澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

石田和外、睦仁の教えを守り抜いた守旧の人。

(2021年1月1日)
年が変わった。しかし、「おめでとう」などという気分にはなれない2021年の年頭である。

去年今年を貫いているものは、内外ともに猖獗収まらぬコロナ禍、そして安倍から菅へと続く邪悪な政権。加えて、東京五輪強行という愚策というところ。

とはいうものの、今日の東京はこの上ない好天。空は飽くまでも青く澄み、風はない。散り敷いた落ち葉の黄や赤の色が鮮やかである。コロナ禍がウソのよう。

不忍池には氷が張り、遊歩道には霜が降りていた。インバウンドはなく、行き交う人は少ない。静かな中に、雀の群がかしましい。東京の風景も捨てたものではない。

例のごとく、五條天神で今月の「生命の言葉」を見る。新たに掲示されているのは、明治天皇(睦仁)の次の歌。

 あらし吹く世にも動くな人ごころ いはほに根ざす松のごとくに

御製というものは、御製であるというそのことだけで感興を殺ぐつまらぬものだが、とりわけこういう「上から目線教訓歌」には、虫酸が走る。どうせ不愉快に決まっているのだから、わざわざ掲示を読みに行くこともないのだが、「恐いもの見たさ」「つまらぬもの見たさ」という、不条理な誘惑に勝てない。

さて、いったい何だ? この歌は?

一見すれば、「たとえ、どのように嵐が吹きすさぶ、はげしい世の中の変動に会っても、巌の上に、どっしりと根を張っている松の木のように、しっかりとした信念を持って心を動揺させてはなりません。」という、昔あちこちにいた偏屈なじいさまのタワゴトのごとくではある。

しかし、これが「明治天皇御製(明治37年)」となると偏屈なじいさまのタワゴトでは済まない。明治37年とは1904年、日露開戦の年である。この歌が詠まれたのが、その年の何月であるかは知らないが、戦争と無関係ではあり得ない。

睦仁は、上から目線で臣民に対して教訓を垂れているのだ。「動くな 人ごころ」とは、決して「しっかりとした信念を持って心を動揺させてはなりません」などと、一般論を述べているのではない。「臣民たちよ。朕に対する忠誠の気持を揺るがせてはならない。その忠誠心をもって、この危急の時にロシアに対する闘争心を研ぎ澄ませ続けなければならない」と煽っている。そう、読むべきであろう。でなければ、気の抜けたサイダーのごとき、詠むにも聴くにも値しない意味のない駄歌・駄文に過ぎない。

もう一つ、思い出すことがある。1969年1月、かの石田和外が、5代目の最高裁長官になったときのメッセージ。彼は、こう言ったのだ。

 「裁判官は激流のなかに毅然とたつ巌のような姿勢で国民の信頼をつなぐ」

睦仁の歌での「吹く嵐に動かない、巖に根ざす松」が、「激流のなかに毅然とたつ、巌」となっているが、案外、和外の言葉は、この睦仁の歌を下敷きにしたものではなかったか。石田和外は、戦前だけでなく戦後も、時代錯誤の天皇崇拝者であったことで知られる。

この石田和外の言葉の表面を読んで、彼を「司法の独立」の擁護者と誤解してはならない。当時、戦後民主主義の結実として澎湃たる労働運動・平和運動・市民運動・学生運動等々が昂揚していた。この運動を押さえ込んで旧来の秩序を守ろうとする陣営との熾烈な軋轢が事件化し、種々の裁判闘争を生んでいた。そして、時代の潮流は裁判官をも巻き込みつつあった。これに歯止めを掛けたのが、骨の髄までの旧秩序派であり、天皇主義者でもあった、反動石田和外である。

彼の言葉は、こう読まねばならない。「日本の裁判官は今、日本国憲法の理念に忠実に人権や民主主義を守れという国民の声の激流のなかにある。しかし、それに押し流されてはならない。裁判官は、民主主義昂揚の潮流の中に毅然とたつ巌のような姿勢で、それを押しとどめ、これまでどおり自民党や財界や皇室などの厚い信頼をつながねばならない」

そして、彼はその言のとおり、司法の内部をパージしたのだ。石田和外、戦前の治安維持法裁判官であったが、戦後も実は何も変わらなかった。大日本帝国憲法下から日本国憲法に変わった世にあっても、睦仁の「あらし吹く世にも動くな人ごころ」という教えを守り抜いたのだ。「いはほに根ざす松のごとく」である。

今年も、多難な年になりそうだが、また1年このブログを書き続けたいと思う。

暮れに思う ー 改憲は、ウソつき晋三にできることではなかったのだ。

(2020年12月31日)
大晦日の今日、東京の新規コロナ陽性者数は1337人だという。気の滅入るようなコロナ禍の中2020年が暮れてゆく。明日の希望が見えるような年の瀬ではない。とは言え、日本国憲法を大切に思う者にとっては、特別の感慨がある今年の終わりである。

思い出す。2017年5月3日、憲法施行70周年となる憲法記念日の右翼の集会に、安倍晋三はビデオメッセージを送った。かれは自分の支持基盤に対して、あらためての改憲の誓約をした。そして、「2020年を新憲法施行に年にしよう」と、決意を述べたのだ。

「私は、かねがね、半世紀ぶりに夏季のオリンピック、パラリンピックが開催される2020年を、未来を見据えながら日本が新しく生まれ変わる大きなきっかけにすべきだと申し上げてきました。かつて、1964年の東京五輪を目指して、日本は大きく生まれ変わりました。その際に得た自信が、その後、先進国へと急成長を遂げる原動力となりました。」「2020年もまた、日本人共通の大きな目標となっています。新しく生まれ変わった日本が、しっかりと動き出す年、2020年を新しい憲法が施行される年にしたいと強く願っています。私は、こうした形で国の未来を切り拓いていきたいと考えています。」

