澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

市民と野党の共闘実現による都知事選候補者擁立に期待する。

小池百合子都政にはガマンがならない。その政策の差別性、歴史修正主義、そしてオリンピック開催のためのコロナ感染隠し。自分ファーストの姿勢。これなら舛添都政の方がよっぽどマシだった。

しかし、これまでの政治状況下、容易に対抗候補者が見つからなかった。革新共闘の予定候補者不在のまま、6月18日告示7月5日投開票の日程が目前に切迫である。今のままでは、目くそを選ぶか、鼻くそを選ぶかしか、選択肢がない。アベ政権への批判の民意高まるこの時期に、である。

そのような折も折、「九条の会東京連絡会議」が主催する6月15日としま区民センター大集会の呼びかけが注目されている。その宣伝のチラシは下記URLのとおり。

http://www.9jo-tokyo.jp/plus/chirashi615.pdf

目を引くのは、3人の講演予定者。五十嵐仁と小森陽一、そしてもう一人が「都知事選候補者」である。都政に関係するメーリングリストには、「都知事選の統一候補者も参加の予定です。よろしくお願いします。」と案内されている。6月18日告示の直前だが、この6月15日までに野党の統一候補が決まる模様なのだ。

統一候補選びは、「市民と野党の共闘の実現で都政の転換をめざす呼びかけ人会議」が担っている。その代表呼びかけ人は、浜矩子・五十嵐仁・永山利和の3名。私も1000人に近い呼びかけ人の一人に加わっている。

同「会議」は、次のアピールを発している。

“市民と野党の共闘”で小池都政の転換を” ?呼びかけ?

都民の生活と都政の未来、ひいては日本の将来にも重大な影響をもたらす東京都知事選挙が間近にせまりました。
いま、4年目を迎えた小池都政は安倍政権がすすめる戦争をする国づくり、社会保障の連続的改悪、消費税増税、アベノミクスの推進などと呼応しつつ、保育など若干の分野での対応は見られるものの、大局的にはトリクルダウン政策を柱にすえ、福祉や医療、中小企業対策などの切実な都民要求に背を向ける姿勢をとり、他方、超高層ビルを林立させる石原都政以来の「都市再生」、開発行政を推進してきました。また、オリンピックの見直し、築地市場の存続など都知事選挙にあたって掲げた公約を放棄し、都民の信託を裏切ったことも記憶に新しいところです。
一方、国政、地方政治においては、市民と野党の共闘がおおきく前進しており、東京においても市民と野党の共闘の実現と都民の願いに応える都政への転換が期待されるところです。
こうしたもとで私たちは、東京での市民と野党の共闘の前進と小池都政の転換をめざして「都政を考える夕べ」を開催。また、幅広い呼びかけ人・賛同人の参集をうけ、呼びかけ人会議を起ちあげとりくみをすすめています。
都政転換を願うみなさん。連帯し共同のたたかいをすすめようではありませんか。
2020年3月

呼びかけ人: 浜 矩子(同志社大学大学院教授)
五十嵐仁(法政大学名誉教授)  
永山利和(元日本大学教授)   
呼びかけ人一同          

この代表呼びかけ人3氏は個性的な以下のメッセージを発している。
(「全国革新懇ニュース」に掲載されたもの)

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毒瓜を退治し、東京を民主主義の共同体に なんと素敵な闘いでしょう

   浜 矩子さん(同志社大学大学院教授)

 今の日本は、国政と都政の両レベルで下心政治の餌食になっている。都知事選が近づいて来る中で、改めて、つくづく、そう感じます。
人々のためにあるはずの政策と行政。それらを、自分たちの野望達成のために手段化する。私物化する。この由々しき姿勢、許し難き行動原理において、安倍政治と小池政治は全く瓜二つです。
我々は、この毒瓜を丸ごと、叩き潰して行かなければいけません。今回の都知事選が、そのための第一撃となることを期待し、確信するところです。善良にして賢明なる市民たちの力と魂をもってすれば、毒瓜の一つや二つ、何のそのです。野党各党にも、団結して市民と魂を一つにしてもらわなければいけません?
小池都政の下で、東京はどんどん、人々が住む街、人々のための街ではなくなって来ました。下心政治のモンスターが、その目立ちたがり願望を満足させるためのパフォトマンス会場。それが今の東京です。こんな東京はあまりにも悲しい。
地方自治は民主主義の要です。人々に最も近いところで、人々の意向に
従っ政策決定が行われる。その舞台が地方自治体です。国家権力の横暴から人々を守る守護神。それが地方自治体であるはずです。
東京を再び地方自治体にしなければいけません。民主主義のための共同体にしなければいけません。街にしなければなりません。東京を市民の手に奪還しなければいけません。今回の都知事選はそのための闘いです。なんと素敵な闘いでしょう。

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都政を変えれば日本は変わる

    五十嵐 仁さん(法政大学名誉教授)

 新型コロナウイルスの脅威が高まり、都民の健康と命、生活を守ることが緊急の課題となっています。五輪・パラリンピックも延期になりました。損害は多岐にわたり、莫大ですが、そのツケは都民に回って来ることになります。
このような情勢の下で実施される都知事選挙は、首都東京の政治決戦として特別の意義を持っています。
その第1は、最大の地方自治体のトップを決める選挙として、「いのちとくらしを守る」行政のモデルを提示することです。とりわけ、公社・都立病院の独法化、羽田新ルート、カジノ誘致の問題は急速に浮上してきた重大争点です。
また、小池知事が掲げていた「築地を守る」などの公約がどれだけ実現されたかという検証も欠かせません。
第2は、モリ・カケ、桜を見る会、検事長人事での疑惑、公文書管理のずさんさ、政治の私物化などで国民の信を失っている安倍政権に審判を下すチャンスだということです。
都知事選で「ノー」を突きつけ、東京を変えれば日本は変わります。
第3は、解散・総選挙を間近に控えた時期での大型政治戦としての意義があります。都知事選は共闘の試金石であり、誰が候補者になっても勝てる枠組みを草の根から作っていかなければなりません。「市民と野党の共闘」を確固たるものすることが必要です。
石原・猪瀬・舛添・小池と続いた不毛な都政の連鎖を断ち切るチャンスです。住民無視の荒れ野となった都政を立て直し、都民の手に取り戻そうではありませんか。

