「野党は共闘、野党は共闘!」ー反安倍勢力糾合の世論を盛り上げよう
本日(10月16日)の朝日に、「共産・志位氏『連合政府実現なら日米安保廃棄を凍結』」の大きな記事。共産党の戦争法廃止に向けた、国民連合政府構想が大きな関心を呼んでいる。
「共産党の志位和夫委員長は15日、東京都内の日本外国特派員協会で会見し、安全保障関連法を廃止するために提唱する「国民連合政府」が実現すれば、「日米安保条約の枠組みで対応する。急迫不正の時には自衛隊を活用する」と述べ、党綱領で掲げる日米安保条約の廃棄や自衛隊の解消などの政策を凍結する考えを示した。安倍政権に対抗する野党の結集をめざし、現実的な対応を強調したものだ。
志位氏は会見で「私たちは国民連合政府という政権構想が、現時点で安倍政権に代わる唯一の現実的で合理的な政権構想だと確信している」と話した。さらに「戦争法廃止、立憲主義の回復という国民的大義での大同団結ができれば、相違点は横に置き、一致点で合意形成を図る」と語った。」
また、朝日の記事では、「共産、野党結集へ動く」「『安保法廃止』本気アピール」との見出しで、「(戦争法)成立後の同月19日には、党中央委員会総会を開き、「戦争法廃止、立憲主義を取り戻す。この一点で一致するすべての政党・団体・個人が共同して『国民連合政府』を樹立しよう」と宣言。その上で野党間の政策的な違いについても「互いに留保・凍結して大同団結しよう」と呼びかけた。」とまとめられている。
「戦争法を廃止して立憲主義を取り戻す」この一点を大義とし、この一点での共闘で、選挙協力をし、国民連合政府を作ろうというのが共産党の提案である。そのあまりの大胆さに、やや戸惑いを禁じ得ない。他の多くの課題を切り捨ててこの一点の共闘で本当によいのか。各政党や政治勢力がそれぞれに持つ理念や主張を棚上げできるのか。何より、この提案が反安倍勢力の総結集に現実性を持つものなのだろうか…。
かつて、民主連合政府構想というものがあった。1970年代の遅くない時期に、「革新三目標」で一致できる諸勢力を糾合して、民主的な統一戦線政府を作ろうと、共産党が呼びかけたものである。
革新勢力がさしあたって一致できる目標とされた、「革新三目標」とは、
(1)日米軍事同盟と手を切り、真に独立した非核・非同盟・中立の日本をめざす
(2)大資本中心、軍拡優先の政治を打破し、国民のいのちと暮らし、教育をまもる政治を実行する
(3)軍国主義の全面復活・強化、日本型ファシズムの実現に反対し、議会の民主的運営と民主主義を確立する
というものであった。
「安保廃棄」・「経済民主化」・「政治的民主主義の確立」の3点。これなら、革新の3課題であり3目標である。違和感はなかった。今度の提案は、まずは安保廃棄は棚上げだ。自衛隊の存続も認める。集団的自衛権の行使は容認しないが、自衛のための武力行使までは認めることになる。
安全保障以外にも課題は多い。沖縄・原発・TPP・雇用・福祉・教育・近隣外交…。はたして、敢えて「戦争法廃止して立憲主義を取り戻す」の一点で、選挙協力が可能だろうか。政府の運営ができるのだろうか。
逡巡は残しつつも、結局のところ、いま反安倍勢力を結集するスローガンを考えて、「戦争法廃止」「立憲主義の回復」以上のものも、以外のものも思いつかない。思い至ったのは、今求められているのは、「革新の統一」ではない。反安倍勢力の結集は革新の課題ではなく、保守をも含めた民主主義・立憲主義の課題だということ。だから、逡巡は不要ではないのか。
私は、安倍政権打倒のためなら、悪魔との契約も辞さない立場だ。それに比べれば安保廃棄も自衛隊違憲も脇に置く課題でよいと言うべきなのだ。安保ハンタイ、自衛隊イケンは、自らの見解と留保しつつも、大同団結の輪の中で「戦争法廃止」「立憲主義の回復」の声を上げよう。「美しい日本を取り戻す」のではない。戦争法を廃止して、「まともな立憲主義に基づく日本を取り戻す」ためにだ。
戦争法国会の最終盤、国会を取り囲むデモの中から印象的なシュプレヒコールが巻きおこった。「野党は共闘、野党は共闘」。院内から、デモの現場に議事の様子を報告に駆けつけた野党議員に対してのもの。
戦争法案の廃案を求めるデモのうねりが、野党共闘の背を押したのだ。法が成立したからといって、この事態を放置しておくことはできない。今度は戦争法を廃止する闘いを続けなければならない。そのためには、選挙に勝つしかない。選挙に勝って反安倍勢力の暫定政権を作らねばならない。いち早くこの世論の声に応えたのが共産党だが、共闘は相手あってのもの。他党・他勢力の立場を尊重して、大きな共闘の成立にに尽力して欲しいと思う。
同じ朝日の報道では、「国民連合政府を持ちかける共産党との連携に、民主党内の大半は後ろ向きだ。岡田克也代表は15日の都内での講演で、「同じ政権を作るのはかなりハードルが高い。基本的な政策の違いが現時点で多過ぎる」と否定的な考えを示した。」という。
まだまだ、国民のシュプレヒコールの音量が足りないようだ。
精一杯声を出そう。「野党は共闘、野党は共闘!」「反安倍勢力は一つにまとまれ」「選挙で足の引っ張り合いをするな」「小異を捨てて大同に就け」「国民の大義につけ」「戦争法廃止で大同団結をせよ」
(2015年10月16日・連続929回)