本郷3丁目交差点街宣行動ショートスピーチ
特定秘密保護法案の廃案を求める「本郷3丁目交差点昼休み街宣行動」は好調である。今日は、立派な横断幕が現れた。なによりも、本日は行動に参加したみんながマイクを握った。1人3分として、できるだけ大勢の人にしゃべってもらおうということ。みんな、堰を切ったようによくしゃべる。黙ってはいられないのだ。 カラオケよろしく、マイクの奪い合い。みんな、自分自身の言葉で語る。到底私の出番はない。とうとう、今日は一度もしゃべる機会のないまま終わった。
マイクでのしゃべりに自信のない人のために、ショートスピーチのいくつかを用意した。論点を網羅するものではないが、下記に書き付けておきたい。
☆ 特定秘密保護法案は、「行政機関の長」が特定秘密を指定し、指定された秘密を、重罰を科することによって保護しようという基本構造をもつ法律です。指定を予定される特定秘密の数は、取りあえずは40万件。これを漏らした公務員は最高刑懲役10年プラス罰金1000万円。刑罰に処せられるのは、秘密を取り扱う公務員だけではありません。
気骨あるジャーナリストが公務員に情報取得のために「夜討ち朝駆け」の強引な取材活動をすると、これが懲役10年になりかねないのです。仮に、情報取得を働きかけて、当の公務員が応じなくとも、ジャーナリスト側は、独立教唆罪として懲役5年になりえます。しかも、何が秘密かはヒミツです。これを取り扱う公務員側は何が秘密かがわかる仕組みですが、民間側にはわからない。酒場での議論でも、煽動・共謀として罪になりかねません。有罪判決にならなくても、強制捜査の対象にはなりえます。また、このことが公務員にも、マスコミにも大きな萎縮効果をもたらします。結局は国民の知る権利を奪うことになるのです。
☆ この法案は、安倍政権下での反憲法的な諸政策のセットのひとつです。
安倍政権は、「自民党改憲草案」を発表しており、96条先行改憲を唱え、集団的自衛権行使を容認し、さらには国家安全保障基本法を策定し、国家安全保障会議(NSC)を設置し、防衛大綱を見直し、日米ガイドラインを見直し…、と際限なく、憲法への攻撃をたくらんでいます。
特定秘密保護法案はその重要な第一歩であり、それ自身が憲法の理念を破壊する稀代の悪法です。明文改憲も、立法改憲も、解釈改憲も許さない大きな世論で、法案を廃案に追い込もうではありませんか。
☆ 特定秘密保護法案は、米国の要請に基づいて、日米共同軍事行動に必要なものとされています。今、自衛隊は、「専守防衛」に徹して、海外派兵はできないことになっています。この制約を取り払って、「国外で、米国とともに、戦争のできる体制」をつくることが安倍政権の狙いです。平和を守る立ち場から、特定秘密保護法案を参議院では廃案にしようではありませんか。
☆ この法案には、法律制定の理由も根拠もありません。刑罰の制裁をもって国民の行動を制約しなければならない根拠がない。国会での審議でも、これを示すことができません。現行の法律でも、国家公務員法は守秘義務を犯した罪には懲役1年、自衛隊法では懲役5年です。この現行の法律で、今、何の不都合も生じていない。法案は、これをいきなり懲役10年の厳罰とするのです。しかも、特定秘密を取り扱う公務員だけではなく、秘密を世間に公開しようとした民間人までも懲役10年です。これは、政府がうるさい国民を黙らせるための法律。到底容認することができません。
☆ この法案は日本国憲法の基本理念に真っ向から反するものです。民主々義を破壊し、人権を侵害し、平和を損なう法律です。歴史を変えかねない「稀代の悪法」として、絶対に反対します。
☆ 特定秘密保護法案は、国民の「知る権利」を侵害します。民主々義とは、主権者である国民が討議によって政策を形成することを基本としますが、その討議が成立するためには主権者の一人ひとりが自分の意見を持たねばなません。その一人ひとりの意見は「国政に関するあらゆる情報」によって形成されます。