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オリ・パラ会場攬乱、築地潰し、臨海カジノヘ向かう都政はご免だ

永山 利和さん(元日本大学教授)

 先代、先々代の都知事は身から出た錆で小池百合子知事に17兆円を超える財政規模を誇る?都政城?を明け渡した。汚名を着た歴代都政城の跡目を小池知事が継いだ。当初、オリ・パラのボート、水泳など開催予定の競技場問題、築地移転予定の豊洲市場の環境・衛生問題などで、先々代の前の石原知事の不始末まで遡るかと見せた、が…。
顧みれば小池都政4年の功績は何だったろう。
築地のネズミ退治に何らかの戦果を挙げたろうか。小池百合子戦法は、初発は撹乱が効くかに見えた。衆議院選挙では「分断と排除」戦法で、国政への野望もご開帳に及んだ。思えば、都民ファーストはまさに初発だけだった。3代前の石原都政を引継ぎ、?都民ラスト?・?デベロッパー・ファースト都政?へ見事に立ち戻った。
首都東京は、オリンピック選手村開発=「晴海フラッグ」の?大出血サービ?に象徴されるように、臨海部にカジノも誘致し、中央、港、千代田の都心区、さらに大崎、新高輪、渋谷、新宿、池袋など主要ターミナル開発を大手金融・不動産・ゼネコンなどデベロッパー軍団がオリ・パラ開催リズムに合わせ、?濡れ手に粟?宜しく。?開発ロンド?を舞う。
都政は都営交通、上・下水道などの都民インフラを都開発軍団のインフラに衣替えされる。内開府も特区開発メニューを拡げ、都民の声を聴く術すら奪う。
こんな都政はご免だ。

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同会のホームページは、下記URL。同会の中心メンバーが、地道に各野党をまわって、統一候補の擁立に努力している様子がよく分かる。

https://www.yobikakenintokyo.com/

傍観しているだけでなく、ぜひあなたも下記のURLから、野党共闘候補者の擁立に賛同の意思表示を。

https://www.yobikakenintokyo.com/ご賛同のページ/

(2020年5月26日)

朝日も、「内閣支持率最低」の報道。

昨日の毎日に続いて、本日(5月25日)の朝日新聞朝刊一面に、「内閣支持率29%、発足以来最低に」という同紙の世論調査報道。5月23、24日の内閣支持率前回5月16、17日の調査結果と比較してこう変わった。わずか一週間の変化である。

支持率  33% ⇒  29% (4%減)
不支持率 47% ⇒  52% (5%増)
開差   ?14 → ?23%

 この不支持率29%という数値は、「2012年12月に第2次安倍政権が発足して以来の最低」だという。

なお、NHKも5月15・16・17日に、全国の18歳以上を対象に月例の「RDD」方式の世論調査を行っている。これが丁度、朝日の前回調査(5月16・17日)と重なり、数値も近似している。4月と比較すると以下のとおり。次回6月中旬の世論調査に関心が集まることになる。

支持率  39% ⇒  37% (2%減)
不支持率 38% ⇒  45% (7%増)
開差   +1% →  ?9%

さて、朝日の《内閣支持29%・不支持52%》、毎日の《内閣支持27%・不支持64%》の原因である。長年の、無為・無策・不誠実、国政私物化や不透明に対する国民の審判ではあるが、直近の大きな出来事としては、コロナ対応と、火事場泥棒的な黒川人事強行である。

アベ晋三大好きな「国難」というべき事態。無能なリーダーにとって、自分の存在を目立たせ求心力を高める絶好の機会。トランプとアベの肝胆相照らす二人が、ともに馬脚を現すに至っていることが興味深い。点の稼ぎ時に、大きく躓いたのだ。よほどの無能と言わざるを得ない。

 PCRなどの検査体制の整備に対する政府の取り組みは「評価しない」が59%で、「評価する」は25%。経済的な打撃を受けた人や企業への支援策も「評価しない」は57%で、「評価する」は32%だった。ともに50?60代の評価が低く、7割前後が「評価しない」と答えた。

そして、黒川問題である。
黒川氏を定年延長させていたことについて、安倍首相の責任が「大きい」と答えた人は68%に達した。「それほどでもない」は24%。自民支持層でも52%が、首相の責任は「大きい」と答えた。

このまま、一直線にアベ政権崩壊という事態となれば、歴史に黒川弘務元検事長の偉大な功績が残ることになるだろう。

また、注目すべきは、「新型コロナの感染が拡大して以降、政治への関心が「高くなった」が48%、「低くなった」が4%だったこと(「変わらない」は48%)。「高くなった」は男性は39%で、女性は56%。関心が「高くなった」人に限ると、内閣支持率は24%だった。そして、新型コロナの感染再拡大を「心配している」が9割を超えている。アベ国政私物化政権に対する国民の批判は、到底おさまりそうにもない。

本日の緊急事態宣言解除のアベ会見。なんとも、白々しく嘘っぽい。あれでは、国民の信頼と共感を得ることができない。この人の不徳のいたすところ。支持率低下、不支持率大幅上昇も、むべなるかな。

(2020年5月25日)

「内閣支持急落27%」に、「急募 総理大臣」

本日(5月24日)の毎日新聞朝刊一面トップに、「内閣支持急落27%」の白抜き大見出し。並んで、「不支持64%」「検察人事批判」という世論調査結果の報道。

毎日は、コロナ蔓延以来世論調査の方式を自動音声応答(オートコール)方式に変えた。以来、4月8日・5月6日に続いて今回5月23日が、3回目の調査。その内閣支持率、不支持率の推移は以下のとおりである。

