澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

トランプとボルソナロと、そしてアベ。みんなよく似て、みんなヘン。

(2020年6月29日)

すっかりお馴染みとなった、「米ジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センター(CSSE)の集計」。本日(6月29日)までに、新型コロナウイルスによる世界の感染者の累計は1000万人を超え、死者数50万人に達した。

これは恐るべき事態というほかない。人類はどうあがいても、ウィルスには勝てない。感染症の撲滅などできようもない。人類は、自然を破壊しつつ、破壊されて平衡を失った自然からの報復を受け続けているのだ。

感染者・死者の数で群を抜いているのが、アメリカとブラジルである。その両国とも、大統領がマスクを着けないことで共通しているのが、興味深い。

トランプは、マスクを着けない理由を、記者団には、こう語っている。

「ただマスクをしたくないんだ。CDCは“推奨する”と言っている。私は体調は悪くない」

「私は、大統領オフィスの素晴らしい大統領執務机で働いている。マスクをしながら他の大統領や首相や支配者や王族を歓迎するというのはどうかと思う」

「私には合わない。考えを変えるかもしれないけれど。だけど(今の状況は)そのうち過ぎ去るだろう。早く過ぎ去って欲しいね」

トランプ支持者には、マスクを着けない大統領を、強く逞しいリーダーと見る傾向があるとされる。ところが、アメリカのコロナ状況は日に日に逼迫している。そんな悠長なことを言ってはおられない。とりわけ、共和党色の強い南部西部諸州ほど、感染拡大が顕著であるという。

そこで、ペンス副大統領が、マスク着用を住民に呼びかける事態となった。本日(6月29日)、ペンスが南部テキサス州を訪れ、自らもマスクを着用して、住民にマスクを着用するよう呼びかけたことが、話題となっている。のみならず、トランプにマスクを着用して模範を示すよう求める超党派の圧力が高まっているという。

新規感染者数は全米の半数以上の州で急増しており、特に、早期の経済活動再開を推進してきた南部と西部の州で多い。より厳格な法規制を呼び掛ける声も広がっている。これまでは、大統領の批判に消極的な共和党議員の間でも、トランプにマスク着用を強く求める声が高まっている。一部の議員は、米大統領がもっとはっきり模範を示すべきだと主張しているという。

次いで、ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領である。新型コロナのパンデミックをめぐる世界の対応を「ヒステリー」と呼ぶ人物。当然に右翼、いや極右とよばれる人。知性の欠如においては、トランプと兄たりがたく弟たりがたし。この人に、裁判所から「マスク着用命令」が発せられて、話題となっている。

6月22日、ブラジルの連邦裁判所は、ボルソナーロ大統領に「首都ブラジリア市内で出歩く際にマスクを着けなければならない」とのマスク着用命令を言い渡した、と報じられている。命令違反には罰金が課せられ、その額は最大で1日当たり2000レアル(約4万円)だという。

「公の場でのマスクの着用」は、本年4月以来首都ブラジリア市民の法的義務とされている。これを守らない者には、一切の忖度なしに、大統領にも命令を出す。ブラジルの裁判所はたいしたもの、立派ではないか。

ボルソナロ大統領は、以来人前に姿を現す際はマスクを着用するようにはなったが、6月26日になって、この裁判所の命令を不服として控訴した。このことが、また話題となっている。

AFPは以下のように報じている。

首都ブラジリアでは4月以降、新型ウイルスの感染抑制対策として公共の場でのマスク着用が義務付けられているが、極右のボルソナロ大統領はこの法律をたびたび無視。これを受けてある弁護士がボルソナロ大統領には自身の「無責任な行動」に対する説明責任があるとして裁判を起こしていた。

レナト・ボレリ判事は22日の判決で、ボルソナロ大統領が公共の場でマスクを着用していないと認定し、「大統領には国内で施行されている法律に従う憲法上の義務がある」として法律を守るよう命じ、従わなければ罰金を科すとした。

法律問題で政府を代表する検察当局はAFPに対し、ブラジリアではすでにマスク着用が義務付けられているため、裁判所は無用な介入を行っていると主張した。

そして、我がアベノマスクである。こちらは、マスクを着けないことで知性の欠如を露わにしたのではない。莫大な資金を投じてヘンなマスクを国民に配布したことで、トランプやボルソナロにも負けない判断力不足をさらけ出したのだ。身内も含めて、誰も着用しないから、ムキになって自分だけはヘンなマスクを着用し続けている。それがまたまた揶揄の材料となっている。

トランプとボルソナロと、そしてアベ。みんなよく似て、みんなヘン。

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