澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

水に落ちない犬をこそ打つべし-百条委員会設置見送りに抗議する

私には、水に落ちた犬まで打とうという趣味はない。しかし、水に落ちていない犬は断固打つべしと思う。それも、タチの悪い獰猛なボス犬であればなおさらのこと。

18日に設置の予定となった都議会百条委員会設置の趣旨は、水に落ちた犬を打とうというものではなかったはず。たまたま表面化した政治と金とのしがらみの実態を議会人の手で暴き出して、金で動かされることのない政治風土を構築しようということだったはず。その意欲やよし、と思っていたら、都知事辞任でポシャってしまった。20日の議会運営委員会で、「猪瀬知事の金銭授受問題の真相究明のため、当初は同日に臨時会を開いて決める予定だった百条委員会の設置を見送った」という。何てことだ。

既に水に落ちてしまった犬の首をとったところで、たいした手柄にはならない。都民が期待したのは、まだ水に落ちていない獰猛なボス犬の責任追及だ。できれば、その首が欲しい。いったい、猪瀬はどうして徳洲会に近づけたのか。誰がどのようにしてこの二人を固い帯封で結びつけたのか。ずいぶん早い時期から、「徳洲会マネーは、首都圏のある知事に3億、ある副知事に5000万円わたっている」と噂された。「ある副知事」の方は事実であった。「ある知事」についてはどうなのか。その徹底解明がなければ徳洲会マネーの都政丸ごと買収の構造は見えてこない。

2度にわたる石原ー猪瀬会談で、猪瀬辞任の方向付けができたという。さぞかし、醜悪な内容であっただろう。おそらくは、疑惑が石原側まで飛び火せぬよう打ち合わせがあり、その結果としての知事辞任だったのではないか。

それにしても、都議会各派のなんとも物わかりのよい豹変ぶりだろうか。
東京新聞夕刊は、「猪瀬知事の辞職表明については、都議会の全会派が『疑惑に対する説明が不十分』との見解を示したが、20日の議運では共産党を除く五会派が設置撤回に賛成した」「百条委での真相究明を決めたばかり。議会の役割を放棄したとの批判も出そうだ」と指摘している。

もしかしたら、「猪瀬の首だけで、疑惑の追及はお終いにする」という、事前の諒解があっての茶番だったのではないか。都議会議員の諸君、それぞれが、脛に傷もあり、叩けばホコリの出る身だったのではないか。

同紙が、吉原修委員長(自民党)の言い訳を掲載している。「知事不在で百条委をつくるのはどうか。名称も『都知事猪瀬直樹君と徳田毅氏との金銭授受等に関する調査特別委員会』で、現職に対するもの。議会として、それ以上踏み込むのは難しい」と理由を説明した」というもの。

知事が辞任したところで、解明すべき疑惑がなくなるわけではない。猪瀬その人が証言できなくなったわけでもない。「知事不在」でも、百条委員会設置の必要性も、有用性もいささかも減じるところがない。「知事不在」(知事辞任)が設置撤回の理由になるとはとうてい納得しかねる。

すくなとも本日現在では猪瀬は現役の知事なのだから、名称に不都合はない。あるいは、「都知事猪瀬直樹君」とは、「疑惑発覚時に都知事である猪瀬君」と解釈すればよろしい。それでは見苦しいというのなら、改めて名称を「都知事」をはずして、「猪瀬直樹君」でもよし、「元都知事猪瀬直樹君」としてもよい。こんな形式的なことを設置撤回の理由に挙げること自体がおかしい。何らかの裏取引があったと勘ぐられることになろう。

同紙が紹介している共産党の大山とも子幹事長談話「名称で設置をやめるのはおかしい。議会は真相を明らかにする役目がある。百条委設置は知事を辞めさせるのが目的だったのか」に共感する。

今回も、水に落ち損ねたボス犬の高笑いが聞こえる。

関連して、今朝の赤旗で市田書記局長が語っている。
「猪瀬都政を支えてきた会派の責任も重大だ。唯一の野党として『革新都政をつくる会』や広範な都民のみなさんと協力して、都政刷新にふさわしい候補者擁立のためにただちに準備に取りかかりたい」

2014年都知事選のスタートである。形だけの共闘で良しとし、統一の実を結ぶことができぬまま惨敗した前回選挙の轍を踏むことは避けたい。「都政刷新にふさわしい候補者の擁立」を心から期待する。
(2013年12月20日)

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Published in 金曜日, 12月 20th, 2013, at 18:09, and filed under 未分類.

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