「DHCスラップ2次訴訟」で、またもや「幸福な被告」業に逆戻り―「DHCスラップ訴訟」を許さない・第107弾
昨日(9月8日)、盛岡での法廷と報告集会を終えて帰宅すると、待っていたのはDHCからの再度の訴状。3年半ぶり2度目の私宛の特別送達。これで、私は新たな事件の被告となった。
とりあえず、この新件を「DHCスラップ2次訴訟」と命名しておくことにしよう。
新たな提訴は、債務不存在確認請求事件。事件の表示は下記のとおり。
東京地方裁判所民事第1部C係
事件番号 平成29年(ワ)第30018号
債務不存在確認請求事件
原告 吉田嘉明 外1名
被告 澤藤統一郎
なお、訴状の日付は本年9月4日。
被告業を脱してしばらく経った。「次は原告業」となる予定だった。不当きわまる吉田嘉明とDHC両者の私に対するスラップの提訴自体が不法行為だ。吉田嘉明とDHCに対する損害賠償請求訴訟を提起して、「リベンジ訴訟」と名付けるつもりだった。その「リベンジ訴訟原告」が私の肩書になるはずだった。ところが、私は再度の被告業となってしまったわけだ。この点は予想外で、やや不本意。
しかし、前回の「DHCスラップ訴訟」で思いもかけない訴状を受けとったときの、何とも名状しがたい不愉快極まりない思いは今回はない。むしろ、新たな訴状を一読してなんとはなしに「笑っちゃった」というところ。
大金持ちを自称するDHCのオーナーのことである。もっと鷹揚な人物かと思い込んでいた。実業家として忙しくもあろう。私からの600万円の請求などは歯牙にもかけず、意識の隅にもないのかと思っていた。が、実はたいへん気にしていたわけだ。これは、望外のこと。600万円の請求を受けて、債務の不存在を確認しないと落ち着けないとは、思いもよらなかった。
私が、吉田嘉明とDHCの両者に、内容証明郵便による損害賠償請求を発信したのが、本年の5月12日。その6か月後には時効中断の効果がなくなって消滅時効が完成する。私も弁護団もそれぞれに多忙である。やるべきことは山のようにある。それでも、いずれ時効完成までには損害賠償請求の提訴をしなければならない。それまであと2か月余。吉田嘉明はその2か月が待ちきれなく、提訴に踏み切ったということなのだ。
細かいことだが、今回DHC側で提訴によって、印紙代と郵券代はDHC側が負担してくれたことになる。基礎的な資料も、甲号証として揃えてくれた。面倒な事務手続を負担してくれたのだから、この点は感謝すべきと言えなくもない。
何よりの感謝は、私の闘志を掻きたててくれたことだ。私は、性格的に「水に落ちた犬」は撃てない。吉田嘉明が敗訴確定で水に落ちた気分状態では、これを撃つことに躊躇せざるを得ない。しかし、仕掛けられた争いだ。遠慮は無用。ことここに至っては、絶対に、後に引けない。
このブログに目を留めた弁護士の皆様にお願いします。
表現の自由を擁護する立場から、訴訟活動支援の志あるかたは、弁護士澤藤統一郎まで、ご連絡をください。本事件は、言論への萎縮を意図した社会的強者のスラップを許さない、社会的意義のある法廷闘争だと考えています。
なお、以下に「DHCスラップ2次訴訟」の訴状をご紹介する。
今後も、訴訟の進展を当ブログでご確認いただきたい。
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訴 状
原告 吉田嘉明
原告 株式会社ディーエイチシー
原告ら訴訟代理人弁護士 今村憲
披告 澤藤統一郎
債務不存在確認請求事件
訴訟物の価額 金600万円
貼用印紙額 金3万4000円
請求の趣旨
1 原告らの被告に対する別紙訴訟目録1記載の訴え提起、同2記載の控訴及び同3記載の上告受理申立てによる損害賠償債務が存在しないことを確認する
2 訴訟費用は被告の負担とする
との判決を求める。
請求の原因