支持率  44% ⇒ 40% ⇒ 27%(17%減)
不支持率 42% ⇒ 45% ⇒ 64%(22%増)
開差   +2% → ?5% →?37%

 「調査方式が異なるため単純に比較できないが、毎日新聞が従来行っていた電話世論調査では森友・加計問題などで政権批判が高まった2017年7月に26%まで下落したことがある。」という。

では、今後はどうなるか。毎日は、保守側の両様の見通しを記事にしている。

 政権側には「政策的に失敗しているわけではない。緊急事態宣言が解除されれば変わってくる。持ち直す体力はある」(主流派議員)との声もある。官邸関係者は森友・加計問題を念頭に「国会が閉じれば、いつも支持率が回復した。今回もその傾向だろう」と話し、主流派幹部も「国会を閉じると変わる。とにかくコロナ対策でへまをしないことだ」と語る。風向きが変わるのを待つ構えだ。

 だが、政権と距離を置く議員には正反対の見方が広がる。「モリカケ、桜を見る会と、ずっとくすぶってきたことに火がついた」(中堅)、「やることが全部裏目裏目に出ている。布マスクだって今から届くところが多くピンボケだ」(別の中堅)などの声が出る。「口では責任を感じていると言ってもこの政権は誰も責任を取らない」(ベテラン)との批判も広がり始めた。石破茂元幹事長は取材に対し「かなり厳しい状況だ。国民の常識と反するような決定をすれば、それが支持率に大きく影響するということではないか」と述べた。

誰もが後者の認識に軍配を上げるだろう。アベ政権の末期が近いということである。早くも、ネットには「一刻も早く新しい総理大臣が必要です」「総理大臣を、募集ではなく募っています」というコメントが飛びかっている。

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アベ晋三を揶揄しているだけでは無意味だ、と正論を吐かれればまことにそのとおり。本来は、もっと真面目に、アベとは正反対の、あるべき首相像を語らねばならない。そして、あるべき首相を実現する方策についても。さはさりながら、しばし、秀逸なコメントに溜飲を下げ、アベ批判の世論高揚に役立てたい。
(2020年5月24日)

香港市民の人権と民主主義擁護のために声を上げよう

昨日(5月22日)、遅延していた中国の全人代が開幕した。私の関心は2点につきる。一つは、国防費の増額だ。そしてもう一つは、香港版「国家安全法」の制定という方針。

議事が野党の存在なしに一方的に進行することになる。率直に言って、民主主義も人権も顧みない今の中国は恐ろしい。国内の批判が難しければ、国際的な批判の世論喚起が必要であろう。

トランプのアメリカにも渾身の批判が必要だが、アメリカには強力な対抗勢力がある。人種的、思想的少数者にも、不十分ながら政治行動の自由が保障されている。日本とて事情は同様だ。しかし、中国の強権的な政治体制は異質だ。問答無用の恐さに満ちている。

報じられているところでは、このコロナ禍の経済の疲弊の中でも、中国の今年度国防予算案は、1兆2680億元(約19兆1700億円)。前年実績比6・6%増だという。この規模は、もはや自衛のためのやむを得ざる措置とは受容しがたい。近隣諸国には脅威として受けとめられるであろう。平和的な国際環境維持のために自制を望むというしかない。

そして、問題は香港である。メディアが、「香港版・国家安全法」と呼ぶ立法を、中国本土で制定して、香港に適用しようとの方針だという。朝日は、「香港で保障される人権や自由が中国本土並みに制限される恐れがあり、「一国二制度」は重大な危機に直面している」と報じている。

中国にしてみれば、昨年の「逃亡犯条例」問題で燃え盛った、香港市民の民主主義的行動を座視し得ないということなのだろう。このままでは、台湾の独立運動も活発化するだろう。ウイグルやチベットにも、飛び火するかも知れない。ならば、ここは力で押さえつけるしかない、との判断。

時事は、法案を「国家分裂や政権転覆をたくらむ行為を禁じる内容で、習近平政権は言論やデモの自由などが保障される香港に対する直接的な統治をさらに強化し、反政府抗議活動を抑え込む狙いだ。」と報じている。しかも、「香港メディアは、全人代最終日の28日に採決され、8月にも施行される見込みだと報じている」という。

いま、香港では、コロナ禍対策を理由に、9人以上の集会が禁止されている。ドサクサ紛れの火事場泥棒は、「アベ政権ばかりでなく香港政府もだ」と過日のブログで書いたばかりだが、香港政府の対応は手ぬるいとして、習近平政権が直々に乗り出してきたのだ。
香港の民主派には、この上なく大きな衝撃だろう。反発は必至だが、「一国二制度の完全な終わり」という悲壮感も漂っているという。

これに対して、アベ政権の反応は聞こえてこない。アメリカでは、トランプも、国務省報道官も、強い牽制のメッセージを発している。中国がこうなると、トランプさえも、正義の味方を気取ることができるのだ。

アメリカ議会上院の動きは素早い。中国の新たな法整備を「香港の自治に対する介入」と批判し、関係者に制裁を科す法案を提出したという。

せめて、できることをしたい。香港の市民を支援する声を上げよう。中国の強権的な政治を批判する声を上げよう。小さな声でも無数に集まれば、けっして無力ではなくなる。
(2020年5月23日)

小池百合子さん、あなたは知事にふさわしくない。

お騒がせ検察官・黒川弘務の趣味は、「犬の散歩と麻雀とカジノ」だそうだ。「犬の散歩」は結構だが、「麻雀とカジノ」はいただけない。この人、休日にはマカオや韓国にカジノに出掛けることもあるとか。また、朝日新聞広報部の発表では、同社の社員が、緊急事態宣言が出た後に、黒川と計4回、金銭を賭けてマージャンをしていたことを認めたという。

朝日の社員とだけ、賭けマージャンをしていたわけでもあるまい。実はこの人の賭マージャンには常習性があるのではないか。また、この人、ギャンブル依存症というべきではないのか。

