澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

検察庁法改正案は権力分立の大原則を侵す

安倍の悪事は多過ぎて、追いかけるだけでも目が回る。コロナだけに気を取られてはいけない。モリ・カケ・サクラ、テストにカジノにカワイ。その全てと関わるのが、幹部検察官人事に介入しようという検察庁法改正案。国家公務員の定年延長法案と抱き合わせとなっている。それが、昨日(4月16日)衆議院で審議入りした。こんなにも評判の悪い、こんなにも不当性見え見えの法案が、堂々と国会で審議されている。

塩川鉄也議員(共産)は、衆院本会議で質疑。これが、分かり易い。

「発端は安倍政権が1月に黒川弘務東京高検検事長の定年を延長させる閣議決定をしたことだ」「戦後、日本国憲法のもとで制定された検察庁法は、検事の定年延長は認めなかった。それは、検察官人事への政治の恣意的な介入を阻止し、検察官の独立性確保のためだ」「違法な閣議決定につじつまを合わせるため検察官の役職定年に例外を設け、内閣が認める時は63歳を超えても、さらには退官年齢(65歳)を超えても検事長などのまま勤務させることができるという抜け穴まで設けたもので許されない」「今回の法案は、検察官人事への介入を通じて内閣が恒常的に司法の一角に対する支配をを可能とすることで、憲法の基本原理である権力分立を破壊するもの」と批判した。まったくそのとおりだ。

**************************************************************************

ところで、16日に法案の審議入りが予想されるとして、法律家6団体が、15日に記者会見を開いた。それがズーム(Zoom)を用いた「ウェッブ会見」だと報告を受けた。ふーむ、世は遷っている。

2020年4月14日

「国家公務員法等の一部を改正する法律案(検察庁法改正案)」
に反対する法律家団体の共同記者会見に関する取材と報道のお願い

改憲問題対策法律家6団体連絡会            
社会文化法律センター     共同代表理事 宮里 邦雄
自 由 法 曹 団        団  長 吉田 健一
青年法律家協会弁護士学者合同部会 議  長 北村  栄
日本国際法律家協会        会  長 大熊 政一
日本反核法律家協会        会  長 佐々木猛也
日本民主法律家協会         理 事 長 右崎 正博
改憲問題対策法律家6団体連絡会事務局長 弁護士大江京子

お問い合わせ先 弁護士 江夏大樹

1 検察庁法改正案が衆院で審議入り
政府は,「国家公務員法の一部を改正する法律案(検察庁法改正案)」を,4月16日に衆議院で審議入りする方針を固めました。
検察官は,「公益の代表者」であり,内閣総理大臣を含む政権中枢の権力犯罪に対しても捜査・起訴権限を付与された準司法官的な地位を有する国家機関であることから,政権からの独立性・公正性が制度的に保障されなければなりません。しかしながら,検察庁法改正案では,すべての検察官の定年及び定年延長について国家公務員法の規定が適用されること,内閣ないし法務大臣の広範な裁量により定年延長ができることを規定し,次長検事,検事長,検事正,上席検察官に役職定年制を導入するとともに,内閣ないし法務大臣の広範な裁量に基づき役職定年を延長する規定が盛り込まれています。この改正案では,検察官全体の人事に政権が恒常的に介入することが合法化することになります。

2 新型コロナ感染が広がる中での検察庁法改正
現在、新型コロナの感染拡大が止まらない中、内閣ないし法務大臣が検察人事に介入するという極めて問題のある検察庁法改正案を国会で審議する必要は全くありません。
また、安倍内閣は現在、自民党の河井克行前法相、河井案里参院議員に対する公職選挙法違反事件や元自民党の秋元司衆院議員に対するカジノを含む統合型リゾート(IR)事業の汚職事件が直撃している上に、自身も森友問題や桜を見る会に関連する支出を政治資金収支報告書に記載していない等の様々な疑惑が浮上しており、捜査の対象となる立場です。そうすると、今回の検察庁法の改正は新型コロナの混乱に乗じて、自身への疑惑の追及を回避する仕組み作りにあるとの謗りを免れません。
そこで,私たちは,4月16日に予定されている検察庁法改正案の国会審議入りを前に,同法案の問題点を明らかにし,同法案の廃案を訴えるために共同記者会見を行うことといたしました。

日時: 4月15日午後3時?4時(予定)共同記者会見
手段: Zoomのウェビナー機能を用いて行います。
参加方法:幹事社の毎日新聞の方に参加URLをメールで送ります。
? Zoomのウェビナーでは参加者がパネリスト(発言可)と一般視聴者(視聴のみ)に分かれます。
? 各メディアの方でご参加いただける方は事前に江夏(enatsu@tokyolaw.gr.jp)に「お名前」と「お使いになるアドレス(Zoomに登録したアドレスの場合はそちらのアドレス)」をお伝えください。パネリストとして記者会見にご招待いたします。
? 本記者会見は一般の方々も視聴者として参加することを可能としました。
? Zoomの参加方法にご不明な点がありましたら江夏までお問い合わせください。
会見出席者:各団体からの発言をご依頼するとともに、各野党の国会議員の先生方に発言をしていただく予定です。

是非,取材をして頂くと共に,報道の程,お願い致します。

(2020年4月17日)

Comments are closed.

澤藤統一郎の憲法日記 © 2020. Theme Squared created by Rodrigo Ghedin.