澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

「安倍政権を支持しない」が93%!という調査も出てきた

朝は、6時半からウトウトしながらのTBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」。金曜日の小沢遼子さんがリタイヤしてさびしくなったが、森本毅郎はハリのある声で健在。しばらく腰痛の治療でのお休みもあったが、今やこの人、齢をとることを忘れたのではないかと思わせる。

今週は、番組の特別企画として、「忖度しない!ご意向まつり」を実施。リスナーの「ご意向」を募集してきた。ミニ世論調査である。森本ファンの投票だから、当然にサンプルは偏っている。世間とはひと味違うところに面白みがある。

今日(6月16日・金)がその最終日で、テーマは「あなたは安倍政権を支持しますか。しませんか」。究極の強行採決で共謀罪法案を強引に押し通したその翌日というタイミング。支持と不支持の二者択一で、「分からない」も、「どちらとも言えない」もない。興味津々の結果は…。

「支持する!」・・・・・7%
「支持しない!」・・・93%
 (応募総数701通)
https://www.tbsradio.jp/156827

この結果は、「やはり」というべきか、それとも「驚くべき」というべきか。

読み上げられた、主な不支持の理由。
「共謀罪の決め方がひどかった。とても支持できない。支持する人がいるのが不思議」「国有地払い下げもすっきりしない、獣医学部新設もすっきりしない。国会や官房長官の説明は国民を馬鹿にしている。自浄作用がなくなった現政権は、まったく支持できない」「首相でありながら平気で野次を飛ばし、自分が野次を飛ばされると怒り出し、野党議員に対して反撃する様は見ていられない。」「『丁寧に説明していく』となんども言っているが、その説明を聞いたことがない。」「異論を唱えるものに冷たく、お友達には手厚い政権に未来を託せない」「秘密保護法、カジノ法案、安保法案、共謀罪を強行採決。しかし、この力を与えたのは国民。次は自民党に投票するのをやめて、暴走を止めなければと思う」

支持の7%は「経済政策の評価」と、「民進党よりはマシ」。
「(アベの)振る舞いは目にあまるが、金融緩和で株は上昇している。この実績は評価すべき」「民進党を見ていると、安倍政権を支持するしかない。蓮舫さんはパフォーマンスばかり。共謀罪の審議も、法案の問題点を追及すべきなのに、法相の個人攻撃ばかりだった」

「100対0」となっては、却って恐い。「93対7」は、確実に今の良質な国民意識の一面を物語っている。みんなもどかしいのだ。こんな粗暴な政権をのさばらせ放置してきたことを。そして、いまだに退治することができずに拱手傍観せざるを得ないことを。

そんな気持で、7時45分に家を出た。今日は東北新幹線に乗り遅れてはならない。やや急いで、丸の内線・本郷三丁目駅の入り口まできて、オジさん5~6人がビラを配っているのに遭遇した。てっきりマンション販売ビラかと思ったら、これが自民党都議会議院選挙候補者の宣伝行動。

思わず、言葉が出た。「えっ? 自民党?」「自民党だけは絶対にダメだ」「自民党よ。昨日は、国会で何をした」「キミたち恥ずかしくないか」「アベ晋三のために政治をねじ曲げて恥ずかしいとは思わないのか」。一番駅寄りに、議員バッジを付けた、候補者と思しき人物が立っていた。配っていたビラの写真の人物。睨みつけて大きな声で、「恥を知れ。自民党!!」

件の人物はなにも言わずに、えへらえへらしているだけ。もちろん、自民党にだって表現の自由はある。しかし、共謀罪法をだまし討ちで成立させた翌日のことだ。これくらいは言っておかなくては。

えこひいき政治も、だまし討ち国会運営も、結局は国民がアベ政権与党に与えた議席の数の力によるものだ。まずは、至るところで「アベ政権ノー」の声を出そう。NHKや読売の世論調査で内閣支持率が、「森本毅郎スタンバイ!」並みに近づけば、確実に政治状況は変わる。

このまま自民党が選挙に勝つようなことでは、「アベの、アベによる、アベのための政治」「アベ政権の、自公与党による、アベの身内とおともだちのための政治」が続くことになる。

まずは東京都議選で、驕る自公勢力に熱いお灸をすえなければならない。
(2017年6月16日)

「共謀罪法」成立のこの日を、しっかりと記憶に留めておこう。

今朝、与党が参院本会議で採決を強行し共謀罪法(形式は、「組織犯罪処罰法」改正)が成立した。身震いがする。

2017年6月15日を記憶せねばならない。この稀代の悪法を国会に提出したのは安倍晋三内閣。成立させた主力は自民党だが、自民と連立を組んで下駄の雪になり下がって久しい公明党の罪は深い。それだけではない。日本維新の会という与党別働隊の姑息さも記憶に留めておこう。

備忘録として、問題点をできるだけ簡潔に書き留めておきたい。

まずは法案審議から法成立までの手続の問題。
民主主義とは手続的正義である。民主主義の立場からは、法案審議の結果ではなく、過程こそが重要なのだ。審議とは国民の代表者による討議を意味する。充実した討議が尽くされ、その内容が国民に公開されなければならない。主権者国民は、この熟議の過程を把握して法案への賛否の意見を形成する。その主権者の意見分布が、自ずから審議に影響する。少なくとも、次の選挙における主権者の審判の判断材料となる。

ところが、共謀罪法案の審議に、手続的正義はなかった。与党は、衆院での審議30時間、参院は20時間と、強行採決までの勝手な時間設定をして、ひたすらその消化にのみ関心を寄せ、およそ真摯な議論応酬の姿勢はなかった。まったくの消化不良のまま、衆院での強行採決が行われ、参院では委員会採決すらカットされた。囁かれた「20時間で強行採決」の20時間の議論すらなかった。時間だけでなく、その討議の質も目を覆わんばかり。

私は、「中間報告」という委員会審議カットの奥の手あることを知らなかった。過去にも例があると指摘されて、思い出してみればそんなこともあったかとおぼろげな記憶があるかないか。すぐには、与党側の作戦が理解できなかった。

これは、手続的正義の観点からは、「だまし討ち」「卑劣」「姑息」「議論からの逃走」「汚い禁じ手」「究極の強行採決」…。どう言われようと、弁解の余地はない。積み残した問題山積のまま、自公は、野党との議論を避けて逃げたのだ。形式的に取り繕ってみても、実質的には手続的正義を欠いた行為。政党として、政治家として、なんと恥ずべきことをしでかしたものか。今朝成立した共謀罪法は、こんな恥ずべき手段で成立した法律だと、深く烙印を押しておこう。

「議会制民主主義の危機」「国会死にかけている」「参議院の自殺行為」などの刺激的なフレーズが、誇張に感じられない。いつから、どうして、日本はこんなムチャクチャな国になってしまったのだろう。

さて、問題は成立した法案の内容である。
内閣が提案理由とした「テロ対策」に有効かという問には、明らかに「ノー」という以外はない。しかも、この法律は不必要というだけではない。著しく危険で有害なのだ。

取って付けたような、「テロ等準備罪」という命名。名は体を表していない。批准のために必要と、共謀罪成立のためのダシにされたパレルモ条約(TOC条約)。政治的なテロ対策条約ではなく、マフィア・ヤクザの国際越境的な経済活動取り締まりが目的であることはよく知られてきた。テロ対策に役立つものではないと化けの皮が剥がれそうになって、自公勢力が幕引きに焦り出したのでもあろう。

