澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

冤罪を訴えるわが声 天地にひびけ

本日、静岡地裁は死刑囚だった袴田巌さんの第2次再審請求審で、再審開始を認める決定をした。しかも、「捜査機関が重要な証拠を捏造した疑いがあり、犯人と認めるには合理的疑いが残る」とまで踏み込んだ判断があり、「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」と刑の執行停止も決めた。本日袴田さんは東京拘置所から釈放された。逮捕以来48年ぶりの自由である。

袴田さんに、「おめでとう」「よかったね」というべきなのだろうか。無実の人が半世紀近くも拘禁を強いられ、そのうちの34年間は死刑の恐怖にさらされ続けてきたのだ。軽々しく、祝意の表明などはばかられる。襟を正して厳粛な気持ちにならざるを得ない。

古来国家権力は、人民から税金を取り立て、人民を徴兵し、そして刑罰を科してきた。今日の日本においても、徴税と刑事司法が、国家権力と人権とがもっとも厳しくせめぎ合う場となっている。刑事司法における死刑冤罪こそ、国家の手による人権侵害の最たるもの。

弁護士が人権擁護を使命とする存在である以上は、再審無罪を勝ち取ることができればこれ以上の冥利はない。本日各紙の夕刊に、弁護団長西嶋勝彦さんの笑顔がある。西嶋さんには、おめでとう、と言ってもよいだろう。私が弁護士を志したきっかけのひとつに、冤罪や再審事件で働いてみたいという気持ちがあった。今も、雪冤に心血を注いでいる弁護士には敬意を惜しまない。

50年前の学生時代に、誘われて「松川研究会」という松川事件支援サークルに籍を置き、そこでの学園祭に、冤罪や再審事件をテーマとした企画を行ったことがある。正木ひろしさんをお呼びして講演していただいたことをなつかしく思い出す。

そのとき、死刑確定囚の再審事件として、松山事件(斎藤幸夫さん)と牟礼事件(佐藤誠さん)を取りあげて事件紹介の展示をした。松山事件は捜査機関による証拠捏造による冤罪、牟礼事件は、「共犯者」の「嘘の自白」による冤罪としての展示内容だった。

松山事件の斎藤さんの救援運動の先頭には必ず、我が子の無実を信じていた母のヒデさんがいた。私も、仙台の街角に一人で立って、再審請求支援の署名活動を行っていたその姿を見ている。その後、斎藤幸夫さんは奇跡的な「死刑台からの生還」を遂げ、盛岡の我が家に訪ねてこられたことがある。当時、我が家には体重35キロのチャウチャウがいた。少しも人なつっこくないその犬が斎藤さんには不思議と親愛の情を見せて、お顔をペロペロ舐めていたことが印象に残る。

一方牟礼事件の佐藤誠さんの再審請求は実ることなかった。1989年に佐藤さんは獄中で病死(クモ膜下出血)している。享年81。死刑囚としての獄中生活は37年に及んでいたという。佐藤さんは歌人として知られていた。ウィキペディアに次の記事がある。

「獄中では逮捕前から嗜んでいた和歌を詠み続け、亡くなるまでに生前9冊と死後1冊の歌集を出版している。そして歌集出版をきっかけに、佐藤は同人誌『スズラン』の主幹となり、獄中から同人たちの短歌を添削したり、同人誌の編集を行っていた。…同人誌『スズラン』は、佐藤が亡くなるまで計123号が発行された。」
「昭和天皇の重体が伝えられてから、支援者らが恩赦出願を佐藤に勧めるが、『私は無罪なのだから、再審請求をして無罪を勝ち取る』と佐藤は拒否。弁護団に熱心に説得されて、1989年5月に恩赦出願するも、やはり冤罪の身であるのに無期懲役の罪人にはなれないと取り下げている。」

  冤罪を叫び疲れてみちのくの獄に雪の夜ひっそりと生く
  天地にひびけと叫ぶ冤罪のわが声むなしく風に消さるる
 そして、次が辞世だという。
  独房に死を待つのみなり秋の蚊よ 心ゆくまでわれの血を吸え

日本国民救援会は、冤罪・再審支援に取り組む市民団体である。その救援会が今支援を決議しているのが、下記の各事件。袴田事件だけではない。冤罪はかくも多くある。証拠開示の徹底が雪冤の鍵だ。裁判所の果断な判断と、検察官の良識に期待したい。

 秋田・大仙市事件
 山形・明倫中裁判
 宮城・仙台北陵クリニック筋弛緩剤冤罪事件
 東京・三鷹バス痴漢冤罪事件
 東京・三鷹事件
 東京・痴漢えん罪西武池袋線小林事件
 東京・埼京線痴漢えん罪事件
 長野・えん罪ひき逃げ事件
 長野・冤罪あずさ35号窃盗事件
 福井・福井女子中学生殺人事件
 静岡・袴田事件
 愛知・豊川幼児殺人事件
 三重・名張毒ぶどう酒事件
 滋賀・JR山科京都駅間痴漢冤罪事件
 滋賀・日野町事件
 京都・長生園不明金事件
 京都・タイムスイッチ事件
 大阪・東住吉冤罪事件
 兵庫・えん罪神戸質店事件
 兵庫・えん罪西宮郵便バイク事件
 岡山・山陽本線痴漢冤罪事件
 高知・高知白バイ事件
 鹿児島・大崎事件
 米・ムミア事件
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NHK籾井会長、百田・長谷川両経営委員の辞任・罷免を求める署名運動へのご協力のお願い。
「2万筆までもう一息! 3月24日現在、署名が第二次集約で19,212筆」とのことです。

下記URLからどうぞ
http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-3030-1.html
http://chn.ge/1eySG24
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    NHKに対する「安倍首相お友だち人事」への抗議を
☆抗議先は以下のとおり
 ※郵便の場合
  〒150-8001(住所記入不要)NHK放送センター ハートプラザ行
 ※電話の場合 0570-066-066(NHKふれあいセンター)
 ※ファクスの場合 03-5453-4000
 ※メールの場合 下記URLに送信書式のフォーマット
    http://www.nhk.or.jp/css/goiken/mail.html
☆抗議内容の大綱は
  *籾井勝人会長は即刻辞任せよ。
  *経営委員会は、籾井勝人会長を罷免せよ。
  *百田尚樹・長谷川三千子両経営委員は即時辞任せよ。
  *経営委員会は、百田尚樹・長谷川三千子両経営委員に辞任勧告せよ。
以上よろしくお願いします。

(2014年3月27日)

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Published in 木曜日, 3月 27th, 2014, at 23:14, and filed under 未分類.

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