澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

「憲法は閣議ひとつで変えられる だから7月1日は壊憲記念日」

本日は、日弁連主催の「閣議決定撤回!憲法違反の集団的自衛権行使に反対する10・8日比谷野音大集会&パレード」。日比谷野音が人で埋まった盛況に見えたが、「参加者は3000人を超えた」という発表だった。

民主・共産・社民・生活の各党から合計16名の国会議員の参加を得て、午後6時に開会。村越進日弁連会長の開会挨拶は、なかなか聞かせる内容だった。その要旨は以下のとおり。

「日弁連は、政治団体でも社会運動団体でもありません。当然のこととして、会員の思想信条はまちまちであり、立場の違いもあります。強制加入団体である日弁連が、集団的自衛権行使容認反対の運動をすべきではないと批判の声もあります。

しかし、私たちの使命は人権の擁護にあります。人権の擁護に徹するとすれば、憲法を擁護し、憲法が定める平和主義を擁護する立場に立たざるを得ません。戦争こそが最大の人権侵害であり、人権は平和の中でしか花開くことができないからです。従って、憲法の前文と9条に描かれた恒久平和主義を擁護することは弁護士会の責務であります。

また、集団的自衛権行使を容認した7月1日閣議決定が、立憲主義に反することは明らかで、日弁連はこの点からも、閣議決定の撤回を求めています。

今こそ、多くの人々が人権と平和と民主々義のために力を合わせるべきときです。閣議決定の撤回を求めるとともに、関連諸法の成立を許さぬよう、ご一緒にがんばりましょう」

また、山岸良太・憲法問題対策本部長代行から、日弁連だけでなく全国の52単位会の全部が集団的自衛権行使容認に反対する声明や意見を出していると報告された。また、7月1日閣議決定は、憲法の平和主義に反し立憲主義に反し、ひいては国民主権に反すると説明された。

次いで、6名の発言者によるリレートークが本日のメイン。
出色だったのは、やはり上野千鶴子さん。正確には再現できないが、大意は以下のとおり。
「集団的自衛権を行使する、とは日本がアメリカの戦争の共犯者となること。そのようなことを憲法は許していないはず。にもかかわらず、閣議決定は時の政府の一存でその容認に踏み切った。
   憲法は閣議ひとつで変えられる だから7月1日は壊憲記念日
本来、法は時々の政治の要求で踏みにじられてはならない。今、法律家には、失われた法に対する信頼を取り戻すべき責任がある。

若い頃大人に対して『こんな世の中に誰がした』と詰め寄った憶えがある。私たちは、今の若者から同じように詰め寄られてなんと返答できるだろうか。戦後のはずの今を、戦前にしてはならない」

青井未帆学習院大学教授の発言も危機感にあふれたものだった。
「2014年は、あとから振り返って、戦後平和主義の転換点とされる年になるかも知れない。過去に目を閉ざしてはならない。戦争体験を学び次代に伝え、平和の尊さを伝える努力をしていかねばならない。
政治は憲法に従わなくてはならず、超えてはならない矩がある。明治憲法は、権力の統制に失敗したが、日本国憲法はこれまではそれなりに真摯に取り扱われてきた。ところが今、憲法はなきに等しくなってはいまいか、あるいはきわめて軽んじられてしまってはいないか。憲法の最高法規制を見失えば、特定秘密保護法・日本版NSC設置法・集団的自衛権行使容認などの深刻な事態となる」

宮?礼壹・元内閣法制局長官も、中野晃一上智大学教授の発言も、耳を傾けるに値する内容だった。

閉会の挨拶で、?中正彦東京弁護士会会長が、「法律家の常識として、どのように考えても集団的自衛権を容認する憲法解釈は出てくる余地はない」と締めくくった。

会場に各単位会の旗が林立した。自由法曹団や日民協の旗も建てられた。弁護士会はなかなかに立派なものだ。いや、日弁連は現行憲法の理念に忠実という意味において、きわめて保守的な姿勢を貫いているに過ぎない。法律家の宿命というべきであろう。この保守的姿勢が、いま、右翼政権からは邪魔なリベラル派に映るというだけのことなのだろうと思う。
(2014年10月8日)

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Published in 水曜日, 10月 8th, 2014, at 23:53, and filed under ナショナリズム, 戦争と平和, 集団的自衛権.

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