澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

本日の赤旗を読む。政党助成法廃止法案・北京五輪と人権・NHK虚偽字幕・改憲阻止法律家集会…

(2022年2月5日)
 久しぶりに「赤旗」の紙面全16ページに目を通した。本日の赤旗、内容充実している。

 一面トップは、「政党助成法廃止法案を提出/共産党議員団が参院に」「『民主主義壊す制度続けていいのか』 田村政策委員長が会見」との記事。

 1995?2021年の27年間で政党助成金の総額は8460億円に上り、政党助成金を受け取っている多くの政党が運営資金の大半を税金に依存している。そのことの問題点はいくつもある。なかでも、税金を政党に配分するというその仕組みによって、国民の全てが「自ら支持しない政党に対しても強制的に寄付させられることになる」ことの弊害は分かり易い。「日本共産党は『思想・信条の自由』『政党支持の自由』を侵す憲法違反の制度だと批判し、この制度創設に反対するとともに、一貫して受け取りを拒否してきた」のは万人の知るところ。
 また、「政治資金は、本来国民が拠出する浄財によってまかなわれるべき」であり、「政治資金の拠出は、国民の政治参加の権利そのものだ」という主張には同意せざるを得ない。政党助成金が、国民の政治参加の権利を歪め、政党間の公正な競争を阻害もしている。「民主主義壊す制度続けていいのか」という、問いかけは重い。
 その政党助成法廃止は、唯一政党助成金を申請していない共産党ならではの法案提出。全政党・会派への検討が呼びかけられているが、とりわけ「身を切る改革」を看板にしている維新の諸君には、ぜひとも見習って「助成金受領を拒否」していただきたい。それができなければ、共産党の爪の垢でも煎じて飲むべきだろう。

 一面左肩に、「北京五輪開幕 人権こそ中心課題」というスポーツ部長・和泉民郎のコラム。これはなかなかの見識。

 「人権侵害と五輪は両立できません。中国がこれに向き合わない姿は、開催国の資格すら問われます」「人としての根源的な権利が侵された場所が“人間賛歌”の舞台としてふさわしいのか。開催地を選べない選手にも不幸な事態です」
 2020年3月、国連の人権部門にいた専門家がまとめた「IOCの人権戦略のための勧告」が公表されている。北京大会について、「北京冬季五輪の大会に関する人権上の影響は深刻であり、対処は依然として難しい努力を要する」と言及されているが、IOCにその努力の形跡はない、という。この姿勢を堅持した赤旗の北京オリンピック報道に期待したい。その記事の下段に、「(中国の)人権弾圧に抗議 各国デモ」の記事と写真がある。

 そして一面下段に、「特効薬は消費税減税 全国中小業者・国会大行動 倉林氏訴え」という記事。

 「コロナ危機打開!消費税減税、インボイス制度実施中止を!社会保障の充実と地域循環型経済の確立を!」をスローガンに全国中小業者・国会大行動が4日、東京都内で行われた。国会大行動には約200人が参加。消費税率を5%に引き下げ、複数税率・インボイス(適格請求書)制度の即時中止を求める11万人の署名を持ち寄ったという。

第2面の右肩に、社説に当たる「主張」。「NHK虚偽字幕 すべての経過を明らかにせよ」との表題。

 「複数の視聴者団体は経過を明らかにすることをNHKに申し入れました。五輪反対デモの主催団体は、金銭でデモ参加者を集めたかのような悪質な印象操作が行われたと抗議、謝罪を求めています。」は、赤旗が市民運動に密着した取材を行っていることを示している。
 また、「この事態を引き起こしたのは、NHKが『(五輪)開催の機運を高める編成』を掲げ、五輪開催の旗を振ってきたことと無縁ではありません。NHKは、コロナ感染拡大で緊急事態宣言が出ているもとで、五輪中継一辺倒の放送を実施しました」と強調している。

2面の記事に「貧困の底が抜けた」「衆院予算委 コロナで参考人質疑」宮本徹・宮本岳志両議員が質問という詳報。

3面には、「佐渡金山めぐる安倍氏・岸田政権の動きとNHK報道」という、大型企画の記事が3本。「事実認め話し合ってこそ有効に」という、強制動員真相究明ネットワーク共同代表の飛田雄一さん、「歴史認識を『戦い』ととらえる愚」という永田浩三さんからの聞き書き。そして、「安倍氏の《号令》垂れ流したNHK『シブ5時』」という報道記事。「政権寄りどころか、歴史を偽造する立場に立って解説を垂れ流すことは、公共放送のあり方として厳しく批判されなければなりません」というまとめに集約されている。

第5面に、「核禁条約参加の日本に/日本原水協が運動方針提起/全国理事会」という記事と並んで「改憲阻止 運動広く/法律家らがキックオフ集会」の記事。

主催者が、「国民が求めているのは改憲ではなく、コロナから命と暮らし、子どもを守る政策だ」「火事場泥棒的に狙われている9条改憲を、主権者の声で断ち切ろう」と強調。

 早稲田大学の愛敬浩二教授が、「改憲派が現実政治では必要性がないのに、改憲を主張している」と指摘。「憲法を変えている時間はありません。いまやるべきことは、憲法を政治に生かすことです」と講演。

 続いて名古屋学院大学の飯島慈明教授は、各政党の改憲項目を批判。「環境権や教育無償化、データ基本権などは法律で対応可能なもの。自衛隊の明記や緊急事態条項は危険で無謀なもの」と語り、「850億円とも言われる税金を使う改憲発議は無駄遣いです」と述べた。

14面に「裁判官が突然退廷/東京地裁」「弁論権侵害」の記事。これについては、後日ブログで取りあげたい。

15面に、「団交拒否は「不当」/労組事務所撤去 大阪市の控訴棄却/大阪高裁」の記事。大阪市は団交を拒否して労働委員会で負け、これを不服とした行政訴訟の一審で負け、さらに昨日控訴審でも敗訴となったという報道。これは、維新に大きな打撃。

 大阪市が橋下徹市長時代に市庁舎内にあった大阪市役所労働組合(市労組)の事務所を強制撤去させた問題で、組合事務所供与について大阪市が市労組との団体交渉を拒否しているのは不当労働行為と認定した大阪府労働委員会の命令を不服として大阪市が命令の取り消しを求めていた裁判の控訴審判決が4日、大阪高裁(大島眞一裁判長)でありました。一審に続き、団交拒否は「正当な理由がない」として大阪市の主張を全面的に退け、控訴を棄却しました。

 管理運営事項を理由に市が団交に応じないことに対し、管理運営事項に当たらない事項を含み得る交渉事項の申し入れがされているとし、「団体交渉に応ずべき事項につき具体的に確認すべき立場にもかかわらず、十分に確認することのないまま団体交渉に応じないもの」であり、「正当な理由のない団体交渉の拒否にあたる」と認めました。
 さらに「市の対応は誠実な交渉態度といえないのみならず、労働組合を軽視し、弱体化させる行為」であり、労組法7条3号の「支配介入に該当する」と断じました。

以上の各記事は、下記URLで読むことができる。
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2022-02-05/index.html

 赤旗には広告欄がない。株価や競馬の欄も、皇室記事も芸能ゴシップもない。過剰なスポーツ記べーすべーすもない。その分市民運動や労働運動に関する情報が豊富である。文化面も充実している。あらためて思う。人権や民主主義に関心をもつ者にとって、またそのような運動に関与する者にとって、赤旗は貴重な情報源である。

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Published in 土曜日, 2月 5th, 2022, at 21:13, and filed under 未分類.

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