しかし、この法が「役に立たない」というのは不正確である。刑事権力を持つ者の立場からは、非常に役に立つのだ。テロ対策にではなく、権力に抗う者、まつろわぬ者、あるいは権力から見て好ましからざる者に対する弾圧に、極めて有用なのだ。弾圧にまで至らずとも情報収集段階でこの法律は使える。

なにしろ、犯罪行為の着手以前の「準備行為」を一般的に犯罪とするというのだ。なんでも、「準備行為」として把握できる調法な法律。

「国民総監視社会」とは、現実に一億国民が監視対象となる社会ではない。権力が不都合と考えた誰でもが、監視対象となりうるということなのだ。政権に楯突きそうな人物のプライバシーを丸裸にして弱みを探し出す、そんなことをやるのに役に立つ。

権力にとって使い勝手がよいということが、とりもなおさず国民にとって非常に危険な代物ということになる。

なにしろ、犯罪行為の着手以前の「準備行為」が一般的に犯罪とされるというのだ。なんでも、「準備行為」として把握される危険極まりない法律。

集会結社の自由も言論出版の自由も、政権が嫌う思想、権力に憎まれる思想の表現の自由に意味がある。読売や産経が、権力からの弾圧を心配する必要はない。彼らはのびのびと権力の広報で紙面を飾ることができる。しかし、これを言論出版の自由が保障されているとは言わない。

反権力の表現の自由、あるいは反権威の表現の自由こそが権利として保障されることに意味をもつ。実に曖昧な、なにが犯罪か茫漠とした行為を犯罪とすることは、権力の恣意的な取り締まり対象の選択を許容することになる。権力は、いつでも好ましくないとする行為を取り締まることができるのだ。このことは、社会全体に広範で深刻な萎縮効果を及ぼすことにもなる。多くの国民が無難に、見ざる・聞かざる・言わざるを決めこむことになる。忖度の充満した息苦しい世の中になる。それは、権力にとって支配しやすい望ましい時代。

安倍晋三とその取り巻きの高笑いが聞こえる。身震いがする。

とりあえずのリベンジは、次の選挙でするしかない。東京都民には、7月2日がその日だ。
(2017年6月15日)
なお、本日付で日弁連会長声明が出ている。以下のとおり。
**************************************************************************
いわゆる共謀罪の創設を含む改正組織的犯罪処罰法の成立に関する会長声明
https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2017/170615.html

本日、いわゆる共謀罪の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案(以下「本法案」という。)について、参議院本会議において、参議院法務委員会の中間報告がなされた上で、同委員会の採決が省略されるという異例な手続により、本会議の採決が行われ、成立した。
当連合会は、本法案が、市民の人権や自由を広く侵害するおそれが強いものとして、これまで本法案の制定には一貫して反対してきた。また、本法案に対しては、国連人権理事会特別報告者であるジョセフ・カナタチ氏が懸念を表明する書簡を発出するという経緯も存した。
本国会における政府の説明にもかかわらず、例えば、①一般市民が捜査の対象になり得るのではないか、②「組織的犯罪集団」に「一変」したといえる基準が不明確ではないか、③計画段階の犯罪の成否を見極めるために、メールやLINE等を対象とする捜査が必要になり、通信傍受の拡大など監視社会を招来しかねないのではないか、などの様々な懸念は払拭されていないと言わざるを得ない。また、277にも上る対象犯罪の妥当性や更なる見直しの要否についても、十分な審議が行われたとは言い難い。
本法案は、我が国の刑事法の体系や基本原則を根本的に変更するという重大な内容であり、また、報道機関の世論調査において、政府の説明が不十分であり、今国会での成立に反対であるとの意見が多数存していた。にもかかわらず、衆議院法務委員会において採決が強行され、また、参議院においては上記のとおり異例な手続を経て、成立に至ったことは極めて遺憾である。
当連合会は、本法律が恣意的に運用されることがないように注視し、全国の弁護士会及び弁護士会連合会とともに、今後、成立した法律の廃止に向けた取組を行う所存である。
2017年(平成29年)6月15日
日本弁護士連合会 会長 中本 和洋

もう堪忍袋の緒が切れたーバカ殿にはやめてもらおう。

のう、皆の衆。
緊急にお集まりいただいたのは、ほかでもない。最近の藩政のことだ。
役人どもの目のないことは確かめてある。存念なく話し合いたい。

最近の藩政はおかしい。とうてい見過ごしてはおられない。とりわけ、藩主〈アベ加計の守〉のバカ殿ぶりには、愛想もこそも尽き果てた。アベ加計が転封でこの地の藩主になってからもう4年半になる。最初から、おかしな奴だとは思っていたが、これほどとは思わなんだ。

このバカ殿は、領民あっての藩であることが、まったく分かっておらん。藩政には公道がある。領民の声に耳を傾け、公平・公正を旨としなければならない。

ところが、このバカ殿は、「ご意向」を振りかざし、「忖度」を流行らせ、藩政批判には聞く耳を持たず、「印象操作」だとバカの一つ覚えの反論を繰り返すばかり。

アベ自身が、領民から疎まれていることは、よく分かっておろう。だから、特定秘密保護法だの共謀罪だのと言い出しているんじゃ。こうやっての皆の衆との話し合いに目を光らせ、一網打尽でしょっぴきたい。それが共謀罪の狙い。そのために、藩庁の役人どもが、うろうろ見回りをしている。領民総監視藩政がアベの目指すところ。

しかも、どうにも我慢のできないのは、アベ一存のえこひいき政治じゃ。アベシンゾ-小学院は、藩主の奥方が名誉校長を務めるとかで一時はたいへんな勢いじゃった。9万両相当の藩の敷地をだな、わずか1万両で払い下げて大問題となった。もっともこの事件、旗色悪いとみたアベがな、途中で盟友籠池を裏切って知らん顔となって、馬鹿を見たのは籠池よの。気をつけねばならんのは、この大問題が偶然に発覚したことじゃ。これは氷山の一角じゃろうて。発覚しない同じような問題が数多くあるに違いなかろうと、領民皆がバカ殿政治に疑心暗鬼となっておる。

「信なくば立たず」と、政治の神髄を寺子屋で習うたろう。藩政は、領民からの信頼なくして成り立たないということじゃ。アベ・バカ殿政治は、アベ友学園事件の不始末で完全に信を失った。この辺でアベ加計は腹を切るかと思ったものじゃった。

ところが、これがしぶとく生き延びての。そして、続いて発覚したのが今話題の加計学園問題。バカ殿の腹心の友の事業のために藩政の中枢が動いて、支藩から、土地はただで提供するは、建物建設には補助金を出すは、という至れりつくせりでな。

実は、アベの威を借るキツネやタヌキの有象無象が藩政を壟断しておる。菅が筆頭かの。それに萩生田や、八田、竹中だのという連中。そしてそれを手助けする読売・産経・山口・田崎などの面々。この連中を一掃しなければならない。

反対に、役人の中にも真面目な者もおってな。内部告発とか、公益通報とかする者が現れた。これは、バカ殿派には大きな痛手。これを鎮圧しようと奴らは躍起になっている。その先頭に立っているのが、あのヨシイエのところのせがれ。あいつは、元はおれたちの味方のような顔をしておったがな。ところが、士分に取り立てられてからは、ひどい寝返りだ。張り切ってバカ殿派の手先になってな、今度も内部告発者は処罰するぞ、と息巻いておる。

