ウィルスもアベもとおくにとんでいけ
毎日新聞の仲畑万能川柳、これが常にも増して面白い。憂さ晴らしに、川柳はもってこいである。本日(5月8日)選の中に次の一句。
コロナうつ万柳詠んで吹き飛ばせ 尾道 瀬戸の花嫁
のみならず、このご時世ネタは尽きない。この万柳のためだけに、毎日新聞を定期購読しているファンもあると聞く。むべなるかな、この川柳欄に群がる投稿者たちは独特の部分社会を形作っている。社会の本流からは少しはずれた、それゆえに健全な部分社会。
※最近の句で目立ったのは、マスクネタである。
マスク二枚配りみんなの口封じ 浦安 さやえんど
これは秀逸。愚かな意図を見抜いた上で、笑い飛ばしている。
アベマスク家族4人であみだくじ 鹿沼 鹿沼土
ハズレの二人がバツゲームとして使うことになる。
マスクよりお似合いですよ「頰っ被り」 戸田 小松多代
もちろん、マスクを配ったあの人のこと。
二枚ずつアベノマスクの二百億 北九州 エミリー
当初は200億の報道だった。いずれにしても愚かの極み。
10万とマスクのどっち先か賭け 静岡県 増田謙一郎
布マスク変えられないか前広に 千葉県 姫野泰之
散会時マスク総理は即外す 東京都 後藤克好
躊躇なくマスク二個とは情けない 町田 不銹鋼
一世帯一人もいれば七人も 宗像 水芭蕉
売れる程手作りマスク上手くなり 寝屋川 ヒロポン
マスクかけ佐保姫別れの袖を振り 埼玉県 磯貝満智
春うららマスクの形に日焼けして 柏原 年中無給
香港のマスク禁止は終わったの? 大野城 ぶび子
完売の文字が褪せても来ぬマスク 多治見 和宇茶中
※マスク以外のコロナ禍も笑いのネタに
二週間いつまでたっても二週間 東京都 新井文夫
捲(めく)っても出口見えないカレンダー 茨城県 清水方子
検査する代わりコーヒー嗅がされる 青森 よしのまち
オナラして臭い感じて安心し 大阪 板はん
コーヒーのたびに匂うか確かめる 東京 緑カレー
恐ろしやコロナ対策銃を買う 西宮 軒の小雀
取った税貸してあげると言う政治 海老名 しゃま
言い訳のアベオンステージNHK 別府 タッポンZ
志村さん「だいじょぶだあ?」って言ってたじゃん 千葉 ペンギン
オレなんざもともと距離を置かれてる 行田 ひろちゃん
ニュースから消えて下さいコロナの字 大田原 武田正子
メモを読む総理に空気読まぬ嫁 福岡 猫懐
クラスター→オーバーシュート→ロックダウン 交野 令和の令子
怖いのはコロナニュースに慣れたとき 神奈川 カトンボ
新聞が痩せた戦中思い出す 神奈川県 金澤紀六
ステイホーム肥後で申せば「籠城じゃ」 長崎県 前田一笑
あるんだね皆テレワークできる社も 宝塚 おーい銅将
ウイルスは「やってる感」では騙せない 東京 三次
コロナ禍も議員歳費はご安泰 水戸 むっちゃん
コロナから知る全国の知事の顔 岐阜 金子錆男
消毒をした手でノブを触るドジ 和歌山 松原まつこ
予定表消してばかりだこの春は 高槻 風頼坊
ひと月の長さ感じる新コロナ 山形 かみやじい
こんな時弱い人から解雇され 相模原 アンリ
日本語で怖さがわかる都市封鎖 茨木 イシマリ
我も彼もマクベスのごと手を洗う 熊本 しゅ
こんな事あるんやなあと空見上げ 伊丹 しずく
世界から握手抱擁消える日が 芦屋 言閑マダム
目に見えぬコロナこわくてひきこもる 三豊 泣きっ子
呼吸器もベッドも足らぬ医療大国 白石 よねづ徹夜
※川柳子は安倍晋三にも優しい
万柳の良いとこ安倍の支持もいる 白石 よねづ徹夜
もう既に「あきれ夫人」と呼ばれてる 川崎 さくら
後手後手の旦那のたまう「前広」と 神奈川県 安藤隆喜
取る気ない責任だから軽く言え 東京 城山光
※9月始業もネタになる。
新入生引き受けますと秋桜(コスモス)が 埼玉県 磯貝満智
これは優しい。コスモスがサクラにささやいている。
袴(はかま)から浴衣に変わる卒業式 埼玉県 金子雄一
なるほど。それも楽しい。
九月から始業コロナが薄笑い 東京都 大和田淳雄
これは恐い。9月からの始業などできるものかと鬼のよう。
※ そして健全な精神は森友事件を忘れない。赤木さんのことも。
悪代官しっぽ切りまで部下にさせ 鹿沼 鹿沼土
部下死んだかまっちゃおれぬ出世道 周南 石丸壽人
忖度は懲戒受けても出世する さいたま 高本光政
権力の凄まじさ遺書見せつける 日立 北の馬場
忖度は人を殺すと皆知った 福岡 ナベトモ
もういいよ事実を言っても佐川さん 豊川 雨ニモ負太
起訴不起訴凄い力の検事さん 兵庫 新ポスト
(2020年5月8日)