沖縄県民投票での「埋め立て反対」圧勝を期待する
本日(2月14日)が沖縄県民投票の告示日。沖縄全県で24日に投開票が行われる。投票結果について、「賛成または反対の多い方の票数が投票資格者の総数の4分の1に達したときは、知事はその結果を尊重しなければならない」(県民投票条例第10条第2項)と定められており、「その結果を知事が内閣総理大臣(安倍晋三)及びアメリカ合衆国大統領(ドナルド・トランプ)に対し通知する」もの(同条第3項)とされている。
本日、玉城知事が以下のコメントを発表している。
投票日の告示について
本日、辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例第4条第2項の規定に基づき、県民投票の投票日を2月24日・日曜日とすることを告示いたしました。
今回の県民投票は、普天間飛行場の代替施設として国が名護市辺野古に計画している米軍基地建設のための埋立てに対し、県民の意思を的確に反映させることを目的に実施いたします。
投票は、投票用紙の「賛成」の欄、「反対」の欄、又は「どちらでもない」の欄のいずれか一つに「○」の記号を記入する方法で行います。
また、期日前投票も、明日2月15日・金曜日から実施されます。
私自身も、明日早速、期日前投票を行うこととしております。
県民投票は、県民の皆様ご自身の意思を直接示すことができる大変重要な機会です。県民の皆様には、ぜひ、投票所に足を運んでいただき、貴重な一票を投じていただくようお願い申し上げます。
平成31年2月14日
沖縄県知事玉城デニー
そして、本日の地元紙沖縄タイムスの社説を引用(抜粋)しておこう。
[県民投票きょう告示]沖縄の将来像を語ろう
「ようやく」という言葉がふさわしいのかもしれない。名護市辺野古の新基地建設を巡る県民投票が、24日の投開票に向け、14日、告示された。
国が進めている埋め立ての賛否を問うもので、「賛成」「反対」「どちらでもない」の三つの選択肢の中から、いずれかに「○」を記入する。
今さら法的拘束力もない県民投票を実施する必要がどこにあるのか?そんな声は今もある。だが、県民投票を実施する最大の理由は、まさにそこにある。
「他に選択肢がない」という言い方は、政策決定によってもっとも影響を受ける者の声を押しつぶし、上から目線で「これに従え」と命じているのに等しい。実際、選挙で示された民意はずっと無視され続けてきた。
県民投票は、戦後74年にわたる基地優先政策が招いたいびつな現実を問い直す試みでもある。
軟弱地盤の改良工事のため、当初の予定を大幅に上回る工期と建設経費がかかることも明らかになってきた。状況が変わったのだ。
米軍普天間飛行場の一日も早い危険性除去をどう実現すべきか。辺野古の自然環境は果たして保全されるのか。
埋め立ての賛否を考える上で避けて通れないのは、この二つの論点である。
県民投票に法的な拘束力はない。どのような結果になっても計画通り工事を進める、というのが政府の考えである。
しかし、「反対」が多数を占めた場合、玉城知事は辺野古反対を推し進める強力な根拠を得ることになる。
県民投票によって、疑う余地のない形で沖縄の民意が示されれば国内世論に変化が生じるのは確実だ。政府が辺野古での工事を強行しているのは、県民投票を意識している現れでもある。
さて、埋立についての法的問題の経過を確認しておきたい。
公有水面埋立法によれば、海面を埋め立てるには知事の許可または承認を要する。沖縄防衛局の大浦湾埋立を仲井真知事(当時)が承認し、翁長前知事が承認を撤回した。これが、昨年(2018年)8月31日。但し、同知事は8月8日に死去して、知事代行の副知事が撤回の意思表示をしている。
その状態で、沖縄県知事選が行われ、9月30日に「オール沖縄」の玉城デニー候補が圧勝した。
知事選後、アベ政権は沖縄に寄り添う姿勢を捨てた。10月17日には沖縄防衛局が国交大臣に対して承認撤回を理由のないものとして、行政不服審査法に基づく審査請求をし、併せて「(撤回の効力についての)執行停止」を申立てた。同月30日、国交相の執行停止決定がなされ、工事が再開されることになる。12月14日、辺野古沿岸部に土砂が投入され埋め立てが始められた。いま、美ら海が土砂で埋められつつある。
そのような時期における県民投票であるが、沖縄タイムス社説が言うとおりの、事情変更が明らかになっている。「軟弱地盤の改良工事のため、当初の予定を大幅に上回る工期と建設経費がかかる」ことが明らかになってきたのだ。
以前から軟弱地盤問題は知られていたが、予想を遙かに上回るものであることが確認されつつある。「辺野古軟弱地盤 最深90メートル」「杭は7.7万本必要」「砂650万立方メートル」「新基地は不可能」と各紙の見出しが躍っている。
この軟弱地盤、最大の水深90メートル(海面から海底まで30メートル、地中60メートル)に達する、という。土木工学の専門家が、これだけの深さの地盤改良工事は前例がなく、技術的にも極めて困難、これを可能とする地盤改良船は日本にはないという。
この軟弱地盤の改良工事は、護岸部分はサンドコンパクションパイル(SCP)工法(強固に締固めた砂杭を地中に造成して地盤を改良する工法だという)で3万8945本、埋め立て部分はサンドドレーン工法で3万7754本、合わせて7万6699本になるのだという。
地盤改良区域の面積は約65ヘクタール(新基地建設埋立て区域160ヘクタールの約4割)。砂杭に使用する砂の量は東京ドーム5・25杯分にあたる約650万立方メートルに達するという。
当然に、沖縄県の地盤改良工事のための設計変更許可が必要になろう。安倍首相は1月31日の衆院本会議で、軟弱地盤の改良工事のため計画変更の承認を沖縄県に申請すると、政府として初めて言及したという。が、県が許可できるはずはない。
こうして、「辺野古新基地建設は法的にも技術的にも不可能であることが鮮明になりました」(しんぶん赤旗)というのが常識的なものの見方。計画は白紙にするほかなかろう。
このような事態での県民投票である。政権の思惑は、早期に既成事実を積み重ねて県民を諦めさせることだった。しかし、そうはなりそうにもない。投票の結果次第では、辺野古新基地建設を断念させることができそうではないか。運動の成果を期待したい。
(2019年2月14日)