大村知事リコール運動での署名偽造疑惑を徹底追及せよ
(2020年12月7日)
大村秀章愛知県知事に対する大義のないリコール運動。その署名の偽造・水増し疑惑がいよいよ本格的にメディアに報じられるところとなってきた。この動き、河村たかしと高須克弥とが前面に出てはしゃいでいた印象だが、実務を支えた事務局長は田中孝博という人物。元は減税日本に所属し、現在は維新の愛知5区支部長で同選挙区からの公認立候補予定者である。なるほど、類は友を呼ぶというわけだ。醜悪なトライアングル。
この問題、ネットで疑惑として話題となり、当ブログでも何度か取りあげた。最近のものでは、以下を参照されたい。
リコール署名の偽造・水増しは、犯罪である。その隠蔽は許されない。
https://article9.jp/wordpress/?p=15962 (2020年11月23日)
その偽造署名疑惑、明らかに局面は変わった。これまで、この運動を支えていた複数の人々が、告発者として名乗りを上げ、12月4日記者会見を開いたのだ。各紙、各テレビ局が、この告発内容を報じ、自らも取材し始めている。どうせ、成立見込みのないリコール運動に大したニュースバリューはないが、名古屋市長が関わった運動に大量の偽造署名疑惑があるとなれば、報道の価値は十分である。
まずは、読売新聞記事を紹介しよう。河村や高須のイデオロギーに遠慮するところなく、事実を伝えている。
高須克弥院長らの知事リコール運動「署名7?8割が偽造だろう」…請求代表者ら
美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長らによる愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動で、署名集めの請求代表者となっている男性らが4日、県庁で記者会見し、「署名簿に偽造が疑われる不審点が多数見つかった」と主張した。
記者会見したのは複数の請求代表者、街頭活動で署名を集めたり、署名簿に番号を割り振る作業に参加したりしたボランティアら。
会見で請求代表者らは「提出前の署名簿には、明らかに同一の筆跡とみられるものが多数あった。指印も同一とみられる」などと説明。選挙管理委員会に提出した名簿の真偽を各選管を訪ねて確認中という請求代表者の1人は「7?8割が偽造だろう」と述べた。
リコール活動を担っていた田中孝博事務局長は取材に対し、「不正を行う時間はなかった」などと語り、事務局の偽造署名への関与を否定した。
また、共同は、「愛知県知事リコール運動で『不正署名多数』と参加者」として、下記の記事を配信した。
美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長らが展開した愛知県の大村秀章知事の解職請求(リコール)運動を巡り、署名活動を担った男性らが4日、名古屋市内で記者会見し「不正な署名が多数あった」と主張した。リコール運動の事務局は不正を否定した。
大村知事は4日の会見で「署名の不正が行われていたら日本の民主主義を揺るがすことになる。関係者が明らかにしてほしい」と指摘した。
男性らは運動発起人の「請求代表者」や署名集めの委任を受けた「受任者」として活動した。会見で「明らかに同一筆跡の署名が多数あった」と証言。瀬戸市で活動した水野昇さん(68)は「一生懸命署名を集めた人は怒っている。真実を解明したい」と語った。
リコール運動事務局の担当者は取材に「不正行為をやる理由がない」と否定した上で「一部受任者が不正の証拠と称し署名簿を盗んだ疑いがある」と訴えた。
高須氏らは11月、43万5231人分の署名を各選挙管理委員会に提出。解職の賛否を問う住民投票実施に必要な法定数約86万6000人の半分ほどにとどまった。県選管によると、提出署名が法定数を満たさない限り、署名が有効かの審査は行わない。(共同)
さらに、地元「東海テレビ」の報道が素晴らしい。誰にも忖度するところのない報道。ぜひ、これを視聴いただきたい。
https://www.tokai-tv.com/tokainews/article_20201204_150292
愛知県の大村知事に対するリコール署名活動を巡り、ある疑惑が浮上しました。署名集めをしたグループなどが4日に会見し、「同じ人物が複数の署名を偽造した疑いがある」と訴えました。
不正に署名された疑いのある住所へ実際に向かってみると、驚きの事実が明らかになりました。
4日午後、愛知県庁で会見を開いたのは、大村知事に対するリコール署名で実際に署名を集めた「受任者」らのグループや、その責任者にあたる「請求代表者」。会見の場で訴えたのは『署名集め”不正”疑惑』です。
請求代表者:
「筆跡が全部同じである。誰かが住民データを側に置いて、それをずっと丸写ししていったんだろうな」
なんと「同じ人が複数の署名を書き、偽造した疑いがある」と訴えたのです。
去年開かれた『あいちトリエンナーレ』を巡り、高須クリニックの高須克弥院長と名古屋市の河村たかし市長が進めた、大村知事のリコール運動。
11月、高須院長の体調不良が理由で、署名集めは途中で終了しましたが、2か月で必要な署名の半数にあたる43万余りの署名が集まりました。その署名に浮上した今回の疑惑。一体どういうことなのか…。
実際に、署名簿のコピーを見せてもらうと…。
リコール署名元受任者の水野さん:
「日にちが違うし、名前がほとんど同筆跡なんですよ」
別々の人の名前が書かれた文字を抜き出してみると、「子」や「増」などよく似た筆跡がいくつもあり、書かれた署名の住所を並べてみても、確かに似ているように見えます。
不審な点に気付いたという水野昇さんは、受任者として集まった署名を提出する作業を手伝っていた11月4日、同一人物とみられる筆跡があることに気付いたといいます。
水野さん:
「誰が見たって筆跡一緒ですよ。量から見て計画的です。驚きました」
水野さんによると、なんと300余りの署名が、たった2人の手によって書かれた可能性があるといいます。
不正は実際に行われていたのでしょうか。名簿に書かれた尾張旭市内の住所に向かってみると、衝撃の事実が明らかになりました。
Q.こちらの住所・お名前は、ご自身で間違いないですか?
