澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

総選挙前哨戦の「野党勝利」と「共闘に弾み」に祝杯!

(2021年4月26日)
 選挙翌日の新聞は、時に読む目に痛く身体に毒となる。しかし、本日の朝刊は精神安定によく効くクスリとなった。まことに気分がよい。

 毎日が一面トップに白抜きの横見出し。「衆参3選挙 自民全敗」としている。縦の見出しは、「菅政権に大打撃」。東京新聞も、横見出しで、「衆参3選挙 自民全敗」と打ち、一面の解説記事で「信頼失った政権に警鐘」と目立つ小見出し。そして、朝日は、縦の4段白抜きで、「衆参3選挙 自民が全敗」「総選挙控え 政権に打撃」。

 そして、赤旗。一面にぶち抜きの横見出しで、「3国政選 市民と野党全勝」。まるで、政権を取ったような扱い。これに「菅政権に痛打」という、縦の見出し。

 3選挙は、昨年(2020年)9月の菅政権発足後初めての国政選挙。各党とも、今年秋までにある衆院選の前哨戦と位置づけていた。その選挙の結果が、3対0である。各紙の見出しの付け方は、けっして大袈裟ではない。この選挙結果のインパクトが理解できる。これは、菅政権を揺さぶる大ニュースなのだ。なぜ大ニュースなのか。一般紙は、「自民全敗」だからであり、赤旗は「市民・野党が全勝」だからだという。これは、同じことであるようで、必ずしもそうではない。「市民・野党の勝利」は、野党共闘に弾みがついて、次の局面を切り拓く展望を語っている。

 いずれにせよ、「自民全敗」「野党全勝」は、民主主義が正常に機能している証左である。金にまみれ、国民の命をないがしろにしている政権に対する制裁となった選挙結果なのだから。来たるべき総選挙で、「自民全敗」「野党全勝」ともなれば、それこそ民主主義の偉大な勝利である。

 以下は、東京新聞の解説記事の一部である。

 菅政権で初の国政選挙となった衆参3選挙で、自民党が不戦敗も含めて全敗を喫した。この結果は、「国民のために働く内閣」を掲げながら失政を重ね、新型コロナウイルス対策でも感染を拡大させ3度目の緊急事態宣言まで出し、信頼を失った菅義偉首相に対する国民からの警鐘だ。「政治とカネ」を巡る自民党の金権体質にも、国民が厳しい審判を下した。

解説は菅が国民からの信頼を失うに至った根拠を、次のように整理している。
◆遅れるコロナ対応
 「Go To トラベル」やオリンピックを重視して種々の判断が遅れた。ワクチンも遅れて、全国民がいつまでに接種できるのかも見通せない。国民に不要不急の外出自粛を求めながら、与党議員が都内の高級クラブを訪れ、首相も高級ステーキ店での多人数の会食が批判を受けた。
◆繰り返される「政治とカネ」問題
 「政治とカネ」を巡っては、自民党の二階俊博幹事長が、参院広島選挙区再選挙のきっかけとなった河井案里前参院議員と夫の克行元法相による多額買収事件を「他山の石」と人ごとのように説明。総務省接待問題では、首相は長男正剛氏を当初、「別人格」として逃げ切ろうとした。首相側近の菅原一秀前経済産業相が選挙区内の行事で現金を配った疑いまで浮上した。

 この手際のよいまとめのとおりであろう。これからの政局、大いに野党に自信をもってもらいたい。とはいうものの、幾つかの懸念もある。各選挙とも投票率がいかにも低調。有権者の関心が低いのだ。
 これは、民主主義にとっての痛手にほかならない。
  衆院北海道2区補選 30.46% (前回比26.66%減)
  参院長野選挙区補選 44.40% (前回比 9.89%減)
  参院広島選挙区再選 33.61% (前回比11.06%減)

 そして、野党共闘がもひとつスッキリしないこと。赤旗は、「広範な市民と野党は、三つの選挙区すべてで安保法制廃止・立憲主義回復を基本とする政策協定を結び、幅広い勢力を結集してたたかいました」という。結構なことだが、一般紙での報道では、北海道2区でも参院広島でも、共産党は候補者の「推薦」政党にも、「支持」政党にもなっていない。スッキリした共闘に障害のあることは理解するが、どうしてもモヤモヤは晴れない。

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