その2020年が終わろうとしている。憲法は健在である。そして、今年安倍晋三が利用しようとした東京オリンピックはなく、安倍晋三は退陣して桜疑惑追及の醜態をさらしている。もちろん、菅義偉承継政権が信をおくに足りるものではない。学術会議任命拒否問題だけで正体見たりとの感はあるが、相対的に改憲意欲が高いとは見えない。

今年幕を引いた安倍政権とは何であったか。その国民の印象を12月19日毎日朝刊「仲畑万能川柳」蘭の掲載句がよくまとめている。

 リズムよし「モリカケ桜クロカワイ」 日南 たかの紀凜

安倍内閣とは、改憲勢力の与望を担って登場した改憲指向政権であった。保守内右翼が作った長期政権として、民族差別・歴史修正主義・対米従属の政権として、左派・リベラル陣営との強い緊張関係が絶えなかった。もしや、安倍晋三やその取り巻きが、廉潔な政治姿勢を維持していたとしたら、7年8か月の間に何らかの改憲ができていたかも知れない。

しかし、安倍晋三の国政私物化体質と、ウソとごまかしの政治姿勢は抜きがたいものとして、国民の反発を招き、数々の悪法を残しながらも、憲法に手を付けることはできないまま、政権の座を去った。言わば、ウソつき晋三のウソつき体質が、改憲世論の興隆を阻害したのだ。あらためて思う。憲法改正は真に国民の信頼を重ねてでなくては、なしえない事業なのだ。

退陣した安倍政権にレガシーというべきほどのものはなく、負のレガシーが「モリカケ桜クロカワイ」に代表される、国政の私物化と腐敗であった。このことを凝縮したのがこの句だが、いかんせんアベ政治の腐敗は「森友・加計・桜を見る会・黒川・河井」の5事件だけでは収まらない。IR汚職で起訴され、証人買収までして保釈を取り消された秋元司事件は欠かせない。今話題の農水大臣吉川貴盛の事件も。起訴は免れたが、大臣室で陳情に来た業者から現金を受け取った甘利明・元経済再生相。後援会の観劇ツアーの疑惑を追及されて、証拠隠滅のためにドリルでハードディスクを破壊した小渕優子・元経産相。そして下着泥棒疑惑で“パンツ大臣”と呼ばれた高木毅・元復興相。下村博文は、その「博友会」が政治団体の届け出をせずに政治活動を行ったという疑惑を追及された。まだまだ書き切れない。

これだけの不祥事の固有名詞を川柳に読み込むのは無理なのだ。狂歌でも都々逸でも不可能。長歌なら可能だろうが、覚えきれない。「スキャンダルいっぱいの」「ウソとゴマカシと違法だらけの」安倍政権というしかない。

「モリカケ桜クロカワイ」の中核に位置している「桜疑惑」。その一部である「前夜祭の収支疑惑」追及の告発がこの暮れに「安倍不起訴」となった。その安倍の記者会見と国会(閉会中審査における議運)での答弁が、また新たな疑惑を生んでいる。ウソを上塗りすると、新たなウソが生じるのだ。こうしてウソの追及をされ続けるのが、ウソつき晋三の宿命である。

明くる年もまた、ウソつき晋三に対する追及をゆるめることはできない。日本国憲法を擁護するためにも。

《デマ(D)と、ヘイト(H)と、チート(C)のDHC》 その社会的制裁が必要だ。

(2020年12月30日)
一昨日(12月28日)の夕刻、DHCの内部事情の取材にもとづいて、文春オンラインが下記の長大な記事をアップした。

【DHC現役社員が告発】ヘイト炎上の源泉は会長のヤバすぎる“差別通達”《タレントの出自に関する記述も》
DHC現役社員が告発 #1
https://bunshun.jp/articles/-/42628

DHC会長が全社員に口コミサイトへ“サクラ投稿”奨励「ゴールド社員の称号を与える」《消費者庁は「非常にグレー」》
DHC現役社員が告発 #2
https://bunshun.jp/articles/-/42629

【内部文書入手】DHCのヤバすぎる勤務実態「産休取得で降格、査定基準に“愛社精神指数”、ボーナスのお礼を会長にファクス」
DHC現役社員が告発 #3
https://bunshun.jp/articles/-/42630

これは読み応え十分である。産業社会学の基礎文献になり得る貴重なドキュメント。「#1」の記事が主としてヘイトを、「#2」が全社を挙げての消費者に対するダマシを、そして「#3」がこの会社のオーナー吉田嘉明の恐るべき独善的なブラック体質を語っている。安倍政権が「ウソとゴマカシのデパート」と揶揄されたが、DHCも負けてはいない。デマとヘイトにとどまらず、消費者へのウソとゴマカシ、自社従業員に対するイジメと締め付けのデパートにほかならない。

私は、これまで繰り返し、DHCを
D デマと
H ヘイトの
C カンパニー と呼び、
デマとヘイトとスラップ常習企業として、3拍子揃った反社会的企業と言ってきた。が、文春オンラインのこの記事を読んで考え直した。DHCとは、3拍子では足りない。少なくとも、6拍子を揃えた稀有なトンデモ企業なのだ。

D は、デマ。沖縄の平和運動を貶めるデマ。
H は、ヘイト。在日に対する、いわれなき偏見。
C は、チートのC。悪質な消費者ダマシ。
S スラップ常習企業。表現の自由の敵対者。
O オーナーのブラック体質。労働者保護の敵対者。
S 政治家への裏金提供企業。民主主義の敵対者。

つまりDHCとは、平和と真実と友愛と民主主義に敵対し、消費者をダマシ、労働者の人格を貶め、法令遵守の精神に欠けた反社会的企業である。

とりわけ、「DHC現役社員が告発 #2」の、「DHC会長が全社員に口コミサイトへ“サクラ投稿”奨励」「ゴールド社員の称号を与える」《消費者庁は「非常にグレー」》は、貴重で有益な記事だ。この会社のステマ(ステルスマーケティング)の悪質ぶりは本当にひどい。

