澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

「安倍靖国参拝違憲訴訟」提訴は、4月11日大阪・4月21日東京。

「安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京ニュース」の「第0号」をメールで送信いただいた。提訴前の準備段階なので「0号」なのだろう。A4・4頁の立派なレイアウト。会の熱意と意気込みが伝わってくる。支援と激励の立ち場を明確にして、内容をご紹介したい。

第1ページが、会の事務局長による「提訴します」宣言。2頁に原告代表の関千枝子さんが「わたしはなぜ原告になったか」の記事。そして、3頁に弁護団の2名の弁護士が「司法の場でともに闘う決意」を述べている。4頁が提訴スケジュールと、4月21日当日の提訴報告集会の呼び掛け。また、大阪からの「先陣を切っての提訴」予定の報告もある。

大阪の提訴は、明日(4月11日)の予定。下記のURLに、以下のお知らせがある。
http://www.geocities.jp/yasukuni_no/

「安倍首相靖国参拝違憲訴訟・関西」いよいよ提訴!
4/11 訴訟団出発集会!
安倍内閣の戦争国家推進の前に立ちはだかろう!!
関西第一次訴訟団=原告団・弁護団・サポーター、圧倒的“元気”で出発です。
「靖国の亡霊」を生かしてはならない。二度と靖国の神にされてはたまらない!

2014年4月11日・スケジュール
2:45大阪地方裁判所正面玄関前集合
提訴3:00?  提訴後記者会見
訴訟団結団・提訴報告集会
日時4月11日(金)6時30分?
場所エル大阪・南館102号(地下鉄・京阪「天満橋」西300m)
引き続き 二次訴訟原告 募集中

そして、東京の提訴は、4月21日の予定。こちらは「安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京」が立ち上げた下記のホームページに、「原告になりませんか」という呼びかけがあり、訴訟委任状のダウンロードもできる。
http://homepage3.nifty.com/seikyobunri/

安倍首相の靖国神社参拝が憲法違反であることを確認する訴訟に加わりませんか?
原告を募集しております。原告は無理という方は、支援者になることも出来ます。

「ニュース・0号」の末尾、提訴報告集会への参加呼びかけ文を転載する。
 2013年12月26日、安倍晋三首相が靖国神社を参拝しました。
 礼装し、公用車で靖国神社に向かい、「内閣総理大臣安倍晋三」と記帳し、正式に昇殿参拝しました。これは公式参拝であり、日本国憲法20条(政教分離)に明らかに違反をしております。
 2014年4月21日に、170名以上の原告が具体的な形で安倍首相に批判の声を届けるべく、安倍靖国参拝違憲訴訟を東京地方裁判所へ提訴します。
 この訴訟は違憲を確認し、将来にわたる公式参拝差し止めを求める裁判ですが、「政教分離」だけでなく、平和的生存権はもちろん、「秘密保護法」成立の強行、「集団的自衛権」「武器輸出」推進、その他社会全般に及ぼうとしている安倍内閣の危険な政治を総合的に問う訴訟になればと願っています。
 提訴の日はアメリカよりオバマ大統領が来日する前日に当たります。また靖国神社でもっとも重要な祭事である春季例大祭の初日に当たります。この国が人の住むにふさわしい平和な国になるように、平和憲法を護り世界の平和の先頭に立つ国になるように、訴訟団(原告、支援者、弁護団)一同、思いを一つにして勝利したいと願い、その戦いを東京から世界へと発信します。
 つきましては、その気持ちを分かち合うべく提訴の日に、呼びかけ人・弁護団と共に報告集会を持とうと思います。
 万障繰り合わせの上、お越しいただきたくお願いいたします。
 原告以外であっても関心ある方はぜひご参加くださり、皆様の共なる連帯を願っています。
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 原告第2次募集のお知らせ
 2014年4月1日より、原告第2次募集をします。応募要領は第1次と同じです。委任状も同じもので結構です。ご応募ください。

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安倍首相の靖国神社参拝が、公的資格において行われたもので、目的効果基準によっても、政教分離原則に反するものであることは自明と言ってよい。

周知のとおり、最高裁判例は厳格分離説を採らず、相対分離を前提として、目的効果基準にもとづく「国家および地方公共団体に禁じられる宗教的活動」の範囲を明らかにしようとする。不満は残るところだが、訴訟実務においてはこの枠組みを受容せざるをえない。その最高裁判例の立ち場からも首相の靖国参拝は明らかに違憲なのだ。

目的効果基準において許容されない国の宗教的活動とは、「当該の行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進、又は圧迫、干渉になるような行為」である。

安倍は、神道という宗教の特定宗教施設である靖国神社において、拝殿に昇殿して、祭神と宗教的な意味付けをされた礼拝対象に対し、宗教専門職の神官に先導されて、神道形式の作法に則って礼拝をしている。これが、「目的が宗教的意義をもち」の要件を充足していることは明らかだ。仮に、安倍が参拝の目的は「戦没者遺族の心情の慰藉という世俗的なもの」と弁明しても、宗教的意義を排除することにはならない。

また、安倍が首相として、靖国神社に参拝することの効果は、宗教法人靖国神社を国家に特別な結びつきあるものとするものであって、象徴的意味において、靖国神社を、援助、助長、促進することになり、反面他の宗教や宗教団体を、圧迫、干渉することになるものである。この点も、極めて明白である。

提訴の目的は、なによりも安倍参拝の違憲性を明確にすることにあろう。大阪からの記事の抜粋だが、「これまで、中曽根首相靖国参拝違憲訴訟では福岡高裁で『継続すれば違憲の疑い』があると指摘され、小泉首相靖国参拝違憲訴訟では福岡地裁で「憲法違反」の判決が出ています。また、大阪でも、2006年9月30日小泉首相靖国参拝訴訟(二次訴訟・台湾原住民が原告として提訴)で、高裁段階で初の違憲判断を示しています」。

安倍参拝によって各原告が侵害された法的保護に値する利益とは、まずは「宗教的人格権」である。「静謐な宗教的環境のもとで信仰生活を送るべき法的利益」と構成された宗教的人格権は、自衛官合祀拒否訴訟の一・二審において、法律上保護に値する利益として認められている。しかも、今回提訴では、安倍の憲法総体に対する攻撃の一環としての靖国神社参拝の位置づけにふさわしく、平和的生存権その他の被侵害利益構成の工夫があるはず。

原告団と弁護団の皆様に、敬意とエールを送りたい。
(2014年4月10日)。

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Published in 木曜日, 4月 10th, 2014, at 16:49, and filed under 政教分離・靖国.

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