澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

「予算委員会は佐川を偽証罪で告発せよ」「もう一度佐川の証人喚問を実施せよ」「安倍昭恵も喚問せよ」

「佐川宣寿」という人。面識はなく、その個性に関するエピソードも知らない。が、なんとなく哀感が漂う。アベに尽くして、アベに捨てられ、それでもアベに反抗できない。今、どこで何をしているのだろう。これからどうなるのだろう。この人の家族は大変な逆境にあることだろう。

福島県平市の生まれで地元の中学校在学時に父を亡くし3人の兄が学費を負担して都立九段高校に進学というのだから、学業は優秀だったのだろう。一門の与望を一身に担って、その自覚にもよく応えた。二浪して東京大学文科二類に入学し経済学部を卒業後大蔵省に入省。理財局長から国税庁長官まで昇進し次官一歩手前まで上り詰めた。恵まれない境遇から、刻苦勉励して出世コースに乗ったという人物像の典型。銀の匙を加えて育った人種とはおよそ縁が遠い。

その佐川が、巡り合わせから「忖度政治」を象徴する官僚となった。森友事件におけるアベとアキエに対する世論の追及を、防御する立場に立たされたのだ。やり方の選択肢はいくつもあったろう。徹底的に真実を暴露することも、面従腹背でやり過ごすこともできたはずだ。しかし、おそらくは骨の髄まで染みついた官僚としての習性が、徹底したアベとアキエの擁護という方針選択とさせた。

そのハイライトが、3月27日衆参両院の予算委員会での証人喚問である。彼は、宣誓したうえで、アベとアキエを擁護する立場での証言をした。しかしこのとき、彼は政権から懲戒処分(減給)を受けて依願退職をした身であった。退職後に議会で証言して、なお、アベに尻尾を振って見せたのだ。これが哀感漂うという所以である。彼なりの打算もあったのだろうが、その打算は実るはずもない。

その後、6月4日に、彼は「停職3ヶ月懲戒処分相当」とされた。退職した公務員に「停職」である。政権は、尻尾を振った佐川に鞭打って見せたのだ。哀感は深まるばかり。

アベとアキエにしてみれば、トカゲの尻尾は切らねばならず、切った尻尾の勝手はゆるさない。切られた尻尾の逆襲などあってはならないことであり、尻尾の切り口からの化膿も防がなければならない。

だから、政権には、佐川に対する市民団体の刑事告発の成り行きが重大関心事だった。万が一にも、佐川に対する強制捜査や起訴がなされれば、政権が吹っ飛ぶ事態となりかねない。裏で何をしたか何があったか不明だが、佐川にまつわる数々の告発は、すべて不起訴となって、今は大阪検察審査会の判断を固唾の飲んで待つ事態。

このときに、注目すべきは、衆参両院の各予算委員会による告発の成否である。告発の権限は、予算委員会と各院にのみある。告発なければ捜査機関は動けない。
かねてから、野党は佐川を議院証言法における偽証罪で告発するよう与党に提案していた。これができれば、インパクトは大きい。検察庁も強制捜査に動かざるを得ない。動けば政権が危うくなる。

本日(8月3日)衆院与党は、政権の思惑を受けて、野党の誘いには乗れないと見解を表明した。参院与党は週明けの6日に同様の見解表明の予定だという。メディアは、「告発には出席議員の3分の2以上の賛成が必要なため、告発は実現しないことになった」と報じている。

野党側は、佐川の証言には「衆院で5カ所」「参院で4カ所」の偽証があると具体的に指摘している。佐川証言ののちに、財務省が公表した森友学園関係の調査報告書と膨大な公開資料との照合を根拠にしたものである。

これに対して、与党側は、「記憶に忠実である限り、客観的に誤っていたとしても虚偽の陳述に当たらない」「いまや私人である人の告発には慎重であるべき」などというもの。

朝日は、立憲民主党の逢坂議員のコメントを紹介している。

「『記憶の限り』という枕ことばを付ければ、あらゆることが偽証にならなくなり、国会の議論は成り立たない」

また、「国会閉会中の予算委開催や佐川氏らに対し改めて証人喚問を実施するよう求めた」が、与党からの返答はないという。

政権としては、ようやく森友問題に蓋をしたつもりのところ。この蓋を再び開けたくはないという強い思惑がある。ホルマリン漬けの切られた尻尾を再びうごめかしてはならないのだ。

しかし、国会はまた別の立場で動きうる。ここでは世論の動向の読みが事態を動かす。頑なに佐川の口を封じ続けることが世論の大きな反発を受けるという読みの事態となれば、議会は動きうるのだ。

声を上げたい。予算委員会は佐川を偽証罪で告発せよ。もう一度佐川の証人喚問を実施せよ。併せて、安倍昭恵も喚問せよ。徹底して疑惑を解明せよ。溜まった膿を出し切れ。
(2018年8月3日)

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