結局DHCは、消費者を欺して商品を売り付けてきたのだ。欺されてきたDHC製品の購買者よ、怒らねばならない。消費者からのDHCに対する制裁がどうしても必要である。もう、金輪際、DHC製品を購入するのはやめようではないか。

この社会の一隅に、こういう非道で独善的な組織が存在している現実に戦慄せざるを得ない。これ、ひとえにオーナー吉田嘉明の罪業である。なにゆえ、こんな企業がこの現代の日本に存在しうるのだろうか。労働運動も、労働行政も、消費者運動も、消費者行政も、厚生行政も、市場原理も、なにゆえかくも無力なのだろうか。

安倍晋三をのさばらせたのは、山口4区(下関・長門)の有権者だけではない。私を含む日本国民だ。DHC・吉田嘉明を好き放題に増長させたのも、DHC製品購入者だけの責任ではない。メディアにも行政にも大きな責任がある。そして私自身を含む社会の無関心や不正への寛容がもたらしたものと言うべきであろう。DHCという存在は、この社会の歪みから生じているのだ。

DHCのこれからの消長は、日本国民の良識の水準を示すものになるだろう。

安倍晋三よ、もう悪あがきは止めて野党の4項目要求に誠実に応えよ。

(2020年12月29日)
報道によれば、野党4党でつくる「総理主催『桜を見る会』追及本部」は、昨日(12月28日)「桜を見る会」前夜祭疑惑の真相を解明するために、安倍晋三に対して、
(1) ホテルが発行した明細書を提出せよ
(2) 同領収書を提出せよ
(3) 安倍晋三が答弁を訂正したいとする事実と異なる箇所はどこか明確にせよ
(4) ホテルへの支出に見合う費用補てんの原資を明らかにせよ
という4項目の要求書を提出した。回答期限は1月初旬までである。同要求書は、衆参の議院運営委員長にも提出された。

国会内で記者会見した追及本部の黒岩宇洋事務局長(立憲民主党・衆院議員)は、12月25日衆参両院の議院運営委員会で行われた安倍晋三(前首相)への聴取の答弁で、「疑念は晴れるどころか、さらに深まった」「安倍前首相が発言を訂正したいとしている箇所すら具体的にわからない」と指摘。「安倍氏がしらを切るのなら、証人喚問しなければならない」と批判した。

田村智子追求本部事務局長代行(日本共産党・参院議員)は、「要求する4点は、疑惑の焦点である『桜』前夜祭が供応接待にあたるのではないかという核心部分のものだ。安倍氏は資料を示し、まともな説明をすべきだ」と強調。

また、日本共産党の宮本徹衆院議員は、「領収書が出てくれば宛先がわかり、(安倍前首相の資金管理団体である)晋和会の政治資金収支報告書が虚偽記載かどうかがわかる」と述べた。

また、4野党は、真相解明に向け、年明けの通常国会でも追及を続ける方針を明確にしている。

政治資金規正法の主たる立法趣旨は、以下のとおり政治資金の流れの透明化にある。
「議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開…の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することである(規正法1条より)。」

安倍晋三による国政の私物化、安倍晋三による「カネで政治を買い取ろうという汚い行為」の有無を監視するために、安倍晋三がどこから金を調達し、誰にどのように支払っているか、その資金の流れの透明化の確保を、法は要求しているのだ。

主権者国民は、常にこの透明化された政治資金の収支に関心を寄せて、監視し批判の対象としなければならない。

そのためには、
(1) ホテルが発行した明細書を提出せよ
(2) 同領収書を提出せよ
の2項目はあまりに当然の最低限の要求である。なお、1件当たり5万円以上の領収書等は、提出を義務付けられている書類でもある。

(4) ホテルへの支出に見合う費用補てんの原資を明らかにせよ
も同様である。今に至るも、いったい何を隠そうとしているのか。

(3) 安倍晋三が答弁を訂正したいとする事実と異なる箇所はどこか明確にせよ
は、少し趣が異なる。これは、安倍晋三特有の「ご飯論法」による答弁の不明確さ故の釈明要求である。

田村智子のいう「要求する4点は、疑惑の焦点である『桜』前夜祭が供応接待にあたるのではないかという核心部分のものだ」は、まことにそのとおりであろう。

買収・供応等の「カネで政治をねじ曲げる」実質犯を防ぐために、形式犯としての政治資金の透明化が求められているのだ。倫理にも法規制にも反する透明化要求拒否の姿勢は、当然に買収・供応等の「カネで政治をねじ曲げる」実質犯の存在を疑わしめるものと指摘せざるをえない。

安倍晋三の疑惑の追及は、ようやく本格的に始まった。まずは、4項目の要求に対する態度の誠実さを見極めようではないか。

中国では、いまだに密室での刑事裁判が行われている。

(2020年12月28日)
私は元々、嫌中でも反中でもない。むしろ、学生時代から中国の文物に親しみ、偉大な中国革命をなし遂げた中国の人民と中国共産党には畏敬の念を持ち続けてきた。

その畏敬の念が天安門事件を機に崩壊を始め、いま香港の事態の報道を通じて雲散霧消の寸前である。中国の人権と民主主義のありかたには絶望するしかない。どうしてこうなってしまったのだろうか。残念でならない。

私のような思いをもつ者は日本中に少なくないはずである。いや、世界中に無数にいるはずだ。延安からの苦難の長征を経て1949年の革命に至ったあの、輝ける理想に満ち満ちた中国人民と共産党は、今どこへ行ったのか。中国当局は、このような国際世論を歯牙にも掛けないというのだろうか。

私の無念の気持ちを、さらに鞭打つ中国の人権状況の記事は、毎日続いている。昨日と本日の記事3件を引用しておこう。法廷の公開さえ行われない人権を無視した中国刑事訴訟の実態の記事、中国に司法の独立などないことを示す香港司法の記事、そして武漢における報道の自由抑圧の記事である。

経済がうまくまわっている外観あれば、このような野蛮の横行が放任されるということなのであろうか。事態は深刻である。いや、深刻な事態に、私がようやく気付いただけなのか。

