澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

財務官僚は、刑事訴追のリスクを冒しても「総理夫人の関与あった」ことを削除せざるを得なかった。

本日(3月20日)、議員会館において「森友文書改ざん疑惑を徹底追及する! 緊急院院内集会」。各議員でこの問題を追及中の野党各党議員が発言。各議員から、「6野党の共闘」が力説され、各議員の怒りのほとばしりが伝わってきた。そのボルテージが高かった。「安倍一強政治は、ほとんど独裁に近い」「だから、腐敗しきっている」「議会制民主主義の危機と言わざるを得ない」「安倍政権を倒して、議会制民主主義を救おう」というもの。

また、「これまで1年間の審議においては、改竄された資料にしたがって説明を受けてきた」「結局国会が欺され続けてきた」「改ざん前の原資料を全部出しますと言ったあとも欺し続けた」「ようやく3月12日に改竄14点の文書が出てきたが、その後も小出しに出てくる」「これがホンモノの原決裁文書なのか」「まだ隠しているのではないか」「安倍政権のやることは、もう信用できない」とも。

野党議員の一人はこう言った。
「昨年10月の総選挙はいったい何だったのか。安倍政権は国民全てを欺して票と議席を掠めとったのではないか」「改憲勢力の3分の2議席の獲得は、国民を欺して手に入れたもの。選挙のやり直しが必要だ」
まったく、もっともなご主張。

事前のお知らせでは、「公文書の書き換え(改ざん)はどのような罪なのか?」も徹底討論します」となっていた。この点については、おおよそ、下記のブログ記事に掲載した。

「森友・決裁文書」の改竄は犯罪である。
http://article9.jp/wordpress/?p=10007

これに多少の付言をしておきたい。

☆改竄を犯罪と確認することの意味
「森友・加計問題の幕引きを許さぬ会」有志は、
① 2017年10月16日、近畿財務局職員1名を背任で、佐川宣寿理財局長(当時)を証拠隠滅で、東京地検に告発した。被告発人の職員は、近畿財務局と森友学園との国有地売買価格交渉経過の音声データの出現によって発言内容の特定が可能となった者である。
② 同年11月22日には、本件国有地の瑕疵担保責任の正確な理解に基づいてゴミ処理費用相当額の値引きの必要のないことを指摘して、不当な低価額の売却をした近畿財務局長(当時)を背任で東京地検に告発した。

☆その当時、森友問題に関する国会での責任追及が必ずしも十分な成果を上げ得ない状況において、各告発は捜査機関に対してだけでなく、世論や野党に対しても、当該各行為が犯罪に当たるものであることの確固たる根拠を提供することによって、行政や政権の責任追及への寄与を目的とするものであった。

☆いま、3月12日に公表された、決裁文書14点についての300個所に及ぶ改竄についても、上記各告発と同様に、その犯罪性を明確にすることが必要と思われる。

☆もっとも、告発には慎重さが要求される。国会での政治責任追及とは異なり、告発は厳密に刑事責任に限定したものとしかならない。また、追及を司法権力に委ねることとなり、捜査は秘密裡に行われる。可能であれば、世論を背景にした市民運動と、国会での野党による責任追及が望ましい。

☆当該行為が犯罪に当たるという確信を世論に提供する手段として、告発は有用性をもつが、「告発を受けて捜査中」「告発を受けた以上は刑事司法での解決を」という答弁拒否の口実を与えぬよう配慮が必要となろう。

☆本件各決裁文書改竄の犯罪性認識は、その動機の重大性を推認させるものとして重要である。犯罪として訴追を受けることのリスクを覚悟してまでせざるを得なかった、改竄の必要性はどこにあったのか。

☆原決裁文書14点300個所の改竄(削除)個所は、次の内容に集約される。
(1) 安倍昭恵関与記載の削除
(2) 本件国有地貸付⇒売却の「特例」性記述の削除
(3) 事前の価格交渉の存在自体の削除
(4) 政治家関与事実の削除

☆上記(4)はさしたる重要性を持たない。
上記(3)削除の主たる理由は、財政法第9条にあると思われる。
「国の財産は、…適正な対価なくしてこれを譲渡してはならない。」
民対民の売買は、交渉で価格が決まるが、国有財産の売却価格を交渉で決めてはならない。客観的に決まる「適正対価」でなくてはならない。

☆残る理由(1)(2)は、「安倍昭恵関与あったから、本件を特例とした」ということになる。(3)も、「だから学園側の言い分に耳を傾けざるを得なかった」となる。

☆つまり、官僚が犯罪を犯していることを認識し、訴追のリスクを覚悟してなお、改竄(削除)しなければならなかったのは、「安倍昭恵の関与があったから、特例として本件国有財産を廉売した」という事実の隠蔽にあったのだ。その隠蔽工作は、忖度の域を超えて、指示や強制の存在を推認させる。

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本日のメインの企画・上脇博之(神戸学院大学教授)講演「森友文書改ざん疑惑(=事件)をどう見るか」のレジメは以下のとおり。

はじめに
・朝日新聞がスクープ報道(今月2日朝刊、3日朝刊)。
・財務省は12日に「書き換え」を認め、78頁に及ぶ調査結果を公表。14の決裁文書で変更部分は290カ所。2017年2月下旬から4月までの期間で「書き換え」が行われた。
◆国の説明責任と情報保存義務
・国民主権、知る権利が保障されている下では、国家機関は主権者国民に情報を公開し、説明する責任あり。
・そのために国家機関には収集情報を記録・保存することが義務付けられる必要がある

