澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

「大名旅行」の舛添さん、あなたは庶民感覚を忘れた裸の王様だ。

舛添さん、どうもあなたはアカンようだ。あなたには多少の期待をしていた。あの暗黒の石原都政時代が長すぎた。あなたが知事になって、都政が変わるのではないか、そう考えた私が愚かだったようだ。

あなたは庶民感覚を忘れてしまっている。それが、あなたはもうアカンという理由だ。あなたは、都民の目、都民の批判にあまりにも鈍感だ。あなたには、都民の心情に寄り添い、都民の期待を把握してそれに応えようという真摯さが感じられない。「都民からの批判あるのは当たり前、一々気にしていられるか」という為政者の感覚になってしまっている。

あなたが厚労大臣として活躍していたころには、なかなかのものだという印象をもっていた。しかも、あなたは都知事選において必ずしも石原後継というイメージを刻印されずに済んだのだ。あの石原慎太郎が、泡沫とみられていた田母神を応援したからだ。だから傲慢な石原都政とは一線を画した、中道の舛添カラー都政となるのではないかとの期待があった。

2014年都知事選では、保守・中道票は、細川・舛添・田母神に三分された。あなたは、中道リベラルの票は細川に、右翼票は田母神に侵蝕されたが、石原都政とは一線を画し、これを批判する立場に立てた。だから、都庁内の萎縮した雰囲気を変え、風通しのよい都政が期待できるかと、一瞬にせよ思わせたのだ。教育庁の人事も変わってくるだろう。現場の声に耳を傾けることになるのではないか。それが、どうもアカンことになっている。

昨日(4月23日)の毎日夕刊が、「宿泊は会議室付きスイート」「海外出張経費 都知事『高すぎ』」「首都圏3県知事が問題視」「条例上限超え総額年5686万円」「神奈川・埼玉・千葉の2?7倍」と報じている。共産党都議団の「宿泊スイートルーム1泊19万円/共産党都議団が抜調査報告」が赤旗に発表されたのが4月8日。その後各紙とも、このテーマを追っかけている。それでも、是正されないのだ。

毎日記事は、以下のとおり。
「東京都の舛添要一知事の海外出張経費について、首都圏の神奈川、埼玉、千葉3県の知事が高額さを批判している。舛添知事の宿泊費は条例の上限額を大幅に上回るが、3県知事は全員、2015年度の海外出張の宿泊費を条例の規定内に収めていた。埼玉県の上田清司知事は12日の定例記者会見で『東京都は財政に余裕があり、おおらかなお金の使い方だ。国民目線からはどうなのかなと正直思う』と皮肉った。」

「都条例では、知事の宿泊費上限は出張先で異なるが、最高で1泊4万200円。都人事委員会の確認を経れば上限を超えられる。共産党都議団が情報公開請求で得た文書によると、舛添知事は就任した14年2月以降、宿泊費が全て条例の上限を超え、最高はロンドンの1泊19万8000円。15年度末までの8回の出張で延べ10都市のホテルに宿泊し、うち7都市でスイートルームを利用した。
 これに対し、上田知事は15年度の北京出張で上限額を下回る1泊2万3000円のホテルを利用。埼玉県によると、過去5年度分の海外出張の宿泊費は全て上限額を下回り、多くで随行職員と同ランクの部屋に宿泊した。
 神奈川県の黒岩祐治知事も英国出張では上限額以下の1泊3万2200円。12日の定例会見で『効果が期待されるから、いくらでも使っていいということはない』と批判した。
 千葉県の森田健作知事も規定内に収め、ドイツ・オランダ出張は1泊2万4200円。県の担当者は『税金を使うのだから費用対効果を考えて予算を組むよう知事から指示されている』と話す。

 15年度の知事の海外出張経費総額(随行職員の経費含む)は都が約5686万円で3県の約2・2?7・7倍。3県の知事は飛行機の座席がビジネスクラスなのに、都は知事がファーストクラスで、一部職員もビジネスクラスを利用している。

 舛添知事は今月12?18日の米国出張で随行職員を昨秋のロンドン・パリ出張より4人減らして15人とし、一部職員の宿泊先は廉価なホテルにした。ただ、自身の宿泊は全て会議室付きスイートルームで5泊計73万5600円(条例の上限は5泊計20万1000円)。飛行機もファーストクラスを2度、ビジネスクラスを1度使い、自身の旅費総額は298万5650円だった。」

