澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

本郷湯島九条の会は「ぶたちゅう」を応援し、「軍学共同研究」に断固反対します。

本日は、「本郷湯島九条の会」新年の本郷三丁目交差点「かねやす」前街宣活動。憲法施行70周年のこの年には、アベ政権と民衆との本格的な改憲をめぐっての攻防が展開される。何よりも、野党と市民との共闘で国会の議席分布を変えなければならない。

マイクを取った人々が、戦争法のこと、共謀罪のこと、南スーダンの情勢、アベらのパールハーバー訪問、イナダの靖國神社参拝等々の訴えが続いた。そして、我が文京区も小選挙区の野党統一候補選定の話が進んでいるという。

東京2区は、文京(ぶ)・台東(た)・中央(ちゅう)の3特別区を範囲とする。これをまとめて「ぶたちゅう」と言うのだそうだ。まだ、統一候補予定者の名前も出てこないが、政党ではなく、まずは市民を中心に関係者が寄り集まっているという。がんばれ、「ぶたちゅう」。

もう一つ、話題は、東京大学の大学院生からの呼びかけで、軍学共同研究反対の訴え。

本日は、軍学共同研究反対に関する、再度の緊急署名のお願いをしておきたい。各大学や研究機関に宛てた要望である。

URLは下記のとおりである。
http://no-military-research.jp/shomei/

 

お知らせ
防衛装備庁は、軍事技術に関する研究助成制度である「安全保障技術研究推進制度」を2015年度に創設しました。この制度の狙いは、防衛装備(兵器・武器)の開発・高度化のために、大学・研究機関が持つ先端科学技術を発掘し、活用することです。2015年度に3億円、2016年度に6億円であった予算規模は、2017年度予算では110億円へと大幅増額されようとしています。何としてもここで軍学共同の流れにストップをかけなければなりません。

そこで私たちは、全国の大学・研究機関に、本制度へ応募しないように求める下記要望書を、科学者と市民の署名を添えて提出することにしました。皆様のご署名を呼びかけます。また、周囲の方々にも広げていただければ幸いです。2017年2月20日に皆様から寄せられた署名を集約する予定です。

大学・研究機関への要望書
防衛装備庁は、軍事技術に関する研究助成制度である「安全保障技術研究推進制度」を2015年度に創設しました。この制度の狙いは、防衛装備(兵器・武器)の開発・高度化のために、大学・研究機関が持つ先端科学技術を発掘し、活用することです。2015年度に3億円の予算規模で始まった本制度は、2016年には6億円に増額され、来年度(2017年度)においては当初の30倍超の110億円が閣議決定されました。大学予算や科学予算が減額され続けている中で、軍学共同を推進するための予算のみが大幅に増額されようとしていることは極めて異常と言わざるを得ません。そして本制度によって大学・研究機関や科学者が軍事研究に取り込まれてしまうことが強く懸念されます。

「安全保障技術研究推進制度」について、防衛装備庁は(1)基礎研究に対する助成である、(2)研究成果の公開を原則としている、(3)デュアルユースで民生技術への波及効果がある、などと強調して軍事研究に対する科学者や市民の警戒心を和らげようと躍起になっています。

しかし、(1)防衛装備庁の言う「基礎研究」とは、通常の意味における基礎科学・基礎研究ではなく、防衛装備(兵器・武器)の開発・高度化を目指す一連の研究・開発の過程の初期段階を意味します(その詳細は日本学術会議「安全保障と学術に関する検討委員会」の第6回会議のWEBに資料2として掲載されています)。つまり「直ちに装備化するわけではない防衛装備の基礎開発」という意味であり、将来的に本格的な装備として実用化するための第一歩なのです。

また(2)の公開については、防衛装備庁は公募要領で「研究成果は公開が原則」と曖昧に書いて発表・公開が自由であるかのように見せかけながら、実際の成果の公開に際しては必ず防衛装備庁の確認を必要とし、通常の研究と同様な研究成果公開の完全な自由が保証されておりません。さらに、採択された後に交わされる『委託契約事務処理要領』では「発表の内容、時期等については、他の当事者(防衛装備庁)の書面による事前の承諾を得るものとする」と書かれ、『委託契約書』では「発表及び公開にあたっては、その内容についてあらかじめ甲(防衛装備庁)に確認するものとする」と書かれており、採択決定後に取り交わす書類ですから、公募要領より露骨に防衛装備庁が介入・干渉できるようになっています。研究成果の完全に自由な公開という研究者にとっての死活条件が担保されていないことに対して、学術研究の場を預かる立場として安易に対応すべきではないと思われます。

(3)のデュアルユース問題については、防衛装備庁は元々民生技術として大学・研究機関で行われている開発研究を軍事目的に特化して応用しようというものであり、上記(2)の非公開の可能性を考えれば、むしろ本来構想していた民生のための技術開発が行われなくなることになると考えられます。つまりデュアルユースは、民生技術へ波及するかのように装う見せかけだけの言葉であり、実際は軍事のために技術を独占することになるのです。

以上の点からも明らかなように、この制度が大学・研究機関に浸透すれば、科学は人類全体が平和的かつ持続的に発展するための学術・文化ではなくなり、特定の国家や軍に奉仕するものへと変質させられてしまうでしょう。それは、大学・研究機関が本来行ってきた民生目的での研究・開発を歪めてしまうことになります。また、大学院生やポスドクなどの若手研究者が軍事研究に参加することが当然予想され、次世代を担う人間を育てる高等教育の在り方を変質させ、これまでせっかく築き上げてきた大学・研究機関の健全性への市民の信頼に傷をつけてしまうことは明らかです。さらに、戦時中に科学者が軍に全面協力したことへの痛烈な反省から導かれた「軍事研究を行わない」という戦後の日本の学術の原点をも否定することに繋がります。

市民は日本の学術研究が人類の平和と幸福に貢献するものと期待しており、戦争につながる研究を行なうことを決して望んではいません。市民の学術への信頼を裏切ることなく、日本の学術を預かる人間としての矜持の下、良識を貫くことを期待します。

上述したような「安全保障技術研究推進制度」の持つ危険性に鑑みて、私たちは
1.貴学・貴研究機関として、「安全保障技術研究推進制度」への応募を行わないこと、
2.貴学・貴研究機関として、「安全保障技術研究推進制度」をはじめとする軍事的研究資金の受け入れを禁止する規範あるいは指針の策定や、平和宣言の制定を検討すること、
を要望致します。
(2017年1月10日)

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Published in 火曜日, 1月 10th, 2017, at 19:52, and filed under 未分類.

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