しかもだ。今日になって、アベの一味が狂ってしまったようだ。突然に今日(6月14日)中に、共謀罪のお触れを出そうと深夜になっても作業中だ。これはトンデモナイ事態。アベのバカ殿やその取り巻きを一掃するには、久々に一揆を起こさねばならない。

一揆の趣意書を直訴状として拵えてみた。飽くまで素案だ。今日はこれを皆の衆で練り上げていただきたい。孫子のために、打倒アベで立ち上がらねばならん。このことに気持は一つよのう。なあ、皆の衆。

**************************************************************************
             直  訴  状
バカ殿アベ加計の守信介・罪となるべき下記八つの所業あるにつき、直ちに職を辞し蟄居謹慎を申しつけられるべきこと。領民一同之を建白。

第1の所業 明文改憲の罪
明文改憲によって、国防軍創設・天皇元首化・基本的人権の侵奪をたくらむほか、96条先行改憲論に象徴される立憲主義への飽くなき攻撃こそ最大の罪。今は、9条3項加憲を行おうとしていること、不届き千万。

第2の所業 解釈改憲の罪
集団的自衛権行使容認の強行や武器輸出解禁の姿勢に表れているとおり、改憲手続きを迂回して憲法の理念を実質的に破壊する罪は重い。

第3の所業 共謀罪法案審議強行の罪
国民運動弾圧の「平成の治安維持法」を制定し、国民総監視社会を作ろうとすること大罪なり。

第4の所業 公平公正を害するえこひいき行政の罪
腹心の友のためや、「アベシンゾー首相ガンバレ」とコールする教育施設に特別の配慮を惜しまない偏り行政の罪。

第5の所業 マスコミ介入と懐柔の罪
一方では停波をチラつかせ、他方では「読売を読め」という、批判するメデイアと擦り寄るメデイアを意識的に選別した対応の罪

第6の所業 原発再稼動と輸出の罪
3・11で顕在化した恐怖、利権構造、政策決定過程の密室性は、脱原発の澎湃たる天の声を呼び起こした。再稼動と輸出とは、人類の未来に対する大罪である。

第7の所業 核廃絶に反対の罪
唯一の被爆国でありながら、国民と被爆者の意思に反して核兵器禁止条約に反対するという愚行こそ、天地の許さぬ大罪である。

第8の所業 辺野古新基地建設強行の罪
沖縄県民の立ち場でアメリカと交渉するのではなく、アメリカの立ち場で沖縄に基地を押し付け、新たな基地被害をつくり出す重罪。
(2017年6月14日)

アベ・えこひいき政治には、もううんざりだ。

本日(6月13日)は、本郷湯島九条の会による定例の本郷三丁目街頭宣伝の日。午後の法務委員会での、共謀罪法案強行採決があり得るとの報せで緊迫した雰囲気の中、参加者のボルテージも上がった。そのメンバーと一緒に国会へ。衆議院第一議員会館内でのシンポジウムに参加した。

本日は、与党側が内閣委員会の委員長(民進党)に対する解任決議案提出をきっかけに、野党側が国家戦略特区を担当する山本地方創生担当大臣に対する問責決議案を提出。加えて、金田法務大臣に対する問責決議案が提出されて、審議はストップしたようだ。この成り行きは、シンポジウムの途中で、宮本岳志議員から報告された。会期末まであと5日。場合によっては延長もある。強行採決の危機は、ずっと続くことになる。野党がどれだけがんばれるかは、ひとえに国民世論のあり方にかかっている。

参加したシンポジウムは、「森友問題の幕引きを許さない市民の会」が主催した「森友・加計問題を考えるシンポジウム」。
パネリストは、小川敏夫(民進党 参議院議員)、宮本岳志(日本共産党 衆議院議員)、杉浦ひとみ(弁護士)、青木理(ジャーナリスト)の各氏。コーディネ-タ-が、醍醐聰さん。時宜を得て盛会だったし、議論も盛りあがった。

幾つかのテーマが話題となった。今のアベ政治が、私益のためにねじ曲げられたデタラメ政治となっていることは確認できたが、さて、この事態にどのような具体的な対抗策が考えられるのか。これがシンポ参加者の問題意識。暴走する権力を、誰が、どのように止めることができるのか。「最後は国民の一票」というのはそのとおりなのだろうが、誰もがそれではもどかしい。その余の術はないのか。

まずは議会である。とりわけ野党の役割が期待される。国政調査権をフル活用して、国民の声を背に権力の横暴を暴き追及する。今国会では、野党はよくやっているとは思う。しかし、所詮は数がものをいう世界の話。野党側議員の数が少ない。数の力で押し切られては如何ともしがたい。

次いで、メディアに期待が集まる。官房長官を30分にわたって質問ぜめにして食い下がり追い詰めた、東京新聞社会部記者の話題に拍手が湧いた。しかし、この拍手は普段のメディアへの失望をも表したもの。欧米の記者たちの要人に対する切り込みの鋭さが話題となった。彼我の落差はどこから来るのだろうか。本来権力への監視こそがジャーナリズムの役割。「大手町に本社のある新聞2社」の権力とつるんだ体たらくが、今の日本のメディアのあり方を象徴している。パネラーからは「がんばっているメディアや番組を応援していただきたい」との発言があった。

さらには、暴走する権力への司法の歯止め期待される。会場から「具体的な司法活用の方策はないのか」という質問が寄せられた。パネラーからは、「行政訴訟や民事訴訟の活用は、具体的な被害を受ける者以外には原告適格は認められず、一般的にはむずかしい。」「場合によっては、罰則のある具体的な法違反について告訴や告発をすることはできるだろう」と回答された。

ひとしきり話題となったのは、準強姦の被告訴人として逮捕寸前であった元TBS記者山口敬之の不起訴事案。アベ政権御用達記者として名高い彼の逮捕状の執行を取り消したのは警視庁中村格刑事部長(当時。現警察庁)。これも、アベ政権の「ご意向」ないしは「忖度」事件。自らにシッポを振って忠誠を誓う者に対する、「えこひいき政治」の腐臭が漂っている。

この件について、パネラーからは、「検察審査会の起訴相当決議は検察官を拘束する。場合によっては強制起訴にもなる。検察審査員は一般国民から選任されるのだから、世論の後押しは効果があると思う。検察審査会に世論を示して後押しする行動の工夫が大切」との発言。

議会、メデイア、司法の各局面を通じて重要性が強調されたのが、行政文書の保存と公開。情報公開制度の形骸化を許してはならないことが、繰りかえし語られた。

そして、加計学園問題において公益通報を決意した公務員に対する「守秘義務違反攻撃」の卑劣さが話題とされた。

行政情報は公開が大原則である。公務員法が刑罰で漏示を禁止されている秘密とは、いわゆる「実質秘」に限られる。非公知の事項であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものをいう、とされている。

具体的には、微妙なグレーゾーンがあるにせよ、今回の「内部告発」を公務員の守秘義務違反として封じ込めようとは、さながら悪代官の悪あがきではないか。元ヤンキー先生こと義家弘介文科副大臣よ。悪代官になり下がりたいか。

