声を上げよう ー 「東京オリパラは早急に中止せよ」
(2021年3月4日)
私もその一員である自由法曹団は、弁護士だけの任意団体で、広辞苑では「大衆運動と結びつき、労働者・農民・勤労市民の権利の擁護伸張を旗じるしとする。」と解説されている。その東京支部が、2月末に第49回となる総会を開き、下記6本の特別決議を採択した。
?「コロナ禍の下で命とくらしを最優先する政策への抜本的転換を求める決議」
?「敵基地攻撃能力の保有を許さず、明文改憲阻止のだたかいに全力をあげる決議」
?「新型コロナウイルスの流行下において労働者の生活と権利を守る立法及び措置を求める決議」
?「性差別・LGBT問題に全力で取り組む決議」
?「「送還忌避・長期収容の解決に向けた提言」等に反対する決議」
?「東京オリンピック・パラリンピックの開催中止を求める決議」
各決議の表題が、「闘う弁護士」たちの今の関心事を物語っている。コロナ禍がもたらす社会的弱者への皺寄せの事態に、権力や企業と闘わざるを得ないのだ。東京五輪中止問題もその文脈にある。いまや、オリパラどころではない。政府も東京都も、コロナ対策に専念すべきなのだ。決議をご覧いただきたい。
**************************************************************************
東京オリンピック・パラリンピックの開催中止を求める決議
2020年夏に開催予定の東京五輪(オリンピック・パラリンピック)が延期となり、2021年の開催まで5か月となったが、緊急事態宣言が3月7目まで延長され、新型コロナウイルスの感染は未だ収束する見通しはない。東京都内の医療体制は逼迫し、全国各地で体調が急に悪化して自宅などで死亡する例も急増している。
予選を兼ねて3月にドイツで予定していた体操の個人総合のワールドカップが中止になるなど半数以上の競技で出場選手が未だに確定せず、競技会場で活動する約8万人の大会ボランティアから辞退者が相次ぎ、日本医師会は医療提供体制のひっ迫状況が改善されない限り、さらなる外国人患者の受け入れは可能ではないと述べ、国内外からのアスリートだちからも多くの市民が望まない中での大会への参加を疑問視する声が上がっている。もはや東京五輪は、開催が可能であるとの理由を探す方が困難な状況である。共同通信の世論調査では今夏開催の「中止」「再延期」を合わせた反対意見は80.1%と昨年12月の前回調査の同61.2%から激増した。
しかるに国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は、予定どおり7月に開催できると述べ、日本オリンピック委員会(JOC)や東京都、政府は「東京大会を開催することにゆるぎない決意を持っている」(山下泰裕JOC会長)、「ウイルスとの戦いに打ち勝つ証しを刻んでいきたい」(小池百合子都知事)、「人類がウイルスに打ち勝った証しとして東京で開催する決意だ」(菅義偉首相)等と科学的根拠のない精神論を強調するのみである。
五輪が平和の祭典とは程遠いビジネスのための大会に堕し、テレビ放映権料やスポンサー収入を得ることが目的となっていることは多くの市民が指摘するところである。経済の活性化を前面に押し出して誘致した東京五輪であるが、多額の税金を投入して今夏に開催する大義はすでに失われた。
自由法曹団東京支部は、今夏の東京オリンピック・パラリンピックの中止を直ちに決定し、東京都の組織力、財政力を新型コロナウイルスの対策に集中することを求める。
2021年2月26日
自由法曹団東京支部第49回定期総会
**************************************************************************
また、3月1日同期弁護士有志のメーリングリストに、梓澤和幸君から下記の投稿があった。
23期の皆さん。
コロナ生命危機なのにオリパラやめようの声が呟きの声しかあがらない。
京都新聞、信濃毎日、共同通信、毎日、朝日、東京新聞も少しは言うけれど大きな声はあげずに沈黙。ものすごい圧力で黙らされている。
そこで僕の生きる拠点国分寺市民連合は明日をスタートに
#コロナあぶない
#オリパラやめよう
とTwitterデモを打ち上げます。
皆さん。明日以降反応して下さい。
梓澤和幸
**************************************************************************
そして、昨日(3月3日)の英紙タイムズ「東京オリ・パラ 『中止すべき時が来た』」が話題を呼んでいる。
東京オリンピック「中止すべき時が来た」 英紙タイムズがコラム掲載
感染拡大を引き起こす可能性を指摘し、日本はおろか世界へと広がるリスクが大きすぎるとしている。
今夏の東京オリンピック(五輪)・パラリンピック開催について、英紙タイムズは3日、東京支局長の写真と名前入りのコラムを掲載し、「今年の東京五輪を中止すべき時が来た」と報じた。感染拡大を引き起こす可能性を指摘し、日本はおろか世界へと広がるリスクが大きすぎるとしている。
理由として、200を超える国から1万5千人以上の選手や、関係者、審判らに加えて多くの観客が来日することを指摘した。厳しい規制などでリスクを抑え込み、大会を開催できる国があるとすれば「それは日本」と認めつつも、「確証はない」としている。(朝日新聞デジタル)
**************************************************************************
そして、本日(3月4日)、政府の方針が「東京五輪の海外客見送りへ」「開催へ安全安心を優先」に変更された旨、大きく報道されている。
政府も東京都も、そして組織委も、海外客受け入れが不可能であることは容認した。だから、現実の進行は、
「海外客受け入れ断念」⇒「国内観客制限」⇒「オリパラ中止」
の手順とならざるを得ないように見える。
しかし、南北アメリカやヨーロッパ各国を見ても、コロナの猖獗はオリンピックどころでない。2020東京五輪の開催不可能はもはや明白ではないか。商業主義や国威発揚、あるいは目立ちたがり関係者の思惑で、コロナのリスクを拡げてはならない。むしろ政府も自治体も民間もスポーツ団体も、早急に「オリパラ中止」を決断して、コロナ対策に専念すべきである。
声を上げよう。「東京オリパラは、早急に中止せよ」「政府も自治体もコロナ対策に専念せよ」