澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

「DHCスラップ第2次訴訟」第1回期日は12月15日午後1時30分、東京地裁415号法廷にて。 ― 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第108弾

既にお知らせしたとおり、DHC・吉田嘉明から2度目の提訴をされて、私(澤藤)はまたもや「幸福な被告」に逆戻りしています。

その裁判の事実上第1回(形式的には第2回)の口頭弁論期日が、12月15日(金)午後1時30分に予定されています。開廷場所は東京地裁の4階、415号法廷です。もちろん誰でも自由に傍聴できます。閉廷後には、弁護士会館で報告集会を予定しています。その部屋は1か月前にならないと決まらないのですが、決まり次第当ブログでご案内しますので、ぜひ、ご参集ください。

DHC・吉田嘉明の2度目の提訴の内容は、「債務不存在確認」請求事件です。普通の訴訟は、「怪しからんブログを削除せよ」、「謝罪文を掲載せよ」、「損害賠償の金銭を支払え」という作為や給付を求めるものですが、この訴訟はそういう普通の訴訟ではありません。ただ単に、「原告DHCも吉田嘉明も、被告澤藤に支払うべき債務はないことを裁判で確認していただきたい」という訴えなのです。迫力を欠いた裁判であることは言うまでもありません。

よほどの事情がない限り、こんな裁判は普通しません。相手から提訴されたら受けて立てばよいだけのことなのですから。どうして、吉田嘉明が自分の方からこんな裁判を仕掛けようという気になったのか、どうしてそんなにも焦ったのか。首を捻るばかり。本当によく分かりません。人はそれぞれですし、お金持ちの気持ちの忖度はなかなか難しいと思うばかりです。

DHC・吉田の最初の提訴は3年前の2014年4月。5月の半ばに訴状が届きました。あの訴状を読んだときの、なんとも形容しがたい不愉快な思いは忘れられません。この文明社会で、まさか自分の言論が理不尽に抹殺の対象となろうとは思いもよりませんでした。「言論には言論で対抗する」ことが原則です。しかも、DHC・吉田嘉明は巨大な規模の言論対抗手段をもっているのです。紙媒体でも、ネットでも、そして電波メディアでも。

沖縄基地反対闘争についてのフェイクとヘイトで有名になったDHCシアターや、虎ノ門テレビは彼の傘下にあります。
また、テレビ東京の筆頭株主以下の順序は、以下のとおりです。
1位・日本経済新聞、2位・吉田嘉明、3位・みずほ銀行、4位・三井物産、5位・日本生命…。

そのDHC・吉田嘉明が、言論の市場で対抗言論を行使するのではなく、私の言論を不快として、まったく唐突に2000万円の慰謝料請求の訴訟を起こしたのです。

違法だとされた私のブログは、次の3本。ぜひよくお読みください。いずれも、政治を金で買ってはならない、金で政治や行政を歪めてはならないという典型的な政治的批判の言論です。万が一にも、これが違法だとしたら、この世に意味のある言論の自由は絶えてなくなってしまうということがご理解いただけるはずです。
https://article9.jp/wordpress/?p=2371(2014年3月31日)
「DHC・渡辺喜美」事件の本質的批判

https://article9.jp/wordpress/?p=2386(2014年4月2日)
「DHC8億円事件」大旦那と幇間 蜜月と破綻

https://article9.jp/wordpress/?p=2426 (2014年4月8日)
政治資金の動きはガラス張りでなければならない

DHC・吉田の提訴は、誰が考えても言論封殺を目論んでのこと以外にはありえません。被告とされたのは私であり、直接攻撃を受けたのは、私の3本のブログです。しかし、影響はそれにとどまりません。DHC・吉田の意図は、自分に対する批判をすればこのように裁判を起こされてたいへんなことになるぞ、という見本を示しているのです。

私は、この理不尽にけっして屈してはならない。徹底して闘おうと決意をしました。そして、ブログでのDHC・吉田批判をやめず、「DHCスラップ訴訟を許さない」シリーズを書き始めました。するとどうでしょう。DHC・吉田は、2000万円の請求を6000万円に請求を拡張したのです。行動で、言論封殺のための提訴であることを証明したのです。

裁判は、1審も2審も私が勝ちました。勝って当然の裁判なのですから。そして、DHC・吉田は無理を承知で、最高裁に上告受理申立をして不受理の決定があって確定しました。こんな理不尽な裁判で、大迷惑を掛けておいて、DHCも吉田嘉明も、一言の謝罪もありません。私は、不当な提訴で被った損害を賠償せよと、請求をしました。その金額は600万円、DHC・吉田が私に請求した金額の10分1というささやかなもの。

DHC・吉田は、この600万円を支払う義務がないことの確認を求めて提訴したのです。

ですから、新たな裁判(「DHCスラップ第2次訴訟」)の主たる舞台は、反訴になります。近々、反訴状を提出します。請求金額は、600万円に10%の弁護士費用を上乗せした660万円。

私も、既に50人を超した弁護団も、スラップ訴訟の提起が違法であることを明らかにすることで、政治的な批判の言論の自由を確立したいと意気込んでいます。12月15日の法廷では、反訴状を陳述することになります。ぜひ、傍聴にお越しください。

