6名は きっと あなたであり わたしなのです
(2020年10月19日)
スガ政権による日本学術会議への人事介入事件。問題の重要性にふさわしく、大きなせめぎ合いになってきた。スガ政権に対する抗議運動の盛り上がりには、目を瞠るべきものがある。
研究者や大学関係者、また学生や法曹が、これを「学問の自由」侵害の大問題と捉え、あるいはジャーナリストや文筆家・知識人が、「思想・良心の自由」や「表現の自由」弾圧の第一歩と危惧して抗議の声を上げることは当然の成り行きである。
しかし、それだけでは不十分なのだ。より多くの市民に、自分自身の問題でもあると捉えて、学術会議や任命を拒否された6人を支援してもらわねばならない。運動の成否はそこにかかっている。
この件は、決して6名だけの問題ではない。学術会議だけの問題でもない。明らかに社会全体の問題なのだ。政権の意のままに権力を行使して、政権の意のままに国家を操ることを許してよいのかどうかという問題である。政権の耳に痛いことは言わせない、逆らう者は問答無用で切り捨てる、そんな政権の存在を許せるかが問われている。民主主義の基本枠組みや、野放図な軍事権研究の可否を通じての平和に関わる問題でもある。
そんなことを考えている折に、石川逸子さんが新しい作品を発表した。「6名」という詩。なんと的確に事態を把握し、なんと的確な言葉で多くの人に訴えていることだろう。スガ政権と、この事態の恐さを再認識させられる。
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6 名
石川逸子
日本学術会議が推した新会員中 6名を
任命拒否し 抗議も無視する 菅首相
6名とも 最近の国の政策に異議を唱えたひとたちです
かつて戦争協力したことへの反省から
誕生した学術会議
任命拒否は
その昔に戻すぞ との
わたしたち人民への明らかな果たし状ではありませんか
特定秘密保護法
安全保障関連法
名護市辺野古の米軍基地建設
「共謀罪」を含む改正組織処罰法
これらに反対する学者の呼びかけ人
あるいは賛同人になった学者
抗議の声明を発した学者
国会の参考人質疑で批判した学者
政府の意のままに 学術会議を従わせ
アメリカの忠実な僕となって
軍事研究を行わせたいために
従わないものは 冷酷にバッサリ斬る
かたや 携帯の値下げ 不妊治療への賛助
若者たち 女性たち へ 媚びを売れば
支持率は上がる 何ほどのこともないわ と
高をくくられるほど
わたしたちは 愚かで無力だと思われているのでは?
6名は きっと あなたであり
わたしなのです
わたしたちの首を絞める 手が
すぐそこまで スウッと伸びてきています