賭マージャンが、賭博にあたる犯罪行為であることは言うまでもない。現行刑法上単純賭博罪(185条)なら、法定刑は最高50万円の罰金だが、常習賭博罪(186条1項)となると最高刑は3年の懲役となる。「常習とは、犯行を反復する習癖の発現としての犯罪」を言い、「賭博の常習者とは、反復して賭博行為をする習癖のある者」なのだから、この人は、まさしく常習者であり、今回も常習として賭博行為をした者に当たるのではないか。さらには捜査の進展次第で、収賄罪にも該当しうる。到底訓告で済まされることではない。

今や地に落ちた検察の信頼を回復する方策としては、東京地検が被疑者黒川を、朝日・産経の記者とともに厳正に捜査し処罰することを措いてない。

また、「余人をもって換えがたい」として、黒川の違法な定年延長を強行したのは内閣である。内閣は、その責任をとらねばならない。口先だけの謝罪は、聞きたくもない。アベさん、もう、いいかげんにおやめなさい。

東京高検検事長という立場にある者にすらとりついて、職を棒に振らせるのがギャンブル依存症の恐ろしさである。そのことを印象強く教えられたその日に、東京都議会では、「カジノ反対 不採択」「都議会委陳情 都ファ自公など」という出来事。これはいったいどうしたことだ。本日(5月22日)の赤旗がこう伝えている。

 東京都議会経済・港湾委員会は21日、カジノ誘致に向けた取り組みを行わないよう求める陳情を、都民ファーストの会、公明党、自民党などの反対多数で不採択にしました。陳情は「カジノいらない!東京連絡会」が提出していたもの。

 共産党の、あぜ上三和子都議は、党都議団の請求で開示された文書で都が2018年度、委託調査会社に「IR(カジノを中核とする統合型リゾート)が2020大会(東京五輪)後の起爆剤の可能性」を持つ趣旨の記載を求めていたことが判明したと指摘。「IRをつくるかどうかで一番大事な都民の世論を調査したのか」とただすと、都港湾局の若林憲担当部長は「調査していない」と答えました。

 あぜ上氏は、新型コロナウイルスの世界的感染拡大でカジノ業界が軒並み業績悪化し、最大手のカジノ運営会社も日本でのライセンス取得を断念したと強調。マスコミの世論調査でも6〜7割がカジノ誘致に反対していることを示し、人の不幸を土台に収益を上げるカジノ誘致はやめるよう求めました。

 国内の誘致先として、最有力候補と目されながら、まだ公式には名乗りを上げていない東京都。実はひそかにカジノ誘致への動きを進めてきているというのが、都民の常識となっている。昨日の委員会審議でもその一端が現れている。「都知事選のあとに、カジノ誘致を表明するのではないか」との評判のとおりなのだ。小池百合子知事だけでなく、「都民ファーストの会、公明党、自民党など」が誘致賛成派なのだ。

黒川のような依存症患者や犯罪者を大量に作らなければカジノは産業として成り立たない。もともと、バクチ場とは、不幸な人を生み出し続けるビジネスモデルである。きっぱりと、「都民の幸福のためには、カジノは不要」と言いきる都知事でなくてはならない。

小池百合子さん、おなたじゃだめなんだ。
(2020年5月22日)

官邸の守護神(黒川弘務検事長)失脚の日に、安倍晋三の刑事告発。

ときに、思いがけないことが起こる。本日(5月21日)、東京高検の黒川弘務検事長が辞表を提出した。時の人の、突然の表舞台からの退場である。

はからずも、この日に全国の弁護士・法学者659名が、「桜を見る会・前夜祭」問題について、東京地方検察庁に対して、安倍晋三らを刑事告発した。なんという絶妙のタイミング。

公然と言われてきたとおり、黒川はアベの守護神だった。本来政権と緊張関係を保たねばならない検察のトップが、官邸とはズブズブの間柄。そのことが、こんなにも世論の叱責を受けたのだ。その背景には、アベ内閣の不祥事の数々が刑事訴追されて然るべきなのに、甘い検察によってことごとく見逃されてきたという、国民の批判の高まりがある。

検察庁法改正案は、官邸の検察人事介入法案とも、検察人事コントロール法案とも、また端的に「黒川法案」とも言われてきた。その法案の審議が頓挫しても、なお居座るかに見えた官邸の守護神。それがかくもあっけなく、突然の辞表提出となった。守護神も辞表を出せばただの人。既にその通力は失われた。

官邸が守護神の加護を失ったその日に、安倍晋三に対する法律家659人の刑事告発である。見えざる神の御業というほかはない。守護神の庇護を失った安倍晋三、法の支配に服さなければならない。あらためて、検察の権威と信頼が試されている。

この告発、被告発人は、安倍晋三ら3名、罪名は「政治資金規正法違反」及び「公職選挙法違反」である。以下に、「桜を見る会を追及する法律家の会」ならびに告発人659名の声明と、告発状を掲載する。

