澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

連合とはいったい何なのだ。「寝百姓」とどう違うのか。

(2021年12月27日)
 幕藩体制に抵抗した農民を「立百姓」と言い、抵抗運動からの脱落者や裏切り者を「寝百姓」と言った。幕藩体制下の一揆は、文字どおり命を賭けた「立百姓」の団結と果敢な行動によって権力からの譲歩を勝ち取ったが、大きな犠牲を伴うのが常であった。「寝百姓」は、自ら危険に曝されることはなく、闘わずして「立百姓」が命を賭けて獲得した成果には均霑した。しかも、恥ずかしげもなく「立百姓」の足を引っ張り後方を撹乱することで、身の安全をはかった事例も多々ある。これは、昔話の世界だけのことではない。今なお、最前線で闘う多くの人々の成果だけを享受して、後方からこれを撃つ人々がいる。…恥ずかしげもなく。

 昨日(12月26日)の毎日新聞に、「連合初の会長 芳野友子さん」の記事が掲載されている。1面トップと3面の大型企画記事。「提灯記事の如くで実は辛口」というべきか、「辛口の如くで、所詮は提灯記事」なのか。読む人によって、見解は分かれよう。辛口と思われる部分の一部を抜粋してみる。

 連合会長に就任すると、(全労連議長の)小畑さんからコチョウランを贈られた。「ジェンダー平等実現のために頑張りましょう」とのメッセージが添えられていた。
 「二つの全国組織のトップに女性が就いたのだから、ジェンダー平等を前に進めるチャンス」との思いを込めていたと小畑さんは明かす。でも、返事はないという。「それぞれが前に進もうということですかね」

 女性同士の共闘が動き出さないばかりか「女性トップが変えていく」との期待は、暗転した。
 きっかけは、衆院選投開票から一夜明けた11月1日にあった記者会見での発言だった。立憲民主党が議席を減らした結果について問われた芳野さんは「連合は、共産党や市民連合とは相いれない」と述べた。野党共闘を仲介する「市民連合」まで標的にした、と受け止められた。野党共闘の女性候補を応援した女性たちの間では「ジェンダー平等に取り組む人が、同じ志の仲間を排除するとも取れる発言はいかがなものか」といった失望感が広がった。

 選挙期間中に予兆はあった。「立憲民主党と共産党がのぼりを立てて街頭で演説会をするのは受け入れられない」「連合票は(野党共闘で)行き場をなくした」とも述べていた。…報道機関のインタビューでは「民主主義の我々と共産の考え方は真逆」などと述べている。政治スタンスに関連する発言からは「反共」というキーワードが浮かび上がっている。

 女性同士の共闘が動き出さないばかりか「女性トップが変えていく」との期待は、暗転した。
 きっかけは、衆院選投開票から一夜明けた11月1日にあった記者会見での発言だった。立憲民主党が議席を減らした結果について問われた芳野さんは「連合は、共産党や市民連合とは相いれない」と述べた。野党共闘を仲介する「市民連合」まで標的にした、と受け止められた。野党共闘の女性候補を応援した女性たちの間では「ジェンダー平等に取り組む人が、同じ志の仲間を排除するとも取れる発言はいかがなものか」といった失望感が広がった。

 選挙期間中に予兆はあった。「立憲民主党と共産党がのぼりを立てて街頭で演説会をするのは受け入れられない」「連合票は(野党共闘で)行き場をなくした」とも述べていた。連合が公表した芳野さんの遊説は選挙期間中12選挙区。会長に就任したばかりという事情があったにせよ、連日何カ所も掛け持ちした歴代会長と比べると、少ない。

 報道機関のインタビューでは「民主主義の我々と共産の考え方は真逆」などと述べている。政治スタンスに関連する発言からは「反共」というキーワードが浮かび上がっている。

 共産党に対する拒否感について、芳野さんに尋ねたことがある。その答えとして、出身労組の影響があると明かした。
 概要は次の通りだ。就職したJUKIには共産党の影響を受けた組合があった。これに反発した組合員が同盟系の労組を作った。自分の入社時には、同盟系が多数派になっていたが、組合役員になると共産党系の組合と闘った過去を学んだり、相手から議論を仕掛けられたらどう切り返すかというシミュレーションをしたりした――。
 このような経験から、共産系の組合が社内で宣伝活動などをしていると「会社に混乱を持ち込むのか」と嫌な気持ちになったという。労組専従の道を歩むとの決断が人生の転機になったのと同時に「共産アレルギー」が生まれ、徐々に膨らんでいったのかもしれない。

 変化が見えないこともあってか、連合内には会長選びを巡って「誰も拾わない(会長という)火中の栗を女性に拾わせた」「女性を持ってくることで批判に蓋(ふた)をした」といった言辞がくすぶっている。

 最終3行は、私(澤藤)の文章ではない。取材の東海林智記者の記事である。念のために。

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