1 原告らは、被告が、自身のブログ「澤藤統一郎の憲法日記」において、原告らの名誉を毀損する記述をしていたことから、平成26年4月16日、訴訟提起したが、平成27年9月2日、請求が棄却され、控訴も上告も棄却された。
2 平成29年5月12日、被告は、原告らの訴訟は、いわゆるスラップ訴訟であり、不当提訴であるから、不法行為に基づく損害賠償請求として、連帯して600万円の支払いを求める内容証明郵便を送付し、原告らに600万円の債務が存在する旨主張した。
3 これに対し、原告らは、被告主張の損害賠償債務などない旨回答したものの、被告は、自身のブログにおいて、訴訟提起する旨繰り返し主張しているが、未だに訴訟提起しない。
4 なお、前訴第1審判決は、「被告は、本件訴訟について、いわゆるスラップ訴訟であり、訴権を濫用する不適法なものであると主張する。この点、本件訴訟において名誉毀損となるかが問題とされている本件各記述には、断定的かつ強い表現で原告らを批判する部分が含まれており、原告らの社会的評価を低下させる可能性かあることを容易に否定することができない。また、本件各記述が事実を摘示したものか、意見ないし論評を表明したものであるかも一義的に明確ではなく、仮に意見ないし論評の表明であるとしても、何がその前提としている事実であるかを確定し、その重要な部分が真実であるかなどの違法性阻却事由の有無等を判断することは、必ずしも容易ではない。そうすると、本件訴訟が、事実的、法律的根拠を全く欠くにもかかわらず、不当な目的で提訴されたなど、裁判制度の趣旨目的に照らして許容することができないものであるとまで断ずることができず、訴権を濫用した不適法なものということができない。このことは、本件各記述が選挙資金に関わることによって左右されるものではない。
したがって、本件訴訟をスラップ訴訟として却下すべき旨をいう被告の主張は、採用することができない。」と判示している。
5 また、原告らが名誉毀損だと指摘した被告のブログの記述は、違法性阻却事由により判決においては違法ではない旨判示されたものの、同時にその大半の記述が、原告らの社会的評価を低下させるとも判断されており、被告が弁護士でありながらも原告らの名声や信用を一般読者に対して著しく低下させたことは事実であり、このような事実無根の誹謗中傷をネットに書き散らす行為が許容される事態は社会的に問題である。
6 さらに、被告は、第1審の当初に提出した平成26年6月4日付け「事務遮絡」において、「次々回(第2回期日)の日程は、2か月ほど先に指定いただくようお願いいたします。その間に、弁護団の結成と反訴や別訴等の準備をいたします。」などと書き、訴訟係具申も反訴すると言いながら、結局反訴しなかった。
7 加えて、被告は、白身のブログにおいて、性懲りもなく、未だに原告らの提訴がスラップ訴訟である旨主張し続けており、当該ブログを読んだ一般人に、あたかも原告らが金銭債務を負っているかのような印象を与え続けている。
8 よって、原告らは、被告に対し、原告らの被告に対する別紙訴訟目録1記載の訴え提起、同2記載の控訴及び同3記載の上告受理申立てによる損害賠償債務が存在しないことの確認を求める。
別紙
1 第一審
原告 吉田嘉明、株式会社ディーエイチシー
披告 澤藤統一郎
裁判所 東京地方裁判所民事第24部
事件番号 平成26年(ワ)第9408号
事件名 損害賠償等請求事件
2 控訴審
控訴人 吉田嘉明、株式会社ディーエイチシー
被控訴人 澤藤統一郎
裁判所 東京高等裁判所第2民事部
事件番号 平成27年(ネ)第5147号
事件名損害賠償等請求控訴事件
3 上告審
申立人 吉田嘉明、株式会社ディーエイチシー
相手方 澤藤統一郎
裁判所 最高裁判所第三小法廷
事件番号平成28年(受)第834号
(2017年9月9日)