これに対するあなたの反論が、またアカンのだ。
「帰国した18日、舛添知事は『ホテルは二流、三流だと(相手に)「その程度なら会わない」と思われてしまう』と語り、22日の定例会見でも『会議を毎日やる。スイートルームという言葉だけで遊び回っている部屋みたいな誤解があってはいけない』と述べた。」

22日定例会見の内容は、東京都のホームページ(知事の部屋)で見ることができる。そこに次の質疑が掲載されている。
【記者】IWJの城石です。ホテルの宿泊費の件なのですけれども、必要な経費として舛添知事は訴えていますけれども、日本共産党都議団の出した資料によれば、スイートルームでの会見の記録というものは、石原都知事の時代からなかったということで、やはりこのスイートルームの宿泊費というのは、見直す必要があるのでは…。
【知事】部屋について言うと、会議のための部屋を一緒につけているのを、どう呼ぶかは、スイートルームと呼んでいるホテルもあるし、そうではない名前で呼んでいるホテルもあって、つまり、会議をやるわけです、そこで、毎日。例えば今回などもものすごい頻度で会議をやったのは、熊本地震がありました。刻々、全部情報が入って、「どういう形で警察を派遣しろ」「お医者を派遣しろ」と、こういうことを刻々やるわけです。そのために会議をやらないといけない。ホテルで会議のための部屋を特別にとったら、どれぐらいお金を取られると思いますか。そういうことのために使っているので、スイートルームという言葉だけで遊び回っている部屋のような、そういう誤解があってはいけないということです。
 それから、いろいろな方がお見えになりますけれども、極めて大事な政治的な話をするときに、公開すべきものではありません。ですから、来なかった、来たとかということで判断できる話ではないのです、はっきり言うと。結果として、仕事がちゃんとできないとだめだと。だから、仕事の内容を精査しておっしゃっていただきたいと思います。

【記者】朝日新聞の伊藤です。なかなか都民感覚では出張経費にかかった額に対して、やはり自分の生活感覚と比べてしまう部分もあって、理解しにくい部分があると思うのですけれども、今後、理解を得るための成果の出し方とか、伝え方で、何か具体的なアイデアがあれば教えてください。

【知事】それは、随行なさった方は分かると思いますが、現場でちゃんと記者会見をして、どういう成果があったということを言っていますので、それは皆さん方もちゃんと伝えてくださっていると思いますし、また、ホームページを通じて申し上げたいと。
 ただ、遊びに行っているわけではありません。物見遊山ではありません。仕事で行っているのだということをご理解いただいて、きちんと仕事ができる状況を整えるということも重要だということもご理解いただければと。

舛添さん、あなたは「遊びに行っている」「物見遊山をしている」と批判されているわけではない。都民の金銭感覚からすれば、交通費も宿泊費も高額に過ぎる。都民が拠出した税金の使い方が荒すぎはしまいかと疑問視され、その点を批判されているのだ。

都条例での知事の宿泊費上限は最高で1泊4万200円だという。この額は都議会が決めたものだ。近隣3県の知事は、各県条例の上限を遵守していて、どうして舛添さん、あなただけがその何倍もの宿泊費が必要となるというのだ。3県の知事は、出張先で会議などしていないというのだろうか。

本日(4月24日)の赤旗には、「『大名旅行』と批判殺到」の見出しで、次の記事がある。

「東京都の舛添要一知事が12?18日に米国出張し、航空運賃と宿泊費だけで計298万5650円を支出していたことが22日、わかりました。
 舛添知事はニューヨークとワシントンに出張し、両市長と懇談。桜の苗木を植樹し、証券取引所を訪問しました。都政策企画局によると、知事の宿泊ホテル代(5泊)は73万5600円で、航空運賃には225万50円を支出。往復ともファーストクラスで、米国内の移動はビジネスクラスでした。
 知事が宿泊した部屋は1泊14万100円?15万1800円のスイートルームで、都が条例で定めている上限額の3・5?3・8倍と高額でした。
 都によると、知事宿泊室での現地要人との面会はなく、招き入れたのは現地メディア2社の計2回だけで『社名や人数は言えない』としています。」
「都には『大名旅行だ』などと21日までに2469件の批判・意見が殺到しています」

政(まつりごと)の要諦は、「民の信なくんば立たず」にある。舛添さん、都民はあなたに、到底信を寄せることはできない。言い訳は見苦しい。都民の目からは、あなたは貪欲な裸の王様以外のなにものでもない。
(2016年4月24日)

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