澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

ウンザリさせられる「トランプ選挙」の中での、ちょっとホッとする話。

(2020年11月5日)
アメリカ大統領選が気になってならない。本日早朝に、朝日デジタルが未確定5州を残して、「バイデン264選挙人を獲得」「ペンシルベニア、ジョージア、ノースカロライナ、ネバダのどれか一つを獲得すれば過半数の270人に達する」「勝利に王手」と報道してから随分経つが、次の動きがない。最終的には、バイデン勝利となるのだろうが、トランプの「善戦」に背筋が寒い。

全米にトランプの嵐が吹き荒れている。非理性、非寛容の穏やかならざる嵐。アメリカだけでなく全世界にトランプ的な風が渦巻いている。その風の激しさは民主主義を薙ぎ倒さんばかり。ポスト・トゥルースという言葉を世界に流行らせたのがトランプだ。その反知性ぶり、あからさまにホンネを語って恥じない野蛮な姿勢に、全米の半数が喝采を送っているのだ。これは、驚くべき風景ではないか。

「トランプの嵐」は、トランプ一人では起こせない。これを熱狂的に支持する多くの人々があってこその激しい嵐。この社会には、人のたしなみを重んじる風潮があったはず。これをかなぐり捨てた、嘘とごまかし、相手陣営への罵倒、対立を煽る言動に人々が熱狂する図が恐怖を呼ぶ。

私が、物心ついて以来ごく最近まで、「進歩史観」が社会に浸透していたと思う。道は曲がりくねり、ジグザクも障碍もあれども、長い目で見れば社会は進歩する。民主主義や人権や平和、人の平等や友愛の関係は深まり堅固になっていくだろう、という人間信頼の社会観である。今、それが揺らいでいる。アメリカ、中国、ロシア、中東、そして日本。なんという指導者ばかり。そして、そんな指導者を支持する民衆のありかた。世は、むくつけきエゴの衝突の場でしかない。

思いたいのだ。共和党とは、決してトランプの私党ではなかろう。民主主義の理性に支えられた、矜持をもった共和党員もいるに違いない。言わば、「非トランプ流良心的共和党」が。

たまたま、ネットでそのような人の話を見つけた。COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)というメディアに、大要次のような話が掲載されている。トランプの言動にウンザリしていたところだが、これに、救われた思いである。誰よりも、トランプにこの話を聞かせたい。

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トランプ支持者がご近所のバイデン支持者をリスペクト ─ 「言論の自由」の尊さを息子に示した父

米ウィスコンシン州のワシントン郡、先月末、バイデン氏を支持するティム・プレースという男性の自宅の前に立てられていた看板が、何者かによって盗まれた。被害に遭ったプレースは、看板を再び立てられるようになるのだが、意外な人物の助けによってそれが実現した。

プレースに手を差し伸べたのは、ドナルド・トランプ氏を支持するジョシュ・シューマンという男性だった。シューマンは、選挙によって選ばれたワシントン郡の行政府の長だ。その彼が、言うならば敵対候補を支持する市民のために動いた理由は、民主主義国家で重んじられている言論の自由を守るため、そして政治という枠組みを超えた人間関係の尊さを子供たちに教えるためだった。

ある晩、12歳の息子からバイデン氏を支持している隣人宅の庭にあった看板が盗まれたことを聞いたシューマンは、16歳の長男も含め、共和党支持の一家に生まれた2人の息子たちにとっても良い学びの機会になると思い、行動を開始した。

彼は民主党の事務所を訪ね、バイデン氏、副大統領候補のカマラ・ハリス氏支持者用の看板をもらえるか聞いたという。民主党員かどうかを確認されたシューマンは、正直にトランプ支持者であることを明かした。当然ながら民主党関係者は目を丸くさせたが、事情を説明すると納得してもらえ、無事に看板の入手に成功。帰宅後、次男を車に乗せて看板盗難の被害に遭った隣人宅に向かい、ドアベルを鳴らした。

車中、シューマンは次男に言論の自由の大切さを説いた。たとえ支持する候補者が違っていても、恫喝、破壊行動、盗みなどで自分の主張を通すような真似はしてはならないと説明したという。

シューマンの突然の訪問に驚いたプレースだったが、彼の善意に感動した。そして、もしシューマン家が同じような被害に遭ったら、同様の形でサポートすると伝えた。(以下略)

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