NHK文書開示請求訴訟次回法廷で、パワーポイントを使って興味津々の解説。
(2022年4月21日)
NHKと森下俊三(NHK経営委員長)の両名を被告として、NHKの姿勢を問う《NHK文書開示請求訴訟》。その第3回口頭弁論期日が、4月27日(水)14時から東京地裁103号法廷で開かれる。
この訴訟は、興味津々の進行となっている。これまで意図的に公表を避けられていた問題の経営委員会議事録だが、もしかしたら、この法廷の進行次第で、てNHKのホームページへの公表が実現することになるかも知れない。それが実現すれば、大きな提訴の成果である。この法廷にご注目いただきたい。
それだけでなく、放送法で義務付けられている経営委員会議事録の公表がなぜ実現しないのか。その責任は、NHK執行部にあるのではなく、もっぱら被告森下俊三ら経営委員会側にある。経営委員会が、禁じられている番組編成に対する露骨な介入の違法を隠蔽しようとしていたことが、ほぼ明らかになっていると言ってよい。
法廷では、この点をパワーポイントを使って、原告代理人が説明する。ぜひ傍聴をお願いしたい。傍聴券の配布は1時20分からとされている。
「クローズアップ現代+」の「かんぽ保険違法勧誘問題」報道に端を発した「会長厳重注意の議事録」隠蔽は、放送法違反の違法行為を重ねた本件被告森下俊三の責任だけでなく、これを選任した政権の責任問題を浮かび上がらせている。
なお、報告集会を参議院議員会館102会議室にて15時30分ごろより開催する。こちらにもぜひご参加をお願いしたい。
簡単に、これまでの経緯を確認しておきたい。
本件原告らNHKの報道姿勢を正す市民運動に参加してきた者として、「かんぽ保険違法勧誘問題」報道に対する日本郵政グループ幹部からの介入とこれに呼応した経営委員会の動きにを重大視し、先行する経営委員会議事録開示請求に対するNHKの不開示決定を許せないと考えた。
そのため、「もしまた、NHKが議事録を不開示とするときには文書開示請求の訴訟を提起する」ことを広言して、「文書開示の求め」の手続に及び、所定の期間内に開示に至らなかったため、21年6月14日に本件文書開示請求訴訟を提起した。その結果、ようやく同年7月9日に至って「議事録と思しき文書」(被告NHKはこれを「議事録草案」と呼ぶ)が開示されたのだ。
おそらくは、これだけで大きな成果である。この「議事録草案」では、森下らが、日本郵政の上級副社長鈴木康雄と意を通じて、「クローズアップ現代+」の《かんぽ生命保険不正販売問題報道》を妨害しようとたくらんだことが明確になったからだ。この局面では明らかに、経営委員会の無法にNHK執行部と番組作成現場が蹂躙されている構図である。結局は安倍政権以来、政権が関わる人事の全てがおかしいのだ。
もっとも、この「議事録と思しき文書」は、所定の手続を経て作成されるべき「議事録」ではない。放送法41条で、「経営委員会委員長は、経営委員会の終了後、遅滞なく、経営委員会の定めるところにより、その議事録を作成し、これを公表しなければならない」とされている、適式の「議事録」については、いまだに不開示ということになる。真実、放送法の規定に反して、いまだに適式の議事録が作成されておらず、公表もされていないとすれば、森下の責任は重大である。その理由はどこにあるのか。森下主導の経営委員会が、放送法(32条)に違反して、番組(「クローズアップ現代+」)制作に介入していることが明らかになることを恐れたからである。
責任は、経営委員会、なかんづく委員長・森下俊三にある。無法・横暴な経営委員会とその委員長によって、NHK執行部と番組制作現場の報道の自由が蹂躙されている構図である。NHKは、乙1号証として「放送法逐条解説・29条部分」を提出して、文中の「経営委員会は、協会(NHK)の最高意思決定機関として設置したものである」という記述にマーカーを付けている。「NHK執行部が、経営委員会にもの申すなどできようもない」という内心の溜息が聞こえる。
NHKが暴走することのないよう、放送法は、NHKの最高意思決定機関として経営委員会を置き、その重責を担う経営委員12名を「国民の代表である衆・参両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する」という制度設計をした。当然に良識を備えた経営委員の選任を想定してのことである。ところが、この経営委員会が、とりわけその委員長が、政権の思惑で送り込まれ、明らかな違法をして恥じない。この事態に、内閣と国会とはどう責任をとろうというのだ。
この訴訟は、その問題に切り込んでいる。ご注目いただきたい。