澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

今、国民すべてが主権者としての自覚に目覚めるべきとき。

(2021年10月19日)
 いよいよ総選挙だ。
 本日、第49回衆議院選挙の公示。選挙区に857人、比例代表に194人(重複立候補者を除く)の計1051人が立候補を届け出、各党の党首がそれぞれの第一声を上げた。この選挙で求められているのは、9年間に及ぶ腐りきった安倍・菅政権への主権者からの審判であり、その継続を断ち切っての政権の転換である。

 主権者のはずの国民だが、普段はなかなかその実感をもちにくい。安倍菅政権下ではなおさらのことだった。今こそ、すべての国民が主権者としての自覚に目覚めなければならない。でなければ、また、これまでと同じような、腐敗した政権の支配に屈し続けなければならない。

 理想的とは言えないにせよ、野党の共闘態勢は大きく前進している。289の小選挙区のうち、213選挙区で立民、共産、れ新、社民の野党共闘候補が自公の候補者と対決する。議会制民主主義の基本の通りに、選挙を通じての民意を反映した政治の前進を期待したい。そして、望むべくは、政権の転換である。

 「1強」とも、「官邸支配」とも、「国会軽視」とも、「官僚の私兵化」とも呼ばれた安倍・菅政権であった。官僚に忖度を余儀なくさせ、国政を私物化し、公文書を隠匿し改竄し廃棄する官僚文化を醸成し、嘘とゴマカシの羅列で、国民の信頼を喪失してきたこの腐敗の政権。それが、いまだに実質的に継続しているのだ。これに「NO!」を突きつけなければならない。

 具体的な政策の問題点は、野党間共通政策となった「6本の柱・20項目」に網羅されているが、私は、強調すべきは以下の3点だと思う。

 第1は、経済政策である。アベノミクスの評価と絡んで、「成長と分配」の論争。
岸田文雄は、自民党総裁選では明らかに分配重視の見解を述べていたのに、ブレて後退し「まず成長、その果実を配分にまわす」に立ち位置を変えた。これでは、アベノミクスと変わらない、9年間の格差拡大と停滞とを継続するだけのことになる。

 適切な所得と富の再分配あってこその国民の福利である。社会の極端な経済格差と貧困を解決するための政権交代が必要なのだ。そのために、消費税の撤廃ないし半減、法人税の増税・累進化、富裕税の創設、所得税の累進性の強化、金融所得への課税強化が不可欠である。

 「新自由主義」を否定しつつ、「新しい資本主義」を唱える岸田だが、だんだんと自分でも何を言っているのか分からなくなってしまっているのではないか。

 第2は、政治姿勢の抜本的転換である。嘘とゴマカシのない、説明責任と透明性を確保した政治と行政が行われなければならない。そのために、安倍菅政権下の、モリ・カケ・サクラ・河井等々の徹底調査を選挙の争点としなければならない。

 そして第3点は多様な生き方を保障する人権の確立である。端的には、ジェンダーがテーマとなっている。中でも、選択的夫婦別姓制度採択への賛否が分水嶺になろう。今や、頑固な家族制度墨守派に占拠されている自民党だけが少数反対派となってミジメな孤立をしている状況ではないか。

 ところで、本日午前10時15分と16分、総選挙の第一声に国民が湧いている時刻に、北朝鮮が弾道ミサイルを「東の方向に発射し、日本海上に落下したものと推定される」との政府発表があった。これが、騒ぐほどの規模や態様のものであるか否かはまだ分からない。が、たいへん不愉快な北朝鮮の行動である。

 このような一国のパフォーマンスが、各国にどのような影響を与えるかの分析なしに行われるはずはない。このミサイル発射は、明らかに、日本の総選挙を意識した挑発であると考えざるを得ない。日本を挑発して北朝鮮の存在を誇示して、軍事的な緊張を高めようとしているのだ。

 言うまでもなく、この北朝鮮の狙いは自民党の好戦勢力の歓迎するところ。そのことがよく分かったうえでの、選挙に際しての毎度の礼砲なのだ。

 自己目的化している北朝鮮の先軍政治を堅持し、引き締めるためには、常時の軍事緊張が必要なのだ。折々に、ミサイルも発射しなくてはならない。事情は、日本の軍産複合体や自民党の鷹派にとっても同じことだ。お互いに、相手を敵視し挑発し合うことで、持ちつ持たれつ軍備の増強をはかっているのだ。

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Published in 火曜日, 10月 19th, 2021, at 20:16, and filed under 安倍政権, 選挙, 選挙協力.

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