内容の濃いシンポジウムだったと、同行した地域の方にたいへん好評だった。このことが、地域の運動の盛りあがりにもつながるだろう。
(2017年6月13日)

アベ政権打倒に世論は変わりつつある。

世論調査によるアベ政権に対する支持率が一部で急落している。典型は、北海道新聞の5月26~28日調査。安倍内閣を「支持する」は4月の前回調査から12ポイント減の41%、「支持しない」は12ポイント増の57%と、不支持が支持を逆転した衝撃。

6月1日発表の日経新聞電子版「クイックVote」の調査結果も話題となった。内閣支持率は前回調査の52.1%から25.4ポイントもダウンして26.7%だった。6月8日発売の週刊文春は、独自の調査で「内閣支持率22%」というタイトルを打った。

大手メディアの通常の調査が続いてこうなるかは分からない。しかし、明らかに、風向きは変わってきた。アベ政治へのアゲィンストに。そして、世評はアベに冷たくなってきている。私の印象では、社会の良質の人々が、これ以上アベ政権の所業を看過しておけないという気持になっている。メデイアにも、ようやく遠慮のない政権批判ができる空気ができている。

「アベはいいやつだ。放っておいてもらいたい」は、通用しなくなっている。「アベのやることは見ちゃおれない。もう、いい加減に退場してもらわねばならん」という世の中の空気なのだ。昨年、都知事だった舛添が襲われたバッシング。あの現象が突然にアベの身に起こっても不思議はない。

アベの悪行は、大きくは2つに大別される。
一つは、人権や民主々義の蹂躙である。憲法敵視、憲法改悪、沖縄への基地押しつけ、共謀罪法案の強行、歴史修正主義、原発再稼働、教育への介入、核廃絶への不熱心……。
二つ目が、政治の私物化である。アベ友学園問題、腹心の友学園問題がその典型。岩盤規制に穴を開け、その穴から滲み出る甘い汁を身内に吸わせようとしているだけのこと。
そして、無反省で居丈高で傲慢で不誠実な人格と姿勢を三つ目に挙げることもできよう。今は、「内閣支持率急落の前兆が見えはじめた時期」なのかも知れない。

毎日新聞の投書欄(「みんなの広場」)を最近丹念に読んでいる。アベ政権を批判し、叱責する投書者の質の高さと批判の的確さ、そして政権に対する怒りのボルテージに驚かされる。その表題を追ってみると、たとえば以下のとおりである。

昨日月11日(日)
「功利的」へ導く安倍政権=無職・松沢肇・60
民主国家は憲法のおかげ=無職・中川富蔵・86
「安倍晋三首相の場違いの一言が憲法改正を走り出させた。発言には憲法99条違反の声もあるが、元々祖父・岸信介元首相の遺志を継いでいる…」
議会政治の危うさ覚える=主婦・岡本信子・67
「こんなに政府が一丸となり暴走するような政権を私は知らない。」
黒を白にする政治でいいのか=元教員・高須賀嘉夫・85
「黒は黒であり、白は白である。黒が白になることはあり得ない。だが、私は黒が白になった現実を体験している。太平洋戦争末期、私は少年だった。…」

一昨日(6月10日)
加計問題のすり替えを危惧=主婦・松葉ナリ子・74
「加計学園の獣医学部新設計画に関して、文部科学省の前事務次官、前川喜平氏が行った証言が興味深い。「あったことをなかったことにはできない」という言葉…」

一昨々日(6月9日)
自由民権運動の熱意に敬意=無職・国友英宏・69?
民主政治のため総辞職を=無職・岡部光彦・75

以下
若者に不信感抱かせる政治家=無職・山本浩実・56
9条こそアメリカファースト=会社員・中村俊夫・55
義家氏よ、元教育者の矜持は=元小学校校長・喜島成幸・65
安倍首相に謙虚な行動望む=臨時公務員・高江貞徳・61
記者団の軟弱姿勢に失望=僧職・中山道・87
「ノー」と言う議員いないのか=無職・吉岡辰典・70
「共謀罪」国民の萎縮が狙い=無職・鳥塚鈴子・65
直接民主主義の気概持とう=無職・飯田豊・66
ぞんざいな姿勢の安倍首相=無職・山原孝夫・62
不徳の議員、心に響かぬ言葉=無職・森本秋雄・72
維新議員、矜持はないのか=会社員・東山貢之介・61
この国はどこへ行くのか=会社員・浜尾幸一・68
加計問題、前川氏の喚問を=無職・佐久間信行・61
安倍政権下での改憲許せない=年金生活者・勝田秋広・71
加計学園問題、前川氏の勇気=主婦・吉葉和子・71
疑心暗鬼が渦巻く日本へ=団体職員・谷口歩・46
喜寿を迎えて思うこと=主婦・井上邦子・77
政治劣化に抗議の声を=自営業・永冨芳信・68
「NO」が届かぬもどかしさ=主婦・佐藤千賀子・60
「共謀罪」時限立法にしては=僧侶・小圷洋仙・74
政治不信が募るばかり=無職・松崎準一・67
もの言いにくい社会を危惧=無職・篠原基修・74
加計学園問題国民は怒りを=派遣社員・吉澤重信・68
気になる首相の強気発言=自由業・曽我正彦・61
政官一体の真実隠しか=主婦・原紀子・76
憲法を軽々に変えるな=有期雇用職員・福島洋一・62

今、政治に敏感で、真っ当にものを考える人々がアベ政権を見限りはじめたのだ。国連は、はやばやとアベ政権を批判している。先頭集団が走り出せば、第2集団が続くだろう。そして、その後裔も同じ方向に走り出す。そのような時に差し掛かっているという実感がある。雪崩をうっての政権の崩壊。その予兆が感じられる。
(2017年6月12日)

「森友・加計問題を考えるシンポジウム」(6月13日・午後)のご案内

西にフェイクのトランプあれば、東にデンデンのアベあり。トランプに硬骨のコミーあれば、アベに好漢前川あり。トランプとアベと私益に恋々とする価値観を同じくし、コミーと前川とは矜持を貫くことにおいて相似たり。

されど、コミーは議院の公聴会に証言の機会を得て全米注目の中で2時間半を語りしが、前川にはその機会なし。自ら喚問の機会あれば出席すると述ぶれどもその志を遂げ得ず。この彼我の相違はいづくから来たるや。

トランプとアベ。いずれも、馬脚を現し墓穴を掘り、その体勢建て直しをせんとてさらに傷を深めつつある。されば、まさに水に落ちんとする犬は大いに打つべし。民主主義の大義なる鞭をもて。

**************************************************************************
通常国会の終盤(予定の会期は6月18日まで)に至って慌ただしく、文部科学省の疑惑メール「再調査」は一定の成果ではありますが、時間稼ぎでもあります。共謀罪法案の行方とも関連する、森友学園・加計学園の両疑惑。ともに政治の私物化の問題。アベ政治の傲りの象徴。うやむやな幕引きを許さない「6月13日議員会館内シンポジウム」の再度のお知らせです。
http://sinkan.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/post-7be4.html

「森友・加計問題を考えるシンポジウム」
日 時   6月13日(火)14時30分~(14時から入館証渡し)
会 場   衆議院第一議員会館 大会議室(地下一階)
パネリスト 小川敏夫(民進党 参議院議員)
宮本岳志(日本共産党 衆議院議員)
杉浦ひとみ(弁護士)
青木 理(ジャーナリスト)
コーディネ-タ- 醍醐 聰(東京大学名誉教授)
主 催   森友問題の幕引きを許さない市民の会
資料代 500円

