澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

《政治とカネ》の関わりは現時点での喫緊の課題である。また同時に、民主主義の理念の根本問題でもある。「法と民主主義」今月号の特集は、眼前にあるカネにまみれた政治腐敗の現象を、あるべき理念に照らしてどう理解しどう改革すべきかの示唆を提供するものである。ぜひご購読いただきたい。

(2024年5月12日)
「法と民主主義」2024年5月号【588号】は連休前に発刊されたが、このブログでの紹介が遅れた。本号の特集タイトルは、以下のとおり熱い。

●あらためて問う《政治とカネ》― その理念と規制改革の方向

時宜に適った充実した内容であり、只野雅人・石村修両氏をはじめとする適材の執筆陣の力のはいった論稿が揃っている。

◆特集にあたって … 編集委員会・澤藤統一郎
◆政治資金と民主主義 … 只野雅人
◆会社による政党への寄附 ── 八幡製鉄事件最高裁判決・再読 … 石村 修
◆政治資金の統制の論理 ── 政治資金規正法の盲点 … 加藤一彦
◆政党もコンプライアンスの導入急務── 自民党各派の政治資金パーティー問題の経過と現状 … 栗原 猛
◆政治資金パーティーという「企業献金の抜け道」を塞げ … 立岩陽一郎
◆民主主義の理念貫徹のための選挙制度改革── 小選挙区制の弊害と改革の方向 … 小松 浩
◆政治資金と納税義務 ―― 自民党キックバック、裏金への課税 … 岡田俊明
◆政治資金と納税義務 ―― 納税者の怒りと運動の視点 … 浦野広明
◆主要各国における政治寄付関連制度(国会図書館作成資料)

私のリードは、下記のURLでお読みいただきたい。
https://www.jdla.jp/houmin/backnumber/pdf/202405_01.pdf

民主主義の理念に敵対するものとして、資本の論理がある。利潤の追求をその本質とする企業は、儲けのためにはなんでも買う。カネは票を買い、政策を買い、政治を買うのだ。かくて、放置されている限り、カネは強力な武器となって民主主義の理念を侵蝕する。民主主義は、このカネの力を徹底して規制しなければならない。

同時に、政治資金の流れは、徹底して可視化されなければならない。政治資金収支報告の内容を透明化するとともに、有権者が関心をもって監視し意見を表明することが必要である。政治家の腐敗の程度は、有権者全体の民主化度の反映なのだ。

特集以外の記事は、以下のとおりで。

◆緊急掲載
 岡口基一弾劾裁判の手続と判決の問題点 … 児玉晃一
◆司法をめぐる動き〈93〉
 ・NHK情報公開訴訟での一審判決報告 … 澤藤大河
 ・3月の動き … 司法制度委員会・町田伸一
◆連続企画・憲法9条実現のために(51)
 岸田改憲と憲法審査会の動向 ── 「戦争への道」=改憲を葬り去る時 … 高田 健
◆メディアウオッチ2024●《グローバルパートナーって何だ?》
 「裏金」問題の陰で「戦争国家」への道 円安、生活苦、この国をどうする? … 丸山重威
◆改憲動向レポート〈№58〉
 憲法改正問題とは「関係のない自民党派閥による裏金問題」と発言した
 馬場伸幸日本維新の会代表 … 飯島滋明
◆インフォメーション
 ・ブックレット「『国会議員の任期延長改憲』その危険な本質?軍事大国化の中での憲法審査会の動向?」のご案内
  ・国の指示権を拡大する「地方自治法の一部を改正する法律案」の廃案を求める法律家団体の声明
◆時評●平和的共存への道に希望を … 松田幸子
◆ひろば●改憲問題対策法律家6団体連絡会議事録整理班の活動 … 久保木太一

お申し込みは、ぜひ下記の「法と民主主義」ホームページから

 「法と民主主義」(略称「法民」)は、日民協の活動の基幹となる月刊の法律雑誌です(2/3月号と8/9月号は合併号なので発行は年10回)。毎月、編集委員会を開き、全て会員の手で作っています。憲法、人権、平和、司法、原発、ジェンダー、天皇制など、情勢に即応したテーマで、法理論と法律家運動の実践を結合した内容を発信し、法律家だけでなく、広くジャーナリストや市民の方々からもご好評をいただいています。定期購読も、1冊からのご購入(1冊1000円)も可能です。よろしくお願いします。
https://www.jdla.jp/houmin/index.html

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