澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

明日注目の沖縄県議選投開票?翁長県政への県民の信任を願って

注目の沖縄県議選投開票が、いよいよ明日(6月5日)。公選法上、選挙運動は今日(4日)までとなる。日本の矛盾を象徴する沖縄の民意のあり方を問う選挙としても、参院選の前哨戦として全国の動向を占う選挙としても、さらにはアベ政権と最もシビアに対決している沖縄県政に対する、県民の信任の可否としても注目せざるを得ない。その県民の選択が、国政に大きく影響しないはずはない。

13選挙区で48議席が争われる。もっとも、辺野古を抱える最注目の名護市区(定員2名)が無投票で2人の当選が確定したという。無所属で県政与党の親川敬と、自民党の末松文信が、与野党で1議席を分け合うかたちとなった、と報じられている。

残る12選挙区・46議席を69人の立候補者が明日県民の審判を受けることになる。名護選挙区を含む全立候補者は71名。政党別の内訳は、自民19、民進1、公明4、共産7、おおさか維新3、社民6、地域政党の沖縄社会大衆3、諸派5、無所属23。与野党別では、翁長知事与党36人、野党22人、中立13人。辺野古移設計画には、反対44、容認13、推進2(その他・無回答が12)と報じられている。

告示後選挙期間中の5月30日?6月1日、地方紙琉球新報社と沖縄テレビ放送が合同で世論調査を実施している。

最も注目された設問が、米軍属女性遺棄事件についての「米軍関係者の事件事故の防止策」である。県民が選択したトップは、「沖縄からの全基地撤去」(42・9%)だった。全基地撤去に賛否を問うての賛成4割の回答ではない。繰り返される女性に対する暴行殺害事件の再発防止策のトップが、「全基地撤去」であり、4割を超す県民の意見だということの意味は重い。「全基地撤去」の次が「在沖米軍基地の整理縮小」(27・1%)と続き、「兵員への教育の徹底」は19・6%だった。

5月26日の臨時県議会は、自民党議員退席後の全会一致で、初めて「海兵隊の全面撤退」の抗議決議を採択した。上記琉球新報世論調査では、「海兵隊の全面撤退」を求める意見が52・7%。「大幅に減らすべきだ」の31・5%を上回っている。また、日米地位協定については79・2%が改定・撤廃を求めた。

関心が集まる「米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設」には、83・8%が反対と回答している。そして、「米軍属女性遺棄事件」後の安倍内閣の対応について、70・5%が「支持しない」と答えている。これこそ、オール沖縄の総意というべきだろう。

調査を実施した琉球新報は、「辺野古移設への反対は‥12年12月の安倍政権発足以降の調査で最も高い値となった。普天間飛行場の移設はどうあるべきか聞いたところ、『国外移設すべきだ』が最も多く31・5%、次いで『すぐに閉鎖・撤去すべきだ』が29・3%、『県外移設すべきだ』が23・0%だった。」と解説している。アベ政権が「辺野古移転が唯一の策」と躍起になっている「辺野古移設計画を進めるべきだ」を支持する県民の意見は、9・2%に過ぎない。

日米地位協定についての県民の見解には注目しなければならない。
「全面撤廃」が34・3%、「根本的改定」が44・9%。両者を合わせると8割に近い。政府が掲げる「運用の改善」は15・2%。「自民党支持者でも63・6%が改定・撤廃を求めた」とされている。

日米安保条約については、「破棄すべきだ」が19・2%、「平和友好条約に改めるべきだ」が42・3%。「(現状のまま)維持すべきだ」は12・0%に過ぎない。これは瞠目すべき調査結果ではないか。

この調査結果に表れた沖縄県民の反基地感情の高揚に関して、菅義偉官房長官は昨日(3日)の記者会見で「真摯に受け止めたいと思う」「具体的に政府としてできることを関係省庁で早急に決めて、すぐにでもスタートする」などと述べ、同日午前に開かれた「沖縄県における犯罪抑止対策推進チーム」で取りまとめられた対応策を早急に進める考えを示した(琉球新報)と報道されている。

真摯な対応となれば、普天間早期返還実現、辺野古新基地建設断念、日米地位協定抜本改定、そして安保条約改定による非軍事同盟化とならざるを得ない。選挙直前だから「真摯に受け止めたいと思う」くらいは言っておこうとしか聞こえない。

この沖縄県民の民意がそのまま投票に反映すれば、県政与党の圧勝となるはず。アベ政権の改憲策謀に小さくない蹉跌をもたらすことになる。目前の参院選で、改憲阻止勢力を元気づけることにもなる。

共産、社民、民進、沖縄社大、そして与党系無所属の全候補者に声援を送りたい。是非最後までがんばって当選を勝ち得ていただきたい。一方、自民、公明、おおさか維新、野党系無所属の改憲推進派各候補者には声援を送らない。是非とも議席を減らしていただきたい。平和のために、人権のために、民主主義のために、何よりも沖縄県民の安全のために。そして、沖縄の犠牲をいとわないアベ政権への痛打のために。
(2016年6月4日)

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