署名簿に記載されていた人:
「間違いありません、生年月日もあってるし。ただこの筆跡には全然覚えがないんです。(Q.リコール署名された?)書いたことはありません。書いてません」
住所と名前が一致する人物はいましたが、「署名を書いていない」ことが明らかになりました。さらに別の住所でも…。
Q.こちらご自身ですか?
署名簿に記載されていた別の人:
「えぇ、私ですけど字が違うな…。(書いた覚えは)ないです」
Q.この(署名の)お名前は娘さんですか?
また別の人:
「はい、娘です。今いないです、嫁いで。もう20年くらい前」
取材した5人のうち、2人が「署名を書いていない」と証言。さらに残りの3人は、記載された住所に住んでいませんでした。
請求代表者:
「各選管を回っています。それで不正とみられる署名簿が8割」
不正とみられる署名は蟹江町などでも確認されていて、署名集めの責任者にあたる請求代表者らは、地方自治法違反の疑いで刑事告発を検討。警察と相談を進めています。
今回浮上した不正疑惑について、リコール活動を全面的に支援していた河村市長は…。
Q.不正疑惑についてどのように受け止めている?
河村名古屋市長:
「まず不正不正言っとるけど、無効ですわね、それ。考えられんですよ、審査ですぐ分かるんだから、無効って」
一方、大村知事は…。
大村愛知県知事:
「いろんな情報が私の耳にも入ってきますけれども、投票の偽装と署名の偽造はですね、全く同じ量刑・同じ罰則・罪でありますから、軽くない。事実関係は明らかにされなければならない。関係者は事実関係を明らかにする義務がある」
現在、各地の選管で保管されている署名は、1月にもリコール活動をしていた団体に返却されますが、団体の事務局は「プライバシー保護のため、署名簿は溶かして処分する」としています。
醜悪なトライアングル、やることがいかにも汚い。潔さがない。高須が「リコールの会が仮提出した署名簿は、封印したまま僕の目の前で溶解液に入れて破棄する方針だ。万が一、リコールの会が集めた署名簿の情報が漏洩した場合、すべて責任は取ります」と発言している。
なんという姑息な発言。組織的な大量の署名偽造疑惑が問題とされている。もちろん、高須自身も、その疑惑の首謀者として被疑者の一人とならざるを得ない。にもかかわらず、自ら疑惑を晴らす努力をしょうというのではなく、疑惑の証拠となるべき署名簿を溶解してしまおうというのだ。サクラ疑惑を追及されるや、直ちに名簿を廃棄した、かの前政権並みの汚い手口。「関係者は事実関係を明らかにする義務がある」という、大村知事の提言が虚しい。しかも、「リコールの会が集めた署名簿の情報が漏洩した場合、すべて責任は取ります」と上辺を飾っての取り繕いがみっともない。
関係者の内、高須には最初から特に失うものの持ち合わせはない。維新の傷も大したことはなかろう。しかし、河村の政治生命には致命的な傷が付くのではないか。署名の偽造に少しでも関わっていればアウトだし、直接には不正署名に関わりなくとも、軽挙妄動のみっともなさが際立つことになる。犯罪との指摘を含む不正行為が、自分が肩入れした運動で生じたのだ。事務を担当した田中は、元は減税日本に所属していた知己でもある。監督不行き届きの政治責任は免れない。
記者会見に臨んだ者たちは刑事告発を検討中だという。ぜひとも厳正な捜査の結果を待ちたい。健全な民主主義のために。