澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

老子も呟いた、岸田のブレと安倍菅政権の異常と。

(2021年10月21日)
ご隠居、これさっぱり分からねえ。なんだか教えてくんないかな。

おや八つぁん、どれ見せてみな。ああ老子だな。

道可道、非常道。名可名、非常名。無名天地之始、有名萬物之母。故常無欲以觀其妙、常有欲以觀其徼。此兩者同出而異名。同謂之玄。玄之又玄、衆妙之門。

おれにゃチンプンカンブンだね。いったいどう読むんだい。

たやすいことだ。普通はこう読む。

道の道とすべきは、常の道に非ず。名の名とすべきは、常の名に非ず。名無し、天地の始めには。名有り万物の母には。故に常に無欲にしてその妙を観、常に有欲にしてその徼を観る。この両者は同じく出でて名を異にし、同じくこれを玄と謂う。玄のまた玄、衆妙の門。

なおのことさっぱり分からん。老子ってお人は、いったい何についてしゃべくっているのかね。

これはな、八つぁん。実はだな、自民党岸田文雄総裁の総選挙における姿勢を厳しく批判しておる。

ムチャを言っちゃいけねぇ。ここには、岸田も、選挙も、一言もこざいませんぜ。

そこが、素人のあさはかさ。読む人が読めば、自ずからこの裏に隠された意味が浮かび上がってくるな。

へ?、読む人はいったいどう読むんですかね。

たとえば、こう読む。

岸田の岸田たるは、常の岸田に非ず。政権の政権たるは、常の政権に非ず。岸田無きは天地の始め、政権有るは万物の母。故に常にその自説を放棄してその地位を保ち、自説にこだわれば破滅を観る。岸田と政権と、この両者は同く出でて、しかもハトとタカと名を異にす。この両者同じきを保守と謂い、保守も自民も玄にしてさらに玄、衆妙の門なり。

ご隠居、相当に無理をしちぁいませんかね。それでも、やっぱりわからない。私にも分かるように、噛み砕いてくださいな。

噛み砕くと面白みはなくなるが、まずは、こんなところだ。

岸田さんてのはそれなりのイメージを持った政治家だろう。保守本流の宏池会の主宰者で、決して改憲派でもなければ、安倍晋三のような好戦派でもないし、歴史修正主義とも政治の私物化とも無縁だ。話しぶりだって、安倍や菅と較べれば、ずっと穏やかで品がよい。

そりゃ違えねえ。なんたって、安倍晋三というのが、あんまりひどかったからね。ようやく、ちゃんとした人が自民党のトップになった。

そこが、素人のあさましさ。そういうふうに簡単に騙されてはいけないというのが、老子の教えだな。

あら、今度は「あさましさ」。どう騙されてはならないってんですかね。

これまでの岸田が総裁になったと思ってはならない、今、総選挙に臨んでいる岸田はイメージどおりのいつもの岸田ではない、とまあ警告を発しておる。

実は、あっしもそういう了見なんだ。新聞で、「ブレブレ岸田」と言ってるとおりだ。「自民党の政権公約で鮮明なのはアベ後継の甘利と高市のカラーばかり」って、あれだろう。

そうさぁ、そのとおり。そして、老子は続けている。

安倍菅政権というものは、民主主義の常識に照らせば政権の名に値するものではない。しかし、岸田は実力で今あるわけではなく、安倍菅政権を母体として自民党総裁になった。だから、自分のカラーを消して初めてその地位を保つことができるが、反対に自説にこだわればあっさりと破滅してしまう。

少し分かったよ。普通の政権なら、政権投げ出しゃそれでお終いだ。とこが、安倍菅政権って代物は、いつまでも裏で糸を引こうという魂胆なんだ。岸田は、実力ないから安倍菅とその一味に、糸で引かれっぱなしというわけなんだ。

よくお分かりじゃないか。まったくそのとおりだ。老子は、最後をこう締め括っておるな。

岸田と安倍と、この両者は出所は同じだが、ハト派とタカ派に名を分けた。この同じ出所を保守と言い自民党とも言うが、ハトもタカも一緒というごちゃごちゃはコマッタもんだ、とな。

へ?え、「衆妙の門」というのが、「自民党はごちゃごちゃでこまったモンだ」という意味ですかね。

あんまり細かいことにまでこだわらんでもよい。要は、岸田をハトのイメージで見ていては間違える。ありゃあ、実は安倍晋三そのままのタカだという教えなんじゃ。

見かけはハトで中身はタカ、看板は岸田で売ってる品物は安倍製品、表紙は岸田で中身は安倍、顔は岸田で身体は安倍ってわけか。

もっとも、鳩は軍記物では戦での勝運を呼ぶ鳥じゃ。軍神である八幡神の使いとしても知られておる。そもそもの岸田のハト派イメージも、そのホンモノ度を、よく吟味しなければならん。

なるほど、言われてみればそのとおりだ。ハトの目タカの目でね。

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Published in 木曜日, 10月 21st, 2021, at 18:05, and filed under 未分類.

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