「メンバー・オブ・アベノセイダーズ」宣言
「アベノセイダーズ」という言葉を流行らせようという陰謀がある。あるいは、「アベのせいだ症候群」。ともかくよくないことは、なんでも短絡的に安倍晋三のせいに違いないと主張する人々や、その傾向を揶揄しようというもの。もちろん、アベ陣営得意の印象操作の一環である。「レッテル貼りは止しましょう」というあの手で、アベの責任を追及する矛先を少しでも鈍らせようという魂胆。こんな姑息な作戦で、アベの責任追及に怯みがあってはならない。
むしろ、開き直ろう。このキャンペーンを逆用しよう。私は、「メンバー・オブ・アベノセイダーズ」であることを高らかに宣言する。「アベのせいだ症候群」罹患もカミングアウトしよう。その自覚において、「まずは何についてもアベが悪い。アベが元凶だ」と結論することとする。同じことだが、「アベのやっていることはすべて間違い」「あれもこれもアベのやったことだからよくない」とも。そう結論しておいて、しかる後に、おもむろにその理由付を考える。この思考方法こそが正しい姿勢だ。これこそ、第1次アベ政権登場以来のウオッチャーとして到達した経験的真実であり、政治倫理上の正義でもある。
思い出せば、60年安保の時代、世は熱い安保性悪説、安保元凶論の空気に満ち々ちていた。すべては岸のせい、安保が悪い。「アンポ・ハンタイ」「岸を倒せ」だった。これが今はかたちを変えて、「アベのせいだ」「アベを倒せ」。
私が大学にはいったころ、学内はまだ安保闘争の余熱冷めやらぬ雰囲気だった。「すこし勉強したまえ。そうすれば、米日反動の同盟が社会の矛盾の元凶であることが分かるはずだ」と説かれたものだ。「素晴らしい日本国憲法の体系は、邪悪な安保法体系によって侵蝕されている。国民主権も、平和も、そして人権も、安保条約によってなきも同然ではないか」。フーム、なるほど。
「安保によって生活のあらゆる面が不正常になっているのだ。たとえば、天気予報が当たらないのも安保のせいだ。正確な天気予報には、偏西風の風上にある中国やシベリア、朝鮮の気象データが不可欠なのだ。しかし、気象データは軍事情報でもある。気象庁には、安保条約ある限り近隣諸国からのデータがはいってこない。安保条約を廃棄すれば、直ぐにでも天気予報はよく当たるようになる」。へー、そんなものですかねえ。いたく感心はしたが、真偽のほどはいまだによく分からない。
いま、憲法改悪・アメリカ追随外交・集団的自衛権行使容認の安全保障・防衛費を聖域化した軍拡・格差拡大の経済政策・国家主義教育・不公平きわまる税制・極端に資本の側に偏した労働政策・苛酷な社会保障・環境破壊・原発再稼働・沖縄の見殺しと弾圧・メディア規制・ヘイトスピーチの野放し・オトモダチ人事と忖度政治の横行・政治と行政の私物化・歴史修正主義…。すべての分野で、アベ政治こそが、諸悪の根源ではないか。いささかもこれを免責してはならない。
学校や幼稚園に飛行物体の部品が落ちてくるのも、全国に公認の博打場が建設されようとしているのも、国税庁長官の最悪人事も、最高裁が官房機密費の開示を命令しても情報隠しに恋々としているのも、世論に逆らっても裁量労働制の拡大に狂奔しているのも、すべてはアベノセイだ。ひょっとすると、サンゴやジュゴンが姿を消したのも、大雪も竜巻も地震も、そして花粉症も、何もかもがアベノセイなのかも知れない。
全国の「隠れメンバー・オブ・アベノセイダーズ」諸君。あれもこれも、細大漏らさずにアベの責任を追及しよう。その追及が実を結ぶ共同行動を目指して、心からの連帯のあいさつを送る。
(2018年2月25日)