蜜月から破綻へ ー 早くも始まった菅政権の末期症状
(2020年12月14日)
ハネムーンとは、天にも昇る心地の人生の最幸福期。お互い、アバタもえくぼに見える時期。そんな仲に他人が口を差し挟むのは、この上ない野暮な振る舞い。それは分からんでもない。
新政権発足後の100日ほどを「ハネムーン期間」というのだそうだが、これはよく分からない。新政権が国民と蜜月の関係にあり、メディアが政権批判をするのは野暮、とでもいうのだろうか。この時期、メディアは新政権を批判せず、ご祝儀の提灯記事ばかりを書くのが通り相場と言うようだが、硬派のメディアには大いに迷惑であろう。
選挙で選ばれたわけでもない新総理である。これが、国民と蜜月の関係と言われても、白けるばかり。何よりも、この新政権は国民に愛情を示すところがない。紋切りのご祝儀記事で、メディアが作りあげたハネムーンではないのか。
「ハネムーン期間」などあろうはずはないとは思ったが、政権発足直後のアバタもえくぼの高い内閣支持率に驚いた。しかし、その「似非蜜月」の関係は、10月1日の学術会議新会員の任命拒否で、早くも破綻した。この事件、DV男が早くもその正体を表したという強烈な印象。
その後は、新総理の凡庸さ、熱意のなさ、判断の不確かさ、理念の欠如、周りの人物の不甲斐なさ等々が際立つばかり。中でも、この人、語彙が乏しい、自分の言葉で語ることができない。メモを棒読みするしか表現力がない。コロナ禍の危急のこの時期に、前総理に勝るとも劣らない無能ぶりが明らかになってきたのだ。
まず、ハネムーンが壊れた。毎日新聞の世論調査が事態をよく表している。
毎日が昨日(12月13日)発表した世論調査における内閣支持率は40%で、不支持率が49%である。不支持が支持を、9ポイントも上回っているのだ。国民は、新総理・新政権のアバタをアバタとしてしっかり見据えたのだ。
政権発足以来毎日は、9月17日、11月7日、12月12日と3回の世論調査を重ねた。その推移は、以下のとおり劇的ですらある。
支持率 64% ⇒ 57% ⇒ 40%(17ポイント減)
不支持率 27% ⇒ 36% ⇒ 49%(13ポイント増)
その差 (+37) (+21) (?9)
前回調査比17ポイントの支持率下落のみならず、国民の目の厳しさが新政権の政策に向けられていることに注目せざるを得ない。「《菅政権の新型コロナウイルス対策》について聞いたところ、「評価する」は14%で、前回の34%から20ポイント下がり、「評価しない」は62%(前回27%)に上昇した。新型コロナ対策の評価が低下したことが、支持率の大幅減につながったようだ。」というのが、毎日の分析である。多くの国民が、医療体制の逼迫に危機感を持っているのに、新政権は経済一辺倒の無策なのだ。
当事者同士が、アバタをアバタと見るようになったのだから、ハネムーン期間は終わったのだ。他人が口を挟むに遠慮する理由はなくなった。今や、メディアの批判は厳しい。
「にやにやして危機感ない」「発信力ない」「支持率急落、首相に党内から不満噴出」「支持率急落、菅首相「鉄壁ガースー」戦略の限界」「会見はメモ棒読み、紋切り型答弁で説明を回避」「菅政権の『逃げの政治』はどこまで続くか?短期政権の時代に入るかの岐路」「菅首相の「ガースー」発言に「ダサい」」「決断が遅すぎる」「支持率低下で追い込まれた首相 敗れた『勝負の3週間』」と、まったく遠慮がなくなった。
メディアの手の平を返したような報道姿勢に違和感がある。本人同士の相手を見る目が曇っていても、第三者として、アバタをアバタと正確に伝えることがメディアの役割ではないか。
菅義偉政権。まだ第1ラウンドである。だが、既に足がもつれ舌ももつれている。何をやってもうまくはいかない。さすがにダウンはしていないが、グロッキーにはなっている。ハネムーンが終わった途端に、もう先が見えてきたのだ。ここしばらく、解散などできようばずもなく、さりとてこの落ち目を挽回する術もない。どうしたらよいのだろうか。どうしたらよいのかって? そりゃ、「説明できることと、できないことってあるんじゃないでしょうか」。なるほど、そのとおりだよ。