東京五輪と北京五輪を機に オリンピック挽歌を
(2021年7月4日)
陰鬱な雨の日曜日。耳にはいるのは熱海の土石流被害のニュースは。神奈川でも、千葉でも豪雨の被害が報じられている。気が滅入る。オリンピックどころではなかろうと呟かざるを得ない。
東京オリパラはきっぱりと中止したいもの。それだけでなく、今後もうオリパラは一切やめようではないか。今回、コロナ禍と重なってオリンピックの何たるか、IOCやJOCの何たるかを我々は知ってしまった。こんな愚劣な集団の愚劣な思惑に振り回されるのは、ごめんだ。この思いは、コロナ後も変わるばずがない。
コロナ禍が終われば、私的なスポーツの国際交流は復活するだろう。しかし、この肥大したオリパラは不要だ。いや、有害極まる。国威発揚と商業主義と売名とナショナリズムの醸成、こんなものに貴重な国費を投じてはならない。
私の手許に最新の、東京都の広報(7月号)と文京区報(6月25日号)がある。いずれも、オリパラ推進の立場での紙面作り。「いよいよ東京2020大会が始まります!」(都報)、「文京区で楽しむ東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」(区報)という見出しを付けている。
都報にも区報にも、表紙に市松模様の東京オリンピック2020のエンブレムが掲載されている。あれはどう見てもコロナマークだ。言うまでももなく、コロナとはクラウン(冠)のこと。電子顕微鏡写真のウィルスの形がクラウン(冠)に似ていたことからの命名。あのエンブレムは紛れもなくクラウン(冠)の形のコロナマーク。これを額に刻印したマスコットは、コロナ・ボーイと呼ぶべきだろう。このデザインはコロナ蔓延以前のものだが、芸術家の直感力の賜物というべきか、何らかの啓示があったのだろうか。今後、東京2020と新型コロナとの切っても切れない関係の象徴となるだろう。パンデミック下に強行されたオリンピックとなるにせよ、世論が止めたまぼろしのオリンピック大会となるにせよ。
確実なことは、この東京大会を機にオリンピックは急速にしぼんでいくことになる。国威発揚の舞台としても、ナショナリズム高揚の手段としても、ビッグなビジネスチャンスとしても、もう機能しない。指導者が笛を吹いても、もう人は踊らない。冷めた目で、笛を吹くひとの滑稽な姿を見つめるだけのことになるだろう。かつては祝祭のオリンピックに讃歌が献じられた。今、愚劣なオリンピックに挽歌を手向けなければならない。まずは、目前の東京オリパラ、そして来年の北京冬季オリンピックがオリンピック終焉の墓標となるだろう。
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再度、五輪開催中止を求める新ネット署名の紹介
「危険性がますます明らかになっている東京五輪開催の中止を訴えます」
著名13氏が呼びかけ人になっての新しいネット署名が始まった。その署名サイトへのアクセスは、「危険性がますます明らかになっている東京五輪開催の中止を訴えます」をキーワードとする検索で。
以下は、呼びかけ人の訴え
東京五輪開催の危険性がますます明らかになっています。私たちは五輪主催者が状況をしっかりと直視し、開催を中止することを緊急に求めます。
いよいよ五輪開催が予定される期日が迫ってきました。私たちは昨年の開催延期の決定以来、日本政府と五輪主催者が「安心安全」のスローガンをどのように実現するのか、国民に納得のいく説明を行うのを待ってきました。残念ながらそのような説明が行われていないどころか、逆に感染防止体制の様々な欠陥が明らかになってきました。また、現在首都圏ではコロナの感染者数が再拡大する傾向にあり、感染力の強いデルタ株の割合も増えています。高齢者以外の方々にあまねくワクチン接種をおこなうことも不可能であると報道されています。このように低いワクチン接種率で行うことになろうとは1年前に考えてもみませんでした。私たちの不安は急速に高まっています。
私たちの怒りも深くなっています。日常生活の抑制を求めながら、数限りないコロナクラスターを無数につくる可能性を秘めた五輪開催を強行しようとする不条理に、また子どもたちから運動会を奪いながら観戦を求めようとする大人の身勝手に怒っています。
このように1年前に延期を決めたときと現在では、開催をめぐる条件が変化しているにもかかわらず、IOCと日本政府は開催ありきで、市民の声を聞く気が全く無いようです。市民の間には今さら何を言ってもと無力感が拡がっていますが、それでもこの切迫した時期だからこそ、最後のチャンスと考え、あえて言うべきことを言っておきたいと、私たちもこの署名をもって、その隊列に加わります。
日本国民の健康と命、そして世界の人々の健康と命が守られなくてはならないと考え、政府に改めて訴えます。歴史的暴挙ともいうべきこの東京五輪が中止されることを求めます。
もはや残された時間は少なくなってきました。私たちは切羽詰まったお願いをしております。遅くなる前にこの暴挙を中止する決断をしていただきたいと。