澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

三題噺「東京五輪・皇族招致活動・放射線汚水漏れ」

いま、日本はたいへんな問題を抱えている。東京オリンピック招致なんて浮かれている場合ではない。スポーツは明らかに愚民政策として利用されている。改憲・原発・消費増税・TPP・格差貧困…、諸々の矛盾をカムフラージュするための東京オリンピックではないか。そんなもの止めていただきたい。そんなところに予算を使うのはよしてくれ。

なによりも、福島原発の汚染水問題。政府が予算を出せば何とかなるという性質のものではない。原発は「トイレなきマンション」と言われてきた。今、福島では、マンション本体は爆発で見る影もなく、トイレの垂れ流しだけが際限なく続けられている。「マンションなきトイレ」になってしまっている。

この汚染水の放射線量は半端なものではない。メルトダウンした核種によって直接汚染されたと思われる線量なのだ。その汚染水で、あの巨大な1000トンタンクが2日半でいっぱいになる。25日で10個、250日で100個。さらに増え続けたら…。フィンランドの「オンカロ」は、地下400メートルの岩盤を掘削して放射性廃棄物を10万年間閉じ込めようという世界唯一の施設だ。福島では、地上でこのまま10万年となりかねない。IOCの各委員は、福島の現状をよく知っているのだろうか。

そのオリンピック開催都市を決める国際オリンピック委員会(IOC)総会に、高円宮妃久子なる皇族が出席してスピーチをするのだという。私は天皇制については大いに関心をもっているが、この人のことは知らなかった。何のイメージもない。亡くなった高円宮憲仁氏の妻と言われてもまだよくは分からない。高円宮が三笠宮の三男と説明されてようやく系図を了解。私が疎いのだろうか、その程度の知名度なのだろうか。

「皇族の政治利用」ではないかと問題だとか。問題なら止めれば良さそうなものだが、宮内庁は「苦渋の決断で政権側の要請を受け入れた」のだそうだ。「神聖なる皇族を、東京オリンピック招致ごとき俗事に使ってまことに申し訳ない」とのニュアンス。

この人のスピーチは、東日本大震災に各国からの支援があったことに感謝する内容の予定とか。どうして、IOC総会がそのようなお礼をする場としてふさわしいのかはよく分からないが、こんなスピーチはどうだろうか。

「世界中の皆様。わが日本は、世界で最も地震被害が頻発している国でありながら、安全神話のもと、54基もの原子力発電所を稼働させてまいりました。そのツケが、2013年3月11日の福島第一原発の爆発事故となって、世界中に放射性物質をばらまいて、皆様に多大なご心配とご迷惑をお掛けいたしました。にもかかわらず、温かい復興へのご援助をいただき、お礼の言葉もございません。あらためてお詫びと感謝を申し上げます。
原発事故の被害は甚大で、事故後2年半を経たいまも終熄の見通しはまったく立っていません。とりわけ、メルトダウンした原子炉内の核燃料がどうなっているのか、どうしたらこれを安全に取り出して廃炉にできるのか、確たる方針を見出すことができない現状でございます。もし今、再び、大規模な地震や津波が起きたら…、考えるだに恐ろしい現状です。おそらく、そのときは、東京でオリンピックを開催することなど到底考えも及ばぬ惨状となりましょう。
さらに、現在、放射能汚染水問題がクローズアップされております。福島第一原発敷地には、1日800トンの地下水が流入し、この地下水が核燃料と接触して高濃度の線量をもつ汚染水となっています。この汚染水のうち、毎日400トンだけは回収して水槽に貯めていますが、回収できない400トンはどうなっているか、実はよく分かりません。相当量が海に流れていることでしょう。
一方、汚染水を回収した水槽は、数限りもなく殖えて敷地を埋め尽くさんばかりとなっています。そして、いま、その水槽から放射線汚水が漏出しているのです。その汚染水の線量は、水槽の近くでは、毎時1800ミリシーベルトという、数時間で致死量になりうる信じられない高値なのです。しかも、水槽の強度保持の設計はわずか5年間、実際には3年しかもたないとも言われています。汚染水漏出水槽の数は、どんどん殖えていくことになりましょう。
東京と福島原発の直線距離は約200?。もちろん、福島の海は東京湾に繋がっています。それでもなお、世界の皆様が、福島と日本の復興のために、リスクをご承知で東京オリンピックを実現していただけるようご支援を心からお願い申し上げる次第です。
これまでのご厚情に感謝申し上げるとともに、原発事故が安全に終熄するまでには今後相当の年月を要することをご承知おきいただき、いっそうのお心遣いをお願い申しあげます。」
(2013年9月3日)

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Published in 火曜日, 9月 3rd, 2013, at 21:53, and filed under 未分類.

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