◆ご参加と広報にご協力ください
シンポジウムのチラシのURLは次のとおりです。
http://sinkan.cocolog-nifty.com/LASTsin-moritomo210x297outlined.pdf

◆当日は早めにお出かけください
会場の収容人数は300人です。消防法の規制のため、入館証は300人分しか、発行されません。300人に達したところで受付は終了します。
参加くださる方は入館証渡しを始める時刻(14時)より早めに会場へお出かけください。

◆昭恵夫人らの証人喚問を求める署名の広報にご協力ください
今、こういう取り組みもやっています。
ツイッター、FACEBOOK、をお持ちの方は下記URLから、
リツイート、シェア、いいね、等で拡散していただけるようお願いします。
安倍昭恵氏らの証人喚問を求める署名(ツイッター)
https://twitter.com/toketusa98/status/867852029019832320/photo/1
安倍昭恵氏らの証人喚問を求める署名(FACEBOOK)
https://www.facebook.com/NHKhouiJikkoCOM/posts/552549888466533
諸々のサイト
・署名用紙のダウンロード: http://bit.ly/2qkwucT
・ネット署名のフォーム:  http://bit.ly/2rdgyXe
・ネット署名/メッセージの集約状況の閲覧サイト: http://bit.ly/2r68HhH
よろしくお願いいたします。

**************************************************************************
安倍昭恵氏らの証人喚問を求める署名運動スタート(2017年5月17日)
政府・与党は安倍夫妻が疑惑の中心にいる森友学園問題の幕引きを図ろうと執心しているが、逆に疑惑は深まる一方である。8億余円もの値引きの根拠として、地下9mのゴミの撤去費用が挙げられてきたが、工事業者自身、そのようなゴミの存在を確認していないと語っているし、籠池理事長も約3m以上、掘った覚えはないと証言している。国会でも、地下9mとは沖積期時代の地層であり、そのような地層にゴミが存在するはずがないという指摘もされている。
このような指摘に対し、安倍首相は悪意の「印象操作」と突き放すばかりで、疑惑を払しょくする答弁を全く行っていない。昭恵夫人に向けられた疑惑についても「妻は妻は」と無内容なはねつけを続け、夫人の証人喚問をかたくなに拒む一方で、野党を挑発するすり替え答弁を切れ目なく続けている。
しかし、昨日、今日の報道では疑惑は加計学園(岡山市内の学校法人)にも及んでいる。政府が国家戦略特区として同学園が新設を計画していた獣医学部を認定するにあたって、内閣府が文科省に対し、「安倍首相の意向だ」と伝えた文書があるという指摘が国会で出された。
このように安倍首相がらみの疑惑が深まり、広がるなか、各界の有志15人は連名で「安倍昭恵氏ほかの国会証人喚問を求める要望署名」の運動を企画し、準備が整った今日から、この署名運動をスタートさせた。署名用紙の全文は次のとおりである。
署名の第一次集約日 6月14日

*************************************************************************
安倍昭恵氏ほかの国会証人喚問を求める要望署名
衆議院議長 大島理森 様
参議院議長 伊達忠一 様

呼びかけ人
池住義憲(元立教大学大学院特任教授)/太田啓子(弁護士)/丘修三(児童文学作家)/きどのりこ(児童文学作家)/小林和子(『週刊金曜日』編集長)/笹井明子(老人党リアルグループ「護憲+」管理人)/佐々木江利子(児童文学作家)/杉浦ひとみ(弁護士)/醍醐聰(東京大学名誉教授)/武井由起子(弁護士)/根本仁(元NHKディレクター)/藤田高景(村山談話を継承し発展させる会・理事長)/八木啓代(健全な法治国家のために声をあげる市民の会・代表)/湯山哲守(元京都大学教員・NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ)/ 渡辺眞知子(キリスト者政治連盟)

森友学園問題に関するどの世論調査をみても回答者の7,8割が「政府の説明に納得できない」と答えています。その最大の理由は鑑定価格9億円余の国有地が約8億円も値引きされて森友学園に払い下げられた経過、根拠について政府が納得のいく説明をしていないことにあります。また、国有地払い下げの経過を記した公文書を廃棄したと繰り返す財務省理財局の答弁にも強い批判が向けられています。
さらに、時の総理大臣夫人・安倍昭恵氏が、教育勅語を礼賛するなど教育基本法の理念に反する教育を進める森友学園の小学院(2017年4月開校予定)の名誉校長に就任したことに批判が起こっています。また、昭恵氏が同夫人付きの政府職員を介して、問題の国有地の払い下げに深く関与していた疑惑も指摘されています。にもかかわらず、安倍夫人が沈黙を続けていることに批判が広がり、安倍夫人も籠池泰典氏と同じ条件で証人喚問を行うべきという意見が高まっています。
そこで私たちは、皆院議長に次のことを申し入れます。

申し入れ
安倍昭恵氏、迫田英典氏(前財務省理財局長)、武内良樹氏(前財務省近畿財務局長)、田村嘉啓氏(財務省国有財産審理室長)、松井一郎氏(大阪府知事)、酒井康生氏(森友学園元弁護士)をすみやかに国会に証人喚問し、国有地の格安売却など森友学園をめぐる一連の疑惑を徹底究明すること
(2017年6月11日)

私たちは主権者だ。天皇に関する制度をどう設計するか、その議論に遠慮があってはならない。

昨日(6月9日)、天皇の生前退位を認める「皇室典範特例法」が成立した。侃々諤々の議論はなく、「静謐な環境の中で速やかに」、天皇(明仁)の退位希望が認められることとなった。

この特例法成立に際しての首相談話が以下のとおりである。
「天皇の退位等に関する皇室典範特例法が成立しました。本法の重要性に鑑み、衆参両院の議長、副議長にご尽力を頂き、また各会派の皆様のご協力を頂き、静謐な環境の中で速やかに成立させていただいたことに対しまして感謝を申し上げ、改めて敬意を表したいと思います」「光格天皇以来、実に200年ぶりに退位を実現するもので、この問題が国家の基本、そして長い歴史、未来に関わる重要な課題であることを改めて実感した…」

私には、「本法の重要性」は理解し難い。「この問題が国家の基本」であることも、「長い歴史、未来に関わる重要な課題である」ことも。ましてや、活発な議論を意識的に避けて、「静謐な(=ものを言えない)環境」をつくり出したことに「感謝」「敬意」とは、なんたることだ。

天皇の生前退位の可否よりも、共謀罪法案の成否こそが国家的重大事ではないか。また、加計学園問題等に表れた権力者による政治の私物化も、未来に関わる重要な課題である。そして、法案審議に関わって危惧せざるを得ないことは、天皇や皇族にまつわることになると、奥歯にものがはさまったような、明確にものを言えない雰囲気が醸成されていることである。

共謀罪法案の審議の過程では、国体(=天皇制)擁護を掲げた治安維持法を想起せざるを得ない。もちろん、今はなき不敬罪や大逆罪の猛威も。現天皇(明仁)の先代(裕仁)の就位時には、天皇は主権者であった。天皇は統治権の総覧者であり、天皇の名で裁判は行われ、天皇が大元帥として軍事を統帥し、天皇が教育をつかさどった。そして、天皇の名による侵略戦争と植民地支配が行われ、皇軍による無数の殺戮と凌辱が行われた。内外にこの上ない規模の不幸を生み出したことに天皇の責任は限りなく大きい。現行日本国憲法は、その忌むべき戦前と天皇主権を根底から否定して制定されたものではないか。

