河野太郎よ、悪代官スガの腰巾着となって歴史に悪名を残そうというのか。
(2020年10月12日)
今、我々の眼前で進行しているスガ政権の日本学術会議人事への介入事件。もっと正確に言えば、スガ政権の学術会議人事介入を切っ掛けに生じた、民主主義の枠組みを擁護しようという勢力と破壊しようという勢力との壮大なせめぎ合い。これからの状況進展如何にかかわらず、歴史に刻まれることになる。
昨日(10月11日)の報道では、理工系93学会が共同で、「政権の任命拒否を憂慮する」緊急声明を発表したという。
声明は日本地球惑星科学連合、日本数学会、日本物理学会のほか、生物科学学会連合と自然史学会連合の傘下学会が共同で出した。政府が理由を示さずに会員候補の任命を拒否した事態を憂慮し、対話による早期解決を求めた。
任命を拒否された6人は人文・社会科学系の学者だが、日本地球惑星科学連合の田近英一会長(東京大教授)は記者会見で、「理系でも起こり得る話。学術に基づいた自由な言動が制限されることは学問の自由の制限につながる」と述べた。
日本物理学会の永江知文会長(京都大教授)は、拒否の理由が説明されない点を問題視し、「忖度しないとならない世界は、科学者から見れば変な世の中だ」と批判した。
私の所属している日本民主法律家協会も声明を出した。一昨日地元文京区で行われた、「今なぜ敵基地攻撃なのか」緊急学習会(講師・澤藤大河)でも、参加者一同の名で抗議の声明を採択し、官邸に送ることとした。今後、続々と、抗議声明が積み重ねられることになるだろう。問題の大きさにふさわしい、大きな運動が盛り上がりつつある。
https://jdla.jp/shiryou/seimei/201009_seimei.pdf
アベ・スガの両名が、学問の自由破壊のみならず、民主主義の基本枠組みの破壊をたくらんだ頭目として歴史に悪名を残すことになろう。このときに、喜々として政権の走狗の役割を買って出ようというのが、情けなや河野太郎だ。スガは、文字どおり狷介な悪代官、河野太郎よ、その悪代官スガの腰巾着となって歴史に悪名を残そうというのか。キミは、そんな情けない人物だったのか。
河野太郎よ、キミは、「行政改革担当相として、日本学術会議を行革の対象として検証する」と言った。「(自民)党の方から行政改革の観点からも見てほしい、という要請があった」「私のところで年度末に向け予算あるいは機構、定員については聖域なく、例外なく見ることにしているので、その中でしっかり見ていきたい」とも述べたという。これは、メディアの言うとおり、「政府のまさかの逆ギレ検証」「任命拒否問題を学術会議の機構・定員問題にすり替え」ではないか。自民党内からも「このタイミングで検証するのは目くらましだ」と疑問の声が上がっている。その先頭に立たされているのがキミなのだ。
河野太郎よ。行革の対象を「聖域なくしっかり見ていきたい」と語るのなら、真っ当な優先順位というものがあろう。まず何よりも、不要不急な武器の爆買いを強いられている防衛費支出のメカニズムにメスを入れよ。アメリカの言い値のとおりに、一機100億円を超すF-35A、さらに高価なF-35Bを購入せざるを得ないというこの事態を何とかしたらどうだ。思いやり予算の計上も同罪だ。政党助成金も、皇室費も、官房機密費も、大いに見直すがよかろう。
踏み込むべきところには踏み込まず、切り込むべきところに切り込まず、日本学術会議の名を特に上げて行革の対象とし、「年度末に向けて予算、機構、定員について聖域なく見るので、しっかり見ていきたい」と述べている。明らかに、政権に楯突くと予算で締め上げるぞ、という悪辣ぶり。
しかしだ、河野太郎よ。考え時ではないか。スガが沈むとき一緒に沈もうというのは愚かなことだ。姑息にスガの腰巾着になるよりは、民主主義の大道を歩むべきだと思うのだが。