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「香港活動家を秘密裁判 中国・深センで拘束4カ月」「あす初公判 家族抗議『人権無視』」(昨日(12月27日)付赤旗)

中国広東省深セン市で4カ月にわたり拘束され、16日に起訴された香港人活動家10人の初公判が28日に同市の裁判所で開かれることが25日にわかりました。活動家の家族が中国当局指定の弁護士から得た情報を香港メディアが報じました。

香港メディアによると、裁判は非公開の「秘密裁判」で開かれ、傍聴やインターネット中継もなし。判決文も公開されず、結果は弁護士から家族に知らされるだけだといいます。家族らは25日に声明を発表し、「基本的人権を無視し、中国が対外的に宣伝する『陽光の司法(公開された司法)』原則に反している」と中国当局を強く非難。その上で、
 (1)裁判をネットで中継する
 (2)家族の代表や家族が委託した弁護士、内外メディアや各国外交官らの傍聴のもと、公開の裁判を行う
 (3)判決文を公開する
 (4)判決後、家族が活動家に面会できるようにする
―ことなどを求めました。

香港人活動家らは8月下旬、計12人で香港から台湾へ密航する途中、海上で中国当局に拘束されました。この中には、8月に国家安全維持法(国安法)違反容疑で逮捕され保釈中だった李宇軒氏も含まれています。10人のうち李氏ら8人は違法な国外渡航を企てた罪で、2人は違法な国外渡航を組織した罪で起訴されました。違法な国外渡航の罪の最高刑は禁錮1年で、違法な国外渡航を組織した罪は2?7年の禁錮刑だといいます。

16日に起訴されなかった2人の状況は判明しておらず、家族は情報を公開するよう中国当局に求めています。

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「中国共産党機関紙、黎智英氏の保釈決定非難−本土で裁判可能と警告」(Bloomberg2020年12月28日12時20分)

中国共産党機関紙の人民日報は週末の論説で、香港高等法院(高裁)がメディア企業のネクスト・デジタル(壱伝媒)創業者、黎智英(ジミー・ライ)氏の保釈を23日に認めたことを激しく批判し、裁判を本土に移して行う法的根拠があると警告した。

人民日報は黎氏(73)を「悪名高い極めて危険」な人物だとし、同氏が保有する資産と外国勢力の「動機」を考えると、保釈金が没収されても問題なく、逃亡は難しくないと指摘した。黎氏は今月、外国勢力と結託したとして香港国家安全維持法(国安法)違反の罪で起訴されていた。

人民日報は、国安法55条を中国が発動する十分な根拠があると主張。55条は外国の関与などで複雑な事案となる場合、もしくは香港政府が事実上法執行できない深刻な状況が生じた場合に中国は「国家安全を脅かす犯罪に関する事案に管轄権を行使」できると定めている。

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「武漢の実態『虚偽情報伝えた』として起訴 裁判開始」(ANN ニュース(国際) 2020年12月28日 12:29)

新型コロナウイルスの感染が最初に拡大した中国・武漢の惨状を伝えたことで起訴された中国人ジャーナリストの裁判が開かれています。
元弁護士の張さんは市民ジャーナリストとして武漢の病院の実態や遺族への当局の圧力などをSNSで発信しました。5月に突然、滞在中のホテルで拘束されて「悪意を持って嘘の情報を伝えた」などの理由で起訴されました。最長5年の禁錮刑になる可能性があります。張さんは留置施設で「当局批判に対する仕打ちで裁判自体が違法だ」として抗議のための絶食、ハンガーストライキを続けていて、健康状態が悪化しているということです。

「武漢コロナ情報で懲役4年 SNS発信で市民記者有罪 上海」(共同)

新型コロナウイルス感染症に関する「虚偽」情報を中国・武漢からネット上に発信したとして、公共秩序騒乱の罪に問われた市民記者、張展氏(37)に対し、上海の裁判所は28日、懲役4年の判決を言い渡した。この日が初公判で、即日判決となった。新型コロナを巡る情報発信で有罪となったケースは初めてとみられる。

 起訴状などによると、張氏は今年2月以降に武漢から医療現場の混乱ぶりを伝え、遺族が当局に抑圧されている問題も発信。6月に逮捕され、9月に起訴された。

露骨に企業のホンネを見せつけた、「アキタフーズ」と「DHC・吉田嘉明」。

(2020年12月27日)
久しぶりに安倍晋三の「記者会見」や「委員会答弁」に接して、あらためて腹立たしい思い。この男、日本の政治を腐敗させた元兇。あわよくば憲法を壊そうとまでしたのだ。そしてこの男、国会での数々のウソを「心から反省」「政治責任を痛感」などと言いながら、議員に居座ると開き直っている。いま、「安倍晋三の議員辞職を求める」「議員をやめろ、アベヤメロ」というスローガンが実践的に重要だと思う。

そのアベ政治の負の遺産が、あちこちに吹き出している。その中の一つとして、吉川貴盛元農水相の受託収賄疑惑がある。賄賂としての現金授受は3度にわたり、合計500万円。授受の趣旨や職務との関連性が明確である。そして、この賄賂の収受の後に政策が動いている。

吉川貴盛が安倍内閣の農水大臣だったのは2018年10月2日?2019年9月11日、ごく最近のこと。果たして腐敗は農水大臣限りのものなのか、またアキタフーズだけのことなのか疑心暗鬼とならざるをえない。

批判の目は、吉川とその背後のアベ政治に向けられているが、吉川に汚いカネを渡した鶏卵生産大手「アキタフーズ」(広島県福山市)に注目したい。3回にわたって直接に現金を渡した贈賄実行者が、グループの「元代表(87才)」だというが、氏名を特定しての報道はなされていない。便宜、この人物をAとしておこう。

