DHCの企業体質を支えている関係者への批判を躊躇してはならない ー「DHCスラップ訴訟」を許さない・第188弾
(2021年5月24日)
毎日新聞日曜コラム「松尾貴史の ちょっと違和感」が頗る好調である。切れ味鋭いというだけではない。民主主義の何たるかから説き起こしての説得力をもつものになっている。イラストの出来栄えも併せて大したものだ。
先週日曜(5月16日)が「維新幹事長が『立憲民主は必要ない』発言 民主主義の否定だ」というもの。
https://mainichi.jp/articles/20210516/ddv/010/070/002000c
馬場伸幸維新幹事長の問題発言を糸口に、維新という特異な政党の体質に対する根底的な批判となっている。私も、維新の反民主主義体質と改憲に向けての先走りの役割を危険なものと考えており、大いに頷くところが多い。この松尾のコラムは、繰り返し引用されてしかるべきだ。
そして昨日(5月23日)が、DHC・吉田嘉明批判の論稿。「大手化粧品会社会長の差別発言 利用者は考え支持しているのか」というタイトル。
https://mainichi.jp/articles/20210523/ddv/010/070/002000c
以下、文意を曲げない程度に、抜粋して紹介する。
「大手化粧品会社「DHC」の吉田嘉明会長が、自社の公式サイトに…差別的な表現を繰り返し書き連ねていた。各方面から指摘や注意を受けながらも、掲載をやめず、削除することがなかった。
大阪市の人権団体が、DHCと取引をする銀行やコンビニエンスストア、ドラッグストアなど30社に対して、取引を停止するよう求める要望書を送った。
日本テレビは、会長のメッセージを「会社としての意見」として受け止めて問題視し、DHCからのスポット広告の申し込みを拒否したという。金額としては数千万円にのぼると見られるが、毅然とした対応は評価されるだろう。
「金を積まれても差別は許されない」日本テレビの姿勢は真っ当だ。DHCは新聞の折り込み広告についても、毎日折込、読売IS、サンケイアイの3社に拒否されたという。
吉田氏のメッセージには「この美しい歴史のある日本に、グローバリズム、多様性、同性結婚、ジェンダーフリー、夫婦別姓など全く似合いません。何かというと多様性・多様性と口にする政治家の野田聖子、私の最も嫌いな政治家です」などとも書かれている。化粧品や多くの女性も使うことを想定して作られているサプリメントなどを購入するユーザーは、こういう考え方を支持しているのだろうか。
これだけの騒ぎになっていても、コンビニエンスストアの大手は態度を明らかにせず、商品を置き続けている。目先の利益よりも、ここは長い目で社会に貢献することを選択していただきたいものだ。」
この松尾のコラムを読んで、私のDHCに対する批判の在り方を、甘くて生温いものであったと反省せざるを得ない。DHCへの批判は、ひとり吉田嘉明の言動を批判するだけでは足りないのだ。すべての関係者に、「DHC吉田嘉明の考え方を支持するのか」「結果として支持していることを容認するのか」と問い正ささねばならない。吉田嘉明のヘイトコメントを許容する環境やこの社会の生温さをこそ批判しなければならない。実は、DHCとは、デマとヘイトとステマとスラップの4拍子を揃えた稀有な反社会的企業なのだ。その企業体質を支える関係者への批判に躊躇があってはならないと思う。
まずは、すべての消費者の一人ひとりに訴えたい。
DHCが販売する商品を買ってはならない。DHCの商品を買うことは、DHCという企業の体質を容認し支持することなのだ。あなたが、DHCの商品を買うことは、デマと差別の蔓延を助長することなのだ。あなたが、DHCの商品を買い控えることが、少しでもより良い社会を作ることにつながる。
あなたの日常の商品選択は、その商品を作っている企業のイデオロギーの選択でもある。だから、デマとヘイトとステマとスラップの企業の商品を買ってはいけない。そのような消費者の自覚が、民主主義と人権を支えるのだ。
次いで、DHCの従業員諸君に言いたい。君達は、こんなデマとヘイトとステマとスラップで著名となった天下に悪名高い企業で働いていることを恥ずかしいとは思わないか。君達は、客観的に吉田嘉明がしているデマと差別とステマとスラップの共犯者となっている。そのことに心が痛まないか。
まずは、DHC従業員であることの恥を知らねばならない。そのうえで、会社の体質を変える努力があってしかるべきではないか。労働組合の結成ができれば、素晴らしいことだ。それができなくても、内部情報の公益通報という手段もある。少なくも、会社からカネをもらってのステマはやめたまえ。会社の手先となって消費者を欺してはいけない。
さらに、取引先に問いたい。コンビニやドラッグストアの経営者の皆さん、DHCとの取引の継続は、あなたのお店の体質を問われることになりますよ。あなたの店の一隅にあるDHC商品のコーナーは、あなたの店が、デマやヘイトや消費者保護に潔癖でないことを宣伝していることになっているのですよ。
広告業界にももの申したい。「金を積まれても差別は許されない」という日本テレビの心意気を学んでいただきたい。DHCごときヘイト企業に擦り寄っていけない。ヘイト企業DHCの広告を引き受けることは、広告媒体自身のヘイト体質を広告することになる。このことを肝に銘じていただきたい。
地方自治体にも申し上げたい。つい先日まで、ヘイト企業DHCとの連携協定を結んでいたのが下記の各自治体である。これは各自治体の恥であり、住民の恥である。このうち、南国市、宿毛市、合志市の3市が早速の見直しに動いたが、他についてはいまだ報道がない。ヘイト企業DHCとの特別の関係を持つことで、住民にに忸怩たる思いをさせていることを反省して、直ちにDHCとの関係を断つべきが当然である。
北海道 長沼町
岩手県 二戸市
宮城県 石巻市
茨城県 守谷市 境町 行方市 下妻市
千葉県 横芝光町
神奈川県 松田町
静岡県 御殿場市 伊東市 小山町
高知県 宿毛市 南国市
佐賀県 唐津市 みゆき町
熊本県 合志市 長洲町
鹿児島県 南九州市 鹿屋市 長島町
最後に、メデイアに申し上げたい。もっとDHCの企業体質の問題を取材し、報道していただきたい。DHCが10件の典型的なスラップを提起したとき、言論の自由への挑戦と論陣を張ったメディアはなかった。DHC対澤藤の訴訟が7年をかけて澤藤の完全勝訴で確定しても、その意義についての十分な報道はない。
違法・不当な企業の横暴を社会がどうコントロールするか、これは勝れて現代的な、民主主義の重要テーマである。メデイアの批判が不十分なことが、今のDHC・吉田嘉明の放埒を助長してきたのではないか。あらためて、その責任を自覚されたい。