なお、みなさまにお願いがあります。DHCのように、スラップ訴訟を多発する企業には、消費者の行動で制裁を加えていただきたいのです。公害発生源となっている企業や、消費者問題を多発する企業、児童労働や劣悪労働条件の企業などには、自覚的な消費者集団による市場での批判の行動で、これを是正することが可能です。労働厚生行政による規制をきらうことを広言し、あるいは規制緩和推進の政治家に闇の金を渡し、これを批判されると、スラップで口封じをしようという、こういうスラップ常習企業には、民主主義社会を大切に思う立場の理性ある消費者の行動を通じて相応の制裁を課す必要があると思うのです。ぜひ、この点についてご協力ください。

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以下が、まだ「反訴」提起前の、「本訴」についてのやり取り。
なお、原告の請求原因の全文は、以下のURLで読めます。
https://article9.jp/wordpress/?p=9149

原告DHC・吉田の「請求の原因」
1 原告らは、被告が、自身のブログ「澤藤統一郎の憲法日記」において、原告らの名誉を毀損する記述をしていたことから、平成26年4月16日、訴訟提起したが、平成27年9月2日、請求が棄却され、控訴も上告も棄却された。

2 平成29年5月12日、被告は、原告らの訴訟は、いわゆるスラップ訴訟であり、不当提訴であるから、不法行為に基づく損害賠償請求として、連帯して600万円の支払いを求める内容証明郵便を送付し、原告らに600万円の債務が存在する旨主張した。

(以下3項?7項まで略)
8 よって、原告らは、被告に対し、原告らの被告に対する別紙訴訟目録1記載の訴え提起、同2記載の控訴及び同3記載の上告受理申立てによる損害賠償債務が存在しないことの確認を求める。

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上記の訴状「第2 請求の原因」に対する、被告澤藤の認否
1 請求原因第1項のうち、「原告らが被告に対し、2014(平成26)年4月16日訴訟を提起したが2015(平成27)年9月2日請求が棄却され,控訴も上告も棄却された」こと、当該訴訟が「被告が主宰するブログ『澤藤統一郎の憲法日記』において,原告らの名誉を毀損する記述をしていると主張してのものであった」ことはいずれも認め、その余の事実は否認する。

2 同第2?4項はいずれも認める。

3 同第5項のうち、前訴において「原告らが名誉毀損だと指摘した被告のブログの記述は,違法性阻却事由により判決においては違法ではない旨判示されたものの,同時にその大半の記述が,原告らの社会的評価を低下させるとも判断されている」ことは認める。
これに続く「被告が弁護士でありながらも原告らの名声や信用を一般読者に対して著しく低下させたことは事実であり,このような事実無根の誹謗中傷をネットに書き散らす行為が許容される事態は社会的に問題である。」との記述は否認する。この記述は、訴訟上意味のないものであるばかりでなく、「事実無根の誹謗中傷」という点で明らかに事実に反する主張であり、「このような事実無根の誹謗中傷をネットに書き散らす」との表現は被告を侮辱するものである。
なお、「(被告のブログにおける当該表現)行為が許容される事態は社会的に問題である」との記述は、前訴の確定判決に対する原告らの拒絶の宣言であり、各審級の裁判所の判断に対する嫌悪の感情の吐露でもある。原告らは、前訴の判決から学んで反省するところがなく、確定判決を黙殺する点で、法や司法に対する軽視の姿勢をよく表しているというほかはない。

4 同第6項は認める。

5 同第7項のうち、被告が、甲7の1及び甲7の2と特定されたブログの記事を掲載していることは認める。
なお、ここでも、原告らは「性懲りもなく」と被告に対する侮蔑的な表現に及んでいる。前訴において敗訴したのは原告らであって被告ではない。法秩序から見て反省すべきは原告らであって被告ではない。「性懲りもなく」(再度の提訴に及んだ)と評されるべきは被告ではなく、明らかに原告らなのである。

6 同第8項は争う。

7 実務上、債務不存在確認請求訴訟の要件事実は、「被告が、請求の趣旨で特定された当該権利を有すると主張していること」で足りるとされている。これで、確認請求訴訟一般に必要な確認の利益の主張も十分である。
従って、本請求に必要な請求原因は、本来第2項(「平成29年5月12日、被告は、原告らの訴訟は、いわゆるスラップ訴訟であり、不当提訴であるから、不法行為に基づく損害賠償請求として、連帯して600万円の支払いを求める内容証明郵便を送付し、原告らに600万円の債務が存在する旨主張した。」)だけで足りるものである。事情として付加するものがあるとしても第1項および第2項で十分である。
にもかかわらず、その余の第3?7項の記載があるのは、法的な主張の必要を超えて、被告を攻撃する過剰な意図あればこその叙述と言わざるを得ない。原告らの前訴提起の意図が、自らの権利救済の目的を超えて、被告を過剰に攻撃することによって自己を批判する言論を封殺しようとした姿勢と通底するものであることを指摘しておきたい。
(2017年10月27日)

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