今、当然のこととして主権は国民にある。天皇に関わる制度をどう設計するかは、主権者である国民の意思次第である。天皇の退位を自由にしてもよし、空位にしてもよい。女性天皇を認めてもよし、さっぱりと廃止してもよい。大切なことは、誰もが闊達に自分の意見を表明することのできる「静謐ならざる環境」を整えることである。国民全体への奉仕者と位置づけられている公務員職の一つである天皇のあり方について、ことさらに議論を押さえた静謐な環境が強調されることは不気味でならず、議会内勢力の大部分がこれを認めていることも不気味でならない。

本日の各紙社説の論調も不気味と言わねばならない。産経に至っては、「立憲君主である天皇の御代替わりという日本の重要事である」とした上で、社説の末尾を「皇位継承の伝統、原則の大切さを十分理解して、皇室の弥栄を考えたい。」と結んでいる。いったい、いつの時代の紙面か。いつの時代の頭と感覚なのか。

とりわけ見過ごせないのは、「陛下を敬愛する国民が、譲位をかなえてさしあげたいと願い、それが政府や国会を後押しした。このような天皇と国民の絆こそ、昔から続く日本の国柄の表れだ。」という一文。天皇を敬愛せぬ者は非国民と言わんばかりの決めつけ。この産経社説風の雰囲気蔓延を危惧せざるを得ない。

比較的真っ当な社説として、沖縄タイムスのものに出会った。
[退位特例法成立]「『象徴』像さらに議論を」というタイトル。
「天皇は戦後憲法の下で『国民統合の象徴』と位置づけられ、その地位は主権者である『国民の総意に基づく』とうたわれている。
『総意』とは何か。『象徴』とは何か。『逝去によらない代替わり』をどのような方法で実現するのか。議論すべき論点は多かった。象徴天皇制について主権者が議論を深めるまたとない機会でもあった。
だが、国会審議は衆参両院で各1日。事前に衆参両院の正副議長が調整に乗りだし、与野党が歩み寄ったこともあって法案審議はとんとん拍子に進み、あっという間に特例法が成立した。」
「昨年8月8日、国民向けに流れたビデオメッセージで天皇陛下が最も強調していたのは『象徴としての行為』だった。憲法は天皇の権能について、『国事行為のみ』を行い、国政に関与することはできない、と定めている。憲法学者の中には、天皇の行為を国事行為に限定すべき、だとの意見もある。」
「『象徴としての行為』とは何か。政治家も国民もそのような議論をしてこなかった。政治の動きは特に鈍かった。…このような議論を避けて通るべきではない。…国会審議で置き去りにされた皇族の減少対策などについて、女性・女系天皇の可能性も含め、真剣な議論を始めるときがきている。」

言論の自由にタブーの領域を作ってはならない。権力批判に遠慮があってはならないことと並んで、天皇という権威に対する批判をタブーとしてはならない。それは、国民主権を形骸化する第一歩だ。
(2017年6月10日)

DHCと吉田嘉明は、なんの反省もしていない。ー「DHCスラップ訴訟」を許さない・第105弾

本日(6月9日)、DHCと吉田嘉明から、内容証明郵便による「回答書」(6月8日付)が届いた。私からのDHCと吉田嘉明への5月12日付各内容証明郵便による損害賠償請求に対する返答である。予想されたとおりの内容ではあるが、あらためてDHCと吉田嘉明が自らの行為をまったく反省していないことが確認できる。

私が発送した5月12日付損害賠償請求書は、「『DHCスラップ訴訟』を許さない・第105弾」(5月12日)としてアップしているが、これを再掲してDHC・吉田の回答書を掲載する。
なお、第102弾のURLは下記のとおりである。
http://article9.jp/wordpress/?p=8539

**************************************************************************
損害賠償請求書
2017年5月12日
住所
被通知人 株式会社ディーエイチシー
代表者代表取締役 吉田嘉明殿

通知人 澤 藤 統一郎

2014年4月16日、被通知人は、吉田嘉明とともに原告となって、通知人を被告とする東京地方裁判所平成26年(ワ)第9408号損害賠償等請求事件を提起した。その請求の趣旨は、相原告と併せて2000万円の支払い請求と、通知人のブログ記事の削除ならびに謝罪文掲載の各請求であり、その請求原因は、通知人のインターネット上のブログ記事が被通知人らの名誉を毀損し侮辱するものとの主張であった。
同事件の訴状は同年5月16日に通知人に送達され、7月11日の進行協議を経て、8月20日が事実上の第1回口頭弁論期日となったが、その直後の同月29日請求の拡張がなされ、請求金額は相原告と併せて6000万円となった。
同事件は、2015年9月2日に請求を全部棄却した判決言い渡しとなったが、被通知人ら両名は東京高等裁判所に控訴し、控訴審は第1回口頭弁論期日に結審して、2016年1月28日控訴棄却の判決言い渡しとなった。
被通知人らはさらに最高裁に上告受理を申立てたが、同年10月4日の同裁判所不受理決定によって、本件は確定した。
以上の被通知人の本件提訴と提訴後の訴訟追行の経過は、被通知人らが民事訴訟本来の権利の救済や回復を目的として提訴したものではなく、明らかに通知人の正当な言論を嫌忌して、これを妨害し封殺しようとしたものと断じざるを得ない。何人にも裁判を受ける権利が保障されているとはいえ、かかる民事訴訟本来の趣旨目的を逸脱濫用した提訴は違法というしかない。
したがって、被通知人は、故意又は過失によって通知人の法律上保護される利益を侵害した者として、民法709条および同719条1項に基づき、吉田嘉明と連帯して通知人に生じた全損害を賠償する責任を負うものであるところ、通知人に生じた損害は、応訴の費用や職務への支障、ならびに高額賠償請求を手段とした恫喝的態様による表現の自由侵害による精神的損害等を合算して、その金額は600万円を下回るものではない。
よって、通知人は被通知人ならびに吉田嘉明に対し、連帯して、600万円の支払いを求める。
なお、仮に、被通知人が本損害賠償請求に応じない場合には、損害賠償請求の提訴をすべく準備中であることを申し添える。