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「桜を見る会・前夜祭」刑事告発にあたっての声明

本日、全国の弁護士・法学者659名が、「桜を見る会・前夜祭」問題について、東京地方検察庁に対して、安倍晋三首相ら3名を被告発人とする刑事告発を行いました。
総理主催の「桜を見る会」は、安倍政権のもとで参加者・経費が急増しただけでなく、多数の安倍晋三後援会員が招待され、招待者の中に消費者被害の加害者や反社会的勢力の人物もいるなど、安倍首相による公的行事・税金の私物化が問題とされ、すでに背任罪での告発もなされています。
また、その前日に安倍晋三後援会が主催して高級ホテルにおいて800人規模で開催された「前夜祭」についても、その収支報告を行わず、かつ、ホテルの正規の費用を大幅に下回る会費で実施されていたことが、政治資金規正法・公職選挙法に違反するとの指摘がなされていました。
安倍首相は当事者として国民に対して真摯かつ誠実に説明する義務があったにもかかわらず、国会で問題となるとすぐに「桜を見る会」の招待者名簿を廃棄し、招待者についても、「個人情報」を口実に国会での説明を拒否し続けてきました。また、「前夜祭」の収支についても、明細書・請求書等の資料の開示を拒否し、主催は個々の後援会員なので後援会は収支報告をする必要がないなど、不自然かつ不合理な弁明を繰り返し、国民の疑問に誠実に答える姿勢がまったくみられません。
このような安倍首相の対応は、議会制民主主義の軽視にとどまらず、法の支配、法治主義をも踏みにじるものであり、到底容認できるものではありません。
「桜を見る会・前夜祭」問題は、日本の政治の最高責任者である安倍首相自身(安倍後援会と内閣府・内閣官房)に直接かかわるものであり、首相としての政治的・道義的な責任に止まらず、刑事責任を含む法的責任が問われる重大事件であり、その真相を明らかにし、責任を追及することが強く求められています。
安倍首相自身が説明責任を果さず、与党(自民党・公明党)の数の力によって国会での真相究明・責任追及が阻まれるという憂うべき状況を打開し、議会制民主主義、法の支配・法治主義を回復するためにも、検察による事実の究明と事件の徹底的な捜査を行う必要があります。
この思いで、本日、刑事告発を行いました。
私たちは、東京地方検察庁に対して、本件の重大性を真摯に受け止め、刑罰法令を適正かつ迅速に適用実現(刑事訴訟法1条)するため、政権に忖度することなく、厳正公平・不偏不党の立場を貫き、強制捜査も含む徹底した捜査を行い、真相の究明と刑事責任の追及を迅速に行うことを強く求めます。

2020年5月21日
「桜を見る会」を追及する法律家の会
告発人659名一同

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告 発 状

東京地方検察庁検事正曽木徹也殿

告発人住所
氏名 印

被告発人
住所 省略
(東京都千代田区永田町2丁目3番1号首相官邸)
氏名 安倍晋三
職業 衆議院議員・内閣総理大臣
生年月日 1954(昭和29)年11月12日

被告発人
住所 省略
氏名 配川博之
職業 安倍晋三後援会代表者

被告発人
住所 省略
氏名 阿立豊彦
職業 安倍晋三後援会会計責任者

第1 告発の趣旨
1 被告発人安倍晋三、被告発人配川博之及び被告発人阿立豊彦の後記第2?1の所為は、刑法60条、政治資金規正法第25条1項2号、同法12条1項1号ホ及び同2号に該当する。

2 被告発人安倍晋三及び被告発人配川博之の後記第2?2の所為は、刑法60条、公職選挙法249条の5第1項及び同法199条の5第1項に該当する。

よって、上記の被告発人らにつき、厳重な処罰を求め、告発する。

第2 告発の事実
被告発人安倍晋三(以下、「被告発人安倍」という)は、2017(平成29)年10月22日施行の第48回衆議院議員選挙に際して山口県第4区から立候補し当選した衆議院議員、被告発人配川博之(以下、「被告発人配川」という)は、安倍晋三後援会(以下、「後援会」という)の代表者、被告発人阿立豊彦(以下、「被告発人阿立」という)は、後援会の会計責任者であった者であるが、

1 被告発人安倍、被告発人配川及び被告発人阿立は、共謀の上、政治資金規正法第12条1項により、山口県選挙管理委員会を経由して総務大臣に提出すべき後援会の収支報告書につき、2019(令和元)年5月下旬頃、山口県下関市東大和町1丁目8番16号所在の安倍晋三後援会事務所において、真実は、2018(平成30)年4月20日、ホテルニューオータニ東京において開催された宴会である「安倍晋三後援会桜を見る会前夜祭」(以下、「前夜祭」又は「本件宴会」という)の参加費として、参加者1人あたり5000円の参加費に参加者数約800名を乗じた推計約400万円の収入があり、かつ、上記前夜祭の前後に、ホテルニューオータニ東京に対し、少なくとも上記推計約400万円の本件宴会代金を支出したにもかかわらず、後援会の2018(平成30)年分の収支報告書に、上記前夜祭に関する収入及び支出を記載せず、これを2019(令和元)年5月27日、山口県選挙管理委員会に提出し、

2 被告発人安倍及び被告発人配川は、共謀の上、法定の除外事由がないのに、2018(平成30)年4月20日、ホテルニューオータニ東京において開催された前夜祭において、後援会を介し、被告発人安倍の選挙区内にある後援会員約800名に対し、飲食費の1人あたり単価が少なくとも1万1000円程度であるところ、1人あたり5000円の参加費のみを徴収し、もって1人あたり少なくとも6000円相当の酒食を無償で提供して寄附をし
たものである。

以下(第3?6)は表題のみ
第3 告発に至る経緯
第4 告発事実1(政治資金規正法違反25条1項2号違反)
第5 告発事実2(公職選挙法249条の5第1項違反)
第6 被告発人安倍に共謀共同正犯が成立することについて
第7 最後に
以上のとおり、被告発人らに上記の各犯罪が成立することは明白である。
前夜祭に関する収支の不記載は、政治資金の収支を公開することによって政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする政治資金規正法の趣旨(同法1条)に真っ向から反するものであり、極めて悪質である。
また、後援会による違法な寄附は、選挙が選挙人の自由に表明する意思によって公正かつ適正に行われることを確保し、もって民主政治の健全な発達を期することを目的とする公職選挙法の趣旨(同法1条)に真っ向から反するものであり、極めて悪質である。
しかも、前夜祭は1回だけの行事ではなく、後援会の恒例行事として、2013(平成25)年から2018(平成30)年まで6年連続(本告発の対象としていない2019(平成31)年4月を含めると7年連続)で行われている。従って、収支報告書に記載されなかった収入、支出及び後援会が違法に行った寄付の合計額は巨額に上り、この意味でも悪質性は高い。
内閣総理大臣たる被告発人安倍がこのような犯罪を犯していることは、民主政治の根幹を揺るがす事態であり、これを放置することは絶対に許されないことである。
本告発にかかる事実につき、捜査当局が公正かつ厳正な捜査を行い、事案の真相を解明し、被告発人らが厳重に処罰されることを強く希望する。