報道によれば、Aは、家畜にとってストレスの少ない飼育環境を目指す「アニマルウェルフェア」(AW)をめぐり、農水族を中心とした政治家らに陳情を重ねていたという。

「アニマルウェルフェア」(AW)とは、部外者にはなじみがないが、農水省はこう説明している。

我が国も加盟しており、世界の動物衛生の向上を目的とする政府間機関である国際獣疫事務局(OIE)の勧告において、「アニマルウェルフェアとは、動物の生活とその死に関わる環境と関連する動物の身体的・心的状態」と定義されています。
アニマルウェルフェアについては、家畜を快適な環境下で飼養することにより、家畜のストレスや疾病を減らすことが重要であり、結果として、生産性の向上や安全な畜産物の生産にもつながることから、農林水産省としては、アニマルウェルフェアの考え方を踏まえた家畜の飼養管理の普及に努めています。

《生産性の向上》と《安全な畜産物の生産》が、政策目的として挙げられているが、コスト高になることから業者は反対したのだ。明らかに、「アニマルウェルフェア」(AW)とは、消費者利益のための業者規制の政策である。この政策を嫌った業界から主務大臣への賄賂の提供は、営利追求を本質とする企業の恒常的な衝動の表れにほかならない。このような犯罪の誘発は、安倍政権の業者に甘い体質の表れとみるべきであろう。安倍自身の責任も小さくはない。

消費者の声を背にした行政による業者規制と、それに対する業界からの反発は、この社会の政治と経済の基本構造に根差している。消費者や労働者や生活者は行政を通じて業者に対する厳格な規制を求め、業界は常にこの規制を緩和せよ撤廃せよと蠢動する。

常識的に、Aは自社の利益のために行政を動かそうと画策した。しかし、賄賂の提供が明るみに出た今、「(鶏卵)業界のため」の現金提供だったと「弁明」しているという。個別企業でも業界でも、薄汚い事業者は、政治や行政に携わる者に、カネを渡し利益を供与して、自社の儲けの障害となる行政規制を取り除こうとあがくのだ。

6年前の「週刊新潮記事」を思い出す。ある経営者の「独占手記」の次の一節である。

 私の経営する会社は主に化粧品とサプリメントを取り扱っています。その主務官庁は厚労省です。厚労省の規制チェックは他の省庁と比べても特別煩わしく何やかやと縛りをかけてきます。天下りを一人も受け入れていない弊社のような会社には特別厳しいのかと勘ぐったりするぐらいです。
 いずれにせよ50年近くのリアルな経営に従事してきた私から見れば、厚労省に限らず官僚たちが手を出せば出すほど日本の産業はおかしくなっているように思います。つまり霞が関官僚機構の打破こそが今の日本に求められる改革であり、それを託せる人こそが私の求める政治家でした。ですから声高に《脱官僚》を主張していた渡辺喜美さんに興味を持つのは自然のこと。少なくとも5年前はそうでした。

 よくもまあ、こうまで露骨に消費者利益のための社会的規制に悪罵を投げつけられるものと驚嘆せざるをえない。記者から追い詰められて、こうしゃべったのではなく、無邪気に自分から「手記」を書いたのだ。およそ、企業の社会的責任(CSR)や、企業倫理コンプライアンスなどの世のトレンドとは無縁の、「非良心派経営」の典型。これが、DHCの吉田嘉明の「独占手記」である。タイトルは、「さらば器量なき政治家 渡辺喜美」。これに「借金8億円を裏金にして隠したみんなの党代表」と副題が付いている。

私は、吉田嘉明の渡辺喜美(当時、みんなの党代表)に対する、8億円の政治資金支援に関して、「矜持のない政治家を金で買った」「金で政治を買おうというこの行動は…徹底して批判されなくてはならない」、「DHC吉田が8億出しても惜しくないのは…『規制緩和という政治』を買い取りたいからなのだ」、「金を持つ者がその金の力で政治を自らの利益をはかるように誘導することを許してはならない。DHCの吉田嘉明はその許すべからざることをやったのだ」「自らの私益のために金で政治を買おうとした主犯が吉田。…渡辺だけを批判するのは、この事件の本質を見ないものではないか」と批判の記事をブログに掲載した。

このブログを怪しからんとして、DHC・吉田嘉明は私に、6000万円請求のスラップ訴訟を提起した。こういう恥ずかしい訴訟を受任する弁護士も現実に存在するのだ。

明らかに「吉田嘉明はカネで政治を買おうとした」のだ。「カネで政治を買おうとした」とは、言論の応酬によってのみ成り立つべき民主主義の政治過程において、カネの力で政治への影響力を獲得しようと企図したとの意である。渡辺喜美は小なりとはいえ公党の党首である。ワンマンとしても知られていた。渡辺に巨額のカネを注ぎこむことによって、一政党を事実上支配し、国政に自らの意図する方向での影響力を及ぼすことができると考えたものと合理的に推察される。これは、常識的な思考のしからしめるところである。

もとより、政治が個人や企業の経済力によって左右されるようなことがあってはならない。「民主的な政治過程がカネの力で歪められてはならない」「カネで政治を買ってはならない」という規範は、憲法上の理念や教科書上の倫理にとどまるものではなく、政治資金規正法が刑罰の制裁をもって具体的に規正しているところである。同法は、政治資金の動きの透明性を徹底することだけでなく、個人や企業(政治資金出捐者)と政治家・政治団体(政治資金受領者)間の政治資金の授受の限度額を法定して、「カネの力で民主的な政治過程が歪められることのないよう」規正し、国民による政治に「不断の監視と批判」を実効あらしめるべきことを法定している。

「アキタフーズ」のAが主務大臣に500万円を提供したという報道に照らして、DHC・吉田嘉明の渡辺喜美に対する8億円提供の事実の重大性を再認識せざるをえない。私のDHC・吉田嘉明に対する批判は、「許される言論」の範疇ではない。私は、民主主義に望まれる主権者の行動として、「カネの力で民主的な政治過程が歪められることのないよう」「不断の監視と批判」を実行したのだ。

