澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

69回目の戦後の夏、時代に向き合う-「前夜」に言寄せて

今ならまだ間に合う。
明日では遅すぎる…かも知れない。
だから、今、声を上げなければならない。
今は、そのような「前夜」ではないか。

「前夜」に続く茶色の朝、
「改憲」が実現する悪夢の日。
歴史の歯車が逆転して、
いつかきた道に迷い込み、
その行きつく先にある、
「取りもどされた日本」。

69年前、
戦争の惨禍というこの上ない代償をもって、
われわれ国民は、主権と人権と、なによりも平和を手に入れた。
それまでの大日本帝国とは断絶した、
新しい原理に拠って立つ新生日本国を誕生させた。

「前夜」とは、
その新生日本国の原理が蹂躙される「恐るべき明日」の前夜。
邪悪な力による逆行した時代到来の前夜。
断絶し封印されたはずの過去が、新たなかたちでよみがえるその日の前夜。

訣別したはずの過去において、
 主権は天皇にあった。
 天皇は神として神聖であり、
 天皇の命令は絶対とされた。
 君と国とが主人であり、
 この地に生きるものは「臣民」であった。
 臣民には、恵深い君から思し召しの権利が与えられ、
 臣民はそのかたじけなさに随喜した。

 国が目指すは富国強兵。
 強兵こそが富国の手段で、
 富国こそがさらなる強兵を可能とする。
 「自存自衛」、「帝国の生命線防衛」の名の下、
 侵略戦争と植民地の拡大が国策とされた。
 そのための国民皆兵が当然とされた。

 学校と軍隊が、国家主義・軍国主義を臣民に叩き込んだ。
 国定教科書が、統治の対象としての臣民に、服従の道徳を説いた。
 排外主義と近隣諸国民にたいする優越意識が涵養された。
 男女平等はなく、家の制度が国家的秩序のモデルとされた。

このような理不尽な国家を支えた法体系の一端は、
 大日本帝国憲法
 刑法(大逆罪・不敬罪・姦通罪)
 陸軍刑法
 海軍刑法
 徴兵令

 讒謗律1875(明治8)年
 集会条例1880(明治13)年
 新聞紙条例1875(明治8)年
 保安条例1887 (明治20年)
 集会及政社法1890(明治23)年
 出版法1893(明治26)年
 軍機保護法1899(明治32)年
 治安警察法1900(明治33)年
 行政執行法1900(明治33)年
 新聞紙法1909(明治42)年
 治安維持法1925(大正14)年
 暴力行為等処罰法1926(大正15)年
 治安維持法改正1928(昭和3)年
 軍機保護法全面改正1937(昭和12)年
 国家総動員法1938(昭和13)年
 軍用資源秘密保護法1939(昭和14年)
 国家総動員法改正1941(昭和16)年
 国防保安法1941(昭和16)年
 治安維持法改正1941(昭和16)年
 言論、出版、集会、結社等臨時取締法1941(昭和16)年
 戦時刑事特別法1941(昭和16)年

議会制の終焉を告げる大政翼賛会の結成は
 1940年(昭和15年)10月。
 その後1年余で、太平洋戦争が勃発した。

今、歴史の歯車の逆回転を意識せずにはおられない。
日本国憲法が払拭したはずの旧体制の残滓が復活しつつあるのではないか。
自民党は、憲法改正草案を公表した(2012年4月)。
この草案自体が既に悪夢だ。
立憲主義を崩壊させ、日本を天皇をいただく国にし、
堂々の国防軍をつくろうという。
そして、「表現の自由」圧殺を公言するもの。

特定秘密保護法とは、
「国民には国家が許容する情報だけを知らせておけば足りる」
という思想をかたちにしたもの。
国民が最も知らねばならないことを、知ってはならないと阻むもの。
国民の知る権利の蹂躙は、民主々義の根幹を破壊すること。
そして、議会制民主々義を形だけのものとすること。
衆参両院の議員は、この悪法の成立に手を貸したのだ。

さらに、だ。
2014年7月1日集団的自衛権行使容認の閣議決定。
憲法の平和主義は後退を余儀なくされてはいるが、
専守防衛の一線で踏みとどまっている。
今、自衛隊が外国で闘うことはできない。
これを突破しようというのが、集団的自衛権行使容認。

防衛大綱は見直され、海兵隊能力が新設される。敵基地攻撃能力にまで言及されている。「軍国日本を取り戻す」まで、あと一歩ではないか。

法律だけでは、戦争はできない。
他国民への憎悪をかきたてなければならない。
それには、教育とメデイアの統制が不可欠なのだ。
大学の自治も教育の自由も邪魔だ。
権力の煽動に従順な国民が必要で、権威主義の蔓延こそ権力の望むところ。
排外主義を撒き散らすヘイトスピーチ大歓迎なのだ。
「憲法を守ろう」という声には、
「政治的」というレッテルを貼って萎縮させることも。

着々と、再びの悪夢の準備が進行しつつある。
いまこそ、あらゆるところで、声を上げよう。
その「恐ろしい明日」を拒絶するために、
今なら間に合う。声を上げられる。
明日では手遅れ、になりかねないのだから。
(2014年8月16日)

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Published in 土曜日, 8月 16th, 2014, at 16:40, and filed under 戦争と平和.

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