澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

「『桜を見る会』を追及する法律家の会」(仮称)間もなく結成の運びに

「前門の桜、後門のIR」。
「紙の爆弾」(鹿砦社)3月号「不祥事連発の安倍政権を倒す 野党再編への道筋」(朝霞唯夫)の冒頭に紹介されている至言。もちろん、自民党幹部にとっての切実な感想である。「桜」「IR」に、「ウグイス嬢」「香典」と続いて、「不祥事連発」という表題となる。

 アベ政権の不祥事はいろいろあれど、安倍晋三本人の国政私物化体質を良く表している点で、桜疑惑が抜きん出ている。「桜」と「疑惑」、「桜」と「安倍セコイ」、「桜」と「安倍汚い」のイメージがしっかりと結びついた。罪ない桜には気の毒なことこのうえない。

一昨日(2月7日)新宿御苑に足を運んで、たった一人の「桜を見る会」をやってきた。天気はよし、風はなし。人もまばら。コロナウィルスの影響もあるのだろうが、なんとも広い庭園を独り占めの贅沢。もちろん、ソメイヨシノもサトザクラも蕾は固い。しかし、翔天亭そばの寒桜は今が見頃である。温かい「ワンカップ甘酒」300円のなんともつましい「一人桜を見る会」。

長い間この庭園の入場料は200円だったが、昨年(2019年)3月に500円への大幅値上げをした。19年4月の「18000人桜を見る会」は、値上げ後のこと。参加者は入場料を支払っていない。

よく知られているとおり、この広い庭園は江戸時代には、旗本内藤家の屋敷だった。それが徳川家崩壊で、維新後は天皇家の財産となった。いまだに、「新宿御苑」と、ことさらに「御」の文字が入っているのは、もともとは天皇家のものであったことを忘れてはならぬとするおもんばかり。「上野恩賜公園」も同様である。

新宿御苑の公式ホームページに、こうある。

江戸の大名屋敷から皇室庭園、国民公園として、400年を超える時代の中で、さまざまな役割を担い、発展を遂げてきた新宿御苑は、日本における貴重な歴史文化と自然を継承する庭園として、時代を超えて人々に愛され続けています。

そりゃウソだろう。旗本屋敷も皇室庭園も、所詮庶民とは縁無きもの。「時代を超えて人々に愛され続けて」きたわけがない。

「新宿御苑は明治35年から4年の歳月をかけて明治39年(1906)5月に完成し、明治天皇の御臨席のもとに日露戦争の戦勝祝賀を兼ねた開苑式が催されたとのことです。」

ここにも、国のすべてが「天皇の戦争」に結びつけられていた歴史の片鱗がある。また、戦後の庭園の歴史については、こう記されている。

 昭和24年(1949)4月1日から「国民公園新宿御苑」と名称をあらため、5月21日に正式に公開が始まりました。最初の入園料は20円で、翌年3月までの10ヵ月間で105万人もの入園者数を記録しました。

 その後まもなく入園者サービスの充実を目指し、財団法人新宿御苑保存会(現在の一般財団法人国民公園協会新宿御苑の前身)が発足し、…中断されていた観菊会は、開苑から2年後の昭和26年(1951)に内閣総理大臣主催の「菊を見る会」として再開し、観桜会も、その翌年に「桜を見る会」としてふたたび催され、伝統の花々が初めて一般に公開されることになりました。

 1952年に始まった「桜を見る会」。21世紀になって出てきた、ヘンな総理が、これを私物化することになろうとは、内藤様も、天皇家も、考えもしなかったろう。

その「桜を見る会」疑惑。常識的には、もう詰んでいる。野党の追及に、抵抗すればするほど、泥沼にはまり身動きできなくなっている。しかし、それでも安倍は「投了」しようとしない。万が一にも、こんな安倍の悪あがきが功を奏して、うやむやにされるようなことがあってはならない。

この事態に、法律家有志も力を合わせようという気運が盛り上がっている。先日来の国会論戦が、契約主体や、公職選挙法・政治資金規正法・公文書管理法の解釈問題に踏み込んだ、法的な問題に関わるものとなっているからである。

現在26人の学者と弁護士が呼びかけ人となって、「『桜を見る会』を追及する法律家の会」(仮称)結成の準備をしている。安倍晋三による国政私物化、国民財産私物化に憤っている法律家への呼びかけの趣旨の概要は以下のとおりである。

 昨年の臨時国会以来、安倍総理が主催してきた「桜を見る会」の問題が、国政上の一大焦点となっています。とりわけこの問題は、安倍総理が、国の主催する「桜を見る会」を、自らの支援者に向けて権勢を示し、さらに今後の政治的地位を固めるため私的に利用したという意味で、政治的・道義的責任が問われているとともに、公職選挙法や政治資金規制法、公文書管理法等々の法律に抵触する違法な行為として、法的責任も問われるべき問題です。
 ところが、通常国会の論戦において安倍総理は、野党による「桜を見る会」とその前夜祭の追及に対し、客観的な書類の公表を拒否するなど、納得のゆく説明を尽くそうとせず、ひたすら逃げ切りをはかろうとしており、違法行為の疑惑はますます深まるばかりです。

 私たちは法の支配のもとに生きる法律家として、一国の総理の違法行為疑惑を目の前にしながら、座して見ているわけにはゆきません。いまこそ、私たち法律家が率先して、「桜を見る会」の真相を解明し、安倍総理の法的責任を追及するときではないでしょうか。

 そこで今般、私たちは、「『桜を見る会』を追及する法律家の会」(仮称)を結成し、すでに全国で取り組みを進めている人たちや団体と相互に協力し合い、野党の対策チームとも連携して、安倍総理の法的責任を追及する、全国規模の運動を立ち上げようと考えました。

皆様におかれましては、ぜひ当会の設立について呼びかけにご賛同いただき、当会が予定する活動にご協力いただけますよう、お願いする次第です。

この会の結成総会予定は2月13日(木)。安倍の退陣を実現して、心ゆくまでの花見を楽しみたいと思う。
(2020年2月9日)

 

 

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