最近は、DHC批判は、デマとヘイトとスラップに集中しているが、カネで政治を買おうという、その体質の根本をも批判の対象としなければならない。

安倍晋三告発に対する処分通知書

(2020年12月26日)
本日、東京地検から処分通知書が届いた。安倍晋三後援会の「桜・前夜祭」収支報告疑惑についての告発の件である。起訴と不起訴の結果の通知だけ。告発状の提出は、今年の5月と、12月22日提出の2度に渡っている。それに対応して、通知書は2通となっている。後者は、前者に晋和会関係の政治資金規正法違反を加えてのもの。

いつものことながら、なんとも素っ気ない「処分通知書」である。不起訴の理由は付記されていない。あらためて地検に請求をしなければ、嫌疑なしの不起訴か、起訴猶予なのかは分からない。分かったところで、どうなるものでもないけれど…。

いずれにせよ、これで検察審査会への審査申立の資格を得たことになる。安倍晋三に対する国会での追及と彼の答弁に関心を寄せつつ、審査申立をすることにしよう。

ところで、告発の二つの被疑罪名、政治資金規正法違反(収支報告書不記載)公職選挙法違反(有権者に対する寄付)との関係について一言。

安倍晋三は、秘書が独断でしたという前夜祭での不足分補填費用の報告書不記載についての動機を聞かれて、「分からない」で済ませている。そして、「届出さえしていれば、問題はなかったんですけど」と強調して見せている。記者会見においても国会での答弁でも同様である。

「収支報告書に記載して、届出さえしていれば問題はなかった」はずはない。「問題があった」からこそ、届出ができなかったのだ。

安倍晋三は、総理大臣主催の公的な「桜を見る会」を私物化して、自分の後援会行事にしてしまった。こうして、集めた後援会員の純粋に私的な飲み食いに、不足分を安倍晋三側が補填したのだ。明らかな、利益供与ではないか。古典的な買収供応行為以外のなにものでもない。そのことを意識していればこその、政治資金収支報告書不記載というほかはない。

だから、公職選挙法違反(有権者に対する寄付)と「政治資金規正法違反(収支報告書不記載)」とは、表裏一体の関係なのだ。「政治資金規正法違反(収支報告書不記載)」での安倍晋三不起訴にも大いに不満だが、実質犯である公職選挙法違反(有権者に対する寄付)においては、「秘書の責任すら認められない」のは、とうてい納得しえない。

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〒113-0033 東京都文京区本郷…
澤藤統一郎 殿

処 分 通 知 書

令和2年12月24日

東京地方検察庁
検察官検事  田 渕 大 輔  印

 

貴殿から令和2年5月7日付で告発のあった次の被疑事件は,下記のとおり処分したので通知します。

1 被疑者 (1)安倍音三
      (2)配川博之
      (3)阿立豊彦
2 罪名  (1),(2)につき,公職選挙法違反
(1)?(3)につき,政治資金規正法違反
3 事件番号 (1) 令和2年検第18325号
       (2)    同  18326号
       (3)    同  18327号
4 処分年月日  令和2年12月24日
5 処分区分 (1)(3)不起訴
       (2)政治資金規正法違反につき,略式命令請求
         公職選挙法違反につき,不起訴

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〒113-0033 東京都文京区本郷…
澤藤統一郎 殿

処 分 通 知 書

令和2年12月24日

東京地方検察庁
検察官検事  田 渕 大 輔  印

 

貴殿から令和2年5月7日付で告発のあった次の被疑事件は,下記のとおり処分したので通知します。

1 披疑者 (1)安倍晋三  (2)配川博之
      (3)阿立豊彦  (4)西山 猛
2 罪名 (1),(2) につき,公職選挙法違反
(1)?(4) につき,政治資金規正法違反
3 事件番号 (1) 令和2年検第18325号
       (2)    同  18326号
       (3)    同  18327号
       (4)    同  32650号
4 処分年月日  令和2年12月24日
5 処分区分 (1)(3)(4) 不起訴
       (2)告発状記載の告発事実第1の2乃至5につき略式命令請求,その余につき不起訴

市民目線は、黒川を「起訴相当」と判断した。次は安倍の番だ。

(2020年12月25日)
なんという絶妙な天の配剤であろうか。昨日(12月24日)、安倍晋三が秘書に全ての責任を押し付けて、自らは不起訴処分となったその日に、黒川弘務・起訴相当の検察審査会議決が公表された。その結果、本日の新聞の一面で、安倍とならんで黒川の写真が載っている。

安倍晋三のレガシーである「モリカケ桜クロカワイ」と謳われたあの黒川である。安倍官邸の守護神と異名をとった東京高検元検事長の、あの黒川弘務である。議決をしたのは、東京第6検察審査会。議決は、《不起訴不当》ではなく、《起訴相当》である。これは厳しい。

世が世なれば、賭けマージャンに足をすくわれることさえなければ、いまごろ黒川弘務は検事総長の地位にあったはずである。その黒川を起訴して刑事被告人とせよ、と言うのが市民目線による検察審査会の判断なのだ。

黒川は、産経記者(2人)と朝日の元記者とともに賭けマージャンを繰り返していたことが明るみに出て、職を辞した。官邸の守護神も、自らを守ることはできなかったのだ。職を辞した黒川を、市民団体が賭博罪で告発した。

賭けマージャンは賭博罪に当たる。これには疑問の余地がない。問題は、刑事訴追に値するだけの悪質性・重大性があるか、である。黒川の賭マージャンのレートは点ピン(1000点を100円に換算するもの)であった。おそらくは、起訴不起訴の境界近辺の微妙なところ。起訴・不起訴どっちに転んでも、おかしくはない。

告発を受けた東京地検は起訴猶予処分とした。「1日に動いていた金額が多いとは言えない」という理由であったという。告発をした者は、不起訴の処分に不服があれば、検察審査会に審査を申し立てることができる。果たして、黒川不起訴(起訴猶予)の処分は適正であったか否か。市民団体が、検察審査会に審査を申立てたのは、「身内に甘い」という指摘が中心だったようだ。

