子も親も妻も、自衛隊員が災害救助に専念することを望みます。
ボクのお父さんは、じえいたいのたいいんです。
いま、熊本で大じしんのひがいでこまっている人たちを助けるために、いっしょうけんめいはたらいています。いぜんには、大つなみの岩手にはけんされました。
お父さんは、ゆくえふめいの人をさがしたり、こわれた道をなおしたり、食べ物をくばったり、お風呂をわかしてはいってもらったり、みんなにとってもよろこんでもらえるおしごとをしています。
ボクはそんなお父さんが、とてもりっぱだと思います。
でも、友だちからきかれました。つなみもじしんもないときには、なにをしているのって。ボクにはよく分かりません。お父さんにきくと、くんれんをしているんだよ、といっていました。くんれんって、どんなことをするんだろう。
お父さんが、いつもいつも日本じゅうのこまっているひとを助けるおしごとをしていると、ボクもうれしいし友だちにもじまんできます。お父さん、いつも、こまっている人をさがして助けてあげてください。
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私の子供は、陸上自衛隊の隊員です。
今は、熊本に派遣されて、現地で被災者の救援活動に携わっています。東日本大震災の際には、岩手県の三陸に派遣されて、死者の捜索や瓦礫の撤去、道路の修復などの作業を担当しました。
子供は、津波や地震の救援活動をとてもやりがいのあることと考えて、生き生きと任務に当たっています。「被害者や地域の住民と直接に接して、自分が役に立っていることを実感できる」と言っています。
被災地への救援の任務については生きがいを感じる、という子供の言を裏返せば、それ以外の自衛隊員としての通常任務では、生きがいを感じてはいないのかも知れません。少なくとも、「自分が役に立っていることを実感できる」状態ではないようです。
私は、自分の父から先の戦争での辛い体験を聞かされて育った世代です。自衛隊の存在や活動にいろいろな意見があることも知っています。でも、子供が自衛隊員として被災地の救援活動をしているときには、自衛隊にも子供にも誇りを感じます。
できれば、自衛隊の中に、災害救助の専門部隊ができればよいと考えています。そうすれば、子供はきっと真っ先に配属を希望するでしょう。射撃や格技の訓練ではなく、災害救助の専門部隊としての訓練を重ね、国内だけでなく海外にも、人命救助や被災地の復興のための活躍の場を与えられたら、子供はどんなにか張り切ってはたらくことでしょう。
私の子供だけでなく、多くの自衛隊員がそう思っているのかも知れません。それならば、災害救助の専門チームをどんどん大きく増やしていって、自衛隊の名前も災害救助隊と変えてはどうでしょうか。被災地では、迷彩服ではなく、被害者からもっとよく目立つ服装に変えた方がよいと思います。そして、予算もオスプレイやヘリ空母や爆弾に使うのではなく、人命救助やインフラ復旧のための機材や資材の購入に切り替えてはどうでしょうか。
そうすればきっと、私の子供も生きがいを獲得できますし、多くの国民が自衛隊(名前を変えた災害救助隊)を大切に思うようになることでしょう。
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私の夫は、自衛隊員です。今は、熊本で災害援助に当たっています。東日本大震災の際には、三陸の大槌町に派遣されていました。普段は、肩身が狭いような気持になることもすくなくないのですが、テレビで、被災地の自衛隊の活躍を見ると、とても誇らしい気持になります。
夫も、派遣された被災地での災害救助活動には、身が入っている様子です。夫の本来の任務が救援の活動であればよいと思い続けています。
私には、自衛隊という存在が平和のための抑止力になっているのか、それとも近隣の国々への脅威となっているのか、判断はいたしかねます。ただ、一ついえることは、夫の自衛隊員としての奉職は専守防衛のためと信じてのことです。防衛の任務が、国内だけでなく、海外であり得るとは長く考えたこともありませんでした。
ところが、最近急に風向きが変わってきて、心配でなりません。昨年9月には戦争法とも言われる安保関連法が、大きな反対運動を押し切る形で成立しました。難しくてよく理解できない「存立危機事態」には、海外にも防衛出動ができるようになって、夫にも派兵の出動命令が出されるかも知れません。それだけでなく、海外での後方支援活動でも戦闘行為があり得るというのです。
自衛隊は軍隊ではない、国防軍でもない。だから、けっして海外で戦争することはないと考えていたのですが、話しが大きく食い違ってきています。
夫は、人のために黙々とはたらくことが大好きな好人物です。被災地で、被災者のためにはたらくことを厭うはずはありません。そんな夫が、海外で戦闘に巻き込まれるような危険な任務を与えられぬよう、祈るばかりです。
(2016年4月21日)