1.説明責任の重要性の例としての森友学園事件(財政法違反の国有地売払事件)
①会計検査院の検査
・内閣は、国会・国民に対し国の財政状況の報告義務あり(第91条)。
・国の収入支出の決算は会計検査院が検査し、内閣はその検査報告とともに国会への提出義務(第90条第1項)。
②国有地、財政法および会計検査院法
・国の財産は、「適正な対価」なしに譲渡も貸し付けもしてはならない(財政法第9条第1項)。
・「適正な対価」については、国(財務省)が国民・国会・会計検査院に対し説明する責任がある。
・会計検査院が検査を受けるものに帳簿・書類・資料の報告の提出を求め、関係者に質問・出頭を求めた場合、それらの求めを受けたものは、これに応じなければならない(会計検査院法第26条)。
これに応じない場合には、会計検査院は懲戒の処分を要求できる(会計検査院法第31条第2項)。
③財務省の森友学園への国有地売払は財政法違反
・2016年6月、財務省は、学校法人「森友学園」に対し、国有地の鑑定価格9億5600万円からゴミ(1万9500トン)の撤去費用を含め8億2200万円を差し引いて1億3400万円で売却。
・会計検査院は2017年11月、財務省の森友学園への国有地売払につき8億1900万円の値引きしたことについて「適切とは認められない」、値引きの「根拠が不十分」と指摘した報告。
・2016年3月30日に国と森友学園の協議を録音した音声データでは学園側が「3メートルより下からはそんなにたくさん出てきていない」と発言し国側の職員が「言い方としては混在と。9メートルまでの範囲で」と発言。
・地中ごみを試掘した業者が、森友学園と財務省近畿財務局からの働きかけがあり、ごみは実際より深くにあると見せかけた虚偽の報告書を作成した、と大阪地検特捜部の調べに証言している模様。

2.財務省の決裁文書改ざん事件
①公文書の作成・保存は民主主義の根幹・・・公文書等の管理に関する法律(公文書管理法)
(目的)第1条 この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。
②民主主義国家の行政として相応しい近畿財務局の公文書記載
③財務省の改ざんは民主主義の実質的否定(民主主義の危機)
④安倍首相・官房長官・麻生財務大臣・財務省・国土交通省の公表遅れ
・国土交通省は、今月5日、”改ざん”前の財務省作成の保管文書の存在を把握し、杉田官房副長官と財務省に報告し、その写しを財務省に提出し、杉田副長官は6日に安倍首相と菅義偉官房長官に伝えた。しかし、そのことはマスコミに公表されず、隠蔽され続けた。
・財務省は、8日、「現在、近畿財務局にあるコピーはこれが全て」として”改ざん”後の文書を国会に開示。
・安倍首相も麻生財務大臣も”改ざん”前の文書の存在があると報告を受けたのは、「11日だった」と説明。
・公文書の重要性を踏まえれば、未確認でも、そのことを国民・国会に報告しなかったこと自体が隠蔽。
・首相らが、すぐに”改ざん”を認め公表しなかったのは、元々”改ざん”を知っていたからではないか。

3.”改ざん”による隠蔽の理由
①安倍晋三夫婦は森友学園側の者(それも内閣総理大臣夫婦)
・籠池理事長について安倍首相は「いわば私の考え方に非常に共鳴している方で、その方から『小学校をつくりたいので、安倍晋三小学校にしたい』という話がございましたが、私はそこでお断りをしているんですね。」「あの、事実というのはですね、うちの妻が名誉校長になっていることについては、承知をしておりますし、妻からですね、この、森友学園ですか? の『先生の教育に対する熱意は素晴らしい』という話は聞いております」と答弁(2017年2月17日の衆院予算委員会)。
・森友学園で3回も講演し「瑞穂の國記念小学院」の名誉校長を引き受けた安倍昭恵夫人は安倍首相の分身・・・夫人付き職員が計5名も。
・「開成小学校設置趣意書」には、日本国憲法に適合する「こども権利条約・男女共同参画・雇用均等法」などを「日本人の品性をおとしめ世界超一流の教育をわざわざ低下せしめた」と批判し、さらに戦前の「富国強兵的考え」や「教育勅語」を高く評価する記述になっていて、森友学園の塚本幼稚園の園児の「受け皿が必要」だと記載。つまり、実質的には安倍晋三記念小学院!
②改ざんによる下記の削除
・<打合せの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから前に進めてください』とのお言葉をいただいた」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)>
・<記事の中で、安倍首相夫人が森友学園に訪問した際に、学園の教育方針に感涙した旨が記載される>
・<国会においては、日本会議と連携する組織として超党派による「日本会議国会議員懇談会」が平成9年5月に設立され、現在、役員には特別顧問として麻生太郎財務大臣、会長に平沼赳夫議員、副会長に安倍晋三総理らが就任>
③改ざんによる隠蔽で一番助かったのは安倍首相ら
安倍首相は「私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切関わってないということは明確にさせていただきたいと思います。もし関わっていたんであればですね、これはもう、私は総理大臣を辞めるということでありますから、これははっきりと申し上げたいと、このように思います」と答弁(2017年2月17日の衆院予算委員会)・・・財務省への隠蔽メッセエージではなかったか。
・佐川・理財局長は「学園側との交渉記録は廃棄した」と国会答弁(2017年2月24日)・・・首相官邸と調整した結果。
・安倍政権が続くと、公文書の廃棄・改ざんも続き、今後、不都合な記録がなされなくおそれあり!
(2018年3月20日)

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Published in 火曜日, 3月 20th, 2018, at 22:14, and filed under 安倍政権.

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