澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

「新・芝浜」?5000万円の札束

「誰も聞いていないだろうな。壁に耳ありだからな」

「おまえさん、そんなに慌ててどうしたの」

「先日ボスが紹介してくれた大旦那に会ってきた話はしたろう。今日、そこの若旦那から電話があってな、5000万円用立ててやるので、明日の夕方事務所へとりに来いというんだ」

「あらまあ、5000万円。すごいじゃない。ずいぶん親切な人がいるものね。」

「そりゃおまえ、親切ったって、5000万円だ。大旦那の方にだって、いろいろ思惑はあらあな」

「大旦那の方には、足を向けては寝られないわね」

「そりゃそうよ。このご恩にはきっちり報いなければ、人の道に反するというものさ」

「それにしても、有るところには有るものね。」

「それもこれもボスのお陰だ。これでオレも転職の決心がついたよ。これだけ大口のスポンサーがつけば、転職費用がいくらかかっても心配は無いというものだ」

「これまで、ボスは大旦那からどのぐらいもらっていたのかしらね。今度はあなたが、ボスの立ち場を引き継いで、同じようにもらえるのかしら」

「ボスはおれとは格が違う。金の額も桁違いだろう。今まで苦労をかけたけど、これからは大船に乗った気でいてくれ。」

「まさか、そのお金、あとで返せっていうんじゃないでしょうね。そういわれたら、転職費用に使っちゃってスッカラカンだって言えばいいんじゃないかしら。お金に色がついているわけじゃなし。」

「ところで、その金、表には出すわけにはいかない。もちろん預金はできないが、家に寝かせておいても不用心だ。銀行の貸金庫に入れておくことにしよう。オレの名義じゃあ、ちょっとヤバイ。今日のうちに、銀行に行ってお前の名義で貸金庫を借りてきてくれ。」

「そうするわ。でも聞くところによると、貸金庫は大きいのと小さいのがあるそうよ。小さい方で、5000万円入るでしょうかって銀行の人に聞くわけにもいかないしね。」

「5000万円はどうやって運ぼうか。紙袋やビニール袋だと破けたら困るし。」

「あんた気が小さいから頑張ってね。5000万円に腰抜かしそうになっても、そんなことおくびにも出しちゃダメよ。いつも扱いなれてる顔をするんだよ。」

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「芝浜」という人情噺があって、暮れになるとくり返し演じられる。名人圓朝が即興でつくった三題噺のひとつだという。
飲んだくれの魚屋が「芝浜」で、重たいほどの一分金が入った皮財布を拾う。魚屋はその金で浴びるほど酒を飲んで、寝てしまう。その間に、しっかり者の女房がその金を、貸金庫にではなく、お上に届け出る。寝て起きた魚屋は「何を夢見ているんだね」と女房に言いくるめられ、まじめに酒を断って家業に精を出す。
3年目の大晦日、奉公人を置くような店を持つまでになった魚屋に、女房は「お前さん、嘘をついて悪かった」、実はこれこれでしたと事情を話して、お上から下げ渡された金を渡す。そのうえで、「よく働いてくれました。もう大丈夫。」といって用意した酒をすすめる。
魚屋は酒を口まで持っていって、「よそう。また夢になっちゃいけない」と落ちる。

「芝浜」は、拾った金を届け出てハッピーエンドとなる。上で会話を交わしたご夫婦の場合は、金を隠して、「只より高いものはない」「天網恢々疎にしてもらさず」の例えとなる。日頃から落語に親しみ、「芝浜」をよく聞いておけば、こんな年の瀬を過ごさなくてもよござんしたのに。

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本日もお昼休みの本郷三丁目交差点街宣行動。手作りのビラが2種類。そして、特定秘密保護法の撤廃を求める署名運動。

「特定秘密保護法は形の上では成立しました。しかし、その内容は、憲法違反ではありませんか。民主々義を破壊し、人権を侵害し、平和を損なう。そんな違憲の法律は無効だ。しかも、手続も強行採決に次ぐ強行採決。議事録にすら、採決のあとが残らない。こんな法律を認めることはできない。過半数の議員の賛成で、この法律は廃止できます。怒りの世論で、特定秘密保護法を廃止しましょう」という呼びかけ。街宣行動参加者は15人ほど。通行人のビラの受け取りが、これまでで一番よかったというのが、参加者の感想。
(2013年12月11日)

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Published in 水曜日, 12月 11th, 2013, at 20:07, and filed under 未分類.

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