**************************************************************************
平成29年6月8日

澤藤統一郎殿

吉田嘉明及び株式会社ディーエイチシー代理人
弁護士今村憲

当職は、吉田嘉明及び株式会社ディーエイチシー(以下「当方」といいます。)の代理人として、貴殿作成の平成29年5月12日付け損害賠償請求書について、次のとおり回答します。
貴殿は、当方の提訴は、貴殿の正当な言論を忌避して、これを妨害し封殺しようとしたものと断じざるを得ないなどと主張し、同様の主張を裁判においてもしていました。
しかし、東京地方裁判所平成27年9月2日判決は、かかる貴搬の主張について、次のとおり判示しました。「被告は、本件訴訟について、いわゆるスラップ訴訟であり、訴権を濫用する不適法なものであると主張する。この点、本件訴訟において名誉毀損となるかが問題とされている本件各記述には、断定的かつ強い表現で原告らを批判する部分が含まれており、原告らの社会的評価を低下させる可能性があることを容易に否定することができない。また、本件各記述が事実を摘示したものか、意見ないし論評を表明したものであるかも一義的に明確ではなく、仮に意見ないし論評の表明であるとしても、なにがその前提としている事実であるかを確定し、その重要な部分が真実であるかを確定し、その重要な部分が真実であるかなどの違法性阻却自由(澤藤註・事由の間違い)の有無等を判断することは、必ずしも容易ではない。そうすると、本件訴訟が、事実的、法律的根拠を全く欠くにもかかわらず、不当な目的で提訴されたなど、裁判制度の趣旨目的に照らして許容することができないものであるとまで断ずることができず、訴権を濫用した不適法なものということができない。このことは、本件各記述が選挙資金に関わることによって左右されるものではない。したがって、本件訴訟をスラップ訴訟として却下すべき旨をいう被告の主張は、採用することができない。」
以上のとおり、貴殿の主張は、2年前に既に裁判所において排斥されており、今更これを蒸し返すことは信義則により遮断されるものです。
そもそも、貴殿は、第1審の当初に提出した平成26年6月4日付け「事務連絡」において、「次々回(第2回期日)の日程は、2か月ほど先に指定いただくようお願いいたします。その間に、弁護団の結成と反訴や別訴等の準備をいたします。」などと書き、訴訟係属中も反訴すると言いながら、結局反訴しませんでした。
当方が名誉毀損だと指摘した貴殿のブログの記述は、違法性阻却事由により裁判においては違法でない旨判示されたものの、同時にその大半の記述が、当方の社会的評価を低下させるとも判断されており、貴殿が弁護士でありながらも当方の名声や信用を一般読者に対して著しく低下させたことは事実であり、このような事実無根の誹膀中傷をネットに書き散らす行為が許容される事態は社会的に問題であり、当然600万円を支払えという貴殿の不当な請求にも応じられないことをここに回答します。 以上

**************************************************************************
私は、DHC・吉田によって、6000万円請求の民事訴訟の被告とされた。その訴訟の提起とその訴訟追行のあり方が違法で、不法行為にあたるということでの損害賠償を請求した。

この不当・違法な提訴による損害は600万円とした。6000万円を基準額とする提訴への応訴の弁護士費用(地裁・高裁・最高裁各審級の着手金と成功報酬)だけで、600万円を下らない。通常、このくらいはかかる。

もとより、裁判を受ける権利は誰にも保障されている。民事訴訟を提起して敗訴したからというだけで、その提訴が違法で被告に生じた応訴のための損害賠償の責任が生じるわけではない。しかし、飽くまで民事訴訟という制度は、侵害された権利の救済を目的とするものである。その趣旨・目的を逸脱して、正当な言論を抑圧し封殺して、萎縮効果をねらった恫喝的な提訴となれば違法というしかない。不法行為が成立して因果関係が認められる限りの全損害を賠償しなければならないのだ。

DHC・吉田の、私に対する6000万円請求は、典型的なスラップであり、その濫発は連鎖的に模倣者を輩出しかねない。言論の自由に対する脅威であり、民主主義の基礎を揺るがしかねない大きな問題でもある。

本日受領した回答では、DHC・吉田は、この点についての反省も自覚もない。敗訴判決を受けて、自らの提訴について反省の弁を述べるところはない。

DHC・吉田のもの言いは、相変わらず、「このような事実無根の誹膀中傷をネットに書き散らす行為が許容される事態は社会的に問題」などという、独善きわまるものである。

なお、回答書において、一審判決が引用されているのは、被告が「本件提訴は不適法として却下を求める」とした部分の判断で、提訴が損害賠償の対象となるか否かの判断ではない。

むしろ、確定判決において、私の問題とされたブログでの言論は「いずれも意見ないし論評の表明であり」「公共の利害に関する事実に限り」「その目的がもっぱら公益をはかることにあって」「その前提事実の重要な部分について真実であることの証明がされており」「前提事実と意見ないし論評との間に論理的関連性も認められ」「人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものということはできない」と認定されている。

この期に及んで「事実無根の誹膀中傷をネットに書き散らす」などと言い募るDHC・吉田の態度は、敗者の潔さに欠けている。吉田は敗訴に至った自らの提訴の不当を理解していない。もちろん、表現の自由の意義も、表現の自由を妨害する不当・違法もまったく分かっていないようなのだ。

もっとも、DHC・吉田が「当方が名誉毀損だと指摘した貴殿のブログの記述は、…その大半の記述が、当方の社会的評価を低下させるとも判断されており、貴殿が弁護士でありながらも当方の名声や信用を一般読者に対して著しく低下させたことは事実」というのは、そのとおりである。

表現の自由とは、誰をも傷つけない無害の言論を表明する自由のことではない。そのようなものは、権利とも自由ともいうに値しない。権力者や社会的強者を批判し、その名声や信用を傷つけることが許容されることを言うのだ。まさしく、私の吉田嘉明についての言論はそのようなものだった。法は、吉田の名声や信用よりも、その批判の言論に優越的な価値を認めたのだ。

実は、そのことは自明なことであった。にもかかわらず、DHC・吉田は敢えて高額な訴訟提起の恫喝をもって、自分への批判を封じようとしたのだ。これについての制裁がなければならない。

102弾でも申しあげたとおり、訴訟開始の暁には、経過を当ブログで逐一ご報告したい。民主主義を大切に思われる多くの方々に、関心をお寄せいただきたい。そして、応援していただきたい。
(2017年6月9日)

風見鶏が動いた。政権への風向きが変わってきたようだ。

電車では、中吊りの広告に目が行く。週刊誌の見出しが、いやでも目に飛び込んでくる。現代の「流言飛語」の震源。井戸端会議ネタの提供元。

売れればよいの週刊誌、売らねばならない週刊誌である。その作り手が、いまなにが売れ筋か、世間が何を求めているのかを、中吊り広告の見出しで語っている。なにが見出しに表れているか、そのテーマに好意的か否定的か。そしてその活字の大きさに意味がある。これで情報量の90%だ。残りの10%の情報を求めて金を払って記事を読むほどのことはない。

木曜日は、「新潮」と「文春」。
文春の広告は、とりわけ目を惹く。思わず、「オー」と声を上げるほど。だからといって、買う気にはならないが。

トップが、大きな文字で、「驕るな! 安倍」である。「安倍」に小さく「首相」と付けられているのがご愛敬。そして、【緊急特集】『読者調査では「前川喚問」賛成86% 内閣支持率22%』の文字が躍る。
さらに、『現職文科幹部が本誌に激白「不満を持っている人は大勢いる」』

トップの次が、これも大きな字で「読売『御用新聞』という汚名」。「読売記者『出会い系記事はさすがにない』」「首相と『会食30回』でダントツ」と小見出しが並ぶ。

新潮の広告もかなかなかのもの。
「安倍総理」を辞任させたい「麻生太郎」!
▼「前川前次官」が怯える「守秘義務違反」逮捕
▼実姉が証言! 「加計理事長」20歳年下女性との再婚で家族断絶
▼文科省「設置審」が認可ダメ出しの鳴動

これに、
「準強姦『安倍総理』ベッタリ記者『山口敬之』の金満」と続く。「家賃は月130万円!? 部屋の真下にスパ&プール!!」と書き添えられている。イヤミたっぷりだ。