本件には、事実認定や法律解釈に困難な問題点はない。市民感覚での、検察官の犯罪を不起訴にしてよいのかという判断が求められたのだ。検察審査会の議決は下記の3種。
(1)不起訴相当
(2)不起訴不当
(3)起訴相当

(3)の起訴相当の議決には、11人中8人の賛成が必要とされている。東京第6検察審査会は、黒川については高いハードルをクリヤーして、「起訴相当」にした。なお、新聞記者ら3人については「不起訴不当」の議決に留まった。

議決の中で審査会はこう述べているという。
「賭けマージャンはいわゆる『点ピン』と呼ばれるルールで行われ掛け率や賭け金が格段高いとはいえないが起訴猶予が当然というほど射幸性が低いとも言えない。東京高検検事長という重責にあり、違法行為を抑止する立場にあった元検事長が漫然と継続的に賭けマージャンを行っていたことが社会に与えた影響は大きく動機や経緯に酌むべき事情はない」

地検は再捜査のうえ再処分をすることになるが、再び不起訴なら検察審査会が再議決を行う。再び8人以上の賛成で「起訴議決」となれば強制起訴となる。

黒川と安倍、持ちつ持たれつで、相親しく相似たりの間柄。「起訴相当」議決を受けた今日の黒川は、安倍の明日の姿である。同じ紙面の顔写真を見て、つくづくとそう思う。

人は、自分に不都合な真実は語りたくない。だから安倍は、桜前夜祭問題では、声を張り上げて、118回もウソを繰り返した。しかし、人は不都合な真実を隠し通せないことを覚るや、その限りで一見しおらしく不都合な真実を語る。安倍も、一部の不都合な真実を語るが、それは「もっと大きな不都合な真実」を覆い隠すためである。ウソつき晋三の「秘書がやったことで、私は知らないかった」を、いったい誰が信じえようか。もっと大きな「不都合な真実」が暴かれるとき、安倍も起訴相当となり、強制起訴となる。

本日、安倍晋三は、閉会中審査の国会で新たなウソをつきはじめた。そのことについては通常国会でのさらなる追及が必要である。のみならず、検察審査会の議決においても追い込まなければならない。安倍晋三は、かつての守護神の轍を踏みつつある。

安倍晋三は、さぞや臍を噛んでいることだろう。この日あることを考えたがために、黒川を強引に検事長とし、さらには検事総長にまでしようとしたのだ。今は、守護神どころか、貧乏神ではないか。オレを守るはずが、自分のことも守れないとは。

また、安倍晋三はこうも思っていることだろう。オレのツキも、もうなくなった。まだツキがあるうちは、オレの手で憲法改正もできそうだという気もしていたが、もうだめだ。結局改憲派のツキがなくなったということなのだな。

安倍晋三という人物への対応をめぐって、国民の民度が問われている。

(2020年12月24日)
日本国民の民度なるものの寸法が、安倍晋三という人物にぴったりだったのであろう。国民は、この上なくみっともない政権投げ出しのあとの安倍の復権に寛容であった。のみならず、何と7年8か月もの長期政権の継続を許した。

そのアベ政治が残したレガシーを「モリカケ桜クロカワイ」という。毎日新聞仲畑川柳欄投句の名言である。森友・加計・桜を見る会・黒川・河合、いずれも安倍晋三とその取り巻きによる政治腐敗、国政私物化を象徴する事件。嘘とゴマカシに充ち満ちた負のレガシーである。

その安倍晋三、一見しおらしく、本日の記者会見で、「国民のみなさま」に謝罪した。「深く深く反省するとともに、国民の皆さまにおわび申し上げます」と頭を下げたのだ。

安倍晋三によると、「会計責任者である私の公設第1秘書が、(桜を見る会前夜祭での)政治資金収支報告書不記載の事実により略式起訴され、罰金を命ぜられたとの報告を受けた」。「こうした会計処理については、私が知らない中で行われていたこととはいえ、道義的責任を痛感している。深く深く反省するとともに、国民の皆さまにおわび申し上げます」「今般の事態を招いた私の政治責任はきわめて思いと自覚しており、真摯に受け止めている」という。

難解なアベ語を翻訳すると、こんなところだろうか。

「これまでずっと、繰り返しウソをつき続けてきたんだけど、ばれちゃったから一応ゴメンネって言うの。でも、あれはみんな秘書がやったことなの。その秘書が罰金100万円の責任とったんだから、もう問題済んだよね。ボク、な?んにも知らなかったんだから、しょうがないでしょ。ただね、みんな怒っているようだから、取りあえず『政治責任を自覚』って言ってみたんだ。どういうふうに、政治責任をとるかって? そんなこと、なーんにも。口だけ、口だけ。これまでそれで通ってきたんだから,今回もそれでいいでしょ。今回ちょっとまずかったから、これからはバレないように気をつけなくっちゃね」。

「桜を見る会」とは何であったか。各界の功労者を招いて総理大臣が主催する、公的行事である。これを安倍晋三は,露骨なまでに私的な後援会活動に利用した。これを許したのは山口4区の選挙民の民度である。下関・長門両市民は大いに恥ずべきである。石原慎太郎を知事にした、かつての東京都民より以上に。

しかし、公的行事である「桜を見る会」の私物化が明らかになっても、国民の民度は十分な安倍批判をなしえなかった。やむなく、「桜を見る会」ではなく、「桜を見る会」とセットにされた後援会主催の「前夜祭」の、その収支報告書の不記載という、本筋ではないところに問題の焦点を宛てざるを得なかった。そして、本来であれば、国民の怒りをもって国政私物化政権を糾弾しなければならないところ、検察への告発という形で安倍晋三を追い詰めたのだ。

しかし、本日の段階では、安倍は不起訴で逃げ延びた。たくさん持っている尻尾の一つを切り落として。しかし、まだ問題は解決していない。国会での追及もある。検察審査会もある。なによりも、世論の糾弾が重要なのだ。

