない。この岩盤規制にドリルで穴を開けて、企業あるいは大規模事業者を送り込むことが、漁業活性化の唯一の途であり、アベノミクスの普遍的目標でもある。企業に出番を与えることが、漁民の生業を奪うことになるかも知れないが、それは常に社会の進歩に伴う犠牲というべきで甘受してもらうしかない。

こんな法案、漁民・漁協が猛反対すべきが当然である。政府、与党は全国の漁民・漁協を敵にまわす覚悟での法案提出である。深い審議をされる事態になってはたいへんなのだ。メデイアの注目度が低いうちに無理にでも通してしまえ、という態度。臨時国会での成立を目指し、野党4党派は入管難民法と並ぶ対決法案と位置付けて、本格審議を求めている。

ようやくことの本質が見えてきた。政権が漁業を立て直すというのは、零細漁民によってではない。零細漁民を押しやって、企業あるいは大規模事業者の参入をさせようということなのだ。まさしく「ビジネスチャンス創設の漁業改革」であり、漁業栄えて漁民亡ぶ」「漁民なきあとの漁場に、企業こそ栄えよ」なのだ。本当にこれでよいのか。
(2018年11月28日)

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ウソとごまかしの『安倍政治』総検証!

12月3日(月)18時~20時(開場17時30分)

衆議院第1議員会館 地下1階「大会議室」

最寄り駅は、丸ノ内線・「国会議事堂前」、または有楽町線・「永田町駅」です。
(集会にはどなたでもご参加いただけます。議員会館ロビーで、担当の者が入館証を配布していますので、お受け取りのうえ入館下さい。)

不思議でわけの分からぬアベ政権の継続

この世は不思議に満ちている。わけの分からぬことだらけだが、その筆頭がアベ政権の長期存続だろう。

こんなにもウソとごまかしにまみれ、こんなにも憲法をないがしろにした国政私物化内閣が、どうしてかくも長期にわたって政権を維持し続けておられるのだろうか。こんなにも身内の利益をはかり、こんなにも露骨に大企業に手厚く、こんなにも国民生活をないがしろにして、こんなにも多くの国民からうとんじられ、近隣諸国の民衆への排外意識を露わにして差別を恥じず、歴史を真っ当に見ようとしないこんな人物が、どうして行政のトップにおさまっておられるのだろうか。私には、まったくわけが分からない。現代日本の謎としか言いようがない。

萬有の眞相は唯だ一言にして悉す、曰く、「不可解」。「不可解」は人生のみならず、アベ政権もかくなり。

今日も今日とて、外国人低賃金労働者の大量受け入れを意図した出入国管理法改正案を、衆院法務委員会が採決強行した。自民・公明の連立与党に、維新という補完ゴマすり勢力が加わっての数の暴力の行使である。

審議経過に注目していた誰の目にも、議論の不足は明々白々である。およそ議論らしい議論がなされていないだけでなく、議論の前提となっているはずの、失踪技能実習生に対する事情聴取個票の「ウソとごまかし」も明らかにされている。議論の前提さえ調っていないのだ。それにもかかわらずの、「問答無用」採決である。

憲法前文を確認しよう。
「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理…」
アベ政権とその追従者たちは、国民からの信託の厳粛さを忘れている。あるいは初めからそんなことを考えたこともないのだ。議会制民主主義は形骸化させられたという段階ではない。死に瀕していると言わねばならない。政権は、どこ吹く風で主権者国民を舐めきっているだけでなく、民主主義そのものを舐めきっているのだ。

ところで、その「主権者国民」の実態である。アベ政権にかくも舐められて、怒りはあるのか。アベ政治を許さないという気概があるのか。

本日(11月27日)毎日夕刊の「特集ワイド」の記事は衝撃的だ。
「NHK連ドラ『まんぷく』暴行シーンは史実か」「過酷だった憲兵の弾圧」というタイトル。そのリードが以下のとおり。

先日、NHKの連続ドラマ「まんぷく」を巡り、ネット上でちょっとした騒動があった。旧日本軍の憲兵がヒロインの夫になる男性に暴行する場面で「優しい日本兵が出てこない。日本人をおとしめるのか」といった批判があがり、論争になったのだ。

不都合な歴史的事実を見ようとしない、無知にして驕慢な日本人の層ができつつあるのだ。櫻井よしこや百田尚樹らが、これを束ねてアベ政治の支持に繋げている。

歴史修正主義ないしは排外主義の日本人集団がアベ政権を支え、その支えに安住した政権が排外主義的な法案を強行している。不思議なことに、このような右翼保守層が、アベ政権の財界へのサービスである新自由主義的規制緩和政策にも賛成していることだ。

だから、アベ政権は「知性をもった一般国民にはこんなにも評判の悪い政権」ではあるが、実は「差別と歴史の修正をこととする右翼勢力からは、こんなにも評判の良い政権」なのだ。それだけに危険極まりない政権と言わざるを得ない。それにしても、「優しい憲兵が出てこない。日本人をおとしめるのか」という無知蒙昧にして恥知らずの輩が国民の多数派であるはずはない。やはりアベ政権の長期持続は「謎」であり「不可解」なのだ。

本日の採決強行の経過を良く見つめて記憶しよう。そして、ことあるごとに遠慮なくアベ政権とその下駄の雪の連中の議会制民主主義破壊の動きを批判しよう。それを積み上げて、次の選挙での政権交代のチャンスに繋げよう。
(2018年11月27日)

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ウソとごまかしの『安倍政治』総検証!

12月3日(月)18時~20時(開場17時30分)

衆議院第1議員会館 地下1階「大会議室」

最寄り駅は、丸ノ内線・「国会議事堂前」、または有楽町線・「永田町駅」です。
(集会にはどなたでもご参加いただけます。議員会館ロビーで、担当の者が入館証を配布していますので、お受け取りのうえ入館下さい。)

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