だから、民主々義の政治の出発点において、主権者である国民には正確な情報に接しこれを把握する権利、つまりは「知る権利」が保障されなければなりません。特定秘密保護法は、この「知る権利」を侵害することによって、民主々義を破壊するものです。絶対に認めることはできません。
☆ 国は国民の「知る権利」を妨害してはなりません。憲法にも、表現の自由を保障し、検閲をしてはならない、と明記しています。むしろ、国は行政に関する情報を、国民に積極的に開示しなければなりません。今求められているのは、「行政の透明性の確保」であり、「情報公開の促進」ではありませんか。断じて、国家の秘密の保護ではありません。民主々義社会では、国民のプライバシーは守られねばならず、国家の秘密は徹底して暴かれねばなりません。これに逆行する特定秘密保護法案を認めることはできません。
☆ 国がもっている国政に関する情報は、国民のものであって、けっして安倍政権のものではありません。重要な情報を、主権者である国民に秘密にする行政の背信行為ですし、民主々義の政治過程そのものを侵害する行為として、原則的に許されないことなのです。
秘密は、国会にも秘密にされます。裁判所にも秘密だというのです。
これでは議会制民主々義が危うくなります。刑事事件における弁護権を侵害することにもなります。
☆ 特定秘密保護法案の根本問題は、「何が秘密かはヒミツ」であることです。ということは、時の政府に不都合な情報をすべて特定秘密として隠してしまうことができることになります。法に基づく秘密であるか、時の政府に不都合なものとして紛れ込まされた秘密であるか、国民はこれを検証する手段をもちません。
☆ 法案の基本思想は「国民はひたすら政府を信頼しておけばよい」というものです。これは民主々義でも立憲主義でもありません。国民は、いかなる政府も疑いの目で監視しなければなりません。とりわけ、危険な安倍政権を信頼してはなりません。
☆ 国民の「知る権利」が侵害されたら、憲法の理念はすべて危うくなります。情報操作は有効な民意の操作として、時の権力に便利この上ない「魔法の杖」なのです。大本営発表の時代を思い出してください。国民の戦意高揚のために、正確な戦況は隠され続けました。その結果、戦争に勝ち目がないとわかったあとも、戦争は続けられ、この間に何百万もの尊い命が奪われたではありませんか。
国民は、主権者として、知る権利をしっかり握っておかなくてはなりません。これを根底から奪う特定秘密保護法に反対します。
☆ 特定秘密保護法は国民主権原理と相容れず、民主々義を傷つけます。しかも、この形で傷つけられた民主々義は、恢復の力を失いかねません。秘密の保護が徹底すると、民主々義が傷つけられていること自体に、国民が気づかなくなるからです。
いったん成立した特定秘密保護法は、「不都合があったら変えればよい」などとのんきなことを言っておられる法律ではありせん。
☆ 特定秘密保護法は憲法の平和主義を損なうことになります。
この法案は軍事立法なのです。戦前の軍機保護法、陸海軍刑法、国防保安法の復活という側面をもちます。やがては治安維持法の復活にもつながります。まさしく、「戦争は秘密から始まる」のです。また、「戦争は軍機の保護とともにやって来る」のです。ぜひ今の平和を守るために、特定秘密保護法に反対いたしましょう。
☆ 衆議院の強行採決は、あらゆる新聞が批判しています。新たな参議院の舞台では、大きな国民世論を背景にした論戦が始まります。
再びの戦前の到来を許さないために、いっそう大きな世論でこの法案を廃案に追い込もうではありませんか。
来週からは、月・水・金の昼休み、0時15分から45分まで。マイクは一人3分制限。どなたでも、ご無理をせずに、都合のつくときに、少しの時間でもご一緒ください。
仲間がいれば連れだって、連れがなければおひとりで。
時間があったら30分、時間がなければちょっとだけ。
幟があったら幟もって、幟がなければプラカード、
それもなければ手ぶらでも。
マイク握って喋っても。黙って何もしなくても。
(2013年11月29日)