(2020年5月21日)

我が輩(アベノマスク)の悲劇

我が輩はマスクである。白い布製。2枚で一組。サイズは極めて小さく、着用者の顔をデカく見せるとして、評判はよくない。正式の名はまだないが、アベノマスクと呼ばれることが多い。生みの親がアベだからだが、名付け親はアベではない。ときに、アホノマスクとも、ムダノマスクとも、ゴテゴテノマスクとも蔑まれる。はなはだ、肩身が狭い。

生みの親であるアベは、ウィルス感染の防御に役立つと触れ込んだが、あれは、どうもいいかげんなデタラメだったようだ。最近の実験結果では、ほとんど役に立たないとされ、ますます評判を落とした。アベはマスクで国民の口を塞ごうとしているなどと言われると、我が輩も返す言葉がない。立つ瀬がない。

物心ついたときから、肩身が狭かった。何せ466億円の壮大な無駄遣い。アベノ無為・無策・無能を象徴する「ムサクのマスク」と揶揄された。少しは役に立つはずの我が輩なのだが、どうしてこんなにも、貶められなければならないのか。これも、親の因果とあきらめるしかないのか。

我が輩、どこで生れたかとんと見当がつかぬが、遠いベトナムだったと教えられたことがある。物心ついたのは、日本の各地で「汚れがひどい」「シミがある」と騒がれ始めたあの頃のこと。あとは御難続きで、親を怨んでばかりの身の上に。

我が輩は、生まれながらに、「汚い」「不衛生」の烙印を押されて、回収⇒点検⇒費用の加算⇒評判の下落⇒配達の遅延⇒さらなる評判の下落、という悪循環。ちょうどアベ政権の評判凋落と軌を一にする。

ようやく、我が輩の兄弟が全国に配送され始める頃、世の中にはマスクはあふれて値段も下がった。なんとも、頃を見計らったようなバカげた成り行き。結局は、466億円という溜息の出るような無駄遣いが深く印象に残ることに。

ある弁護士はこうつぶやき続けている。

アベノマスク2枚 届いた方へのご提案。
★ 製造元の記載もない、危なっかしい(衛生商品たるマスクですらない)1枚200円余りのマスクの「返送運動」をしましょうよ。

返送の宛先は、官邸よりも自民党がふさわしく、意義があるかと。
 〒100-0014千代田区永田町1丁目11−23 自由民主党御中
 ― 切手94円は必ず貼って。
 ― 手紙を添えても可。匿名も違法ではない。
 ― マスク袋は開けないでそのまま返送を。
手紙は、例えば
・安倍晋三氏を総理総裁からおろし、別の人に替えて下さい
・危なっかしいマスクいりません。それより首相を代えて。

これに、こんな別の弁護士の反応も。

 私も全く同じ事を考えていました。
 自民党本部で活用してもらうのが1番いいですね。
 品質が信頼できれば、サイズが小さいから子どもさんに活用してもらう手もあったのですが・・

 なんと、子どもに着用させるのもためらわれる我が輩なのか。自民党に送るのがふさわしいと言われるそんなふがいない我が輩だと言うのか。

アベが親だから、アベが汚いことをやってきたから、アベの評判が悪いから、ああ、我が輩まで、これほど疎まれるとは。気が付けば、アベ本人以外、アベノマスク着用者は見あたらない。

結局のところ、我が輩は、アベ政権のコロナ対策の不手際の産物と相場が決まった。針のムシロのこの身の上に同情してくれる人とてなく、「自民党に送ってしまえ」はあまりにひどい。

この世をはかなんで、覚悟を決めた。吾輩は死ぬ。死んで太平を得る。せめて我が輩の生みの親にも一言遺しておきたい。「いつまでも、権力にしがみついてるのはみっともないよ」と。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。ありがたいありがたい。
(2020年5月20日)

「黒川弘務法案」今国会では無理でも次期国会で。それが無理でも、黒川検事を検事総長に。

ワタクシ、アベ・シンゾーで、ごじゃます。
例の「黒川弘務法案」の件でごじゃますが、国民の皆様には、いくら丁寧にご説明してもですね、もはや国民の皆様には、理解してはもらえない。まさに、まさにですよ、ここはですね、いったん引くしかない。まさしく、そう考えた、のでごじゃます。ですから、ここは、いったん引くことにしよう。まさにこう決定した、のでごじゃます。

この法案はですね、この法案はですよ。国民の皆様方の理解なくしては前に進めることができない。そこが、ほかの法案とは違うんです。我が国は民主主義の国ですから、一番大切なのは、選挙です。その大切な選挙で、自民党と公明党は、まさしく勝っている、のでごじゃます。国民の皆様から信任をいただき、たくさんの議席を頂戴している、のでごじゃます。この議席の数の力こそが民主主義の力、その力で、消費税も上げ、辺野古の埋立もし、アメリカから兵器の爆買いもしている。いちいち、国民の皆様の理解など、気にする必要もない、わけでごじゃます。

もちろん、この法案も、数の力で押し通そうとしたわけでごじゃまして、自民党と公明党だけでなく、まさにどういうわけか維新の皆様もですね、しっかりと法案の審議促進と成立にご協力の姿勢で、民主主義の手続に従って採決を強行すれば、まさしく成立することは疑いない、のでごじゃます。

だから、ワタクシはですね、法案の内容や本質がですよ、国民の皆様によく知られてしまわないうちにですね、早め早めに粛々と法案の審議を進めてですね、一日も早く上げてしまうよう指示していたところ、なのでごじゃます。ところが、コロナと同じ、対応が後手後手にまわってしまい、気が付いたときには世の中の空気が変わってしまった、というわけなのでごじゃます。

