澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

民主主義の欠如⇔人命の軽視⇔平和に対する脅威

(2023年1月4日)
 暗いニュースばかりが続く。本日、読売に「北朝鮮、李容浩元外相を処刑か…在英国大使館勤務経験の外務省関係者らも」という記事。この人、北朝鮮の核問題を巡る6か国協議の首席代表だった。北朝鮮を代表する米国通の外交官として知られ、米トランプ前政権との非核化交渉にもあたった人物だという。それがなぜ粛正。

 「昨年夏から秋頃」だというこの人の処刑と前後して、いずれも英国大使館勤務経験の外務省関係者4〜5人も相次ぎ処刑されたとの情報もあるという。粛清理由か明らかではないだけに、野蛮な権力の不気味さや恐怖が募る。人の命を大切にしない国は本当に恐い。

 野蛮さではイラン政府も負けてはいない。「ヒジャブ」抗議デモ参加者や連帯の意思表明者を逮捕するだけではなく、次々と死刑を宣告し執行している。しかも、クレーンに吊しての公開絞首刑だ。いたましいことこの上ない。政権批判を抑え込むための徹底した弾圧だが、人々に政権への怨念を募らせることにならざるを得ない。この事態に、命を掛けて抵抗運動に立ち上がる人々の姿勢に胸が熱くなる。

 ロシアが占領するウクライナ東部ドネツク州マキイウカで1日未明に、ロシア軍臨時兵舎がウクライナにミサイル攻撃された件について、ロシア国防省は当初63人死亡と発表していたのを、4日朝、少なくとも89人が死亡と再発表し、複数のロシア兵が携帯電話を使用していたから、攻撃目標とされたとの見方を示した。ウクライナの戦果に、思わず快哉を叫びたくなる自分の気持ちが恐い。動員されたロシアに同情せざるを得ない。

 そのロシアについて、本日の毎日夕刊に、「今年の『10大リスク』ロシア首位 『世界で最も危険なならず者国家』 米調査会社報告書」という記事。

 国際政治のリスク分析を行う米調査会社「ユーラシア・グループ」は3日、今年の「10大リスク」をまとめた報告書を発表した。首位にウクライナ侵攻を続けるロシアを挙げ、「世界で最も危険なならず者国家になる」と指摘。核兵器による威嚇を強め、サイバー攻撃などを通じた「非対称戦争」に転じると予測している。

 報告書は、欧米の武器供与を受けたウクライナの防衛力を前に「(ロシアには)戦争に勝つための有力な軍事的な選択肢は残されていない」と指摘。欧米を不安定化させるため、ロシア系ハッカーによる政府や企業へのサイバー攻撃、インフラの破壊工作、偽情報の拡散を通じた選挙妨害などを強めると予測した。何よりも核兵器使用の恐怖は拭いようがない。やはり、プーチンのロシアは恐ろしいのだ。

 今年の『10大リスク』の2位は、中国共産党総書記として異例の3期目に入った習近平。昨年の「10大リスク」のトップは、中国の「ゼロコロナ」政策の失敗だったという。習近平、今年はプーチンに後塵を拝したことになった。それでもなお、権力集中を「極限」まで進める彼にはチェック機能が働かず、「重大な間違い」を犯すリスクが高いと指摘され。「現代の皇帝」が下す決定によって、公衆衛生や経済、外交の3分野でリスクがあると説明されている。

 北朝鮮・イラン・ロシア・中国だけでない、ミャンマーも、アフガニスタンも、…。民主主義のない国が、人命をないがしろにする。民主主義のない国が世界の平和の脅威となる。民主主義のない国、報道の自由のない国ほど恐ろしい。そこでは、抑制の効かない権力の横暴が暴走するのだから。 

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