両誌とも、トップは安倍批判だ。文春の「驕るな!安倍」は、読者層の代弁だろう。「内閣支持率22%」という調査結果が、編集者を強気にしている。そして、両誌とも、「安倍ベッタリメディアへの批判」を大きく扱っている。文春が読売、新潮が山口敬之を標的にしている。これまでは得意満面だった御用評論家や「スシロー連」の面々は、首筋が寒い思いではないか。

新潮の「文科省『設置審』が認可ダメ出しの鳴動」は、興味がある。今治市に建設中の「岡山理科大獣医学部」。2018年春開校を条件に、国家戦略会議諮問委員会(安倍晋三会長)は強引に押し通したが、文科省の認可を得たわけではない。当然に文科省は認可を下ろすだろうと思われていたが、雲行きが変わってきた。「文科省『設置審』が認可ダメ出し」が現実となれば、アベ政治への大きな打撃となろう。

そんなことで興味ある記事だが、やっぱり新潮は買わない。私には、産経・読売にびた一文も払うものか、というささやかな矜持がある。新潮・文春も、まだ私的経済制裁を解くには至ってない。

週刊朝日最新号トップは、「安倍官邸に巣くう 加計人脈」。「忖度や謀略の裏でお友達優遇!」と、これも手厳しい。

ともかく、風が変わってきた。アベ友・腹心の友両学園の、「もり・かけ問題」がアベ政権を揺るがしている。アベ一強の歪みが、私益のための政治の歪みとして露呈しつつあるのだ。これに加えての共謀罪強行は、アベ政権の命取りになりかねない。
(2017年6月8日)

スラップ被害・戦友との邂逅ー 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第104弾

日民協の機関誌「法と民主主義」に、「あなたとランチを」という見開き2ページの続きものコーナーがある。佐藤むつみ編集長が、毎号しかるべき人物を選定してランチをともにしつつインタビューを行い、その人の来し方や現在の活動を紹介する。ランチをともにしつつと言う、くだけた雰囲気が売りもので、なかなかの評判。

さて、2017年6月号(6月下旬刊)の「あなた」(ランチ・メイト)は、明治大学商学部教授(会計学)の野中郁江さん。本日、明治大学リバティタワー23階のレストランでの、「ランチ」となった。私も、佐藤編集長の付録としてランチをともにした。

初めてお目にかかった野中さん。そのインタビューは陪席していて楽しいものだった。この方、東洋史専攻の学生だったが、労働組合運動に役立とうと志して会計学の専門家になったという。実践と学問とがマッチした、稀有な幸せの人。その詳細は「法民」に譲るとして、私が臨席した理由は、野中さんがスラップ訴訟の被告として闘った方だからだ。私の関心は、もっぱらその件。読者の立場からではなく、同じスラップの被害者としての立場からの聞き役。職権を濫用しての役得だった。

昭和ホールディング(の役員)から5500万円の損害賠償請求訴訟を提起されて最高裁まで争って勝訴した野中さんと、DHC・吉田から6000万円の損害賠償請求訴訟を提起されて同じく最高裁まで争って勝訴した私とは、戦友にほかならない。けっして、同病相憐れむの仲ではない。

野中さんは、雑誌『経済』(2011年6月号)に掲載した、学術論文「不公正ファイナンスと昭和ゴム事件 問われる証券市場規制の機能まひ」と、東京都労働委員会に提出した鑑定意見書の記述が「名誉毀損にあたる」とされた。これはひどい話。(「昭和ゴム」は、現「昭和ホールディング」の旧商号)

政治家への8億円裏金提供を批判されてスラップに及んだDHC・吉田嘉明も相当にひどいが、学術論文をスラップで訴えた昭和ホールディングもひどさでは負けていない。名誉毀損訴訟実務では、違法と主張された表現を、「意見ないし論評部分」と「事実摘示部分」とに分類する。前者は、根拠とした事実が真実である限り原則として違法性がないとされる(表現の自由が最大限尊重される)。後者は、公共性・公益性・真実性(ないし相当性)が備わっている限り違法性が阻却される。

学術論文は、明らかに「意見ないし論評」にあたる。その「意見ないし論評」の根拠となる事実の真偽は問題となり得るが、会社が発表した財務諸表や有価証券報告書等を資料として分析を行う限り、名誉毀損の問題が生じうるとは考え難い。よくもまあ、提訴をしたものだ。

野中さんは、昭和ゴム労組の依頼を受けて、昭和HDなどが発表する投資家向けの資料や有価証券報告書などをもとに、約30億円もの金が、短期間に昭和ゴムからAPFにわたったその資金の流れやからくり、経営実態などを分析・研究し、同論文をまとめた。

この件で、野中分析によって違法行為を炙り出されたのは、昭和ホールディングス(HD)と同社を事実上支配する親会社アジア・パートナーシップ・ファンド(APF、所在はタイ)。HDの資金約30億円が流出しこれがAPFに還流している。

訴状で「名誉毀損」とされたのは、たとえば同論文の次の個所。
「昭和ゴム事件の特徴は、ファンドによる企業からの財産収奪が行われている、あるいはその危険性が高いという点にあり、その被害者は一般投資家であるとともに、200名余の労働者、さらには取引先、地域経済である」

こんな研究論文の一節が高額損害賠償請求のターゲットになって、研究発表が萎縮したのでは、大きな社会的損失ではないか。どのスラップにも特徴がある。野中事件では、「学問研究とその発表の自由」阻害の問題なのだ。

一審段階の赤旗に野中さんのコメントが紹介されていた。
「ファンドにかかわっていま、証券市場の規制がどういう役割を果たせるか、が問題になっています。この分野の研究は、私の従来の研究テーマであるとともに、大学教員としての社会貢献活動でもあります。こうした不当な訴えを許せば、研究も社会貢献活動もできなくなります」「ファンドの問題点について論文を書いて訴えられれば、研究そのものが萎縮させられます。学問の自由を守るためにも、社会的に包囲する運動をすすめたい」

また、科学者会議の米田貢事務局長(中央大学教授)のコメントも紹介されている。
「学問は、自由な知的な活動と研究成果の自由な発表、それに基づく学術的な討論によって発展してきました。自分に不利な内容の研究成果の発表を、高額な損害賠償請求で抑え込もうとする今回の提訴は、典型的なスラップ訴訟です。真理の探究をめざす学問の自由に対する許しがたい挑戦であり、野中氏個人ではなく、学術世界、研究者全体にかけられた不当な攻撃です」

野中さんは、最初に訴状を手にしたときの気持をこんな風に語った。
「こんな裁判に絶対に負けるはずがないとは思いましたよ。しかし、これからいったい何年こんな裁判に付き合わなければならないのか。どれだけ、時間と労力をとられるのか。それを考えると暗澹たる気持になりました」「以来、最高裁で勝訴確定するまで、仲間や支援のみんなに『よろしくお願いします』と頭を下げっぱなし。このストレスも大きかった」

こんな気丈な方にして、スラップはいやなもの。スラップはストレス。そして、それゆえにスラップは社会に言論萎縮効果をもたらす。言論の萎縮効果は文明の敵、人類進歩の阻害物だ。スラップを退治して一掃しなければならない。
(2017年6月7日)

澤藤統一郎の憲法日記 © 2017. Theme Squared created by Rodrigo Ghedin.