それでも、強行突破すれば国民の皆様は健全な健忘症ばかり、どうせすぐにこの法案への不満などはケロリと忘れてくれるはず、こう高をくくっていたわけでごじゃます。何しろ、コロナ蔓延で、デモなどできっこないこのチャンス。火事場泥棒と言われても、今やるしかないじゃありませんか。

それが、ご存じのとおり、どうにも納得できない不思議な展開となってまいった、のでごじゃます。「twitterデモで、法案の撤回を目指そう」って、いったい何のことやら。理解を遙かに超えた事態の展開になっていった、のでごじゃます。

ワタクシ・アベの支持者としては若年層が多いのが自慢でごじゃました。ところが、今回はスマホやtwitterを操作する若年層が、アベ批判にまわっているというのでごじゃます。また、いくつかの世論調査で、明らかに内閣支持率が低下してきた、のでごじゃます。これは、たいへんなこと。

強行突破すれば、アベ内閣瓦解の危険を感じざるを得ない、のでごじゃます。ワタクシも、まったくバカではごじゃませんから、ここは引くしかない。こう考えたわけでごじゃます。

もちろん、メディアには「国民の声に十分に耳を傾けていくことが不可欠であり、国民のご理解なくして、前に進めていくことはできない」と申しあげました。その真意は、「国民の声に十分に耳を傾けていくポーズをとらざるを得なくなった」ということであり、「いまは、国民の理解を得ることは無理だから、非難の火勢おさまるので法案は引っ込めておくことにする」ということで、ごじゃます。

ですから、「国民の皆様の正確な理解を得るよう、今後しっかりと丁寧な説明をおこなっていこう。そうすれば、なんの問題もない」のでごじゃます。もちろん、法案にはなんの問題もなく、ワタクシの考え方が間違っていたものてもありません。法務大臣の国会での説明が不十分で、国民の皆様に誤解を与えただけなのでごじゃますから、今国会では野党の議員や「デモ」に参加している国民の皆様には頭を冷やしていただき、秋の臨時国会にも、同じ法案を再提出させていただこうと、考えているところでごじゃます。

なお、今国会での法案の審議は断念いたしますが、黒川弘務東京高検検事長の定年延長閣議決定の効力には何の影響もないので、ごじゃます。皆様、ご存じのとおり、閣議決定はなんでもできるのです。

これも皆様ご存じのとおり、検事総長の任期は慣例では2年となります。ですから、現在の稲田伸夫検事総長の任期は、今年2020年7月24日までですね。稲田さんが任期を全うしたあとの、後任人事が問題になります。黒川さんが最適任なのは客観的に明らかなことです。なにしろ、黒川さんは、内閣と軋轢を生じないよう、官邸の意向を忖度してまことに理想的な対応をされる方です。まさしく、日本人の長所である「和」の精神を身につけた得がたい人物。後ろ暗い官邸の守護神とまで言われている方。守護神を頼りたくなるのは、当然のことではないでしょうか。黒川さん以外のそのほかの方では、官邸とギグシャクして、ワタクシが枕を高くして眠ることができない、のでごじゃます。

望ましいのは、早期に「黒川法」を成立させること、今国会は断念やむなしてすが、必ず次の国会で。仮にそれが無理でも、黒川氏を検事総長にすることが、ワタクシ・アベシンゾーの望みであり狙い、なのでごじゃます。
(2020年5月19日)

「検察庁法、今国会での改正断念」の快挙

これは快挙だ。圧倒的な国民の意思と意思表示がなし遂げた快挙。溜飲の下がる思いである。本日(5月18日)の各紙夕刊に、「検察庁法、今国会での改正断念」の大見出し。午前中は、「与党は20日採決へ 野党は徹底抗戦」と報じていたNHKも、夕刻には「政府・与党 検察庁法改正案 今国会での成立見送り決定」と転じた。

そのNHK(On-line)は、やはり夕刻世論調査の結果を発表した。「安倍内閣を『支持する』と答えた人は、先月の調査より2ポイント下がって37%だったのに対し、『支持しない』と答えた人は7ポイント上がって45%でした。『支持しない』が『支持する』を上回ったのは、おととし6月の調査以来となります」というもの。アベ内閣不支持が支持を逆転し、8ポイントリードというのだ。

また、「朝日新聞社が16、17日に実施した緊急の全国世論調査(電話)でも改正案に『賛成』は15%にとどまり、『反対』は64%だった」。まさしく山が動いた。到底、強行突破は不可能と、アベも判断せざるを得ない事態となったのだ。

アベは、本日の二階との会談で、「同改正案には野党だけでなく、自民党内にも異論があるほか、国民の批判が拡大している。そんな現実を前にして、国民の理解がないまま法案審議を前に進めることはできない」との認識で一致したという。
その後アベは、記者団に対して「法案については国民のみなさまから様々なご批判があった」「そうしたご批判にしっかり応えていくことが大切なんだろうと思う」と発言したという。先日まで、「国民はいっとき反対しても、どうせ忘れる」とうそぶいていた人物とは思えない変わり身の早さ。

これは、暫定的なものではあるが民主主義の勝利だ。憲法も人権も民主主義も踏みにじってきたアベ政権にとっての手痛い敗北である。これまで民意を小馬鹿にしてきたアベとその取り巻きは、今度に限っては、民意の恐さを思い知った。

とは言え廃案が勝ち取られたわけではない。飽くまで「今国会成立断念」という限りでの成果でしかない。法案成立強行の恐れが、次期国会以後にずれ込んだに過ぎない。アベは、今夕記者団に対して、「定年延長と公務員制度改革についての趣旨と中身について、丁寧にしっかり説明していくことが大事だ。これからも責任を果たしていきたい」と述べたという。危機が去ったというわけではない。今後の警戒を怠ることができないのだ。