不起訴処分となって、「深く深く反省するとともに、国民の皆さまにおわび申し上げます」と頭を下げる安倍晋三の姿を見る国民の感想は両様あろう。「不起訴で済ますとは怪しからん。天性のウソつきの嘘を見抜けない検察の何という甘さ」という嘆きと、「権勢を誇った有力政治家でも、こうして主権者国民に謝罪しなければならないのだから、わが国の民主主義もけっして捨てたものでもない」という評価と。

さて、どの程度の民主主義の水準を望むのか。いま、安倍晋三という人物への対応をめぐって、日本国民の民度が問われている。

「秘書がやったこと」という弁明を許さない ー 安倍晋三告発のお勧め

(2020年12月23日)
なんとも不愉快なことに、「桜を見る会・前夜祭」の収支報告疑惑について、東京地検特捜部は、安倍晋三を事情聴取したうえで不起訴処分の方向だという。

公設第1秘書(配川博之)については年内に略式起訴する見通しだというが、安倍晋三を「共謀に問うのは困難だと判断した模様」と報道されている。それはおかしい。そんな幕引きは、許されない。必ずしも、共謀の立証がされなくても、「知らぬ存ぜぬ」の安倍を起訴することはできるのだ。

 「みんな秘書がやったこと」「私は秘書のやってることを知らなかった」という言い訳を許さないために政治資金規正法25条2項がある。その活用が必要だ。

そこで、このブログに目を留めた皆様に訴えたい。安倍晋三の尻尾切りの逃げ得を許さないために、ぜひ、下記の告発状の様式を活用し、安倍晋三を告発していただきたい。A4・3頁に過ぎない。自署捺印をして下記宛、郵送すればよい。告発が不起訴処分となれば、その処分を不服として検察審査会に審査を申し立てる資格が与えられる。積極的に、憤懣を行動に表してみてはいかがだろうか。選挙だけではない。これも、政治参加の一手段である。ぜひ、自ら言いたいことも書き添えて、国政私物化の張本人の告発を。

〒100-8903 千代田区霞が関1丁目1番1号
東京地方検察庁特捜部御中

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告  発  状

年  月  日

東京地方検察庁 御中

告発人 住所

氏名                印

被告発人
 住所 東京都千代田区永田町2丁目2番1号 衆議院第一議員会館1212号室
 氏名 安倍晋三 (衆議院議員・晋和会代表者)

被告発人
住所 同上 衆議院第一議員会館1212号室 晋和会事務所
氏名 西山猛(晋和会会計責任者)

告発の趣旨

 被告発人西山猛の後記各行為は、政治資金規正法第25条1項1号(政治資金収支報告書不記載)に該当し、これに関連する被告発人安倍晋三の行為は同法第25条2項に該当する。
よって、上記の各被告発人につき、厳正な捜査と処罰を求める。

告発の事実

第1 被告発人安倍は、国会議員安倍晋三の政治資金管理団体である晋和会の代表者であり、被告発人西山は晋和会の会計責任者である。
西山は、政治資金規正法第12条1項により、晋和会の収支について、毎年所定の時期に政治資金収支報告書を作成して、山口県選挙管理委員会を経由して総務大臣に提出すべき義務を負い、その義務の不履行は同法25条1項の犯罪として、5年以下の禁錮または100万円以下の罰金に処せられる。
安倍は、当該政治資金収支報告書の記載が正確になされるよう、会計責任者の選任ならびに監督について相当の注意を尽くすべき義務が課せられ、その違反者は50万円以下の罰金に処せられる。

第2 被告発人西山の責任
1 被告発人西山は、下記各日に各ホテルにおいて恒例行事として行われた「安倍晋三後援会 桜を見る会前夜祭」の代金補填分として、晋和会会計から各金員を各ホテルに支出したにもかかわらず、晋和会の各年分の収支報告書に上記補填分合計916万円の支出及びその原資となる収入を記載することなく、山口県選挙管理委員会を経由して総務大臣に提出した。
(1) 2015年4月17日 ホテルニューオータニ東京 157万円
(2) 2016年4月8日 ANAインターコンチネンタルホテル東京 177万円
(3) 2017年4月14日 ホテルニューオータニ東京 186万円
(4) 2018年4月17日 ホテルニューオータニ東京 145万円
(5) 2019年4月17日 ホテルニューオータニ東京 215万円
2 以上は、政治資金規正法25条1項1号に違反し、法定刑の5年以下の禁錮または100万円以下の罰金の範囲で処罰されねばならない。

第3 被告発人安倍の責任
安倍は晋和会の代表者として、永年にわたる上記西山の犯罪行為をうかつにも知らなかった場合には、犯罪行為を重ねた西山を会計責任者として選任したこと、及び会計責任者としての任務遂行の監督につき相当の注意を怠ったものとして、政治資金規正法25条2項によって、50万円以下の罰金の範囲で処罰されねばならない。

第4 被告発人安倍の処罰の必要性
1 被告発人安倍は、7年8か月にわたって内閣総理大臣の地位に就き、森友学園問題、加計学園問題、そして公的行事である「桜を見る会」に自分の後援会員約800名を山口県から招待し続けてきたことに典型的に見られるとおり、国政を私物化してきた人物である。
市民は、検察当局に対し、たとえ被疑者が政治権力者であろうとも、遠慮や忖度をすることなく、公正な捜査により事案の真相を解明し、適正に訴追権限を行使することを、心から期待している。ぜひ、この告発を真摯に受け止め、徹底した捜査と正式裁判請求を求める。
2 なお、法25条2項の法定刑は、最高罰金50万円に過ぎないが、被告発人安倍が起訴されて有罪となり罰金刑が確定した場合には、法第28条第1項によって、その裁判確定の日から原則5年間選挙権及び被選挙権を失う。その結果、安倍は公職選挙法99条の規定に基づき、衆議院議員としての地位を失う。
この結果は、法が当然に想定するところである。いかなる立場の政治家であろうとも、厳正な法の執行を甘受せざるを得ない。本件告発に、特別の政治的な配慮が絡んではならない。市民の期待に応えて検察は臆するところなく、厳正な捜査を遂げられたい。

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