それにしても、国会内での圧倒的な議席差を乗り越えて、真っ当な世論の高揚がアベ提案の閣法成立を阻止したのだ。この成功体験、この自信を得たことが何よりも大きい。真っ当な世論が、真っ当ならざるアベ支持勢力に勝ちうる。アベの野望を砕くことができる。今回、その勝ち方を知ったのだ。せっかくのこのノウハウである、今後とも惜しみなく繰り返し使うことにしよう。せっかく編み出し、せっかく使ったこの勝ち方。使う度に、鋭利なこの道具に磨きをかけ、多くの人の手で、政権を倒そうではないか。見掛けほど強くはないことを露呈した、この政権を。
(2020年5月18日)

官邸の検察官定年人事介入法案は、「法の支配」にかかわる重大事。

 おじさん、専門家でしょう。「#検察庁法改正案に抗議します」が大きな話題になっているけど、いったいどんな法案で、何が問題なのか教えて。

 現在衆議院で審議中の検察庁法改正法案は、検察官の定年延長の法案なんだけど、検察官の定年を単純に延長するわけじゃない。幹部検察官について、その役職の定年延長に官邸の意向を反映させる仕組みが織りこまれている。つまり、検察官の人事に官邸が介入できるというところが大問題。

 これまでは、検察官の定年に官邸が介入する余地はなかったの?

 戦後すぐにできた検察庁法では、検察官の定年は63歳、検事総長だけが特別で65歳とされてるけど、定年の定めはない。

 だけど、そのあと、国家公務員法に定年延長の定めができたときに、検察官にも定年の延長ができるようになったと、法務大臣が言ったんじゃなかったっけ。

 そうなんだ。ところが、当時の資料を調べて見ると、検察官の職務の特性に照らして「国家公務員法の定年延長の規定は検察官には適用しない」というのが明確な政府の解釈だった。だから法務大臣答弁は明らかに間違い。

 それでも、今年(2020年)の1月31日に、内閣は黒川弘務東京高検検事長の定年延長閣議決定をしてしまったわけね。違法な閣議決定じゃないの?

 これまでまったく前例のないことで、もちろん違法。この点を追及されて、法務大臣は「解釈を変更した」と回答した。勝手な解釈変更も大きな問題だけど、どんな必要があって、いつ、どのような手続で解釈変更したかは答えられない。決裁文書を示せと言われると、「口頭決裁」だと居直る始末。

 いかにもアベ内閣らしいご都合主義ね。いつものとおりの、嘘とごまかしと公文書管理の杜撰さ。その黒川人事を後付けで合法化するための法案だから問題なの?

むろん、そのこともある。黒川さんは、今年の2月8日で63歳となる。だから、既に失職しているはずだ。政府が、どうしてこんな違法で不自然なやり方にこだわったのかが、問い質されなければならない。

 結局は、後暗いところをたくさん抱えるアベ政権にとって、黒川さんは頼りになる人というわけのようなのね。

そのとおりだ。今日(5月17日)の、毎日新聞「松尾貴史のちょっと違和感」に、「検察庁法改正案に抗議の声 また壊される三権分立」という記事があって、その最後がこう締めくくられている。

 小渕優子元経済産業相の政治資金規正法違反問題、松島みどり元法相の選挙でのうちわ配布問題、甘利明元経済再生担当相のUR口利き問題、下村博文元文部科学相の加計学園パーティー券問題、佐川宣寿元国税庁長官らによる森友学園公文書改ざん問題、これらすべてを不起訴にしたのが黒川氏だと言われているが、つまりは政権と一蓮托生、二人三脚、ということなのだろうか。

 なるほど、分かり易いよね。気に入ったオトモダチ検察官は定年延長を認めて、骨のある厳正な検察官は定年延長しないと、えり好み出来ることになるわけね。結局はそれが、検察官人事に官邸が介入ということね。

 法案の問題点は、官邸が検察官の定年人事に介入できる仕組みとなっているところにあると言ってよいと思う。人事介入は結局仕事の中身への介入につながる。

 アベ内閣のやることだから、どうせ汚いことだろうし、不愉快なことだとも思うけど、官邸による検察官の定年人事介入が、そんなに大きな問題なのかしら。

 実は、そこがポイントだ。これは、法の支配の根幹に関わる重大問題なんだけど、アベ首相も、森法務大臣も、「検察官だって一般職の公務員だ。内閣の人事権に服して当然」という姿勢だが、それが間違っている。

 検察官には、準司法官としての立場もある、という検察官職務の特殊性のことね。

 そのとおりだが、このことの意味するところは重いと思う。法の支配とは、権力も法に服さねばならないという大原則だが、憲法を頂点とする法体系が適正に運用されているかのチェックは司法の役割で、この司法の場で働く実務法律家は、裁判官・検察官・弁護士の三者の職能に分かれている。これを法曹三者と呼んでいるが、それぞれが権力から独立していなければならない。

司法の独立という言葉はよく聞くけど、司法権イコール裁判所だと思っていたし、裁判官の独立は大切だとも思うけど、検察官の独立性も大切だということ? そして、検察官一人ひとりの独立も?

 そのとおりだ。司法権を行使するのは独立した一人ひとりの裁判官で、司法の独立とは裁判官の独立の保障のことでなくてはならない。弁護士の身分も、行政権や司法権から守られなければならない。そして、検察官もだ。

 でも、検察庁は法務省に属する組織でしょう。法務省は内閣に従わなければならない。検察官が独立していては、行政の統一性を損なうことにならないのかしら。

 検察官は、刑事事件で被疑者を起訴する権限をもっている唯一の職能。権力が暴走するときの歯止めの役割を担っている。内閣総理大臣と言えども、犯罪に該当する行為があれば、検察官は躊躇なく捜査し起訴できなくてはならない。常に、権力との緊張関係を保たなければならない。権力からの検察官定年人事への介入によって、権力を忖度し、権力におもねる検察官では、法の支配を保つことができない。

 分かったような気がする。キーポイントは、権力に対してどれだけ厳しい姿勢をもっているかという問題のようね。

 そのとおりだ。その点、アベ政権のやること、とても分かりやすい。これだけは、安倍さんの功績かもしれないね。

(2020年5月17日)

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